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vol.88:二重課題が苦手!?小脳梗塞患者のバランス障害について

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カテゴリー

神経系

 

 

 

タイトル

二重課題が苦手!?小脳梗塞患者のバランス障害についてPostural Ataxia in Cerebellar Downbeat Nystagmus: Its Relation to Visual, Proprioceptive and Vestibular Signals and Cerebellar Atrophy?PLOSoneへChristoph Helmchen et al.(2017)

 

 

 

内 容

●「小脳」は姿勢制御のために固有感覚、前庭および視覚信号を統合します。

 

●下眼瞼向き眼振 downbeat nystagmus(DBN)は小脳機能障害患者の典型的な眼球運動徴候です。患者は歩行や立脚の不安定さとぼやけた視界と動揺視を訴えます。

 

補足:MSA症例では6.3%にとどまり,DBNは脊髄小脳変性症6型(Spinocerebellar ataxia type 6、SCA6)に有意に多いと報告されている。Yabeらは,SCA6では浮動感をともなう懸垂頭位時の下眼瞼向き眼振を高頻度(84%)に認めると報告。脊髄小脳変性症(SCD)は運動失調を中核症状とする神経変性疾患の総称で、そのうち、脊髄小脳失調症(SCA)は主に常染色体優性遺伝形式のSCDのことを意味する。

 

 

 

研究目的

●この研究の目的はDBNを有する小脳患者の大きな母集団において、視覚入力、視線のズレ、前庭および固有感覚入力の姿勢安定性に対する差別的役割を健康対照被験者と比較し明らかにすることでした。

 

 

 

研究方法

●31人のDBN患者がこの研究に参加し27人の健常者と比較された。(平均年齢:70.3±4.7年、患者との有意差なし)

 

●視線安定性、サッカードおよび追従性眼球運動は、 参加者の前に設置された140cmのスクリーンに投影された標的を追従する等して、記録され解析された。

 

●眼球運動(眼振、滑らかな追従性眼球運動)および姿勢(姿勢の揺れ速度sway speed)パラメータが記録された。

 

今回の研究課題

(I)視覚入力(EyeOpen / EyeClosed)

(II)注視位置(左、真ん中、右)(EO / EC)

   参加者の額の前に60cmの垂直と水平の棒のアルミニウムクロスでLEDが照らされた。

(iii)重力認知(前庭)(下を向く、真っすぐ向く、上を向く)

(iv)固有受容感覚入力(硬い床面 対 バランスマット)

(v)姿勢制御に対する異なる課題(正常 対 タンデム立位)

 

 

 

まとめ

●結果を図示する。

 

dbん2キャプチャ

 

dbん3キャプチャ

 

3dbん4キャプチャ

 

●27例の患者はすべての実験条件においてより大きな姿勢不安定性を示した。

 

●小脳萎縮は、DBN患者の円滑な追従眼球障害の重症度と相関していた。

 

●姿勢の動揺は閉眼で増加したが、開眼では増加しなかった。DBNを有する小脳患者の姿勢運動失調は、視覚フィードバックの障害によって説明できない。動揺視にも関わらず、姿勢制御に対する視覚的フィードバック制御は、視覚を奪った際に最も姿勢の動揺が大きかったため維持されるようである。他の研究においても、DBNの歩行障害は、暗闇(閉眼)での歩行が年齢の一致した対照よりも有意に悪く、視覚障害に完全に関連しないことが判明している。

 

●DBNにおける姿勢の動揺は、静的な眼の位置、網膜の滑りに関わらず眼球運動信号の眼精疲労に関係する可能性がある。

 

●ロンベルグ比率(EC/EO)は安定したままであり、健常対照と差はなかった。

 

●姿勢の動揺は、注視位置または重力認知で変化しなかった。

 

●発泡体(スポンジ素材など)に立って体性感覚フィードバックを弱めることは、姿勢の不安定性を増加させた。EC/EOの群において、姿勢の動揺がかなり増加した。ロンベルグ比率は変化しなかった。

 

●小脳疾患の患者は、dual taskにて姿勢制御の悪化を示す。

 

●姿勢の運動失調の増加は、眼振を特徴付ける単一成分の変調や、立脚を安定させる単一の感覚(視覚、固有感覚)入力の欠乏に関係しない。

 

●バランス制御は、複数の感覚信号の統合と、立脚の運動制御との相互作用を必要とする。安定した身体姿勢の感覚制御は、前庭系、視覚系および固有受容系から生じる誤差信号によって維持される。

 

●注目すべきは、DBN患者を最も不安定にするのは運動課題の複雑さです。姿勢の動揺は、運動課題の複雑さ、すなわち、目を開閉するタンデムスタンスに伴って増加した。

 

 

 

私見・明日への臨床アイデア

•私の担当する小脳疾患の方も、眼精疲労が見られ、カーテンを閉め、辛い為活動性が落ちている。簡単な臥位でのタスクはまずまず良好に行えるが、課題難易度/同時処理する事が増えると動作が著明に拙劣になる。環境では、導線の単純さ、手すりの距離感は出来る限り課題難易度が高まらないよう(手を操作する中で、下肢体幹等他の制御しなければならない所の動きが大きくなりすぎない範囲)意識して環境設定を行っている。目と手足の動きが協調・連動していないことも多々見受けられ、それにより脳内でのマッチングが上手くいっておらず、動きが硬く苦しい印象を受けることもある。筋力体力だけでなく目と手・体幹など協調・連動(時に分離)を意識した練習で誤差を減らすような練習も予防的に取り組んでいる。

 

 

 

臨床後記:更新日2021/2/21

 

●小脳疾患の患者では課題が多重となってくると、姿勢の不安定性が増加する為、最初は課題難易度として単一課題となっているか意識が必要である。徐々に、処理する情報量を増やしていく必要がある。

 

執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表

・国家資格(作業療法士)取得

・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務

・海外で3年に渡り徒手研修修了

・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆

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