料理が段取れないとき|工程表カードで台所に戻る練習 高次脳機能障害 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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高次脳機能障害

料理が段取れないとき|工程表カードで台所に戻る練習 高次脳機能障害

COOKING & EXECUTIVE FUNCTION

料理の途中で、次が分からなくなる。工程表カードで台所へ戻る。

材料は分かる。包丁も持てる。それでも、鍋を前にすると次の工程が浮かばず、同じ作業を繰り返したり、火を消したか不安になったりする。料理は手の動きだけでなく、開始、準備、順序、切り替え、安全確認、終了をまとめる生活課題です。頭の中の工程表を台所へ置き、安全を確認しながら支援を減らす。その具体策と、専門施設での一段深いリハビリを整理します。

UPDATED2026
READ約16分
FORご本人・ご家族へ
BYSTROKE LAB
本記事は、医学書院『脳の機能解剖とリハビリテーション』(2024年・408頁)の著者が執筆しています。料理のつまずきは遂行機能障害だけでなく、注意障害、記憶障害、失行、半側空間無視、視野障害、麻痺、感覚障害、疲労などが重なって起こる場合があります。火・電源・包丁の安全に不安がある場合は、自己判断で一人調理を再開せず、主治医・専門職へご相談ください。

Quick Reference
まず知ってほしい5つのこと。
01
料理は、開始・準備・順序・安全判断・終了を同時に管理する高負荷の生活課題です
02
工程カードを使えることと、火・電源・包丁を安全に扱えることは別に評価します
03
工程は一枚に一つの行動へ分け、最後に消火・電源・片づけを独立させます
04
台所は、準備・作業・加熱・完成の場所を分け、今使う物だけ見えるようにします
05
専門施設では、課題分析から始め、手がかりを減らし、別の料理や自宅へ持ち越します
01
Cooking Is More Than Hand Movement

手が動いても、料理は止まる。

A Family’s Voice
「切った野菜を前に、ずっと立ったままになる」

以前は家族の食事を毎日作っていたのに、退院後は台所に入っても動き出せない。材料を全部出したあと、鍋を火にかけたまま別の作業へ移り、何をしていたか分からなくなる。家族が横から次々に指示すると、本人は「分かっている」と怒り、料理そのものを避けるようになる。

これは、料理への意欲や経験が消えたとは限りません。複数の工程を一つの目標へまとめる管理機能が追いつかない状態かもしれません。

料理には、作り方を知っていること以外に、始める、必要な物を集める、正しい順序へ並べる、鍋とまな板の間で注意を切り替える、危険を判断する、最後まで終える、という働きが必要です。遂行機能障害があると、個々の動作はできても、目的と工程をつないだまま行動することが難しくなります。

作業療法で用いられるExecutive Function Performance Testは、簡単な調理などの実生活課題を通して、開始、準備、順序、安全判断、完了を観察する評価です。机上の検査だけでは分かりにくい「材料を前にすると始められない」「途中の中断から戻れない」「終わったつもりで電源が残る」といった生活上の破綻を、実際の行動から整理します。

台所で見える変化 背景にあり得るつまずき
材料を出したまま始めない 開始の合図が作れず、最初の一歩を選べない
同じ具材を何度も切る 完了の確認と、次の工程への切り替えが難しい
途中で別の作業へ移る 目標の保持や注意の転換後に、元の工程へ戻れない
火を消したか何度も確認する 終了の記憶と安全確認の手順が曖昧になっている
家族の声で混乱が増える 調理と会話の二重課題になり、処理量を超えている

豆腐を選ぶ写真

ただし、料理が崩れる理由を遂行機能障害だけで説明することはできません。道具の使い方そのものが分からない場合は失行の記事、片側の食材や器具を見落とす場合は半側空間無視、静かな台所でもすぐ疲れ切る場合は易疲労性の記事が関係することがあります。手の麻痺、感覚、視野、立位バランスも含め、原因を分けることが安全な再開の第一歩です。

