NIHSSとは?評価・点数・カットオフ値は?動画で学べる重症度/NIH Stroke Scale
NIHSSの評価と採点を、全15項目で迷わず行う。
NIHSS(NIH脳卒中スケール)は、急性期脳卒中の神経症状を11領域・15項目で評価し、0〜42点で表す尺度です。点数が高いほど重症で、治療方針の判断、経過の追跡、職種間の情報共有に使われます。本記事では、全15項目の採点基準を早見表と項目別の解説で整理し、重症度・転帰・治療との関係と限界までを出典とともにまとめます。

結論:NIHSS 全15項目の採点早見表(0〜42点)
NIHSSは1aから11まで順番に評価し、各項目の点数を合計します。観察した所見をそのまま採点し、誘導や後からの修正はしません。
| 項目 | みる内容 | 点数 |
|---|---|---|
| 1a 意識水準 | 覚醒の程度 | 0〜3 |
| 1b 意識:質問 | 今の月と年齢 | 0〜2 |
| 1c 意識:従命 | 開閉眼、手を握る・開く | 0〜2 |
| 2 最良の注視 | 水平方向の眼球運動 | 0〜2 |
| 3 視野 | 4象限の対座法 | 0〜3 |
| 4 顔面麻痺 | 歯を見せる、眉を上げる、目を閉じる | 0〜3 |
| 5a・5b 上肢の運動 | 左右それぞれ10秒保持 | 各0〜4 |
| 6a・6b 下肢の運動 | 左右それぞれ5秒保持 | 各0〜4 |
| 7 運動失調 | 指鼻試験、踵膝試験 | 0〜2 |
| 8 感覚 | ピン刺激への反応 | 0〜2 |
| 9 最良の言語 | 絵の説明、呼称、音読 | 0〜3 |
| 10 構音障害 | 単語の音読・復唱の明瞭さ | 0〜2 |
| 11 消去現象と注意障害 | 両側同時刺激、半側無視 | 0〜2 |
重症度の目安:0点=症状なし/1〜4点=軽症/5〜15点=中等症/16〜20点=中等症〜重症/21〜42点=重症
※ 重症度の区分は文献によって異なります。切断や関節固定で評価できない四肢は「UN(評価不能)」とし、合計には加えません。正式な評価はNINDSの評価用紙と認定トレーニングの基準に従ってください。
— NIHSSの評価方法と採点のポイントを動画で確認できます。
要点5項目。
NIHSS評価用紙
無料PDFダウンロード|A4印刷対応
全15項目の採点基準と記録欄をまとめた評価用紙です。急性期病棟やリハビリの現場で印刷してお使いください。
採点の際は、NINDSの評価用紙と所属施設の基準もあわせてご確認ください。
NIHSSとは:開発の背景と役割。
NIHSS(National Institutes of Health Stroke Scale)は、1989年にBrottらが急性期脳梗塞の臨床試験で用いる神経学的評価として発表しました。現在は救急外来、脳卒中ケアユニット、一般病棟、リハビリテーション病棟まで、幅広い場面で使われています。

① 重症度を数字で表す:神経症状を項目ごとに点数化し、重症度を共有しやすくします。
② 治療方針の判断材料:t-PAや血栓回収療法を検討する際の情報の1つになります。
③ 経過を追う:来院時・治療後・24時間後などに繰り返し評価し、悪化や改善を捉えます。
④ 職種間の共通言語:医師・看護師・療法士が同じ尺度で状態を伝え合えます。
対象となる病態と注意点
| 病態 | NIHSSを使うときの注意 |
|---|---|
| 前方循環の脳梗塞 | 運動・言語・無視など主な症状を捉えやすく、最もよく使われる対象です。 |
| 後方循環の脳梗塞 | めまい・歩行や体幹の失調・嚥下障害は評価項目にないため、点数が低く出やすくなります。 |
| 脳出血 | 使用できます。転帰の予測にはICHスコアなども併用されます。 |
| くも膜下出血 | 重症度はHunt and Hess分類やWFNS分類が主に使われ、NIHSSは補助的です。 |
| 発症前から障害がある方 | 以前の麻痺や失語も点数に含まれます。発症前の状態と照らして解釈します。 |
— ご本人・ご家族の状況を丁寧にお伺いします
