足のしびれ・筋力低下はCMT?シャルコー・マリー・トゥース病のリハビリと原因
CMTのリハビリは、何を鍛え、何を守るのか。
シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)は、遺伝性の末梢神経障害です。根本治療は確立しておらず、リハの主役は機能の維持と転倒予防です。鍛えすぎて逆に筋力が落ちる「過用性筋力低下」にも注意が要ります。診断から評価・介入・連携までを、新人向けに整理しました。
要点5項目。
臨床現場でこう出会う。
40歳、男性、会社員。足の筋力低下と歩行困難を自覚してから数か月です。診断確定後に外来リハへ導入された、生活期の症例です。重症度はCMTNS2で12/36(中等度)。主訴は「足の筋力低下と、長距離歩行での疲れやすさ」です。
初回評価では、下腿遠位の筋力低下と、足部の感覚低下、腱反射の低下を認めました。神経伝導検査で伝導速度の遅延、遺伝子検査でCMT1A(PMP22重複)が確認されています。診断名がつくまでの流れを知ると、評価の意味が見えてきます。
石川さんの診断は、次の順で進みました。①問診(家族歴・症状の経過・既往歴)、②神経学的検査(筋力・感覚・腱反射・歩行)、③神経伝導検査、④遺伝子検査です。担当医は、筋力低下と感覚異常からCMTを疑い、②の後に③④へ進みました。
ここで、先輩から一つだけ注意です。本人の自覚が「ここ数か月」でも、問診で遡ると、小児〜青年期の徴候が見つかることがあります。たとえば「走るのが遅かった」「足首をよく捻った」などです。CMTは多くが小児期〜青年期に発症し、ゆっくり進行するためです(Pareyson & Marchesi, Lancet Neurol, 2009)。
この記事は、診断後の患者さんを担当する新人PT・OT・STのための整理です。評価・介入・連携を、順に見ていきましょう。
定義・分類・疫学。
CMT(Charcot-Marie-Tooth disease)は、遺伝性運動感覚ニューロパチー(HMSN:運動と感覚の末梢神経が障害される遺伝性疾患)の代表です。主に手足の筋肉と感覚に影響します。
遺伝形式は、常染色体優性・常染色体劣性・X連鎖の3つです。最多はCMT1Aで、原因はPMP22遺伝子の重複です。有病率はおよそ2,500人に1人とよく引用されますが、報告により幅があります(Barreto et al., Neuroepidemiology, 2016 [SR/MA])。

— 「特徴と症状」の図解です。本文の下腿遠位の筋萎縮・高足弓・ハンマー足趾と照らし合わせて確認してください。
足や手の先に近い神経ほど障害されやすく、症状は末端から現れます。発症は小児期〜青年期が多く、進行は緩徐です(Pareyson & Marchesi, 2009 [専門家合意])。
評価の前に押さえる、3つの臨床像 [専門家合意]
前脛骨筋や腓骨筋群から弱くなります。足が上がらず、つまずきやすくなります。下腿が細く見える「逆シャンパンボトル様」の外観(大腿に比べ下腿遠位が細い形)がヒントです。
高足弓(pes cavus:土踏まずが高い足)とハンマー足趾(hammer toes:足趾の関節が曲がった状態)が多く見られます。偏平足のこともあります。
靴下・手袋のように、遠位から振動覚や温痛覚が鈍ります。アキレス腱反射は、早期から低下・消失しやすい所見です。進行すると手の内在筋も弱り、ボタンや鍵の操作が難しくなります。OTの評価対象です。

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神経メカニズムと責任病巣。
CMTの病変は、脳ではなく末梢神経にあります。責任病巣は、ミエリン(髄鞘:神経を包む絶縁体)をつくるシュワン細胞か、神経の軸索(信号を運ぶ線維)です。
脱髄型(CMT1)は、運動神経伝導速度が低下します。軸索型(CMT2)は速度が保たれ、CMAP(複合筋活動電位:筋から記録する電位)の振幅が低下します。目安は正中神経で38 m/sです。中間型は、おおむね25〜45 m/sとされます(Harding & Thomas, Brain, 1980 [観察研究])。