02
Put the Plan on the Counter

STROKE LABの視点:頭の中の工程表を、台所へ置く。

料理が止まると、周囲は「レシピを読めば分かる」「前にも作っていた」と考えがちです。しかし、一枚のレシピを読んで、必要な行を探し、鍋の状態と照らし合わせ、終わった行を覚え、次へ進むこと自体が高い遂行機能を求めます。

そこで、料理を一つの長い仕事として渡さず、今する行動だけを、一枚ずつ台所に置くようにします。本人が覚え続けるのではなく、カードが順番を保持し、チェック欄が完了を記録します。頭の中で同時に管理する量を、環境へ分担させる考え方です。

料理工程の途切れ

工程表は、本人を管理するための紙ではありません。本人が自分で次へ進むための、外側の前頭前野として使います。

カードを置いても、家族が横からすべて指示すれば、本人は家族の声を待つようになります。反対に、カードだけを渡して放置すると、安全上の見落としや失敗が増えることがあります。大切なのは、必要な手がかりを入れ、できるようになった分だけ薄くすることです。遂行機能障害の全体像は、親記事の遂行機能障害とは|段取りができなくなるしくみと工程表という武器で解説しています。

03
Three Steps at Home

自宅でできること:安全・カード・配置の3段階。

料理の再開は、最初から以前と同じ献立へ戻すことではありません。安全条件を確認し、一品を小さく分け、台所の配置を手順に変えます。成功の基準は「全部一人で作れた」だけではなく、必要な支援を使い、危険なく終了できたことです。

STEP 1
安全ゲートを確認する
火を使う前に、開始・消火・注意の復帰・危険判断・身体の安定を分けて確認します。
STEP 2
一工程一枚にする
一枚に一つの動作、短い言葉、絵、完了欄。終了確認を独立したカードにします。
STEP 3
一作業一場所へ整える
準備、作業、加熱、完成を分け、今使う物だけを見える場所へ置きます。

STEP 1 火を使う前に、安全ゲートを確認する。

「工程カードを見ながら作れる」だけで、一人調理が安全とは判断できません。料理には、沸騰、煙、熱い器具、床への水こぼれ、刃物、同時進行など、すぐに対応が必要な場面があります。まずは火を使わない盛りつけや材料準備から始め、専門職と相談しながら段階を上げます。

安全ゲート 確認する行動
開始と終了 決めた合図で開始し、最後に火・電源・水・片づけを確認して終了できる
中断から戻る タイマーや声かけで止まったあと、カードを見て元の工程へ戻れる
危険への反応 吹きこぼれ、焦げ、熱、こぼれに気づき、作業を止めて援助を求められる
身体の安定 鍋や食材を持ちながらの立位、方向転換、手の感覚、視野が安全に保たれる
自己管理 疲労や混乱のサインを認識し、途中で休む・中止する判断ができる

どれか一つでも不安がある場合は、火や刃物を使う工程を一人で行わないでください。電子レンジやIHも、設定間違い、加熱後の熱、電源の切り忘れがあるため、安全評価なしに「火が出ないから大丈夫」とは言えません。

段階✅

STEP 2 一品を、一工程一枚へ分ける。

カードは、詳しいレシピを小さな文字で書き直すものではありません。一枚を見たとき、次に何をするかが一つだけ分かる形にします。写真や絵を大きくし、言葉は「材料を並べる」「水を入れる」のように短い動詞へします。完了したら裏返す、右へ移す、チェックを付けるなど、終わったことが目に見える仕組みを添えます。

カード 短い言葉 カードが支えること
1 材料を並べる 開始と準備を一つの場所へまとめる
2 水とだしを入れる 同時に複数の材料を考えない
3 具材を準備する まな板上の作業へ注意を絞る
4 具材を煮る 加熱工程へ移ったことを明確にする
5 火を止めて味噌を入れる 消火を味つけの前提として見える化する
6 盛りつけ・消火確認 完成と安全な終了を独立して確認する

