CI療法におけるシェーピングとトランスファーパッケージ(Transfer Package)の重要性とは?脳卒中上肢リハビリを徹底解説 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
  1. HOME
  2. ブログ
  3. 上肢
  4. CI療法におけるシェーピングとトランスファーパッケージ(Transfer Package)の重要性とは?脳卒中上肢リハビリを徹底解説
上肢

CI療法におけるシェーピングとトランスファーパッケージ(Transfer Package)の重要性とは?脳卒中上肢リハビリを徹底解説

脳卒中リハビリ | CI療法(CIMT)完全ガイド
“

CI療法は「動く手」を
「使う手」に変える治療です。

CI療法(Constraint-Induced Movement Therapy:CIMT)は、脳卒中後の上肢麻痺に対して、世界で最も多く研究されてきたリハビリの一つです。それでも臨床では「名前は知っているけれど、使いこなせない」という声が絶えません。この記事では、適応の見極め・プロトコル・トランスファーパッケージ(TP)・評価・効果の持続までを、原著論文を確認しながら新人セラピスト向けにやさしく整理しました。

更新2026年10月
読了約15分
対象PT / OT / ST・学生

CI療法(CIMT)のエビデンスと臨床での使い方を解説する記事のメイン画像

TPの効果
2.4倍
TPを加えた群の、日常生活での麻痺手使用量(MAL)の改善幅(Taub et al., 2013)
2週間の変化
12% → 53%
TP群で、麻痺手を使う割合(発症前比)が治療前後でこう変わった(同研究)
効果の持続
1年後も維持
発症1年以上の慢性期でも、MALの改善が1年後まで低下しなかった(同研究)

先に結論 ― 30秒でわかるCI療法
忙しい臨床家のための5つの要点
1
対象は「動くのに使っていない手」。手関節・母指・手指を少し(10°以上)自分で伸ばせることが目安です。
2
柱は3つ。①麻痺手の集中練習 ②非麻痺側の制限 ③生活に移す仕組み(TP)です。
3
主役はミトンではなくTP。拘束だけでは効果の根拠がなく、TPの有無で生活での使用量が2.4倍変わります。
4
評価は2本立て。「生活で使っているか(MAL)」と「どこまで動かせるか(WMFT)」を分けて測ります。
5
慢性期でも変わる。発症1年以上の方でも、生活での使用量の改善が1年後まで続いたデータがあります。

01

CI療法の出番はここ。臨床でよく出会う「使わない手」

ケース例
発症から2年の60代男性。「リハビリは頑張った。でも右手は、ほとんど使っていない」

入院中の訓練で、指を伸ばす動きは戻ってきました。ところが退院すると、左手だけで生活が回るようになります。右手を使うと時間がかかる。落としそうで怖い。その小さな「面倒」と「不安」が毎日積み重なりました。

これが学習性不使用です。動く力は残っているのに、使わない。このすき間を埋めることが、CI療法の目的です。

CI療法は、とくに慢性期の学習性不使用に強い介入です。それなのに、多くの病院で十分に使われていません。理由は大きく3つあります。

① 対象の見極めが難しい
誰に向いているかの判断に迷う
② 練習量が多い
原法の時間を確保しにくい
③ TPの組み立て方が知られていない
訓練室で終わってしまう

この記事では、この3つのハードルを一つずつ越えられるように解説します。

02

CI療法とは?ひとことで言うと「使う習慣」を取り戻す治療

CI療法(CIMT)は、脳卒中後の上肢麻痺に対するリハビリの方法です。非麻痺側の手をミトンなどで制限し、麻痺手で集中的に練習します。そして、その成果を生活の中で使い続けられるように支援します。

もともとは、米国のTaubらによるサルの基礎研究から生まれた治療法です。Taubら(2003)の総説では、慢性期の患者で得られた改善が、検証した2年間持続したと報告されています。日本の「脳卒中治療ガイドライン2021」でも、軽度〜中等度の上肢麻痺に対して麻痺側の強制使用を含む反復練習が強く勧められています。