髄鞘の障害が、軸索の障害につながる [観察研究]
CMT1Aでは、PMP22の重複が髄鞘の異常を起こします。障害度は、脱髄の程度より二次的な軸索脱落と関連するとされます(Krajewski et al., Brain, 2000)。つまり、臨床の筋力低下は「軸索の数」を反映しやすいのです。
神経は長いほど障害されやすく、これを長さ依存性といいます。だから症状は足先から始まります。
MRIについても触れておきます。CMTは末梢神経の病気なので、通常のMRIで診断することはありません。X連鎖型(CMTX1)では、一過性の中枢白質異常が報告されています(Paulson et al., Ann Neurol, 2002)。ただし、これは例外的な所見です。
遺伝子[観察研究]:Lupski et al.(Cell, 1991)が、CMT1A家系で17番染色体のDNA重複を報告しました。約1.4 MbにPMP22が含まれます。現在の分子診断の出発点です。
日本人のデータ[観察研究]:Hattori et al.(Brain, 2003)は、日本人205例を臨床病理学的に検討しました。対象はPMP22・MPZ・Cx32の変異例です。脱髄性と軸索性の特徴が併存する点を示しています。
障害度と軸索脱落[観察研究]:Krajewski et al.(Brain, 2000)は、CMT1Aで神経学的障害が軸索の脱落と関連することを報告しました。
鑑別診断と診断の流れ。
診断は、病歴・身体診察・神経伝導検査(NCS)/筋電図・遺伝子検査の順で進みます。家族歴が明らかでない例もあります。新生変異や劣性遺伝があるためです。
リハ職が鑑別診断を決める必要はありません。ただ、経過が想定より速いときや、左右差が強いときは、主治医へ早めに共有します。CIDPの診断基準は、EAN/PNS 2021ガイドラインが参照されます(Van den Bergh et al., Eur J Neurol, 2021 [専門家合意])。

| 鑑別疾患 | 共通点 | 鑑別ポイント | 参考検査 |
|---|---|---|---|
| CIDP (慢性炎症性脱髄性多発根神経炎) |
脱髄性の伝導異常。筋力低下と感覚障害 | 亜急性〜再発寛解の経過。近位筋も障害される。家族歴に乏しい。免疫療法に反応する | 神経伝導検査、髄液(蛋白細胞解離)、神経根MRI、EAN/PNS基準 |
| HNPP (遺伝性圧迫性ニューロパチー) |
PMP22が関わる遺伝性の脱髄性ニューロパチー | 圧迫部位に反復する単ニューロパチー。持続的な進行より、発作性の麻痺が目立つ | 神経伝導検査(絞扼好発部位)、PMP22の欠失検査 |
| dHMN (遠位型遺伝性運動ニューロパチー) |
下腿遠位の筋萎縮と足部変形 | 感覚障害がない、または乏しい。SNAP(感覚神経活動電位)が保たれる | 神経伝導検査(感覚正常)、遺伝子検査 |
| 後天性ニューロパチー (糖尿病・アルコール・薬剤性など) |
遠位優位の感覚・運動障害 | 基礎疾患や曝露歴がある。家族歴がなく、高足弓などの骨格変形を欠く | HbA1c、血液検査(ビタミンB12など)、薬剤歴の確認 |
| 遠位型ミオパチー | 遠位筋の筋力低下と萎縮 | 感覚障害と腱反射低下を欠く。CK上昇を伴うことがある | CK、筋電図、筋MRI・筋生検、遺伝子検査 |
評価尺度と採点基準。
CMTの評価は、疾患特異的スケールと機能評価の二本立てで考えます。前者は重症度の記録に、後者はリハの効果判定に向いています。

