【2022年版】脳神経評価ー下肢編ー:感覚検査(表在/深部/デルマトーム)や筋力検査(MMT)、協調性評価 – 脳卒中/神経系 自費リハビリ施設 | STROKE LAB 東京
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【2022年版】脳神経評価ー下肢編ー:感覚検査(表在/深部/デルマトーム)や筋力検査(MMT)、協調性評価

はじめに

 

1.下肢の臨床検査の必要性

 

下肢の神経学的検査は、OSCEに頻繁に登場し、検査技術を用いて関連する臨床徴候を特定することが求められます。

 

また臨床現場においてもそれぞれの検査を使い、臨床症状を特定することが求められています。

 

ストロボ君
ストロボ君
今回は下肢の神経学的検査を行う方法を解説していきたいと思います。

 

上肢編は下の記事でまとめています。

 

 

 

必要物品

 

①打腱器

②針やつまようじなど先端が鋭利な物

③コットン・ウールやティッシュ

④音叉(128Hz)

 

動画で検査を学びたい方は下の動画を併せてご覧ください。

 

 

検査の準備

 

検査の準備の説明画像

 

①はじめに手を洗いましょう。必要に応じてPPEを着用しましょう。

 

②自分の名前と職種などを含めて、患者さんに自己紹介をしましょう。

 

③患者さんの名前と生年月日を確認します。

 

④患者にやさしい言葉で検査内容を簡単に説明し、検査に同意を得ましょう。

 

⑤患者さんの脚を十分に露出させ(可能であれば下着のみを身につけます)、検査を受けていないときに患者を覆うための毛布を用意します。

 

⑥患者さんを検査用ベッドに誘導します。(通常、ヘッドレストを3045°に持ち上げます)。

 

⑦臨床検査を行う前に患者様に痛みがあるかどうかを尋ね、異常がないかを確認します。

 

 

全体の観察

 

全体の観察の説明画像

 

・傷跡:脊椎、腋窩、上肢の手術歴に関する手がかりとなる。

 

・筋肉の衰え:下部運動ニューロンの病変や廃用性萎縮を示唆する。

 

・振戦:安静時振戦や意図的振戦などいくつかのタイプがあります。

 

・筋痙攣:小さな局所的な不随意の筋収縮と筋弛緩で、皮膚の下に見えることがあります。下部運動ニューロンの病変(例:筋萎縮性側索硬化症)にも関連する。

 

 

情報収集

 

患者さんの身の回りにある物や器具で、病歴や現在の臨床状態を知る上で有用なものを探してみましょう。

 

歩行補助具:歩行能力は、さまざまな神経学的病理によって影響を受ける可能性があります。

 

処方箋:処方箋や個人の処方箋は、患者さんの最近の服用した薬に関する有用な情報を提供します。

 

 

歩行

 

歩行能力の説明画像

まずはじめに、中枢部の筋力評価のため立ち上がり評価を行います。

 

患者さんの歩容を評価します。神経疾患の患者さんは転倒のリスクが高いので、評価中は患者さんの近くにいて、必要に応じて介助ができるようにしてください。

 

患者さんに検査室の端まで歩いてもらい、振り返って戻ってきてもらいながら、以下の点に注意して患者の歩行を観察します。

 

 

【評価ポイント】

歩行能力の評価の説明画像

 

立位:広い範囲での失調性歩行は、典型的には小脳中央部の病変(例:多発性硬化症の病変、慢性的なアルコール過剰による小脳真板の変性)と関連しています。

 

安定性:ふらつき、ゆっくりとした不安定な歩行は、小脳の病理に典型的に見られます。片側の小脳疾患では、患者は病変のある側に傾きます。

 

腕の振り:パーキンソン病では見られないか、減少します(典型的には最初は片側からはじまります)。

 

歩幅:パーキンソン病に特徴的なのは、小刻み歩行という小さく小刻みに震えるような歩幅です。歩幅が大きい場合は、足下がりの存在を示すことがあります。

 

寝返り:小脳疾患のある患者さんは、寝返りが特に困難です。

 

 

タンデム歩行、踵歩行、つま先歩行

 

患者に検査室の端まで歩いてもらい、踵からつま先までをしっかりと着くようを歩いて戻ってきてもらいます。かかとからつま先までの歩行は、基礎となるふらつきを悪化させるため、より微妙な運動失調を特定しやすくなります。

 

タンデム歩行は、小脳の機能障害(アルコール誘発性小脳変性症など)を見極めるのに特に有効です。

 