CI療法を支える3つの柱

CI療法の3つの柱(麻痺手の集中練習・非麻痺側の制限・トランスファーパッケージ)を示す図解

01
麻痺手の集中練習シェーピング+課題練習

少しだけ難しい課題に、何度も成功しながら挑戦します。原法では、1日数時間の練習を平日連続10日間ほど行います。

02
非麻痺側の制限ミトンなど

原法では、起きている時間の約90%をミトンで過ごします。目的は「罰」ではなく、麻痺手を使うチャンスを増やすことです。

03
トランスファーパッケージ(TP)生活に移す仕組み

訓練室でできたことを、家でも「使う」に変えるための行動支援です。日誌・宿題・電話フォローなどを組み合わせます。3つの中で、効果への影響が最も大きい柱です。

これだけ押さえれば迷わない
CI療法の用語ミニ辞典
学習性不使用
動く力があるのに、失敗体験から麻痺手を使わなくなった状態。英語でLearned Non-Use。
修正CI療法
時間や期間を調整し、通常のリハビリに組み込みやすくした版。mCIMTと略します。
シェーピング
「ちょっと難しい」課題を成功させながら、少しずつ難易度を上げる練習法。
課題練習
食器を運ぶなど、生活に近い一連の動作を15〜20分ほど続けて練習すること。
TP
トランスファーパッケージ。練習の成果を生活に移すための行動支援のセット。
MAL
Motor Activity Log。生活の中で麻痺手を「どれくらい・どう」使っているかを聞き取る評価。
WMFT
Wolf Motor Function Test。決められた課題で、麻痺手の最大能力を測るテスト。
MCID / MDC
MCIDは「患者さんが良くなったと感じる最小の変化量」。MDCは「測定誤差を超えたと言える最小の変化量」。

STROKE LABで脳卒中後の上肢麻痺について無料相談を行っている様子

— ご本人・ご家族の状況を丁寧にお伺いします

無料相談のご案内
「退院後も、手をもっと使えるようになりたい」
その思いに、まず一度向き合わせてください。

STROKE LABは脳卒中など神経疾患に特化した自費リハビリ施設です。上肢の状態と生活の目標を評価し、一人ひとりに合わせたプログラムを経験豊富なセラピストが組み立てます。

無料相談を予約する(初回20分)→

03

なぜ手を使わなくなる?学習性不使用とCI療法が効くしくみ

学習性不使用は「意志が弱いから」起こるのではありません。脳が「使わないほうが楽だ」と学習した結果です。流れを図にすると、次のような悪循環になります。

1 麻痺手で
使おうとする
2 うまくいかず
失敗する
3 反対の手なら
すぐできる
4 麻痺手を
使わなくなる
5 脳の「手の地図」が
さらに縮む

※5の後、1に戻るたびに失敗しやすくなり、悪循環が強まります。

学習性不使用の悪循環と、CI療法による神経可塑性の変化を示す図

脳の中で起きていること
「使わない脳」は縮み、「使う脳」は広がる

大脳の運動野には、体の各部分を担当する「地図」があります。麻痺手を使わない生活が続くと、手を担当する領域が小さくなります。反対に、集中して使い続けると、その領域は広がります。これが使用依存性の可塑性です。

CI療法は、この性質を意図的に利用します。悪循環の「2 失敗する」をシェーピングで「成功する」に変え、「3 反対の手でやる」をミトンとTPで減らします。こうして、悪循環を好循環に切り替えるのです。

研究紹介 | ランダム化比較試験(2×2要因デザイン)
TPがあると、生活での使用量も脳の変化も大きくなる(Taub et al., 2013)

対象と方法:発症1年以上の慢性期の外来患者40名(平均63歳、発症後平均3.9年)。「シェーピングか単純反復か」と「TPありかなしか」の組み合わせで4群に分け、1日3.5時間・平日10日間の練習を行いました。

結果:TPあり群のMAL改善は、TPなし群の2.4倍でした(平均で1.2→3.1点)。改善は1年後まで低下しませんでした。最大能力(WMFT)は、TPとシェーピングの両方がそれぞれ上乗せしていました。

脳の変化:同じ参加者を調べたGauthierら(2008)のMRI研究では、TPを含むCI療法で運動関連領域の灰白質が増えました。TPなしでは、はっきりした変化は検出されませんでした。

