Vol.605.脳卒中患者の歩行速度の変化に伴う上肢の連合反応について
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タイトル
●脳卒中患者の歩行速度の変化に伴う上肢の連合反応について
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●臨床において歩行時に上肢の緊張が高まり、歩行を阻害する患者をよく見かける。歩行と連合反応の関係性についてより学びたく本論文に至る。
内 容
背景
●後天性の脳損傷(ABI)の患者は歩行中に上肢の連合反応などの運動異常を示すことがよくあります。歩行中の腕の振りはエネルギー消費を減らし、歩行の安定性とバランスを高め、より速い歩行速度のために下肢の振り出しを容易にするために重要です。連合反応に起因する異常な上肢の運動は脳卒中患者の歩行、バランス、動的な上肢機能および日常生活動作に悪影響を与える可能性があります。
●後天性の脳損傷患者において健常者と歩行速度を一致させた場合に連合反応の影響を最も受けやすい上肢部位を調査しました。
方法
●36名の健常者と42名の連合反応を有する後天性の脳損傷患者で比較しました。
●参加者は3回の試行を成功させるために、8mの歩道で自己選択歩行速度で最大6回の歩行を実行しました。歩行に対する「通常の快適な歩行速度で、何気なく通りを歩いているかのように」という口頭指示を受けました。
●三次元動作解析を用いての評価を行い、歩行中の肩の屈伸、外転、回旋、肘の屈伸、前腕回内外、手関節屈伸を評価した。
結果
●肘関節の屈曲と肩関節の外転は連合反応の影響を最も受けやすい関節運動方向であった。
●肘関節に最も多くの異常が見られたが、肩関節、前腕、手関節にも異常が見られた者は多くいた。
●補足:連合反応の測定は主に肘に作用する筋肉に焦点が向けられてきました。Kahnらによる連合反応の評価に関するシステマティックレビューでは、含まれている18の研究のうち8つ(44%)が肘関節の連合反応のみを評価し、3つ(17%)が肘関節と1つまたは2つの追加関節を測定したことを示しました。上肢のすべての主要な関節を測定した研究はありません。
●本研究の結果は、肘が最も頻繁に影響を受ける関節であることを示しています。ただし、後天性の脳損傷患者の76%が肩関節に異常なパターンを示し、48%が前腕に、24%が手首にあることを強調することが重要です。したがって、これは、連合反応の包括的評価には、すべての主要な上肢関節を含める必要があり、単に肘に焦点を当てるべきではないことを強調しています。
私見・明日への臨床アイデア
●連合反応は脳卒中患者の努力的な運動によって麻痺側に誘発される。非麻痺側により誘発される対側性連合反応は両上肢間では左右対称的に同部位,両下肢間では内外転は対称性,屈伸は相反性に出現しやすい。対側性・同側性連合反応ともに努力量を示すとも捉えられ、課題難易度設定の指標としても使用出来ると思われる。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂院にて10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
著書はアマゾン理学療法1位 単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
ナレッジパネル→こちら
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