また、踵歩行、つま先歩行が困難な場合は、足の屈筋の弱さや感覚性の失調が疑われます。

 

 

ロンベルグテスト

 

ロンベルグテストの説明画像

ロンベルグテストは、自己受容感覚や前庭機能の喪失(感覚性運動失調として知られています)を評価するために使用されます。この検査は小脳機能を評価するものではなく、感覚性運動失調の証拠(すなわち、バランス問題の非小脳的原因)を迅速にスクリーニングするために使用されます。

 

ロンベルグテストは、患者が立っているときにバランスを保つためには、次の3つの感覚のうち少なくとも2つが必要であるという前提に基づいています。

 

自己受容感覚(プロプリオセプション):空間における自分の体の位置を認識すること。

 

前庭機能:空間における自分の頭の位置を知る能力。

 

視覚:空間内の自分の位置を確認する能力。

 

 

【方法】

1.患者さんが転倒し始めたときに介入できるように、すぐ手の届く範囲に介助につきます。

 

2.足をそろえて両腕を横にしてもらいます。(三叉神経失調症の患者はこれができないことがありますが、この不安定さはロンベルグ徴候の陽性とは異なります)。

 

3.患者さんに目を閉じてもらい、30秒間立位が保てるかを評価します。

 

 

【解釈】

介助なしで転倒することは異常であり、ロンベルグ徴候陽性となります。

 

これは、ふらつきが感覚性運動失調(小脳機能ではなく、前庭知覚や前庭機能の障害)によるものであることを示しています。

 

自己受容感覚の障害の原因には、関節の過可動性(エーラスダンロス症候群など)、B12の欠乏、パーキンソン病、加齢などがあります。前庭機能障害の原因には、前庭神経炎やメニエール病などがあります。

 

矯正を伴う動揺は好ましい結果ではなく、三半規管失調症による小脳疾患でよく起こります。

 

 

筋緊張

 

①Leg roll

筋緊張leg roll の説明画像

【方法】

1.患者さんが診察台に横なってもらい、力を抜いて両足をリラックスしてもらいます。

 

2.両脚を回転させて股関節の回転をつかさどる筋肉の緊張を評価します。

 

 

Leg Lift

筋緊張Leg liftの説明画像

 

【方法】

1.患者さんが診察台に横なってもらい、力を抜いて両足をリラックスしてもらいます。

 

2.両膝をベッドから持ち上げ、脚の動きを観察します。緊張が正常な患者では、かかとがベッドについたままで膝が上がるはずです(緊張が高まると、一般的にかかとはベッドから浮きます)。

 

3.浮かせた状態から手を放し膝が伸びベッドに落ちるかを評価します。

 

 

③足首のクローヌス

筋緊張(クローヌス)の説明画像

 

クローヌスは、下行性運動経路の上位運動ニューロン病変(例:脳卒中、多発性硬化症、脳性麻痺)に関連する一連の不随意なリズミカルな筋肉の収縮と弛緩です。

 

 

【方法】

1.患者さんの脚を膝と足首が少し曲がるように置き、膝の下に手を添えて脚を支え、リラックスできるようにします。

 

2.腓腹筋を伸ばすために、足を急速に背屈させます。

 

3.足を2のまま保ち、クローヌスを観察する。クローヌスは、背屈と足底屈のリズミカルな振動として感じられます。5回以上のクローヌスが見られた場合は、異常な所見として分類されます。

 

筋緊張の別評価MAS(Modified Ashworth Scale)を下記記事でまとめています。

 

 

筋力

 

MRC筋力評価スケール

 

以下の一連の評価を行うことで、患者さんの下肢の筋力を評価します。

 

筋力を正確に測定して比較できるように、各評価で関連する関節を安定させて分離する必要があります。そのため、一度に片側のみを評価する必要があります。

 

評価の各段階で、同じもの筋を比較する必要があります。

 

筋力の採点にはMRC筋力評価スケールを使用してください。

 

評価の各段階では、明確な指示を伝える必要があります。患者さんにとってもらいたい各ポジションを実演することで、理解を助けることができます。

 

①股関節の屈曲: L1/2(腸腰筋神経)

股関節の屈曲: L1/2(腸腰筋神経)の説明画像

評価される筋肉: 腸腰筋

 

【方法】

①患者に脚をベッドから上げるように指示します。

②大腿部前部に下向きの抵抗をかけ、①の位置を維持するように指示します。

 

 

②股関節伸展: L5/S1/S2 (下臀部神経)

