4AT-Jの実施方法とカットオフ|せん妄評価・他尺度との使い分け・最新エビデンス – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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高次脳機能障害

4AT-Jの実施方法とカットオフ|せん妄評価・他尺度との使い分け・最新エビデンス

STROKE LAB / ASSESSMENT GUIDE実施 → 解釈 → 介入

4AT-J

せん妄スクリーニング

「昨日と違う」を、見逃さない。

静かに眠っている人にも、せん妄は起こります。4項目の内訳と「いつから変わったか」を合わせ、原因の評価とケアへつなぐための実践ガイドです。

落ち着かなさだけでなく、普段と違う眠気・反応低下にも注目します。
落ち着かなさだけでなく、普段と違う眠気・反応低下にも注目します。
4点以上せん妄を疑い、臨床評価へ
0〜12点重症度の百分率ではない
約2分家族・病棟への情報確認は別途

医療・リハビリ専門職向け | 資料確認・更新:2026年10月24日

実施前の確認

所要時間と、臨床での進め方

準備 → 実施 → 記録 → 生活で確認

初めて担当するときの流れ

入室時から覚醒を観察→短い認知課題→家族や記録で急性変化を確認→合計と各項目を申し送る。例えば、前日まで会話できた人が当日傾眠。点数と同時に「いつから・普段との差・変動」を伝え、原因評価につなぐ。

01 / 4AT-J

最初に、点数と次の行動を結びつける

合計 意味 その場で行うこと
4〜12点 せん妄の可能性。認知機能障害を伴うこともある。 内訳と急性変化を医療チームへ共有し、診察・原因評価につなぐ。
1〜3点 認知機能障害の可能性。 普段の状態と比較。急な変化があれば点数に関係なく評価を続ける。
0点 この時点では示唆する所見が乏しい。 項目④の情報が十分か確認。新しい変化があれば再評価する。

4AT-Jはスクリーニングです。合計を出したら、必ず覚醒・AMT4・注意・急性変化の内訳を読みます。[1][2]

02 / 4AT-J

準備|普段の状態を知る人につながる

  1. 患者側の条件を整える

    眼鏡・補聴器を確認し、静かな場所で一人ずつ話します。失語や難聴があれば記録。回答を助けるつもりで正答を教えません。

  2. 普段と直近24時間を聞く

    家族や病棟に「いつから変わりましたか」「昨日の食事・会話はどうでしたか」「夜間に混乱はありましたか」と確認します。情報源と確認時刻も残します。

  3. 原票に実際の回答と観察を書く

    使用版は日本語版Ver 1.0。合計だけでなく、AMT4の回答、逆唱の発言、覚醒の様子、変化の具体例を残します。

家族から普段の状態と変化の時期を聞く場面
項目④は、その場で患者に質問するだけでは完成しません。
03 / 4AT-J

4項目の実施と採点

4AT-Jの4項目と配点を整理した評価者向け図
公式日本語版Ver 1.0を基に再構成。逆唱の正答を含むため、患者への提示用には使いません。

以下は公式日本語版の区分に沿った解説です。[1]

  1. ① 覚醒度:0点または4点

    評価中、十分に覚醒して落ち着いていれば0点。起きた直後だけの軽い眠気が10秒以内に解消する場合も0点です。明らかな強い眠気や興奮・多動は4点。氏名の答えを間違えたこと自体を、覚醒度の異常とはしません。

  2. ② AMT4:0・1・2点

    年齢、生年月日、場所(病院・建物名)、今日の日付を尋ねます。全て正解0点、誤り1つは1点、2つ以上または実施困難は2点。英語版の「現在の年」と混ぜず、日本語版の「今日の日付」で行います。

  3. ③ 注意力:0・1・2点

    「今からいう単語をうしろ(逆)から言って下さい」と伝え、「セカイチズ」を逆唱してもらいます。正答は「ズ・チ・イ・カ・セ」。5文字が正しい位置・音節なら0点、誤りが1〜2つまたは途中で辞退は1点、誤り3つ以上または実施困難は2点です。実施困難の背景も書きます。

  4. ④ 急な変化・変動:0点または4点

    覚醒・認知・精神機能の著しい変化や変動が2週間以内に生じ、直近24時間にも明らかに残っていれば4点。該当する変化がなければ0点です。情報未確認は「変化なし」と区別して記載し、総点だけで陰性を確定しません。

04 / 4AT-J

3つの採点例|同じ4点でも対応の焦点が違う

CLINICAL EXAMPLE · 架空例

日中は答えられるが、昨夜から混乱

内訳
覚醒0+AMT4 0+注意0+急性変化4=4点。
読み方
今の受け答えが良くても、直近24時間の明らかな変動を拾った結果。
次の行動
夜間の言動、開始時刻、持続時間、薬の変更や身体症状をまとめて報告。日中の正常な回答だけで終了しません。
CLINICAL EXAMPLE · 架空例

認知症があり、普段から回答が難しい

内訳
0+2+2+0=4点。
読み方
慢性の認知障害が加点へ影響した可能性。
次の行動
「いつもと同じ」を家族・記録で確認。普段より食べない、反応が遅いなどの新情報がないか照合します。
CLINICAL EXAMPLE · 架空例