出典:Taub E, et al. Stroke. 2013;44(5):1383-8 / 日本語の論文解説はCI療法におけるシェーピングとトランスファーパッケージの重要性もどうぞ。

なお、「使わない」原因は学習性不使用だけとは限りません。感覚障害、半側空間無視、肩の痛みなどが隠れていることもあります。見分け方は学習性不使用はなぜ起こるのか|重症度別に紐解く麻痺手アプローチで詳しく解説しています。

04

CI療法の適応基準と、修正CI療法との違い

適応は「運動機能」「認知機能」「安全性」「意欲」の4つで判断します。まず運動機能の基準から見ていきましょう。

運動機能のチェック
「自分で、少し伸ばせるか」が分かれ目

臨床でよく使われる最低ラインは、次の3つをすべて自力で行えることです。

手関節の背屈 10°以上
母指の伸展または外転 10°以上
手指の伸展 10°以上

補足:CI療法を開発したTaubらのグループは、軽度〜中等度の基準として「手関節20°以上の背屈(完全屈曲位から)、各指のMP関節と1つのIP関節で10°以上の伸展、母指10°以上の伸展または外転」を用いています(Taub et al., 2013)。より確実に成果を出したい場合は、こちらを目安にしてください。

運動機能以外の確認ポイント

✓安全性:ミトンを着けたまま、屋内を安全に歩けるか(PTと一緒に確認)
✓認知機能:課題の指示や、日誌・宿題のルールを理解できるか
✓意欲:「この手で何をしたいか」を本人が語れるか
✓医学的な状態:強い痛み、強い痙縮、骨折、不安定な心疾患などがないか(医師に確認)

運動機能の基準に届かない場合は、無理に始めないことが大切です。感覚入力やミラーセラピー、電気刺激などで準備を整え、基準を満たしてから再評価します。上肢の介入法の全体像は手の麻痺・回復への治療16原則にまとめています。重症度の判定にはFugl-Meyer Assessment(FMA)の併用が便利です。

原法のCI療法と修正CI療法の比較

項目 原法のCI療法(CIMT) 修正CI療法(mCIMT)
練習時間 1日3.5〜6時間程度 1回30分×週3回〜1日3時間など、方法によって幅が大きい
非麻痺側の制限 起きている時間の約90% 平日1日5時間など、時間を限定
期間 平日連続10日間(2週間) 2〜10週間
向いている人 意欲が高く、歩行が安定し、まとまった時間を確保できる人 外来・回復期病棟の人、疲れやすい人、高齢の人
根拠 複数のRCTと系統的レビュー 複数のRCTと系統的レビュー(Page et al., 2004 ほか)

※時間の数値は代表的な研究プロトコルの例です。2つの違いをさらに詳しく知りたい方はCI療法とは?修正CI療法との違いとシェーピングをご覧ください。

「動くのに使わない」人こそ、CI療法のいちばんの対象です。最初の見極めが、結果の大半を決めます。

05

CI療法の評価:「使っているか」と「動かせるか」を分けて測る

CI療法の評価は2本立てです。生活で実際に使っているかをMALで、最大でどこまで動かせるかをWMFTで測ります。2つは別の能力なので、片方だけでは判断を誤ります。

CI療法の評価で使うMAL(生活での使用量)とWMFT(最大運動能力)の違いを示す図

主な評価(生活)
MAL(Motor Activity Log)
— 生活の中での麻痺手の使い方を聞き取る
→原版は30項目。28項目版(MAL-28)や14項目版もある
→「使用量(AOU)」と「動きの質(QOM)」をそれぞれ0〜5点で採点
→測定誤差を超える変化(MDC)は約0.5点
→本人が改善を実感する目安(MCID)は約1.0〜1.1点(発症早期のデータ)
補助の評価(能力)
WMFT(Wolf Motor Function Test)
— 決まった課題で最大能力を測る
→17項目(時間を測る15課題+筋力2項目)
→遂行時間と、動きの質(FAS:0〜5点)で採点
→軽度例では満点近くになりやすい(天井効果)。MALと合わせて解釈する

