【2022年最新】自費リハビリとは? メリット デメリット 料金と医療費控除は? 違法?保険外リハビリ

病院と何が違ってメリットはあるのでしょうか?

いまだに、法律や内容に対して誤解が多い領域なので詳しく解説しますね。
目次
はじめに

脳卒中やパーキンソン病などの患者様のセラピーの行き場がない状況、いわゆる「リハビリ難民」が増えていく現状に対して、
期間や診断に左右される保険診療とは異なる自費リハビリ施設(保険外)を開設しました。
STROKE LABはおかげさまで、設立してから8年目を迎えスタッフも12名と拡大することができました。
自費リハビリのメリット・デメリット
リハビリ期限がない

現在の医療保険のリハビリには保険が適用される「期限」というものがあります。
脳血管障害の患者であれば、集中的に入院してリハビリを行うには発症日から基本的には150日、高次脳機能障害を伴った重篤な場合は180日という制限が設けられています。

別に厚生労働大臣が定める患者について、治療を継続することにより状態の改善が期待できると判断された場合は、
180日を超えて行えることもありますが、月13単位(1単位20分)なので月に4時間ほどしかリハビリが行えないことになります。
それ以外の方は、基本的に介護保険のリハビリへ移行するのが主流となります。
介護保険を使用すれば、もちろん期限はありません。
しかし、介護保険も各々でサービスを使用できる限度額と訪問リハビリでは週に最大120分までなど縛りがあります。
通所リハビリでは基本的に個別リハビリが20分ほどの介入で短いものとなっています。
自主トレや機器を用いたリハビリを行えば、いくらでも運動はできます。
しかし単なるエクササイズになるリスクもあります。
特に脳血管障害の方のリハビリは体から脳に働きかける繊細な感覚、いわゆる質が重要となり、個別リハでの運動学習が必要不可欠です。

自費リハビリでは実施時間も個別にカスタマイズが可能となり、そのような問題は解消されます。
療法士自体に限られた時間の中で効率的に治療を組み立てるスキルがない場合は話は別となりますが・・。
💡「納得がいくまでマンツーマンで体をリハビリしてほしい!!」という方に自費リハビリは最適だと思います。
療法士・リハビリの治療法を自分で選択出来る
保険を気にしなければ、「この人のセラピーを受けたい」「この治療方法を受けてみたい」と自分の希望通りの治療を受けることが可能となります。
保険内のリハビリでは、偶然担当となったセラピストの知識経験や施設・病院の方針にセラピー内容は左右されやすく、患者は治療者と治療法は選択できません。

以前リハビリ界隈のSNSでも「担当ガチャ」という言葉で炎上がありました。
保険というシステムは確かに「安い価格でだれもが標準的医療を受けられる」という日本が誇れる医療システムです。
一方、担当が1ー2年目であったり、リハビリテーションに真剣に見えない療法士が担当になる側面も存在します。
自費リハでは、自分で選択した療法士または治療法を受けられるため、セラピーを受ける際の自身のモチベーションやその満足度は高くなりやすいかもしれません。
逆にセラピスト側からすれば、その期待にしっかり応えられる技量を持ち合わせておく必要があります。
長い方は何年も週2回以上90分以上を受けられる方もいます。
ルーチンなリハビリ技術だと飽きられたりトラブルにもなりかねません。
その都度の適切な評価と新しいセラピー展開を期待されます。
STROKE LABでも定期的に動画と紙面でパフォーマンスの変化を確認し合い、改善点、問題点、目標を共有するように努めています。
リハビリテーションの専門領域は幅広く、整形外科、脳神経系、内科疾患、小児など多岐に分かれます。
またパーキンソン病などの進行性難病は担当できる施設も限られているため、専門知識を持ち合わせている療法士は限られています。
自費リハビリ施設では療法士が駐在せず、トレーナーや鍼灸師の方がリハビリをする施設もあります。
セラピー料金が高額となりやすい