味噌汁工程6つ

工程が多すぎると、カード自体を追う負担が増えます。最初は本人がよく知る一品を選び、カードは必要最小限にします。写真が分かりやすい人、文字が分かりやすい人、実物の配置が分かりやすい人がいるため、同じカードを全員へ当てはめないことも大切です。

STEP 3 台所を、次の行動が見える配置へ変える。

カードが分かりやすくても、台所に調味料、家電、郵便物、洗い物が並んでいれば、必要な物を選ぶ負荷が上がります。作業台を「準備」「切る・準備」「加熱」「完成」の順に分け、左から右など一方向へ流れるようにします。現在の工程で使う物だけを出し、終わった物は完成トレーへ移します。

料理の見える配置

家族の声かけは、強い支援から始めない。

危険がない場面では、本人が止まった直後に答えを言わず、数秒待ちます。次にカードを指す、作業場所を示す、「カードを見よう」と短く伝える、見本を示す、という順に支援します。本人が自分で戻れたら、その方法を言葉にして確認します。危険が迫っている場合は、この順番を待たずに作業を止め、安全を優先してください。

家族の役割は、料理を代わることだけではありません。本人がカードへ戻る時間を守り、危険なときだけ確実に止めることです。
PRINTABLE CHECKLIST
調理再開チェックシート

開始前、調理中、終了、今回の記録を一枚で確認します。

始める前
□ 体調と疲労は安定している
□ 今日作る一品が決まっている
□ 工程カードを準備した
□ 必要な材料だけを出した
□ 見守る人と中止条件を共有した
調理中
□ 一工程ずつ完了を確認する
□ 火や電源をつけたまま離れない
□ 分からなくなったらカードへ戻る
□ 焦ったら一度停止する
終了確認
□ 火・電源を切った
□ 包丁を安全な場所へ戻した
□ 食材を片づけた
□ カードの最終項目を確認した
今回の記録
□ 一人でできた工程
□ 声かけが必要だった工程
□ 次回も支援が必要な工程
□ 疲労や混乱が生じた時点

再開チェック表

Evidence 01
工程を止めて確認する訓練には可能性がある。般化は、生活課題で作り込む。

獲得性脳損傷後のGoal Management Trainingをまとめた系統的レビューでは、12研究が検討され、目標を明確にし、工程を分け、途中で立ち止まって確認する方略は、遂行機能と日常課題の改善に可能性を示しました。特に、本人に意味のある課題、外的な合図、実際の生活場面を組み合わせることが重要と考えられています。

限界:対象疾患、訓練内容、評価方法がそろっておらず、練習していない料理や家庭環境へ効果が自動的に広がるとは言えません。カードを作るだけでなく、実際の台所で使い、次の料理へ段階的に広げる必要があります。

家庭では、危険を減らし、工程を見える形にして成功を作ります。専門施設では、どの工程で止まり、どの手がかりなら自分で戻れ、別の料理へどう持ち越せるかを評価して橋をかけます。
04
Second Track — At STROKE LAB

専門施設で、カードから生活へ橋をかける。

ここからは、少し専門的な話になります。リハビリに関わる方や、もっと深く知りたい方に向けて、専門施設での組み立てをお伝えします。遂行機能は前頭前野だけで完結するものではなく、前頭葉、頭頂葉、基底核、視床、小脳などを含むネットワークが、目標保持、選択、切り替え、自己監視を支えていると考えられています。

専門施設の役割は、レシピを詳しく教えることではありません。どの工程で目標が途切れ、どの種類の手がかりなら本人が再開できるかを、実際の調理行動から特定します。そこから支援を強く入れ、失敗を減らし、できるようになった分だけ薄くします。