Motor Activity Log(MAL)の評価用紙と採点項目の例

採点の目安
MAL「使用量(AOU)」の6段階

0点:その動作で麻痺手をまったく使わなかった

1点:ときどき使おうとしたが、ほとんど使っていない

2点:ときには使うが、ほとんどは反対の手で行った

3点:発症前の約半分くらい使った

4点:発症前の約4分の3くらい使った

5点:発症前と同じくらい使った

参考:Uswatte G, et al. Neurology. 2006(MAL-28)、Lang CE, et al. 2008(MCID)

06

CI療法の進め方:シェーピングとトランスファーパッケージ

実際の介入は「練習(シェーピング・課題練習)」と「生活への橋渡し(TP)」の2つでできています。どちらかが欠けると、効果は大きく下がります。

CI療法のシェーピング訓練とトランスファーパッケージの流れを示す図

シェーピングの4ステップ

シェーピングのコツは「失敗させない難しさ」です。成功が続くことで練習が楽しくなり、自然と回数が増えていきます。

01
課題を選ぶ

つまむ・離す・前腕を返すなどの課題から、本人に合うものを選びます。「何がいちばん苦手か」と「生活で何をしたいか」の両方から決めましょう。

02
短い試行を繰り返す

1回30秒前後の試行を、10回ほど続けます。毎回の直後に「さっきより2秒速いです」のように、数字で結果を伝えます。

03
難易度は「一段階だけ」上げる

上達したら、距離・物の大きさ・速さなどを一つだけ変えます。一度に二つ以上変えると失敗が増え、学習性不使用を強めてしまいます。

04
課題練習で生活の動作につなげる

食器を片づける、洗濯物をたたむなど、一連の動作を15〜20分ほど続けて練習します。シェーピングで鍛えた要素を、生活の形に組み立て直す段階です。

プロトコルの原典は、UAB(アラバマ大学バーミンガム校)のMorrisらによる解説論文(PDF)で確認できます。1回の練習で何回くらい反復できるかは、CI療法の課題特異的訓練の適切な反復回数は?が参考になります。

トランスファーパッケージ(TP)の7つの道具

Taubら(2013)が用いたTPは、次の7つで構成されています。すべてを一度にそろえなくても大丈夫です。まずは日誌と宿題から始めましょう。

道具 中身と使い方のコツ
① 行動契約 「どの場面で麻痺手を使うか」を本人・家族と書面で約束する
② 生活日誌 1日の中で麻痺手を使った場面を、本人が毎日書き出す
③ 毎日のMAL MALで使用量と質を毎日振り返り、変化を本人と一緒に確認する
④ 問題解決 「使えなかった場面」の理由を一緒に探し、道具や手順を工夫する
⑤ 自宅での宿題 訓練室の課題と、決めた生活動作を家でも練習する(書面で渡す)
⑥ 治療後の自主練習 集中期間が終わった後も続ける練習メニューを渡す
⑦ 電話フォロー 治療後1か月は週1回電話し、MALの確認と問題解決を行う
エビデンスを正しく読む | 系統的レビュー・メタ分析
CI療法の効果を語るときの3つの注意点

① 効果は「動き」より「使用量」に大きく出る。原法・修正版ともに、運動機能と生活での使用に効果があり、長期的にも維持されると報告されています(Kwakkel et al., Lancet Neurol 2015)。

② 拘束だけでは効かない。同じレビューで、練習を伴わない「拘束のみ(強制使用)」には効果の根拠がないとされています。ミトンは主役ではありません。

③ ADL全体への効果は控えめに語る。42研究・1,453名を統合したコクランレビューでは、腕の運動機能は改善した一方、入浴や更衣などの日常生活の自立度(障害度)にははっきりした改善を示せませんでした。研究の質の低さも指摘されています(Corbetta et al., Cochrane 2015・日本語要約)。

STROKE LAB代表で作業療法士の金子唯史
代表メッセージ
「慢性期だから改善しない」は、もう過去の常識です。

私たちは、患者様の「まだ使えていない機能」を生活に取り戻すことに力を注いできました。CI療法の考え方と最新の研究をもとに、お一人おひとりに合わせたプログラムをご提案します。

