Comb & Razor Testとは?|半側身体無視の実施方法・採点・カットオフをイラストで解説
Comb & Razor
半側身体無視の評価
整容の左右差を、行動で捉える。
髪をとかす・顔を整える動作を左右に分けて数える検査です。頭部への注意の偏りを、毎朝の「自分で確認できる整容」につなげます。

所要時間と、臨床での進め方
初めて担当するときの流れ
くしと顔面課題を分けて観察する。検者は左右を誘導せず、回数と開始側を記録。検査後の整容で鏡・目印等を試した場合は、基準条件の得点に混ぜず支援効果を記録。
何を測る検査か
Comb & Razor Testは、頭髪・顔面への行為の偏りから半側身体無視を調べる検査です。くしと、ひげ剃りまたは化粧用具を用います。紙面上の探索が良くても、整髪や顔拭きの片側が残る人に実施する意味があります。1997年の開発報告と2000年の採点改訂が基礎です。[1][2]
分かるのは主に頭部・顔面への行為です。片側の袖を忘れる、足を置き去りにする問題は、Fluff Testや実際の更衣・移乗を加えて調べます。
実施の準備と、2課題の進め方
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道具と動作の条件をそろえる
安定した座位で、頭・顔へ手を運べる範囲、痛み、感覚、道具の理解を確認。使用手、髪型、普段の整容習慣、鏡の有無を記録します。ひげ剃りは刃を保護した器具による模擬動作とします。
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くしで30秒間の整髪動作
くしを正中に提示し、髪をとかし続けてもらいます。本人の左・右・左右を判別しにくい動作を、それぞれ数えます。途中で左側への誘導は加えません。
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別の30秒で顔面の課題
ひげ剃り、または化粧パフで顔を整えるまねをしてもらいます。くしと別の記録欄に回数を残します。原報告は男性にひげ剃り、女性に化粧課題を用いています。習慣に合わせて変更した場合は変更条件を記します。
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回数と経過を照合する
どちらから始め、反対側へ移ったか、同じ場所を繰り返したか、いつ止まったかを記録。検査後に声かけで変わるかを調べる場合は、補助なしの成績と分けます。
時間、道具、採点は採用する実施資料にそろえます。[2][3][4]


採点|まず課題別に計算し、その平均を出す

| 課題 | 架空の回数 | 計算 |
|---|---|---|
| くし | L4・R14・A2 | (4−14)/20=−0.50 |
| 化粧 | L6・R10・A4 | (6−10)/20=−0.20 |
| 2課題平均 | 課題別のBを平均 | (−0.50−0.20)/2=−0.35 |
この例は−0.11未満です。左側への整容動作が少ないことを示すため、左への到達範囲と日常の整え残しを確認します。−0.35を「35%の重症度」とは読みません。
計算で間違えやすい点:2課題の回数を先に合算すると、回数の多い課題の影響が強い別の値になります。分母が0なら算出不能。片方が未実施なら、2課題平均は出さず実施した課題の値を残します。
0に近ければ良い、とは限らない
| 結果の例 | 何が起きているか | 次に見ること |
|---|---|---|
| L10・R10・A0:B=0 | 左右へ十分に行為が向かう。 | 日常の整容も仕上がるか。 |
| L0・R0・A20:B=0 | 正中付近だけの動作でも左右差は0。 | 側方へ動けるか、道具理解、開始・継続。 |
| L1・R1・A0:B=0 | 左右差はないが、動作は2回だけ。 | 疲労、動作開始、停止の理由。 |
| くしは右偏り、顔は左偏り | 平均で打ち消されることがある。 | 課題別の結果と習慣・可動域を照合。 |
旧式の左反応割合の基準0.35と、本記事の改訂式−0.11は別指標です。また右−左で計算し百分率で示す資料もあります。報告には式を添えます。[3][4]
結果から生活を見通し、介入を決める
右への偏りが強ければ、左の髪・頬・口角が整え残される可能性を考えます。まず普段の洗面で、本人が終わりと判断した時点の仕上がりを確認します。検査値だけで全身の身体無視や将来の介助量まで決めず、頭部で見つけた偏りを具体的な動作へつなげます。
右の髪を何度もとかし、左へ移る前に終える
- 確認
- 痛みなく左頭部へ手が届くかを確認。日常の整髪でも左が残るかを観察します。
- 試す支援
- 「右→左→仕上がり確認」の短い順序を共有。鏡を理解して使える人には、鏡で確認する一工程を追加します。
- 声かけ
- 「左もやって」だけでなく、「いったん止めて、左の耳の上から整えましょう」と次の動作を一つ伝えます。
- 再評価
- 左へ自分で移った回数/整容の機会、整え残し、必要な促しを記録。
くしは偏らないが、顔拭きの左口角が残る
- 確認
- 顔面の感覚、道具、痛み、鏡の利用条件を確認します。
- 試す支援
- 安全なタオルで頬→口元→反対側という確認順を作り、本人が触って仕上がりを確かめます。
- 再評価
- 拭き残しと、本人が残りに気づくかを測る。くしの点数だけで支援を終了しません。

ほかの検査・研究・再評価
| 併用する評価 | 確認すること |
|---|---|
| BIT | 机上・身体外の探索にも偏りがあるか。 |
| Fluff Test | 頭部以外の体幹・四肢も探せるか。 |
| CBS・実生活観察 | 更衣、食事、移動などの支障と支援量。 |
原著と採点改訂の意義
開発研究は身体無視と身体外の無視が一致しない例を示しました。改訂式は左右への行為の偏りを捉えるための工夫です。点数を、髪型や動作量などの条件と併せて読めるようにします。[2]
身体無視と生活機能の関連
身体無視の系統的レビューでは、脳卒中後の運動・ADLなどの不良な転帰との関連が報告されています。臨床では、整容以外の身体の扱いも確認する理由になります。Comb & Razorの値から個人の転帰を計算する研究ではありません。[5]
検査結果を、生活の支援へ残す
実施条件・観察・試した支援を整理する、STROKE LAB独自の臨床メモです。
既存の記録補助PDFです。正式な検査用紙や採点表の代わりではありません。
参考文献・実施資料
- Beschin N, Robertson IH. Personal versus extrapersonal neglect: a group study of their dissociation using a reliable clinical test. Cortex. 1997;33:379–384.
- McIntosh RD, et al. Improving the clinical diagnosis of personal neglect: a reformulated comb and razor test. Cortex. 2000;36:289–292.
- 太田久晶.半側空間無視のみかた.神経心理学.2025;41:80–87.
- Priftis K, et al. Visual Scanning Training, Limb Activation Treatment, and Prism Adaptation for Rehabilitating Left Neglect: Who is the Winner? Front Hum Neurosci. 2013;7:360.
- Embrechts E, et al. The Association of Personal Neglect with Motor, Activities of Daily Living, and Participation Outcomes after Stroke: A Systematic Review. Arch Clin Neuropsychol. 2024;39:249–264.

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)