昨日から眠気が強く、課題を始められない

内訳
4+2+2+4=12点。
読み方
覚醒低下と急性変化が重なる。静かな低活動型でも迅速な評価が必要。
次の行動
全身状態を確認して連絡。予定していた高負荷の練習を進める前に、原因と実施可能な活動を医療チームで判断します。
05 / 4AT-J

陽性後の対応|連絡・原因確認・ケアを並行する

  1. 点数に「変化」を添えて報告する

    例:「14時、4AT-J 8点(0/2/2/4)。昨日は会話が続きましたが、今日は応答が途切れます。看護師に昨夜からの混乱を確認しました」。この形なら、次の担当者が判断に必要な情報を受け取れます。

  2. 原因を調べる情報を集める

    職種の範囲でバイタル、呼吸状態、発熱、食事・水分、排尿・排便、痛み、睡眠、薬の変更を確認します。診断と治療は医療チームへつなぎます。

  3. その人が参加できる条件をつくる

    短い説明、時計・カレンダー、なじみのある人、眼鏡・補聴器を活用。睡眠を妨げる刺激を減らし、水分・栄養は嚥下や循環の制約に合わせます。全員を一律に臥床させず、状態に応じた離床を検討します。

これらはNICEの多面的な予防・管理の推奨に沿う対応です。[4]

医療チームで急性変化とケアの方針を共有する場面
「4AT-Jが高い」より、「何がいつから変わったか」を具体的に伝えます。
06 / 4AT-J

点数が予測すること/しないこと

4AT-Jの4点以上は、現在のせん妄の可能性を評価するための境界です。「せん妄になる未来の確率」や「退院までの日数」の点数ではありません。8点から4点への低下も、障害が50%改善した意味にはなりません。内訳のどこが変化し、普段の活動にどれだけ戻ったかを追います。

日本語版の検証:65歳以上150人

Hasegawaら(2022)は日本語版を検証し、4点を閾値とする妥当性を報告しました。日本語版を使う直接の根拠です。海外版の研究値は、別の集団・言語の情報として読み分けます。[3]

4AT全般の診断精度:感度・特異度とも約88%

Tiegesら(2021)の17研究・3,702評価のメタ解析では、統合感度88%、特異度88%でした。感度88%は「陽性者の88%がせん妄」という意味ではありません。[5]

2026年巻の認知症集団のメタ解析

Keaneらは認知症を伴う人での性能を検討しました。基礎の認知障害がある集団では特異度が低くなりやすいため、陽性後に普段との違いを確かめる実務が一層重要です。[6]

07 / 4AT-J

他尺度との使い分け・再評価

評価 4AT-Jと違う役割
CAM 急性発症・変動、注意障害などの特徴の組み合わせで判定。単純合計ではない。
CAM-ICU/ICDSC NICEがICU・術後回復室で推奨する評価経路。
RASS 興奮・鎮静の程度を共有。0だからせん妄なし、ではない。
HDS-R・MMSE・MoCA 認知機能の評価。急性期の低値から慢性の認知症の程度を決めない。
CAT-R 状態が安定してから、注意をさらに詳しく調べる。

ICUでの使い分けはNICEに従います。[4]

再評価では時刻、睡眠、薬剤・処置、補聴器、急性変化の情報源をそろえて記録します。日常観察と状態変化時の評価を組み合わせ、合計が下がったかだけでなく、食事・会話・睡眠が普段へ戻ったかを確認します。

反復評価を支える2025年の研究

McCartneyらはせん妄のある高齢入院患者で、回復過程における4ATの反復評価を検討しました。経過観察に使う根拠になりますが、日本語版の「何点改善すれば回復」という最小重要差を定めた研究ではありません。[7]

DOWNLOAD / 記録と共有に

検査結果を、生活の支援へ残す

実施条件・観察・試した支援を整理する、STROKE LAB独自の臨床メモです。

臨床メモを開く(PDF)

既存の記録補助PDFです。正式な検査用紙や採点表の代わりではありません。

4AT-J日本語版原票を開く(PDF)

4AT © MacLullich, Ryan, Cash. CC BY 4.0。日本語版Ver 1.0に基づき解説・図を再構成しています。原票の配布元は4AT公式サイトです。

REFERENCES

参考文献・実施資料

  1. 4AT公式.日本語版Ver 1.0(配布ページ・原票).
  2. 4AT公式.User guide and scoring.
  3. Hasegawa T, et al. Reliability and validity of the Japanese version of the 4A’s Test for delirium screening in the elderly patient. Asian J Psychiatr. 2022;67:102918.
  4. NICE. Delirium: prevention, diagnosis and management. CG103, Recommendations(2023年更新).
  5. Tieges Z, et al. Diagnostic accuracy of the 4AT for delirium detection in older adults: systematic review and meta-analysis. Age Ageing. 2021;50:733–743.
  6. Keane A, et al. 4AT screening for delirium in dementia: meta-analysis of diagnostic performance. Dement Neuropsychol. 2026;20:e20250378.
  7. McCartney H, et al. Validation of the 4AT for assessing recovery from delirium in older hospital patients. Age Ageing. 2025;54:afaf166.

実施には公式日本語版Ver 1.0の原票を使用します。事例は架空例です。掲載するケアは医療チームの診断・治療と合わせて調整します。

STROKE LAB / 4AT-J 臨床で使える評価ガイド

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