Vol.628.認知症に対する日常生活動作に焦点を当てた認知刺激療法の効果 – 脳卒中/神経系 自費リハビリ施設 東京 | STROKE LAB
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Vol.628.認知症に対する日常生活動作に焦点を当てた認知刺激療法の効果

認知症に対するADL訓練の効果

 

 

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カテゴリー

 

脳卒中、認知症、ADL

 

タイトル

●認知リハビリテーションが日常生活動作のパフォーマンスに及ぼす効果とは??

 

●原著はEffects of a Cognitive Rehabilitation Programme on the Independence Performing Activities of Daily Living of Persons with Dementia—A Pilot Randomized Controlled Trialこちら

 

なぜこの論文を読もうと思ったのか?

 

●認知症患者も増え、関わることも増えてきた。それにあたって、認知症患者のリハビリを再度見直そうと思い学習の一助として本論文に至る。

 

内 容

 

背景

 

●2016年に発表されたアルツハイマー病の国際報告書によると、世界で約4600万人が認知症を患っていると推定しています。アルツハイマー病は主要な神経認知障害として知られています。高齢化が進む現状を考慮すると、2050年には1億3100万人の認知症患者が地域に住み、その3分の2の数が発展途上国から来ることになります。

 

● 近年、自立生活を維持するために、非薬理学的治療が薬物療法と組み合わせて使用​​されています。これらの治療法には、精神面と認知面を刺激し維持または改善すること、日常生活動作を実行するための機能と独立性を改善または維持すること、個人の自律性を確保および向上させることなど、複数の目的があります。

 

●患者中心の非薬理学的療法には、認知刺激療法およびADLトレーニングが含まれます。 科学的証拠は、認知機能のリハビリテーションが生物学的観点から可能であることを示唆しています。認知刺激療法は、軽度から中等度の認知症の患者に、認知能力の低下を遅らせることができるという治療上の利益をもたらす可能性があります。したがって、証拠はこのタイプのアプローチの使用が認知症の人の状態を改善することを支持しています。

 

●本研究の目的は、作業療法によるADL認知刺激療法が、認知症または施設に住まわれている神経認知障害のある人の認知的な能力の再構成(再構築)と生活における自立に及ぼす影響を評価することでした。

 

方法

 

●主要な神経認知障害または認知症(n = 58)の施設に住んでいる高齢者は、作業療法(ADL認知刺激療法)または従来の作業療法のいずれかを受けるためにランダムに割り当てられました。

 

●ADLを実行する認知レベルと自立度はベースライン(0週)、5週間の治療後(5週)、および6週間のフォローアップ後(12週)に測定されました。

 

結果

 

図引用元:Effects of a Cognitive Rehabilitation Programme on the Independence Performing Activities of Daily Living of Persons with Dementia—A Pilot Randomized Controlled Trial

 

●得られた結果は、対照群と比較して介入群でADLを実行する自立レベルの改善を示しました。食事、更衣、排尿および排便に関連する生活動作の改善が見られ、食事で観察された変化は統計的に有意でした。

 

●結果は再構築アプローチに基づいており、認知機能療法に焦点を当てたこの治療が、認知症の人の機能的能力を改善することを示唆しています。介入群は、ADLのパフォーマンスに有意な改善を示しました。治療を完了した後、介入群の参加者は、認知レベルを維持し、BIのスコアを上げ、食事と更衣の自立度、排泄排便および階段昇降能力を改善しました。

 

●研究では、介入群の参加者の半数がADLを実行するために中等度の介護依存を要している状態を示しており、1.70%だけが完全に自立していることを観察しました。このデータに基づいて、認知症または主要な神経認知障害と診断された人の機能問題への介入を優先する必要があると考えることができます。

 

●我々の研究では、認知障害のレベルが参加者の機能的能力に影響を与えるかどうかを評価すると、認知障害(GDS)の程度に関してBIスコアに有意差がないことがわかりました。これらの結果は、機能的能力が複雑であることを示唆する理論と一致し、運動、感覚および知覚の変化、社会的状況、および併存疾患などの他の変数もADLに関与するため、認知障害の測定だけではADL機能の低下を説明できないことを示しています。

 

●結論としてADL認知刺激療法に基づく作業療法は、施設に住まわれている神経認知障害または認知症の被験者の日常生活の自立度を高めるというプラスの効果をもたらす可能性があります。

 

 

 

 

私見・明日への臨床アイデア

 

●発達の観点からみると、比較的生後早期に獲得する食事や排泄関連のADLは認知症高齢者においても獲得されやすいかと思われる。重度の認知症患者においては、介護負担を増大させないことは重要である。体力低下も生じやすいため、基礎体力作りや活動参加は基本となると思われる。

 

執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表

・国家資格(作業療法士)取得

・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務

・海外で3年に渡り徒手研修修了

・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆

 

併せて読みたい【認知症、ADL】関連論文

 

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