CMTNS2の採点基準(全9項目) [観察研究]
採点の目安は、原著(Shy 2005、Murphy 2011)の内容を要約したものです。実施の際は、必ず原著の採点表を確認してください。各項目は0〜4点で、合計は0〜36点です。
| 項目 | 採点基準(0〜4点) | カットオフ値 | 解釈 |
|---|---|---|---|
| 1. 感覚症状(問診) | 0=なし / 1=足趾・手指に限局 / 2=足関節・手関節まで / 3=膝・肘まで / 4=それより近位 | 項目内の区切りなし(0〜4点) | 点が高いほど、感覚症状が近位に及ぶ |
| 2. 運動症状:下肢(問診) | 0=なし / 1=つまずく・足趾を引っ掛ける / 2=足関節サポート(AFO)使用 / 3=杖などの歩行補助具 / 4=車椅子 | 同上 | 装具・歩行補助具の必要性が、重症度の目安になる |
| 3. 運動症状:上肢(問診) | 0=なし / 1=ボタン・ファスナーが難しい / 2=鍵の操作が難しい / 3=ボタン・ファスナー・書字が困難 / 4=それ以上の重度障害 | 同上 | 手の機能の変化。OTの評価と連携する |
| 4. 針刺し感覚 | 0=正常 / 1=足趾・手指で低下 / 2=足関節・手関節まで / 3=膝・肘まで / 4=それより近位 | 同上 | 表在感覚の障害の広がりを示す |
| 5. 振動覚 | 0=正常 / 1=足趾・手指で低下 / 2=足関節・手関節で低下 / 3=膝・肘で低下 / 4=膝・肘でも消失 | 同上 | 太い有髄線維の障害を反映する |
| 6. 筋力:下肢 | 0=正常 / 1=足関節背屈がMMT4 / 2=足関節背屈がMMT3以下 / 3=足関節底屈も低下 / 4=近位筋も低下 | 同上 | 背屈から底屈、近位筋へと進むほど重症 |
| 7. 筋力:上肢 | 0=正常 / 1=手内在筋がMMT4 / 2=手内在筋がMMT3以下 / 3=手関節伸展も低下 / 4=近位筋も低下 | 同上 | 手内在筋から近位へと進むほど重症 |
| 8. 尺骨神経CMAP振幅 | 0=正常 〜 4=誘発不能(振幅の区分は原著の採点表と検査室の基準に従う) | 同上 | 運動神経の軸索障害の指標。電気生理検査室で実施 |
| 9. 尺骨神経SNAP振幅 | 0=正常 〜 4=誘発不能(区分は原著の採点表と検査室の基準に従う) | 同上 | 感覚神経の軸索障害の指標。電気生理検査室で実施 |
| 合計(CMTNS2) | 上記9項目の総和(0〜36点) | 軽度:0〜10点 / 中等度:11〜20点 / 重度:21〜36点 | 高いほど重症。区分は集団の目安であり、個人の予後を決めるものではない |
信頼性・妥当性[観察研究]:Shy et al.(Neurology, 2005)が、CMTNSの信頼性と妥当性を障害の指標として検証しました。Murphy et al.(J Peripher Nerv Syst, 2011)は、改訂版のCMTNS2でも検者間の信頼性が良好であることを示しています。
反応性[観察研究]:Piscosquito et al.(Eur J Neurol, 2015)は、CMTの各種アウトカムの反応性を検討しました。成人では、1〜2年の追跡でも変化が小さいとされます。短期の効果判定には、CMTNS2だけでは不十分です。
MCID(臨床的最小変化量)[専門家合意]:CMTNS2について、広く合意されたMCIDは確立していません。同じ検者・同じ条件で継続して評価し、変化の解釈は慎重に行います。
小児[観察研究]:CMTPedSは11項目の小児・青年向け尺度です。Burns et al.(Ann Neurol, 2012)が、障害の指標としての妥当性を検証しました。
介入のエビデンス。
現時点で、CMTの進行そのものを止める確立した治療はありません(Pareyson et al., Lancet Neurol, 2011 [複数RCT])。だからこそ、リハビリの目的は「機能の維持」「転倒予防」「二次障害の予防」になります。
以下のパラメータは、研究の報告と実践の目安を組み合わせたものです。数値の多くは専門家合意にもとづきます。個別の状態に合わせて調整してください。