STROKE LABは脳神経系に特化した自費リハビリ施設です。急性期の評価結果も踏まえ、お一人おひとりに合わせたプログラムをご提案します。まずは無料相談でご状況をお聞かせください。
NIHSS評価の基本ルール。
評価者による点数のばらつきを減らすため、次のルールを守ります。

1aから11まで順に実施し、各項目の直後に点数を記録します。後から戻って点数を変えません。
「本当はできるはず」と推測せず、実際に観察した反応で採点します。指示の繰り返しや励ましは、項目で認められている範囲にとどめます。
質問への最初の答え、命令への最初の試みだけを点数にします。ヒントを与えて正解しても加点しません。
切断や関節固定で上下肢の運動・失調を評価できない場合は「UN(評価不能)」と記録し、理由を書き添えます。合計には加えません。
NIHSS全15項目の評価方法と採点基準。
各項目の評価方法、採点基準、迷いやすい点をまとめます。採点基準はNINDSの評価用紙の定義を要約したものです。

意識水準(Level of Consciousness)
呼びかけ、軽く触れる、繰り返しの刺激や痛み刺激、と段階的に反応をみます。挿管などで十分に評価できなくても、必ずいずれかの点数を選びます。
| 0 | 覚醒している。はっきり反応する |
| 1 | 覚醒していないが、軽い刺激で覚醒し、指示に従う・答える・反応する |
| 2 | 繰り返しの刺激や強い・痛みを伴う刺激で、ようやく(常同的でない)動きがみられる |
| 3 | 反射的な運動や自律神経の反応のみ、または全く反応しない |
ポイント:3点は、痛み刺激に対して反射的な肢位(除脳・除皮質姿勢)以外の動きがない場合に限ります。
意識:質問(LOC Questions)
「今は何月ですか」「何歳ですか」と尋ねます。最初の答えだけを採点し、近い答えも不正解とします。
| 0 | 2問とも正解 |
| 1 | 1問正解。または挿管・口腔の外傷・重い構音障害・言語の壁など、失語以外の理由で話せない |
| 2 | 2問とも不正解。または質問を理解できない失語・昏迷 |
ポイント:「話せない理由」で点数が変わります。失語で理解できない場合は2点、挿管など話す手段の問題なら1点です。
意識:従命(LOC Commands)
「目を閉じて、開けて」「(麻痺のない側の)手を握って、開いて」と指示します。伝わらなければ見本を示してもかまいません。
| 0 | 2つとも正しく行える |
| 1 | 1つだけ正しく行える |
| 2 | どちらも行えない |
ポイント:最初の試みだけを採点します。筋力低下で最後までできなくても、明らかに指示に従おうとしていれば正解とします。手が使えない場合は、別の1段階の命令に置き換えます。
最良の注視(Best Gaze)
水平方向の眼球運動だけを評価します。指や顔を追ってもらい、難しい場合は頭位変換眼球反射(人形の目)で確認します。
| 0 | 正常 |
| 1 | 部分的な注視麻痺。片眼または両眼の注視に異常があるが、強制偏視や完全な注視麻痺はない。単独の末梢性の動眼・滑車・外転神経麻痺もここに含む |
| 2 | 強制偏視、または頭位変換眼球反射でも克服できない完全な注視麻痺 |
ポイント:偏視があっても、随意的または反射的に正中を越えて動かせれば1点です。失語の患者でも評価できます。
視野(Visual Fields)
対座法で上下の4象限を調べます。指の本数を答えてもらうか、目の前に手を近づけたときのまばたき(視覚性威嚇)をみます。
| 0 | 視野欠損なし |
| 1 | 部分的な半盲(四分盲など、明らかな左右差がある場合) |
| 2 | 完全な半盲 |
| 3 | 両側の半盲(皮質盲を含む全盲) |
ポイント:原因を問わず全盲なら3点です。両側同時刺激で片側だけ見えない(消去現象)場合は1点とし、その結果を項目11にも用います。
顔面麻痺(Facial Palsy)
歯を見せる、眉を上げる、目を固く閉じる、を指示または見本で促します。反応が乏しい場合は、痛み刺激で顔をしかめるときの左右差をみます。
| 0 | 正常で左右対称 |
| 1 | 軽い麻痺(鼻唇溝の平坦化、笑ったときの非対称) |