無料相談を予約する(初回20分)→

07

CI療法はチームで行う:多職種連携と環境づくり

CI療法はOTだけの介入ではありません。とくにTPがうまくいくかどうかは、病棟や家庭で誰が支えるかにかかっています。

CI療法を支える医師・PT・OT・看護師・家族の多職種連携を示す図

職種 主な役割 CI療法での具体的な関わり
作業療法士(OT) シェーピングの設計、MAL評価、TPの組み立て 生活場面での使用の後押し、日誌の書き方の指導
理学療法士(PT) 姿勢とバランス、歩行の安全確認 ミトン装着中の転倒リスク評価、上肢練習の土台となる姿勢づくり
看護師 病棟生活での見守りと声かけ 食事や整容で麻痺手を使う機会づくり、拘束中の安全確認
医師 適応と禁忌の医学的判断 痛み・痙縮・心疾患などの評価と管理、実施の許可
MSW・家族 家庭環境の調整 TPを家庭で続けるための最重要パートナー
現場のコツ ― 環境づくりのポイント

「TPを組むときは、まず患者さんの1日の流れを書き出します。朝の歯みがき、昼の食事、夜のテレビ。どの場面なら麻痺手を使えそうか、家族と一緒に考えます。」

「家族には『手伝わないで』とだけ伝えると不安になります。『ここまでは本人で、ここからは手伝う』と線を具体的に引くのがコツです。」

「日誌は、本人が書くことに意味があります。書くこと自体が、行動を変えるきっかけになります。」

08

CI療法で新人がつまずきやすい3つのポイント

理屈はシンプルでも、臨床では思わぬ落とし穴があります。先輩セラピストが実際に経験してきた「よくある失敗」を3つに絞りました。

よくある失敗と、その防ぎ方
1
「動きが良くなった=成功」と思い込む
WMFTが上がっても、MALが変わらない人は珍しくありません。動く力と使う習慣は別物です。防ぎ方:必ずMALとWMFTの両方で評価し、TPを最初から計画に入れましょう。
2
適応基準を「だいたい」で判断する
「手関節がほぼ10°動きそう」で始めると、失敗が続いて自信を失わせます。防ぎ方:基準は「成功のための最低保証」と考えましょう。迷ったら、基準を満たすための準備練習を先に行います。
3
難易度を一気に上げる
二段階以上上げると失敗が続き、かえって「使わない」学習を強めます。防ぎ方:変えるのは一度に一つだけ。成功率の目安を決め、それを下回ったらすぐに一段階戻します。

迷ったときの判断のヒント

先輩セラピストからのひとこと

「意欲が低いときは、まず目標の共有から。『なぜこの手を使いたいのか』がはっきりしないと、宿題は続きません。」

「始める前に、ミトンを着けて屋内を歩けるかPTに確認します。転倒させてしまうと、信頼を取り戻すのは大変です。」

「両手を使う動作が多い生活なら、片手の練習だけでなく両手動作訓練も組み合わせます。生活の形に合わせることが、使い続けるコツです。」

動きを取り戻すだけでは、生活は変わらない。TPまで組み立てて、CI療法は完成します。

09

CI療法の効果はどれくらい続く?予後と目標の立て方

予後を考えるときも、「動かせる力(WMFT)」と「生活で使う量(MAL)」を分けて考えます。

効果の持続についてわかっていること
ポイントは「治療が終わった後」の関わり

1年後も維持:Taubら(2013)では、MALの改善が治療後1年間、低下せずに続きました。一時的な効果ではなく、新しい習慣として定着したと考えられます。

電話フォローの力:同じ論文の追加研究(10名)では、TPなしで練習した後に「1か月間・週1回の電話」だけを加えました。すると6か月後の改善が大きくなり、TPあり群との差の約半分が埋まりました。

ただし1年後は:電話だけの群は、1年後にはTPなし群と同じ水準に戻っていました。長く維持するには、電話だけでなくTP全体が必要だと考えられます。

目標は「生活の言葉」で書く

✕ 伝わりにくい目標
「WMFTの遂行時間を10%短縮する」
○ 行動が変わる目標
「2週間後、朝食のときに右手でコップを持って飲める」
目標は点数ではなく、「いつ・どの場面で・何をするか」で書きましょう。本人の意欲もTPの続きやすさも変わります。

10

CI療法のよくある質問

Q.