対象は、日常生活に関わる筋群です。足関節の底背屈、股関節、膝、手内在筋を選びます。開始の目安は、8〜12回×2〜3セット、Borg RPE 11〜13(楽〜ややきつい)です [専門家合意]。翌日に強い脱力や筋痛が残れば、負荷を1段階下げます。
自転車エルゴメータやウォーキングを、Borg RPE 11〜13で行います [専門家合意]。インターバル型の運動で、疲労と機能的能力が改善した報告があります(El Mhandi et al., Muscle Nerve, 2008 [観察研究])。プール運動は、関節への負荷を減らせる選択肢です。
下腿三頭筋のストレッチは、30秒×3〜5回を毎日行います [専門家合意]。一方、ナイトスプリントでは、足関節の可動域は増えませんでした(Refshauge et al., Aust J Physiother, 2006 [単独RCT])。バランス練習は、週2〜3回、1回15〜20分です。平行棒内や壁際など、安全を確保して行います。
AFO(短下肢装具:足関節を支える装具)は、つまずきや転倒があるときに検討します。開始の数値基準はありません [専門家合意]。AFOは、足の引っかかりだけでなく、近位の下肢の制御も改善しました(Ramdharry et al., Muscle Nerve, 2012 [観察研究])。装具の選定は、医師・義肢装具士と進めます。靴は、踵をしっかり保持し、足底が安定するものを選びます。
運動療法の全体像[SR/MA]:Sman et al.(J Peripher Nerv Syst, 2015)とCorrado et al.(Medicine, 2016)のSRは、運動が安全で有益な可能性を示しました。ただし研究数は少なく、質も高くありません。
筋力トレーニング[観察研究]:Chetlin et al.(Arch Phys Med Rehabil, 2004)が、CMTでの抵抗運動の効果を検討し、運動処方の提言を示しました。
薬物療法[複数RCT]:Pareyson et al.(Lancet Neurol, 2011)は、アスコルビン酸を2年間投与した2つの二重盲検RCTを報告しました。CMTNSの変化に有意差はありませんでした。
新規薬剤[単独RCT]:Attarian et al.(Orphanet J Rare Dis, 2021)は、CMT1Aを対象に、PXT3003の第3相RCT(n=323)を報告しました。リハ介入の代替ではなく、臨床での位置づけは今後の検証課題です。総説はPisciotta et al.(Expert Rev Neurother, 2021)を参照してください。

「鍛えるべきか、休むべきか」は、動作を見ないと答えが出ません。STROKE LABでは、一人ひとりの動作を分析し、無理のない進め方をご提案します。
多職種連携と環境調整。