| 2 | 部分的な麻痺(下顔面の完全またはほぼ完全な麻痺) |
| 3 | 片側または両側の完全麻痺(上顔面と下顔面の動きがない) |
ポイント:脳卒中による中枢性の顔面麻痺では、額は両側から支配されるため動きが残りやすく、通常は1点か2点になります。額を含む上下の顔面すべてが動かない場合に3点です。テープなどで顔が見えにくい場合は、可能な範囲で外して評価します。
上肢の運動(Motor Arm)
手のひらを下にして、座位なら90°、臥位なら45°に腕を上げ、10秒保持してもらいます。非麻痺側から1肢ずつ評価し、左右それぞれを合計に加えます。
| 0 | 10秒間、下がらずに保持できる |
| 1 | 10秒以内に下がるが、ベッドなどの支えには着かない |
| 2 | 重力に抗する動きはあるが、保持できずベッドに落ちる |
| 3 | 重力に抗する動きがなく、すぐに落ちる |
| 4 | 全く動かない |
| UN | 切断・肩関節の固定(理由を記載し、合計には加えない) |
ポイント:失語や意識障害がある場合も、腕を所定の位置に置いて見本を示し、声や身振りで促して評価します。数を声に出して数え、指で示すと伝わりやすくなります。
下肢の運動(Motor Leg)
仰向けで脚を30°に上げ、5秒保持してもらいます。上肢と同様に1肢ずつ評価し、左右それぞれを合計に加えます。
| 0 | 5秒間、下がらずに保持できる |
| 1 | 5秒以内に下がるが、ベッドには着かない |
| 2 | 重力に抗する動きはあるが、5秒以内にベッドに落ちる |
| 3 | 重力に抗する動きがなく、すぐに落ちる |
| 4 | 全く動かない |
| UN | 切断・股関節の固定(理由を記載し、合計には加えない) |
ポイント:上肢は10秒、下肢は5秒です。取り違えやすいので評価前に確認します。
運動失調(Limb Ataxia)
目を開けた状態で、上肢は指鼻指試験、下肢は踵膝試験を左右で行います。主に片側の小脳病変を見つけるための項目です。
| 0 | なし |
| 1 | 1肢にあり |
| 2 | 2肢にあり |
| UN | 切断・関節の固定 |
ポイント:筋力低下だけでは説明できない拙劣さがある場合に採点します。麻痺で動かせない、または指示を理解できない場合は0点です。評価者間で点数がずれやすい項目の1つです。
感覚(Sensory)
ピンで顔・腕(手は除く)・脚・体幹を刺激し、左右差を尋ねます。反応が乏しい場合は、刺激から逃れる動きや表情をみます。
| 0 | 正常 |
| 1 | 軽度〜中等度の低下(ピンの鋭さが鈍く感じる、または触れられたことはわかる) |
| 2 | 重度〜完全な脱失(顔・腕・脚に触れられたことがわからない) |
ポイント:脳卒中による感覚障害だけを採点します。2点は重度の脱失がはっきり確認できたときに限るため、昏迷や失語の患者はおそらく1点か0点になります。昏睡の患者は2点です。
最良の言語(Best Language)
絵カードの状況説明、物品の呼称、文章の音読を行います。それまでの項目で聞かれた発話や理解の様子も参考にします。挿管中の場合は書字で評価します。
| 0 | 失語なし |
| 1 | 軽度〜中等度の失語。流暢さや理解が低下しているが、話の内容は検者に伝わる |
| 2 | 重度の失語。断片的な表現のみで、検者が内容を推測しなければならない |
| 3 | 無言、全失語(話すことも理解することもできない) |
ポイント:昏睡(1a=3点)の患者は自動的に3点です。項目10(構音障害)とは別に、言葉の選択・文法・理解をみます。
構音障害(Dysarthria)
単語のリストを読むか、復唱してもらいます。なぜこの検査をするのかは患者に伝えません。重度の失語がある場合は、自発語の明瞭さで評価します。
| 0 | 正常 |
| 1 | 軽度〜中等度。不明瞭な語があるが、多少の苦労で理解できる |
| 2 | 重度。ほとんど理解できない、または発話がない |
| UN | 挿管などの物理的な障壁(理由を記載) |