CI療法の対象になる最低限の運動機能は?

A.

目安は「手関節の背屈・母指の伸展または外転・手指の伸展がそれぞれ10°以上、自分で動かせること」です。CI療法を開発したTaubらの研究グループでは、さらに手関節20°以上の背屈を求めています。

加えて、ミトン装着中に安全に歩けること、指示を理解できる認知機能、本人の意欲が必要です。

Q.

CI療法と修正CI療法(mCIMT)はどう違いますか?

A.

原法のCI療法は、起きている時間の約90%を非麻痺側のミトンで制限し、1日数時間の集中訓練を連続10日間ほど行います。

修正CI療法は時間と期間を調整した版で、1回30分を週3回・10週間行う方法から1日3時間を10日間行う方法まで、施設や研究によって幅があります。どちらもシステマティックレビューで効果が支持されています。

Q.

トランスファーパッケージ(TP)とは何ですか?

A.

訓練室での成果を自宅の生活に移すための行動支援のセットです。行動契約、毎日の生活日誌、MALによる毎日の振り返り、使えない場面の問題解決、自宅での宿題、治療後1か月間の週1回の電話フォローなどで構成されます。

Taubら(2013)の研究では、TPを加えた群は日常生活での麻痺手の使用量(MAL)の改善が2.4倍でした。

Q.

シェーピングとは何ですか?

A.

「少しだけ難しい課題」を成功させながら、段階的に難易度を上げていく練習法です。1回30秒前後の試行を10回ほど繰り返し、上達したら難易度を一段階だけ上げます。

各試行の直後に、時間や回数などの具体的な結果を伝えることがポイントです。

Q.

非麻痺側のミトンは必ず必要ですか?

A.

効果の中心はミトンではなく、集中的な課題練習とトランスファーパッケージです。Kwakkelら(2015)のレビューでは、拘束だけを行う方法(強制使用)に効果の根拠はないとされています。

ミトンは「麻痺手を使う時間を確保する道具」と考え、転倒リスクや本人の受け入れに合わせて調整します。

Q.

CI療法の効果はどのくらい続きますか?

A.

Taubら(2013)の研究では、日常生活での麻痺手の使用量(MAL)の改善が治療後1年間、低下せずに維持されました。

治療後1か月の電話フォローだけでも6か月後の改善が大きくなりましたが、1年後には差が消えており、長く維持するにはTP全体が必要と考えられています。

Q.

CI療法が向いていないのはどんな人ですか?

A.

手関節や手指をほとんど動かせない重度麻痺の方、指示の理解が難しい方、ミトン装着中の転倒リスクが高い方、強い痛み・痙縮・骨折などがある方は、適応外または慎重な判断が必要です。

その場合は、感覚入力やミラーセラピー、電気刺激などで準備を整えてから再評価します。

11

STROKE LABの上肢リハビリプログラム

STROKE LABは、脳卒中など神経疾患に特化した脳卒中の自費リハビリ施設です。「慢性期でも変われる」という研究の知見をもとに、一人ひとりに合わせたプログラムをご提供しています。上肢のリハビリでは、シェーピングの考え方や生活に移すための支援(TP)など、CI療法のエッセンスを取り入れています。

STROKE LABの脳卒中後の上肢リハビリプログラムの紹介画像

STROKE LABの強み
神経リハビリ専門だからできること
→神経系に特化したセラピストによる評価と個別プログラム
→研究にもとづく課題練習・シェーピング・生活への定着支援
→退院直後から慢性期まで、どの時期からでも相談可能
取り組める内容
上肢の機能回復に向けて
→MAL・WMFT・FMAによる評価と、生活に沿った目標設定
→シェーピングを用いた段階的な課題練習
→自主練習メニューと、生活で使い続けるための支援

実際の変化は利用者様の改善例(動画)でもご覧いただけます。

— STROKE LABでの脳卒中後の上肢リハビリの実際の様子です。

STROKE LABのセラピストが脳卒中後の麻痺手のリハビリを行っている場面

スタッフの声

「退院から2年たち、『もう無理』と思っていた方が、利き手でコップを持てるようになりました。慢性期だからこそ、生活で使う習慣づくりの支援が大切だと改めて感じています。」— 作業療法士・経験12年・脳卒中の上肢リハビリ専門