環境調整の基本 [専門家合意]
- 手すりの設置と、屋内外の段差・敷居の見直し
- つまずきやすい物(ラグ・コード類)の除去
- 夜間を含む、家中の照明の確保
- 踵を保持する靴の選択と、屋外歩行時の履き替え
- 長時間の立位・歩行を避ける、就労環境の調整
疼痛・疲労への向き合い方 [観察研究]
CMTでは、疼痛を訴える方が少なくありません(Carter et al., Arch Phys Med Rehabil, 1998)。神経障害性疼痛(神経そのものが原因の痛み)は、薬物療法を主治医と検討します。リハでは、姿勢・関節保護・運動量の調整で、二次的な筋骨格系の痛みを減らします。
温熱・寒冷の刺激には注意が必要です。感覚が鈍いと、熱傷や凍傷に気づけません。温度の確認と時間の管理を徹底します [専門家合意]。
「装具の相談は、『足が引っかかる』ではなく、『遊脚期に足先が床に触れる』と伝えてみてください。義肢装具士さんに、状況が具体的に伝わります。」
「進行が気になったら、数値を添えて主治医へ。『半年前は背屈MMT4、今は3』と書くだけで、十分な情報になります。」
| 職種 | この疾患・症状における評価項目 | 主な介入内容 | 他職種との連携ポイント |
|---|---|---|---|
| PT | 足関節・股関節の筋力、足関節可動域、バランス、歩行(10m・6分間)、転倒歴 | 漸増的な筋力練習、ストレッチ、バランス・歩行練習、有酸素運動、AFO使用下の歩行調整 | 過用の徴候や転倒歴を、医師・看護師へ共有。装具の不具合は義肢装具士へ |
| OT | 手内在筋の筋力、巧緻性(ボタン・鍵・書字)、ADL・IADL、就労・家事の環境 | 動作や道具の工夫、自助具、関節保護の指導、就労・家事環境の調整 | 手の機能の変化を医師へ。就労の相談はMSWと調整 |
| ST | 発声・嚥下・聴覚・呼吸機能のスクリーニング(一部のサブタイプ) | 該当例での発声・嚥下・コミュニケーション支援 | 変化があれば医師へ。耳鼻科・呼吸器科の受診につなぐ |
| 看護師 | 足部の皮膚、疼痛、転倒リスク、服薬状況 | 足部の皮膚観察とケア、疼痛・服薬の確認、生活指導 | 皮膚トラブルや服薬の副作用を、リハ職へ共有 |
| 医師 | 診断・遺伝型の確認、進行度、神経伝導検査、疼痛・筋痙攣などの症状 | 経過観察、薬物療法(疼痛など)、装具の処方、遺伝カウンセリングへの橋渡し | 進行度や運動の制限を、リハ職へ伝達。リハ側の所見を診療へ反映 |
| MSW | 就労・経済状況、制度の利用状況、家族背景 | 指定難病の医療費助成、障害福祉サービス、就労支援の調整 | 制度の申請時期を、医師・リハ職と確認 |
補足です。CMTは指定難病(シャルコー・マリー・トゥース病)に含まれ、重症度などの条件により医療費助成の対象となる場合があります。最新の認定基準は、MSWや難病情報センターで確認してください。
つまずきポイントと臨床判断のコツ。
つまずきは、たいてい「よかれと思った介入」から始まります。新人のうちに知っておきたい3つを整理しました。
臨床判断のコツ:「いつもの進行」か「いつもと違う」か [専門家合意]
CMTは緩徐に進行します。数週間〜数か月で急に悪化したり、左右差が強まったりしたときは、別の要因を疑います。たとえば、CIDPなど治療可能な疾患の重なりや、新たな圧迫性ニューロパチー、糖尿病です。主治医への早めの共有が原則です。
「『前より歩けない』という訴えは、筋力低下なのか、疲労なのか、痛みなのかを分けて聞きます。分けるだけで、次の一手が変わります。」
「装具を嫌がる方には、理由を必ず聞いてください。見た目や履きにくさなど、外せない理由が隠れていることが多いです。」
予後とゴール設定。
寿命は、多くのCMTで一般の人と大きく変わりません。生命を脅かす疾患ではないためです(Pareyson & Marchesi, Lancet Neurol, 2009 [専門家合意])。ただし、重症の早期発症型や、呼吸・嚥下・発声に障害を伴うサブタイプは例外です。
予後を左右するのは、遺伝子型・発症年齢・重症度です。一般に、発症が早いほど重症化しやすい傾向があります。
COPM(カナダ作業遂行測定:本人が重要と考える作業を点数化する面接評価)が使いやすい方法です(Law et al., Can J Occup Ther, 1990 [観察研究])。一般に、2点以上の変化が意味のある変化の目安とされます。
例:「通勤の徒歩15分を、疲れずに続けたい」「階段で転ばない」。再評価は、半年〜1年ごとが目安です [専門家合意]。CMTNS2は短期の変化に鈍いため、10m歩行、6分間歩行、転倒回数、装具の状態も併記します。
よくある質問。
はい。低〜中等度の負荷で漸増すれば、安全で有益な可能性があります。ただし研究の質は高くありません(Sman 2015、Corrado 2016)。実践的な目安は、週2〜3回、8〜12回×2〜3セット、Borg RPE 11〜13です(専門家合意)。翌日に強い脱力や筋痛が残る場合は、過用性筋力低下を疑い、負荷を下げてください。
正中神経の運動神経伝導速度が目安です。約38 m/s未満なら脱髄型、以上なら軸索型を示唆します(Harding & Thomas 1980)。軸索型ではCMAP振幅の低下が目立ちます。最終的な判定は、神経伝導検査と遺伝子検査をもとに医師が行います。

