Vol.543.感覚訓練が脳卒中患者の感覚運動機能を改善するか?
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カテゴリー
タイトル
●感覚訓練が脳卒中患者の感覚運動機能を改善するか?
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●重度感覚障害の患者様と関わることが最近多く、感覚トレーニングの有効性について洞察を深めたいと思い本論文に至った。
内 容
背景
●脳卒中後の感覚低下は2人に1人が経験し、脳卒中後の回復の遅延、運動機能低下、移動能力や全体的な生活の質の両方に影響を与えます。さらに、感覚障害は入院期間の延長や自宅退院数の減少、死亡率の増加にも繋がります。能動的および受動的な感覚ベースの介入を使用した感覚入力の反復的な活性化は、感覚-運動野の可塑性を強化することが示されており、回復を媒介する可能性のある潜在的なメカニズムを示しています。しかし特に体性感覚機能に焦点を当てたリハビリテーションはほとんど注目されていません。
●今回は、感覚に基づく介入を調査し、脳卒中患者に対する感覚と感覚運動機能を改善するための有効手段を判断することでした。
方法
●システマティックレビューを手作業で検索、または電子データベースとトライアルレジストリを2018年11月まで検索しました。研究の選択には、上肢または下肢の感覚運動障害を伴うあらゆる脳卒中のタイプの成人を対象としたランダム化比較試験が含まれていました。参加者は全員、活動レベルまたは障害を改善するよう感覚ベースの介入を受けました。主な結果は、感覚運動機能に関連する活動レベルの変化でした。二次的な結果は、障害、参加または生活の質の測定でした。
結果
●38件の研究が含まれました(1,093人の参加者)。そのうち29件は受動的感覚訓練(体性感覚刺激練習、末梢神経刺激練習、求心性刺激練習、熱刺激練習、電気刺激)、6件は能動的(感覚弁別練習、知覚学習、感覚再訓練)および3件のハイブリッド(触覚ベースの拡張現実、感覚ベースのフィードバックデバイス)を調査しました。
●脳卒中後の上肢および下肢の活動の改善をにおいて受動的感覚トレーニングを支持する中程度の効果を示しました。能動的な感覚トレーニングのエビデンスは限られていましたが感覚運動機能の改善に有望でした。
私見・明日への臨床アイデア
●上記のように様々な練習が提案されているが、論理的に物事を進めるには、どのような感覚が受け取りやすいのか詳細な評価が重要である。重度の障害を有する患者では、フィードバックを得づらい分、教師無し学習で数をたくさんこなすのも一つの手である。良質な動き方で数をこなすことで、無意識に手が求める形になりやすいように練習してしまう。