Vol.597.筋パワー、筋収縮速度と脳卒中患者のパフォーマンスとの関係性
目次
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カテゴリー
タイトル
●筋パワー、最適筋収縮速度と脳卒中患者のパフォーマンスとの関係性
●原著はMuscle power, contraction velocity and functional performance after strokeこちら
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●脳卒中患者の麻痺側においてMMTは使用しないことが言われるが、どのように筋力を捉えていくのが最適か考えるべく本論文に至った。
内 容
背景
●脳卒中は、高齢者の生活に支障を来す主たる原因の1つです。この理由の1つは、脳卒中後の筋機能の低下です。機能的パフォーマンスの観点から、下肢の筋量と機能の維持が重要であるように思われます。下肢の機能的効率性を有することは、立ち上がってバランスとコントロールを維持し、何よりも日常の活動に不可欠な効率的な歩行を確保できるため、自立した生活能力に大きく影響します。
●研究目的は、脳卒中患者の筋機能障害を説明し、脳卒中患者の機能的効率性(パフォーマンス)と最大筋力(Pmax)と最適収縮速度(υopt)の関係性を定義することでした。
方法
●脳卒中患者67人とボランティア67人を含む計134人の参加者が研究に登録されました。
●機能的パフォーマンスはtimed Up and Go test(TUG)に加え、Rivermead Motor Assessment(RMA)およびBarthel Index(BI)を使用して測定されました。
●膝の伸展筋の最大筋力(Pmax)と筋収縮速度(υopt)を評価するために、特別に設計されたMonark cycle ergometerが使用されました。
結果
図参照:Muscle power, contraction velocity and functional performance after stroke
●脳卒中の患者によって生成された筋出力は健常者の49.6%であり、筋収縮速度はわずか65.5%でした。(先行研究ではStavric らは、対照群の膝伸展筋力が脳卒中患者の麻痺側四肢より35%高かったと報告しました。)
●最大筋力(Pmax)と筋収縮速度(υopt)の関係性 は両方のグループでTUGの結果と関連していた。 Pmax / kgとυoptは対照群の年齢と関連していたが、脳卒中患者では関連していなかった。
●脳卒中患者では、Pmax / kgとυoptの両方がBIとRMAの合計結果に関連していました。 BIとRMAの両方の合計値は年齢と有意な相関はありませんでした。
● 脳卒中発症後3か月以内の患者の筋力と筋収縮速度は著しく低下しました。これらは、機能パフォーマンスに大きく影響します。筋力と最適収縮速度は、脳卒中患者のパフォーマンスを年齢よりも予測することが示されました。
私見・明日への臨床アイデア
●筋パワーとは『筋力×速度』で定義されます。脳卒中患者では筋力だけでなく速度を生み出すことも難しいことが言われています。その速度は起立や歩行において瞬発的に位置エネルギーを上方に持っていく力と言えます。力というものを多視点で捉えることは患者のパフォーマンスを改善させていく上で重要なことと言えます。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
併せて読みたい【脳卒中・筋力】関連論文
●Vol.445.筋力強化練習は脳卒中後の身体強度を高め活動を改善する!?脳卒中患者に対する筋力強化の重要性
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●Vol.526.脳卒中が両側性にサルコペニアを引き起こす!?
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国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂院にて10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
著書はアマゾン理学療法1位 単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
ナレッジパネル→こちら
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