確立した数値基準はありません(専門家合意)。つまずきや転倒、足の引っかかりが日常生活に影響したときが検討の目安です。背屈筋力、歩行観察、疲労の程度から総合的に判断し、医師と義肢装具士に相談します。
現時点で、確立した疾患修飾薬はありません。アスコルビン酸は、2つの二重盲検RCTで有効性が示されませんでした(Pareyson 2011)。新しい薬剤の臨床試験も行われています(Attarian 2021)。最新の情報は主治医に確認してください。
疾患特異的な尺度では、CMTNS2(0〜36点)が代表的です。軽度は0〜10点、中等度は11〜20点、重度は21〜36点です。電気生理検査を含むため、リハの現場では機能評価も併用します。10m歩行、6分間歩行、筋力、転倒歴などです。短期の変化は捉えにくいとされます。
多くの方で、寿命は一般の人と大きく変わりません。ただし、重症の早期発症型や、呼吸・嚥下・発声に障害を伴うサブタイプは例外です。就労への影響は、重症度と職種で大きく異なります。負荷の調整や環境整備で継続できる例もあります。就労支援は、MSWや職場と相談します。
STROKE LABのプログラム。
STROKE LABは、脳卒中専門の自費リハビリ施設です。代表の著書『脳卒中の動作分析』(医学書院、2018)で整理した考え方をもとに、一人ひとりの動作を丁寧に分析しています。この分析の視点を、進行性の神経疾患をお持ちの方の歩行・動作の評価にも応用します。
「なぜ歩きにくいのか」を整理し、無理のない運動量と自主トレをご提案します。ご相談の内容により、対応の可否や進め方を丁寧にご案内します。
「外来で、末梢神経疾患の40代の方から『足が上がらないので、筋トレを増やしたい』と相談されました。希望どおり負荷を上げたところ、翌日に強い脱力が出ました。そこで、週2回・軽めの負荷に切り替えました。すると、つまずきが減りました。『鍛えすぎない設計』の大切さを学んだ経験です。」— STROKE LAB 理学療法士(神経疾患・動作分析)
「手の細かい動きが落ちた30代の方の相談で、ボタンと鍵の操作を観察しました。原因は握力ではなく、指先の感覚低下でした。そこで、太い柄の自助具と、目で確認しながら行う動作手順を提案しました。『作業を細かく分けて原因を探る』ことが、環境調整の近道だと学びました。」— STROKE LAB 作業療法士(神経疾患・ADL支援)
諦めないでください。

「CMTは進行性で、根本的な治療法がない」と告げられたとき、不安や戸惑いは大きいと思います。私もセラピストとして、その気持ちに向き合ってきました。
大切なのは、今ある機能を賢く使い、守ることです。動作を丁寧に分析すれば、できることは、まだ多く見つかります。
まずは無料相談で、いまの困りごとをお聞かせください。対応の可否や進め方を、一緒に整理します。
代表取締役 金子 唯史
参考文献。

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)