vol.297:乳がん後のリンパ浮腫における可動域制限と運動感覚 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
上肢
タイトル
乳がん後のリンパ浮腫患者における手指機能と運動感覚
Evaluation of kinesthetic sense and hand function in women with breast cancer-related lymphedema?PubMed Didem Karadibak J Phys Ther Sci. 2015 Jun; 27(6): 1671–1675.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・乳がん後のリンパ浮腫に関する論文ではあるが、上肢浮腫が手指機能と運動感覚に与える影響はどれくらいか、興味があったため読もうと思った。
内 容
背景・目的
・乳がんは女性の癌のなかで罹患率の高いもので、全癌の中の30%という報告もある。
・乳がんに付随するリンパ浮腫は慢性的で、上腕や手指、体幹、胸部に見られる。
・リンパ浮腫は間質液の貯留とリンパ管での不十分な排液が原因と言われており、手術での腋窩のリンパ節除去や術後の放射線治療によって起こる。リンパ浮腫の発症率は5.5%~58%と報告されている
・リンパ浮腫により上肢の可動域制限、痛み、皮膚トラブル、うつ病などを呈する
・本研究はリンパ浮腫における上肢の機能低下と運動感覚を調査する。
方法
・57名のリンパ浮腫を有する患者(乳がん後に外科手術、放射線治療、化学療法を行った方)
・被験者を手指の浮腫がある群(29名:HE+群)と手指の浮腫がない群(28名HE-群)に分けた。
・浮腫の重症度(フィギュアエイト)、可動性(modified Kapandji index1:MKI)、運動感覚(Fig2の手指肢位の模倣)、日常生活動作(手指のみ。62-item Hand Function Sort: HFS)を計測した。
図:計測方法 Didem Karadibak (2015)より引用
結果
表:実験結果 Didem Karadibak (2015)より引用
・MKIのスコア(機能的可動域)は手指の浮腫が増悪するほど低い値を示した。手指の浮腫がある群より浮腫のない群でMKIのスコアが高い傾向はあったが、有意差は得られなかった。
・手指の浮腫がない群は浮腫がある群に比べて有意に運動感覚が優れていた。
・浮腫の増悪に伴いHFSのスコアは減少した。浮腫のない群は浮腫のある群に比べて有意に高いHFSスコアを示した。
私見・明日への臨床アイデア
・浮腫の増悪によって可動域や運動感覚の低下が認められた。下肢などに浮腫がある場合に、感覚面の低下も予想して介入をしていきたい。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)