名前のついた介入・評価 中身と、自宅との違い
遂行機能の行動評価
EFPT・実調理観察
開始、準備、順序、安全判断、完了を分け、必要な手がかりの強さまで記録する。完成したかだけでなく、どう支援すれば安全に完成するかを見る
Task Analysis
課題分析
一品を工程へ分け、停止、重複、飛ばし、危険、疲労が出る地点を特定する。カードの枚数を一般論ではなく本人の破綻点から決める
Goal Management Training
止まる・目的・手順・実行・確認
作業の途中で一度止まり、今の目的と次の一手を確認する習慣を作る。家族の指示ではなく本人の自己教示へ移す
Errorless Learning
誤りなし学習
初期は正しい工程へ十分な手がかりを入れ、危険な誤りや誤った順序の反復を減らす。成功が安定してから支援を薄くする
Cue Hierarchy & Fading
手がかり階層・フェーディング
実物配置、写真、指差し、短い言葉、見本などを本人に合わせ、過剰な支援から順に減らす。どの支援が残れば自立できるかを決める
Generalization
般化の設計
味噌汁から似た汁物、別の献立、自宅の台所、少しの会話や時間制限へ条件を一つずつ広げる。できた課題を別の生活へ自動的に期待しない

難易度は、料理名ではなく「同時に管理する数」で上げる。

簡単な料理と難しい料理の違いは、材料の数だけではありません。一つの場所で一工程を行う、二つの場所を切り替える、タイマーを使う、途中で別の声かけが入る、二品を同時に進める、というように、同時管理の数が増えるほど遂行機能の負荷は上がります。専門施設では、崩れた理由が分かるように一条件ずつ増やします。

手がかりは、強い順に入れ、必要な順に残す。

ある方は写真カードで戻れます。別の方は、材料を左から並べる実物配置が必要です。言葉が増えるほど混乱する方には、短い指差しだけが合うこともあります。支援の量ではなく、入口を合わせることが重要です。安定したら、療法士の言葉、カードの文章、カード枚数の順に減らし、最終的に本人の短い自己教示へ移します。

専門施設でできること

誤りなし学習を組み合わせたGMTの無作為化比較試験では、獲得性脳損傷後の67名が、自分で選んだ二つの日常課題を練習しました。誤りを起こしにくい条件を加えた方法は、訓練した日常課題の遂行で利点を示しました。一方、広い認知機能や生活の質への追加効果は明確ではありませんでした。料理でも、カードで一品ができることと、すべての献立に自立することは分けて考える必要があります。

+

Our Approach — At STROKE LAB
私たちが軸足を置くのは、料理の完成より「自分で再開できる工程」。
止まらない人を目指すのではなく、止まったあとカードへ戻り、安全に終われる人を目指す。

STROKE LABでは、料理のつまずきを「できる・できない」の二択で見ません。どこで開始が止まるか、何を二重に行うと崩れるか、視覚・言葉・実物のどの手がかりで戻れるか、疲労が何分で表れるかを記録します。火を使う能力と、献立を考える能力と、家族なしで終了確認する能力を分けることで、残せる役割と必要な支援が見えます。

そのうえで、材料を並べる、盛りつける、カードをめくる、タイマーを押す、最後の安全確認をするなど、本人が担える役割から再開します。自立とは、支援がすべて消えることだけではありません。自分に必要なカードや見守りを選び、安全に料理へ参加できることも、生活の回復です。

Evidence 02
GMTと外的手がかりは、慢性期の日常的な遂行機能にも効果を示した。

Tornåsらは、遂行機能障害のある慢性期獲得性脳損傷者70名を、GMT群と心理教育の対照群へ無作為に割り付け、両群へ外的なテキスト合図を併用しました。GMT群では、日常生活の遂行機能に関する質問紙が改善し、効果は6か月後まで維持されました。遂行性注意を要する検査でもGMT群の改善が目立ちました。

限界:最も強い効果は自己報告を中心とする指標で、料理だけを対象にした研究ではありません。工程カードを使えば一人調理が安全になる、という直接の証明ではなく、実生活課題での評価と安全確認が必要です。

Brain Anatomy Video
料理の目標・順序・自己監視を、前頭前野から考える。

前頭前野は、目標を保ち、行動を選び、途中で結果を確認するネットワークの重要な一部です。ただし、遂行機能障害は前頭前野だけで起こるものではありません。症状の背景にある脳のしくみを、著者の講義動画で確認できます。家庭でまねる実技動画ではありません。