ポイント:失語(項目9)は「何を言うか」、構音障害(項目10)は「どれだけはっきり発音できるか」をみます。構音障害が強い場合は、嚥下の評価も早めに検討します。
消去現象と注意障害(Extinction and Inattention)
それまでの検査で得た情報も使って、視覚・触覚の両側同時刺激への反応、空間や自分の身体への注意をみます。絵カードの説明で一側を見落としていないかも参考にします。
| 0 | 異常なし |
| 1 | 視覚・触覚・聴覚・空間・自己身体のいずれか1つの様式で、不注意または両側同時刺激での消去がある |
| 2 | 重度の半側不注意、または2つ以上の様式での消去。自分の手を認識しない、空間の一側にしか注意を向けない |
ポイント:重い視力障害で視覚の同時刺激ができなくても、触覚の同時刺激が正常なら0点です。失語があっても、両側に注意を向けていれば0点とします。
NIHSSの重症度と転帰の読み方。
入院時のNIHSSは、その後の機能や退院先と関連します。ただし予測は年齢、病変の部位と大きさ、治療、合併症などにも左右されます。

退院先(Schlegel et al., 2003):発症24時間以内に入院した脳卒中患者94名で、退院先に関連したのは入院時NIHSSだけでした。NIHSSが1点上がるごとに自宅退院の可能性は低下し(オッズ比0.79)、5点以下は自宅退院、6〜13点はリハビリ施設、14点以上は介護施設への退院と最も強く関連しました。
機能転帰(Adams et al., 1999):脳梗塞患者を対象とした臨床試験(TOAST)の解析で、ベースラインのNIHSSは7日後と3か月後の転帰を強く予測しました。NIHSSが1点上がるごとに、転帰が非常に良好となる可能性は7日後で約24%、3か月後で約17%低下しました。
| 入院時NIHSS | 重症度の目安 | 関連の強い退院先(Schlegel 2003) |
|---|---|---|
| 0〜5点 | 症状なし〜軽症 | 自宅 |
| 6〜13点 | 中等症 | リハビリ施設 |
| 14点以上 | 中等症〜重症 | 介護施設 |
※ 米国の1施設94名の研究で、日本の医療制度(回復期リハビリテーション病棟など)にはそのまま当てはまりません。予後の説明は、他の情報と合わせて行います。
t-PA・血栓回収療法とNIHSS。
NIHSSは急性期治療を判断するための情報の1つです。治療の適応は、発症時刻、画像所見、禁忌事項などを含めて医師が総合的に判断します。療法士や看護師は、正確な評価と経時的な変化の報告で判断を支えます。

日本では、発症4.5時間以内の脳梗塞に対してアルテプラーゼの静注療法が行われます(日本脳卒中学会「静注血栓溶解療法 適正治療指針」)。
米国のガイドライン(AHA/ASA 2019)では、NIHSSの数値だけで線を引くのではなく、「生活に支障をきたす症状(disabling deficit)」があるかどうかが重視されています。NIHSSが低くても、失語や片麻痺のように生活に大きく影響する症状は治療の検討対象になります。一方、生活に支障のない軽い症状だけの場合は、静注療法を勧めないとされています。
なお、発症3〜4.5時間の有効性を示したECASS III試験では、NIHSSが25点を超える患者は対象外でした。
AHA/ASA 2019では、発症6時間以内の内頸動脈または中大脳動脈近位部(M1)の閉塞で、NIHSS 6点以上、ASPECTS 6点以上、発症前のmRS 0〜1などを満たす場合に強く推奨されています。
発症6〜24時間でも、DAWN試験・DEFUSE 3試験の基準を満たす一部の患者には推奨されています。対象は近年の試験結果によって広がりつつあり、最新のガイドラインの確認が必要です。

STROKE LABでは、急性期の評価結果を引き継ぎ、どの機能がどれだけ影響を受けているかを丁寧に確かめたうえで、生活の目標に合わせたプログラムをご提案しています。
NIHSSと他のスケールの使い分け。
| スケール | 評価するもの | 点数 | 主な使用場面 |
|---|---|---|---|
| NIHSS | 神経症状(意識・運動・言語・無視など) | 0〜42(高いほど重症) | 急性期の重症度評価、治療判断、経過観察 |