上記の「リハビリ期限」で金銭面に関してお伝えしました。
自費リハビリで思う存分セラピーを受けるには、その一回あたりの時間・頻度、療法士に応じた金銭が必要となります。
金額としては保険なしの10割の金額を提示する所もあれば(40分6000円〜60分9000円程度)、技術・立地・設備・待遇などに付加価値をつける場合、各々の企業により値段は異なってきます。
一般的に10割請求は保険と併用した施設(訪問リハやデイケアの時間外など)が保険外を請求する場合に多い価格帯です。
1回あたりの料金を抑えることで確かに金銭的な負荷は減ります。
しかし、リハビリは「誰が行うか?」という面が非常に重要となってきます。
1回あたりの料金は安いが、成果が出づらく、延々と終わりなくリハビリが続く可能性もあります。
逆に1回あたりの料金は高いが成果が確実に得られ、徐々に頻度や時間を減らしていく事もあります。
💡「最終的にどちらが安く済むのか?費用対効果が高いのか?」も考える必要があります。
※保険内リハビリや地域の健康促進教室、公共施設サービス、スポーツジム、YouTube動画などを上手く活用すると、費用対効果をより高められます。
STROKE LABでは基本的には下記のような流れを推奨しておりますが、個々に応じた様々な治療プランを提案させて頂きます。
STROKE LABのスタッフは厳しい基準を乗り越えた人材のみを起用しています。起業8年目であっても多店舗展開せず、少数精鋭で運営しています。
医療機関との連携が取りづらい
基本的に療法士は医師の指示の下で働く職業です。
しかし、自費リハビリの療法士は資格を有しているだけで、その資格を使用して働いているわけではありません。
自費リハビリ施設には医師は常駐しておらず、安静度やリスクをその場で医師から確認できません。
また、リハビリを行う上で重要な脳や体のCT・MRI画像などをご持参いただかない限り難しいのが現状です。
「指示書をもらって来れば・・」と考えるかもしれませんが、、医師からすれば、大切な患者の重要な個人情報を得体も知れないリハビリ施設に出したいと思わないかもしれません。
また、メリットのない仕事は行いたくないでしょう。周辺の病院等の医師の信頼を勝ち取っていく事も各々の自費リハビリの施設の課題と言えます。
また、立地も順天堂医院の傍にあることから医師からの紹介が多いです。
最近は、YouTubeでの実績報告から、医師よりご紹介頂ける頻度も増えてきております。
かかりつけ医やNS、保険内の療法士と密に連携をとりながら利用者様の最大限の機能回復やリスク回避に努めています。

法的整備の不十分さ (医療費控除は?違法なの?)
自費リハビリは新しい領域であり、まだ法律の整備が追い付いていません。しかし厚生労働省は医療財源ではない自費診療に対しては前向きで、医療法人による自費リハの開設がここ数年で増えています。つまり違法ではありません。
ただし、表現には規制するべきポイントがあります。
保険内施設で医師の指示があれば「理学療法を提供する」と言えますが、自費リハビリ施設の場合は「例:理学療法士の資格をもった療法士がリハビリをする」という表現になります。
ほかにも、治療、診療、開業という表現などは医業の点から利用者への説明には活用できません。
医療費控除に関しては、国税庁ホームページに自費リハビリの項目が入っていません。ただし…
「治療のためのあん摩マッサージ指圧師~など」という項目で広義の意味として自費リハビリが対象と捉える事が可能です。
(※当施設の関東圏の税務署で医療費控除申請は問題なく認められているという意味)。
国家資格をもつ療法士が、脳卒中など日常生活に支障をきたしている方の機能回復をサポートするという事は、「治療、医療従事者という観点」が考慮されているという位置づけになります。
ただし、全国の税務署で問題なくスムーズに申請できるという点では、まだ100%ではないため、今後法整備がされ、名称が追加されることを願っています。
国税庁ホームページより引用 →こちら
設備面の問題
コロナ禍の現代、感染予防対策を十分に行う必要があります。
しかし、個人企業では資金源の問題からもスペースや建物の構造が十分な店舗を確保することが難しい可能性があります。
狭いマンションの一室や訪問リハビリのみだと菌の流入や停滞のリスクも高まります。
STROKE LABも当初は空間は狭く、換気も十分に行えないような小さな店舗でした。
セラピーを提供するにも歩行するスペースも十分確保できない状態でした。
しかし、数年経てようやく上の写真のような店舗を、立地の良い御茶ノ水に構えることができました。
ここに辿り着くことができたことは、多くのサポートのおかげです。
神経系に特化したベッドは1台100万円近くするため、病院でも備えていない施設は多いです。
自費リハビリ施設は人気を獲得できれば運営資金を治療設備に当てやすいため、病院よりもある意味、環境を充実させることが可能です。
セラピー以外の仕事
自費リハビリを起業した療法士は患者/利用者の方を呼び込む必要があります。
そのためには、営業活動が必要となります。地域に特化した会社であれば、地域のケアマネや個人宅などを営業活動する事もあるかもしれません。
STROKE LABではウェブサイト上での会社の力を日々育てることにも力を注いでいます。
この記事もその一つと言えます。より多くの方の目に留まるように上の図にようにYouTubeへの投稿や種々のSNSを活用し宣伝活動を行っています。
その他、書籍の執筆や講習会を開催することで認知度を高めています。
そのような日々の活動が利用者様だけでなく病院や施設からの信頼にも繋がっていきます。
しかし、この宣伝・営業活動は1人で行うのは困難です。臨床と営業活動を双方行う際は外部業者に委託するなどの対策が必要です。
営業活動は自費リハビリ施設を運営される方の課題にもなります。
自費リハビリが抱える倫理的問題