遂行機能は、前頭葉・頭頂葉・視床・基底核・小脳などを含むネットワークとして理解することが大切です。

05
When to Seek Help

一人で再開する前に、原因と安全を分ける。

料理中の消し忘れ、焦げ、やけど、切創、転倒があった場合は、環境の工夫だけで再開を判断しないでください。主治医、リハビリテーション科、作業療法士などへ相談し、認知機能だけでなく、視野、感覚、麻痺、バランス、疲労、薬の影響を含めて評価します。

相談先の目安 相談したい状況
主治医・神経内科・脳神経外科 症状が急に悪化した、新しい麻痺・言語・視覚症状、意識の変化、強い頭痛がある
リハビリテーション科・高次脳機能障害支援機関 調理の停止、消し忘れ、工程の重複が続き、注意・記憶・失行・無視の整理が必要
作業療法士 実際の台所動作、必要な手がかり、安全条件、工程カード、家族の支え方を具体化したい

安全が確認できるまでは、本人の尊厳を守りながら役割を残します。材料を選ぶ、野菜を洗う、カードを並べる、盛りつける、完成チェックをするなど、火や刃物を使わない参加方法があります。料理を全面禁止するか、以前どおり任せるかの二択にしないことが大切です。

06
FAQ

よくある質問。

以前は料理できたのに、なぜ急に順番が分からなくなるのですか?

料理は、材料をそろえる、開始する、順番を保つ、複数の作業を切り替える、安全を確認する、終了するという多くの遂行機能を使います。手足が動き、作り方を知っていても、頭の中で工程をまとめて管理する力が低下すると、途中で止まったり同じ工程を繰り返したりすることがあります。

工程カードが使えれば、一人で火を使っても大丈夫ですか?

工程カードを使えることと、火・電源・包丁を安全に管理できることは別です。消火確認、タイマーへの反応、注意がそれたときの復帰、危険への判断、立位や移動の安定性まで確認する必要があります。不安がある場合は一人で火を使わず、主治医や作業療法士などの評価を受けてください。

工程カードには、どのくらい細かく書けばよいですか?

基本は一枚に一つの行動です。文章は短い動詞で、写真や絵を添え、完了欄を付けます。二つの判断が必要なカードは分けます。最後に火・電源・片づけの終了確認を独立したカードとして置くことが重要です。

家族は、どのタイミングで声をかければよいですか?

危険がなければ、まず数秒待ち、本人がカードへ戻る機会を作ります。それでも止まる場合はカードを指す、短い言葉を一つ伝える、見本を示すという順で支援します。安全に関わる場面では待たずに作業を止め、危険を避けてください。

味噌汁は作れても、別の料理になるとできません。練習が無駄なのでしょうか?

無駄ではありません。遂行機能の練習は、練習した課題には効果が表れやすい一方、別の料理へ自動的に広がらないことがあります。工程の共通部分を見つけ、カードの数や手がかりを調整しながら、似た料理、別の台所、少し忙しい条件へ段階的に広げます。

遂行機能障害の料理は、リハビリで改善しますか?

目標管理訓練、誤りを起こしにくい練習、外的手がかり、自己確認の方法などが用いられます。研究では日常の遂行機能や訓練した課題の改善が示されていますが、すべての料理や家庭環境へ自動的に広がるとは限りません。実際の生活に近い課題で、安全性と般化を作り込むことが重要です。
07
STROKE LAB

料理を、もう一度「参加できる生活」に戻すために。

STROKE LAB(東京・大阪)は、脳卒中を中心とする神経疾患専門の自費リハビリ施設です。注意や遂行機能の検査だけでなく、材料をそろえる、工程を切り替える、タイマーへ反応する、終了確認をするなど、実際に困っている調理行動を課題として評価します。