| mRS | 生活全体の障害の程度 | 0〜6(高いほど重度) | 発症前の状態の確認、90日後の転帰評価 |
| ASPECTS | CT・MRIでの中大脳動脈領域の早期虚血の範囲 | 0〜10(低いほど範囲が広い) | 急性期治療の適応判断 |
| GCS・JCS | 意識レベル | GCS 3〜15(低いほど重症) | 救急・集中治療での意識の評価 |
Lydenら(2001)が提案した短縮版です。信頼性が低いか他の項目と重複するとされた意識水準(1a)・顔面麻痺・運動失調・構音障害を除き、感覚を「正常/異常」の2段階にまとめています。評価者間の一致が高まる利点があり、主に臨床試験で使われます。日常の臨床ではフルのNIHSSが標準です。
NIHSSの信頼性と限界。
合計点の信頼性:訓練を受けた評価者では合計点の信頼性は良好です。認定トレーニングは、ビデオを用いた方法や複数の会場で実施しても信頼性が保たれることが報告されています(Lyden et al., 2005, 2009)。一方、訓練を受けていない評価者では信頼性が低いとする報告もあります(André, 2002)。
項目ごとの信頼性:複数の研究で、顔面麻痺(κ 0.25〜0.38)と運動失調(κ 0.15〜0.21)の一致率が低く、意識水準や構音障害も中程度にとどまると報告されています(Meyer & Lyden, 2009)。
知っておきたい3つの限界
めまい、歩行・体幹の失調、嚥下障害は評価項目にありません。NIHSSが0点の脳梗塞患者もいることが報告されています(Martin-Schild et al., 2011)。点数が低くても、症状と画像所見から慎重に判断します。
言語に関わる項目の配点が大きく、無視の配点は小さいため、同じ点数でも右半球の病変のほうが梗塞の体積が大きい傾向が報告されています(Woo et al., 1999)。
NIHSSは神経症状の評価で、歩行・高次脳機能・嚥下・生活動作は十分に反映しません。リハビリの計画には、FIMやSIASなど他の評価を組み合わせます。
NIHSSの採点で陥りやすい罠。
臨床ケースで採点してみる。
意識は保たれています。右顔面の下部と右上下肢の麻痺、言葉の出にくさがあります。画像検査で左中大脳動脈M1部の閉塞が疑われました。
| 項目 | 点数 | 所見 |
|---|---|---|
| 1a 意識水準 | 0 | 覚醒している |
| 1b 質問 | 1 | 年齢は正解、月は不正解 |
| 1c 従命 | 0 | 見本を示すと両方とも実行できた |
| 2 注視 | 0 | 異常なし |
| 3 視野 | 0 | 欠損なし |
| 4 顔面麻痺 | 2 | 右下顔面のほぼ完全な麻痺。額の動きは保たれる |
| 5a 右上肢 | 3 | 重力に抗する動きがなく、すぐ落ちる |
| 5b 左上肢 | 0 | 10秒保持 |
| 6a 右下肢 | 2 | 持ち上げるが3秒でベッドに落ちる |
| 6b 左下肢 | 0 | 5秒保持 |
| 7 運動失調 | 0 | 右側は麻痺で実施できず、左側は正常 |
| 8 感覚 | 1 | 右半身でピンが鈍く感じる |
| 9 言語 | 2 | 断片的な語のみで、内容を推測する必要がある |
| 10 構音障害 | 1 | 不明瞭だが、言っている語は聞き取れる |
| 11 消去・注意障害 | 0 | 両側に注意を向けられる |
| 合計 | 12 | 中等症 |
治療:発症90分で、失語と右片麻痺という生活に大きく影響する症状があります。NIHSSは6点以上で、主幹動脈閉塞も疑われるため、医師がt-PAと血栓回収療法の適応を検討する状況です。
リハビリ:言語9が2点のため、早期にSTへ相談し、コミュニケーション手段と嚥下を確認します。右上肢3点・右下肢2点に対しては、ポジショニングと離床の計画を立てます。
経過観察:治療後は繰り返しNIHSSを評価し、4点以上の悪化があれば直ちに医師へ報告します。
NIHSSのよくある質問。
NIHSSは何点満点ですか?重症度の目安は?