「難易度の調整が甘いと、患者さんは挫折します。『変えるのは一度に一つだけ』。このルールを守るだけで、セッションの質が大きく変わりました。」— 理学療法士・経験8年・神経系リハビリ担当

代表メッセージ
「慢性期だから」「時間がたちすぎた」と言われても、
諦めないでください。
STROKE LAB代表取締役 金子唯史のポートレート

脳卒中後の上肢麻痺に、私は「慢性期でも改善の余地はある」と信じて臨床を続けてきました。CI療法の研究は、その思いを力強く支えてくれています。

「使えていない機能を、生活に取り戻す」。それが私たちSTROKE LABの使命です。まずは無料相談で、今の状況をお聞かせください。

どんな状況でも、一緒に考えます。一歩踏み出すことから、回復は始まります。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史

無料相談を予約する(初回20分)→

参考文献

  1. Taub E, Uswatte G, Mark VW, et al. Method for enhancing real-world use of a more affected arm in chronic stroke: transfer package of constraint-induced movement therapy. Stroke. 2013;44(5):1383-1388. PMC3703737
  2. Gauthier LV, Taub E, Perkins C, et al. Remodeling the brain: plastic structural brain changes produced by different motor therapies after stroke. Stroke. 2008;39(5):1520-1525. PMC2574634
  3. Kwakkel G, Veerbeek JM, van Wegen EEH, Wolf SL. Constraint-induced movement therapy after stroke. Lancet Neurol. 2015;14(2):224-234. PMC4361809
  4. Corbetta D, Sirtori V, Castellini G, Moja L, Gatti R. Constraint-induced movement therapy for upper extremities in people with stroke. Cochrane Database Syst Rev. 2015;(10):CD004433. doi:10.1002/14651858.CD004433.pub3
  5. Wolf SL, Winstein CJ, Miller JP, et al. Effect of constraint-induced movement therapy on upper extremity function 3 to 9 months after stroke: the EXCITE randomized clinical trial. JAMA. 2006;296(17):2095-2104. doi:10.1001/jama.296.17.2095
  6. Page SJ, Sisto SA, Levine P, McGrath RE. Efficacy of modified constraint-induced movement therapy in chronic stroke: a single-blinded randomized controlled trial. Arch Phys Med Rehabil. 2004;85(1):14-18. PEDro
  7. Morris DM, Taub E, Mark VW. Constraint-induced movement therapy: characterizing the intervention protocol. Eura Medicophys. 2006;42(3):257-268. PDF
  8. Taub E, Uswatte G. Constraint-induced movement therapy: bridging from the primate laboratory to the stroke rehabilitation laboratory. J Rehabil Med. 2003;(41 Suppl):34-40. Abstract
  9. Uswatte G, Taub E, Morris D, Light K, Thompson PA. The Motor Activity Log-28: assessing daily use of the hemiparetic arm after stroke. Neurology. 2006;67(7):1189-1194. PubMed
  10. Lang CE, Edwards DF, Birkenmeier RL, Dromerick AW. Estimating minimal clinically important differences of upper-extremity measures early after stroke. Arch Phys Med Rehabil. 2008;89(9):1693-1700. PMC2819021
  11. 日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会(編). 脳卒中治療ガイドライン2021. 協和企画; 2021.
  12. 金子唯史. 脳卒中の動作分析. 医学書院; 2018.

CATEGORY

 

FOLLOW US

STROKE LABの記事は各種ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしてください。

FOLLOW US

STROKE LABの記事は各種ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしてください。

CATEGORY

関連記事

誠心誠意の機能向上に向けたリハビリ支援
脳卒中・パーキンソン病に特化した個別リハビリ支援。
病院で培った機能をつなぎ、可能性を広げる施設です。
〒113-0033 東京都文京区本郷2-8-1 寿山堂ビル3階・5階
03-6887-5263
〒158-0082 東京都世田谷区等々力7-2-31 The Room 等々力West 201号 2026.3 OPEN
03-6887-5263
〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満6-3-16 梅田ステートビル202号
06-7220-4733
ACCESS
会社案内
事業案内
その他