筋力検査 股関節伸展: L5/S1/S2 (下臀部神経)

評価された筋肉: 大殿筋

 

【方法】

①手を患者の大腿部の下に置きます。

②脚を持ち上げる方向に抵抗をかけ、①の位置を維持するように指示します。

 

 

③股関節内転: L2/L3 (閉鎖神経)

評価される筋肉: 長内転筋・短内転筋・大内転筋

 

【方法】

①患者さんに膝を伸ばしたまま、脚を閉じるように指示します。

②脚を開く方向に抵抗をかけ、①の位置を維持するように指示します。

 

 

④股関節外転: L4/5 (上殿神経)

評価される筋肉: 中殿筋・小殿筋

 

【方法】

①患者さんに膝を伸ばしたまま、脚を開くように指示します。

②脚を閉じる方向に抵抗をかけ、①の位置を維持するように指示します。

 

 

⑤膝の屈曲:S1(坐骨神経)

 

評価される筋肉: ハムストリングス

 

【方法】

①ベッドと下腿が水平になるように膝を曲げてもらいます。

②下腿を上方に引っ張って抵抗を加え、①の位置を維持してもらいます。

 

 

⑥膝の伸展:L3/4(大腿神経)

 

評価された筋肉: 大腿四頭筋

 

【方法】

①ベッドに横になり膝を立て、膝を伸ばします。

②下腿に下方向に抵抗を加え、①の位置を維持してもらいます。

 

 

⑦足首の背屈: L4/5 (深腓骨神経)

 

評価される筋力: 前脛骨筋

 

【方法】

①両足をベッドの上で平らにし、足を背屈させます。

②底屈方向に抵抗をかけ①の位置を維持してもらうように指示します。

 

 

⑧足関節の足底屈:S1/2(脛骨神経)

 

評価される筋肉: 腓腹筋、ヒラメ筋

 

【方法】

①両足をベッドの上で平らにし、足を底屈させます。

②背屈方向に抵抗をかけ①の位置を維持してもらうように指示します。

 

 

⑨外反母趾の伸展:L5(深腓骨神経)

 

評価される筋肉: 長母指伸筋

 

【方法】

①脚をベッドに乗せ、母趾を伸ばしてもらいます。

②屈曲方向に抵抗をかけ、①の位置を維持してもらいます。

 

 

腱反射

 

患者に、打腱器で脚を軽くたたいて反射を評価することを説明します(この段階で患者に打腱器を見せておくと便利です)。

 

患者さんの下肢は完全にリラックスしている必要があります。

 

重力でうまく振れるように、打腱器の柄の端を持つようにしてください。

 

反射が見られない場合は、患者が完全にリラックスしていることを確認し、腱を叩きながら同時に患者に歯を食いしばってもらい、強化操作を行います。

 

 

①膝蓋腱反射

 

【方法】

1.患者さんの下肢を支えるか、ベッドの横に足をかけるようにして、下肢から体重を取り除きます。膝関節反射を評価する前に、患者の下肢が完全にリラックスしていることを確認します。

 

2.打腱器で膝蓋腱を叩きます(重力の影響でうまく振れるように、腱打ち機のハンドルの端を持つようにします)。

 

3.反射が見られない場合は、患者が完全にリラックスしていることを確認してから、強化操作を行います。

 

 

②アキレス腱反射

 

足首の反射を誘発するにはいくつかの方法がありますが、その中でも代表的な2つの方法を以下に説明します。

 

【方法】

1.患者さんを診察台に乗せ、股関節をわずかに外転させ、膝を曲げ、足首を背屈させるように足を支えます。

 

2.腱打ち機でアキレス腱を叩き、腓腹筋の収縮とそれに伴う足の底屈を観察します。

 

腱反射について下記記事でまとめています。併せてご覧ください。

 

 

③バビンスキー反射

 

【方法】

1.患者さんを診察台に寝かせた状態で、棒で足の裏をかきます。そのさい少し不快に感じることを説明し患者の同意を得てから行います。

 

2.足首を持って足の位置を固定します(左足を評価する場合は、左手で足首を持ち、その逆も同様です)。

 

3.足底の外側に沿って小指の付け根に向かって動かし、内側に回って足の指の下の横アーチに沿って動かします。

 

4.母趾の伸展を観察します。

 

【解釈】

正常な結果:母趾が屈曲し、他の趾が屈曲する。

 

異常(Babinski徴候):母趾の伸展と他の趾の伸展(上部運動ニューロン病変を示唆する)。

 

 

感覚

 