NIHSSは11領域・15項目で構成され、合計0〜42点です。点数が高いほど重症です。
よく使われる目安は、0点:症状なし、1〜4点:軽症、5〜15点:中等症、16〜20点:中等症〜重症、21〜42点:重症です。区分は文献によって異なります。
NIHSSは誰が評価できますか?
訓練を受けた医療者であれば、医師以外の看護師や療法士も評価できます。
訓練を受けていない評価者では信頼性が下がることが報告されているため、認定トレーニングの受講や、施設内での合同評価による採点のすり合わせが推奨されます。
末梢性の顔面神経麻痺は顔面麻痺の項目で何点になりますか?
NIHSSの定義では、3点は片側または両側の上下顔面の動きがない完全麻痺、2点は下顔面の完全またはほぼ完全な麻痺、1点は鼻唇溝の平坦化や笑ったときの非対称などの軽い麻痺です。
上顔面を含む末梢性パターンの採点の扱いは解説資料によって異なるため、所属施設が採用する公式トレーニングの基準に従ってください。
失語症があってもNIHSSは評価できますか?
評価できます。指示はジェスチャーや見本で伝えます。
質問(1b)を理解できない失語の患者は2点、挿管などで話せない患者は1点です。運動や感覚の項目も、見本を示すなどして観察できた反応で採点します。
NIHSSが0点なら脳卒中ではないと言えますか?
言えません。NIHSSは歩行・体幹失調・めまい・嚥下障害などを評価しません。
小脳や脳幹の梗塞では、NIHSSが0点でも脳卒中であることがあります。症状と画像所見を合わせて判断します。
NIHSSが何点悪化したら神経症状の悪化と考えますか?
多くの臨床試験や施設のプロトコルで、4点以上の悪化が早期神経症状増悪や症候性頭蓋内出血の判断基準として用いられています。
悪化を認めたら速やかに医師に報告し、画像検査などで原因を確認します。
NIHSSのトレーニングはどこで受けられますか?
米国心臓協会(AHA/ASA)などが提供するオンラインの認定プログラムが広く使われています。国内では学会や施設の研修でも実技トレーニングが行われています。
施設内では、同じ患者を複数の評価者で採点して結果を比べる合同評価も有効です。
STROKE LABのプログラム。
STROKE LABは、脳神経系に特化した自費リハビリ施設です。急性期病院でのNIHSSなどの評価結果を参考に、現在の運動・感覚・言語・注意の状態を改めて評価し、生活の目標に合わせたプログラムを組み立てます。
「急性期で『NIHSS 13点』と言われても、ご本人やご家族には意味が伝わりにくいものです。どの項目が何点だったかを一緒に確かめると、今の状態とこれからの目標が具体的になります。」— 理学療法士
「言語の項目が高い方は、まずコミュニケーションの方法をそろえることから始めます。項目ごとの点数は、職種間で優先順位を決める手がかりになります。」— 作業療法士
※ 個別の経験であり、効果には個人差があります。
リハビリは終わりではありません。

NIHSSは発症直後の状態を表す大切な指標です。けれども、その数字がその方の今後をすべて決めるわけではありません。
STROKE LABでは、評価に基づいて今の状態を丁寧に確かめ、生活の目標に向けたリハビリを一緒に考えます。
まずは無料相談で、現在の状態やお悩みをお聞かせください。
代表取締役 金子 唯史
参考文献。

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)