近年、自費リハビリを起業する療法士の数は世界的に年々増えています。
それに併せて、自費リハビリ施設に就職する療法士も増えています。
この現実は、療法士の倫理的問題を生み出します。
自費リハビリは、医療保険または介護保険を用いて行うリハビリテーションとは異なる点がいくつかあります。
その中でも最も顕著なのは国の社会保険料が投入されないため、利益をしっかり上げないとすぐに廃業に追い込まれます。
もちろん病院も経営なので、療法士の消化単位に厳しいノルマを課す病院もあり、保険の不正請求など多くの問題が報道されています。
ただし、社会保険料が投入されない自費リハビリ施設ほど、経営の緊急性に追い込まれにくい構造ではあります。
経営を維持できなければサービスを提供し続けることはできません。
その焦りに倫理的な問題が生じる可能性が高まります。
不公平な患者・利用者のケア
施設によっては、治療がやり易かったり、裕福な方ばかりを選び、難しい利用者を相手にしないような施設もあります。
距離の問題やお金の問題でリハビリが受けない方に最大限の努力を継続しています。
利益相反
利益相反は患者にとって最適な治療を行う事に対して、自費リハビリ施設のオーナーの金銭的な利益が対立する可能性があると言えます。
個人情報保護
病院などの組織と比べて、個人情報の機密性が低くなる可能性があります。
例としては、ウイルスチェッカーなど使用しないUSBやSDカードを使用したことによるウイルスが原因の情報の漏洩などは近年起こりやすいかもしれません。
STROKE LABでは特殊なパスワード、サーバーを用いて厳重に管理をしています。
YouTubeなどの公開は利用者様の許可が得られた場合にのみ、モザイク加工で提示させていただいてます。
インフォームドコンセントの問題
限られた時間の中で利用者に対応するため、インフォームドコンセントが不十分になる可能性があり、それを基にトラブルに発展する可能性があります。
STROKE LABでは、「無料相談」という枠を設け、利用者様にも定期的な無料相談の中で情報共有、今後の頻度や目標を決めさせていただいてます。
製品販売の促進
残念ながら一部の会社では関連する製品の販売を促進されることが起こり得ます(例:回復に良いとされる水、治療機器マッサージなど)。
今後、製品販売等に対する規制などを強めていく必要があります。
STROKE LABでは物販を一切行っていません。おすすめの自主トレ道具などはアマゾンサイトのURLなどをお伝えし、ご本人で購入していただく形をとっています。


また、医療専門家として、私たちは何が正しくて何が間違っているかという倫理観、慣習、価値観、原則、対応について説明できるようになるべきです。
そして、採用や規律のために組織や規制が必要であると言えます。

プロ意識の社会的発展
近年セラピストが大幅に増えているにも関わらず、医療財源圧迫や熟練者の病院離れ等の影響により、技術教育に投資できる病院はかなり減っているのが現状です。
技術教育に関しては、外部委託もしくは個々のセラピストの給料で学んでもらう「放置状態」が今後ますます加速します。
これは学校教育では補えない受験特化型の予備校が併設される状況と類似してます。
STROKE LABの技術は、通常の学校教育・病院教育では獲得できないイギリスでの経験を踏まえた特殊な技術であり、提供できるまでに多くの勉強・練習・臨床経験が必要となります。
そのため、スタッフ同士の勉強や顧問の直接臨床指導も含め、週に数時間はスタッフ教育へ投資しています。
また、自施設でも外部の方向けの技術講習会を設けておりますが、自施設外の病院や施設等からの講師依頼も積極的に引き受けております。
療法士全体におけるプロ意識の向上の発展の一端を担えるように今後も活動を続けていく予定です。
高尾洋之医師のデジタル医療推進をサポート
STROKE LABでサポートさせて頂いている東京慈恵会医科大学附属病院准教授の高尾洋之先生は、多くのデジタル医療の開発でご活躍されている医師です。
STROKE LABでは当事者の方がより快適な生活が送れるよう高尾先生が発信されているデジタル医療について広める活動をお手伝いさせて頂いております。
当事者の方・療法士の方ともに動画をご覧頂くと新しい気づきがあると思いますので、是非ご視聴ください。
まとめ:自費リハビリのメリット・デメリット
自費リハビリは未だ若い領域です。今後、自費リハビリが増加していく中で、多くのメリット・デメリットを自然と耳にすることが増えると思います。
また、時代の流れに応じて、その内容も変化していくかもしれません。若い領域だからこそ変化は大きいと思います。
倫理的問題ではプロ意識を高め自律していきながら、今後業界として整備されていく必要性を感じています。
自費リハビリと保険内リハビリまたは病院・施設が垣根なく当事者の方を中心に取り巻くネットワークを構築し、当事者の方を最大限サポートできる世の中になれればと思います。
STROKE LABは自費リハビリの先駆けとして療法士を牽引し、医療業界の発展への貢献、一番は少しでも多くの当事者の方が快適な生活を送ることが出来る様に今後も変わらず全身全霊で尽力していきたいと思っております。

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018)