感覚を調べることに夢中になってしまいがちですが、ポイントは以下の通りです。

 

・患者が目を閉じた状態で評価を行う。

 

・患者の胸骨の感覚が正常であることを示す。

 

・下肢の各皮膚分節(下記参照)の感覚を評価し、同等の部位を左右に比較しながら進める。

 

 

デルマトーム

デルマトームは脊髄神経による皮膚の感覚領域を模式図にしたもの

 

誤った解釈のリスクを最小限にするために、皮膚分節の境界近くで感覚を評価しないことが重要です。以下は、下肢の各皮膚分節を評価するために使用できる場所です。

 

L1: 鼠径部および大腿部内側の最上部

L2:大腿部前面部の中央と外側

L3:膝の内側の側面

L4:下腿部の内側と足首の内側

L5:母趾の背側と内側面

S1:小指の背側と外側の側面

 

 

①表在感覚

 

表在覚は、後頭葉と視床下部の両方が関与しています。

 

【方法】

1.綿毛で胸骨を触り、表在覚の例を示します。

 

2.患者さんに目を閉じてもらい、感覚を感じたら「はい」と言ってもらいます。

 

3.綿毛を使って、下肢の各皮膚分節の軽度の感覚を評価します。

 

 

②痛覚

 

痛覚は視床下部が関与しています。

 

【方法】

1.つまようじなど先端が鋭利なもので胸骨を触り痛覚の例を示す。

 

2.患者さんに目を閉じてもらい、感覚を感じたら「はい」と言ってもらいます。

 

3.つまようじなどを使って、下肢の各皮膚分節の軽度の感覚を評価します。

 

 

遠位で感覚の喪失が認められた場合、遠位から近位へと移動して、感覚喪失の「ストッキング」分布(末梢神経障害に関連する)をテストします。

 

必要に応じて、正常な感覚の領域が確認されるまで、脚や体幹を中枢部に向かい移動させます。

 

これにより、脊髄病変を示唆する「感覚レベル」が明らかになることがあります(例:臍の高さまで異常な感覚がある場合、T10付近の脊髄病変を示唆します)。

 

 

③振動覚

振動覚の評価の説明画像

 

振動感覚は背柱を含む。

 

【方法】

1.音叉を叩いて患者の胸骨に当て、振動を感じることができるかどうかを確認する。その後、音叉の端を握って振動を止め、振動が止まったことを正確に認識できるかどうかを確認します。

 

2.患者さんに目を閉じてもらい、音叉をもう一度叩いて、患者の母趾の指節間関節に当てます。この時点で患者が両下肢の振動がいつ始まり、いつ止まったかを正確に識別できれば、評価は完了です。

 

3.母趾の指節間関節で振動感覚が損なわれている場合は、患者が振動を正確に認識できるようになるまで、より近位の関節(例:母趾の中足趾節間関節足首関節膝関節)の評価を順次行ってください。

 

 

④受動運動覚

受動運動覚の評価の説明画像

 

受動運動覚は、関節の位置感覚としても知られており、背柱が関与しています。

 

【方法】

1.母趾の遠位指節骨を横から持ち、患者さんが見ている状態で母趾の「上向き」と「下向き」の動きを実演します。

 

2.ランダムな順序で母趾を上下に34回動かし、患者が目を閉じたまま関節の位置を正確に認識できるかどうかを確認します。

 

3.移動方向を正しく認識できない場合は、より近位の関節を順次評価していきます(例:母趾の中足趾節関節足首関節膝関節)。

 

 

協調性

 

①踵脛試験

協調性検査(踵脛試験)の説明画像

 

踵脛試験は下肢の協調性を評価する簡便な方法です。

 

【方法】

1.患者さんに片方のかかとを反対の膝の上に置いてもらい、そのかかとをすねに一直線に下ろしてもらいます。

 

2.その後、すねまで伸ばした足を元の位置に戻してもらいます。

 

3.この一連の動作を、停止を指示するまで、スムーズに繰り返してもらいます。

 

 

【解釈】

実行しようとしているときの協調性の欠如は、同側の小脳の病理を示します。

 

注意点としては、(上部運動ニューロンの病変などによる)脱力感があると、この動作に明らかな協調性の欠如が生じることがあります。そのため、診断上の結論を出す前に、筋力を評価する必要があります。

 

 

検査の終了

 

検査が終了したことを患者さんに説明します。

 

患者に時間を割いてくれたことに感謝します。

 

PPEを適切に廃棄し、手を洗います。

 

所見をまとめ、終了となります。

 

 

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