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Vol.425.腰痛患者は腰部の感覚機能が低下している!?腰痛(LBP)を有する人の姿勢制御の変化

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カテゴリー

 

脳科学

 

タイトル

●腰痛患者は腰部の感覚機能が低下している!?腰痛(LBP)を有する人の姿勢制御の変化

 

●原著はAltered Postural Control in Anticipation of Postural Instability in Persons With Recurrent Low Back Painこちら

 

なぜこの論文を読もうと思ったのか?

 

●高齢者では腰痛を有したり腰部の運動性が低下している方が多い。そのような患者の姿勢制御の特徴を学ぶため本論文に至る。

 

内 容

 

背景

 

●腰痛(LBP)を有する人の姿勢制御の変化が報告されている。健常者と比較しLBPの人はより大きな姿勢の揺れ、変化する状態への適応の困難さの増加、および摂動後の姿勢バランスの回復の低下を示した。さらに、LBPの人は固有受容感受性が変化しているようです。腰の位置感覚能の低下のため、足部レベルでの活動をを増加させることによる固有受容感覚入力の再重み付けは、LBPの人々で行われているようです。そのため、LBPの人々は、腰の動きを少なくする傾向があります。

 

 

方法

 

●この研究には89人の大学生と職員が参加した。「LBPグループ」にはLBPの56人の被験者が含まれていたが、「健康グループ」はOswestry Disability Index(ODI:世界で最も広く使用されてきた患者立脚型の腰痛 疾患に対する疾患特異的評価法のひとつ)と視覚的アナログスケール(VAS)にてほとんど痛みを示さない33人の被験者で構成された。

 

●被験者は素足でフォースプラットフォームに取り付けられたプラスチックシートにマークされた位置に合わせ立位をとった。被験者はじっとリラックスするように指示された。最初の試験では、白い壁がまっすぐに見えるように指示された。他のすべての試験では、特別な液晶ゴーグルによって視覚が遮られた。被験者がゴーグルを着用したとき、被験者は目を開いたままにし、視線を真正面に保つように求められた。 体の傾きの制御における固有受容信号の寄与を評価するために、視力は抑制された。体の傾斜(度単位の角度)と姿勢の揺れの特性は、6つの連続した条件で評価された。

 

 

結果

 

●LBPグループ間で視覚情報が利用できる場合、身体の傾きに違いは観察されなかった。健常者は体幹を重力方向に垂直方向に動かしたが、LBPの人は、視力が遮られていたり、姿勢が不安定になると予想されたときに、より前傾した

 

●今回の研究の主な発見は、LBPのある若者は、姿勢の不安定性が予想されるときにより前傾することで、健康な若者と比較し姿勢制御を行ったこと。これは視覚信号が利用できない場合、身体は主に固有受容信号と前庭信号に基づいて方向付けられなければならなかった。LBPの人は、腰の位置感覚の低下が観察されています。さらに足首レベルの活動を増加させることによる固有受容入力の再重み付けは、LBPのある人で行われたようです。そのため、LBPを有する人は、静止立位でバランス制御に足関節戦略を使用する傾向がある。この戦略は、姿勢の要求が高まる場合、特に足部からの固有受容信号が不安定な支持面に立っている場合などは不十分となる。先行研究において、慢性LBPの人は本研究者の結果と同様に、摂動試験を繰り返した後、慢性LBPの被験者の前傾が減少したことを示した。これは、以前の経験が姿勢戦略の選択に大きな影響を及ぼし、慢性LBPの人がより最適な姿勢に適応できることを示唆している。

 

 

 

 

 

私見・明日への臨床アイデア

●本論文で、腰痛患者の位置覚等感覚の低下が示唆された。脊柱関連の痛みにより疼痛性抑制反射などの誘因で萎縮し多裂筋の脂肪化が報告されている。早期から、状態に応じ正しい腰部の運動感覚・多裂筋の活動の再学習などは重要であることが考えられる。二次的に足部の過活動の誤学習なども考えられ、下肢の姿勢制御の再学習も必要な可能性がある。

 

 

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