安全を守れる条件で成功を作り、工程カード、実物配置、短い自己教示を本人に合わせます。支援を減らしながら、別の一品、自宅の台所、家族との役割分担へ橋をかけます。診断や急性の医学的評価は主治医を尊重し、私たちは生活・動作・参加の側から支えます。

書籍『脳の機能解剖とリハビリテーション』(医学書院)の表紙
Book
脳の機能解剖とリハビリテーション
医学書院/2024年/408ページ

前頭前野、頭頂葉、視床、基底核など、目標に沿って行動する脳のネットワークを豊富なイラストで解説。本文と連動するYouTube講義動画で、症状の背景を目と耳から学べます。

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Message from CEO
料理を取り戻す鍵は、
全部任せることでも、全部止めることでもない。
STROKE LAB代表 金子唯史

料理は、家事であると同時に、その人の役割、家族への思い、生活のリズムが詰まった活動です。安全が心配だからと台所から完全に遠ざけると、本人は能力だけでなく役割まで失ったように感じることがあります。

一方で、以前できたからと火や包丁を任せることも安全ではありません。私は、安全を分けて評価し、工程を外へ出し、できる役割から戻すことが重要だと考えています。

カードを使うことは、能力がない証明ではありません。本人が自分で次へ進むための道具です。最初は見守りが必要でも、カードへ自分で戻れた、終了確認ができた、別の一品に広げられた。その小さな変化を、生活の回復として一緒に積み上げます。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史

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References

本記事は、国内外の公的情報、遂行機能の生活評価、認知リハビリテーション研究、STROKE LABの臨床経験および下記書籍の枠組みをもとに構成しています。症状の現れ方や安全性には個人差があります。一人での調理可否は、主治医・専門機関へご相談ください(最終確認日:2026年7月13日)。

    • 国立障害者リハビリテーションセンター:高次脳機能障害情報・支援センター
    • Baum CM, Connor LT, Morrison T, Hahn M, Dromerick AW, Edwards DF. Reliability, Validity, and Clinical Utility of the Executive Function Performance Test: A Measure of Executive Function in a Sample of People With Stroke. American Journal of Occupational Therapy. 2008;62(4):446-455. doi:10.5014/ajot.62.4.446.
    • Krasny-Pacini A, Chevignard M, Evans J. Goal Management Training for Rehabilitation of Executive Functions: A Systematic Review of Effectiveness in Patients With Acquired Brain Injury. Disability and Rehabilitation. 2014;36(2):105-116. doi:10.3109/09638288.2013.777807.(第1エビデンスボックス)
    • Tornås S, Løvstad M, Solbakk AK, Evans J, Endestad T, Hol PK, Schanke AK, Stubberud J. Rehabilitation of Executive Functions in Patients With Chronic Acquired Brain Injury With Goal Management Training, External Cuing, and Emotional Regulation: A Randomized Controlled Trial. Journal of the International Neuropsychological Society. 2016;22(4):436-452. doi:10.1017/S1355617715001344.(第2エビデンスボックス)
    • Bertens D, Kessels RPC, Fiorenzato E, Boelen DHE, Fasotti L. Do Old Errors Always Lead to New Truths? A Randomized Controlled Trial of Errorless Goal Management Training in Brain-Injured Patients. Journal of the International Neuropsychological Society. 2015;21(9):639-649. doi:10.1017/S1355617715000764.
    • Bertens D, Kessels RPC, Boelen DHE, Fasotti L. Transfer Effects of Errorless Goal Management Training on Cognitive Function and Quality of Life in Brain-Injured Persons. NeuroRehabilitation. 2016;38(1):79-84. doi:10.3233/NRE-151298.
  • Cicerone KD, Goldin Y, Ganci K, Rosenbaum A, Wethe JV, Langenbahn DM, et al. Evidence-Based Cognitive Rehabilitation: Systematic Review of the Literature From 2009 Through 2014. Archives of Physical Medicine and Rehabilitation. 2019;100(8):1515-1533. doi:10.1016/j.apmr.2019.02.011.
  • 金子唯史:脳の機能解剖とリハビリテーション.医学書院.2024.
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