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パーキンソン病者は後ろ歩きするとどうなるのか?:理学療法・作業療法のためのリハビリ論文サマリー vol74

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カテゴリー

脳科学,パーキンソン病,歩行

 

タイトル

パーキンソン病における後歩きの研究
Backward walking in Parkinson’s disease👈PubMedへ
Hackney ME et al:Mov Disord. 2009 Jan 30;24(2):218-23

 

内 容

目 的

・台所の流しから離れたり、目の前を車が通ったりする時など、日常的に後ろ向きに歩くことがある。
・PD患者にとってこの後ろ歩きは難しい動きである。
・この研究は、対照群と比較して、軽度から中等度のPDを有する患者の後ろ歩きを評価することを目的とした。

 

方 法

・特発性PD(H&Y範囲:0.5〜3)、年齢および性別が一致した対照群の前歩きと後歩きを評価した。
・参加者は、 PD(平均年齢= 65.1±9.5歳、女性:28%)および74人の年齢および性別の対照(平均年齢= 65.0±10.0歳、女性:23%)の患者が参加した。参加者は、PD以外の神経学的欠損の病歴または証拠があれば除外した。
・UPDRSおよびバーグ・バランス・スケール(BBS)を用いて評価した。転倒群は、過去6ヶ月間に1回またはそれ以上の転倒を報告した人々であった。
・すくみ足は、歩数アンケートFreezing of Gait questionnaire (FOG) によって決定された。
・FOGの項目3でスコアが1以上の場合、すくみ足有するとみなされ、1週間に1回以上の頻度を示している。
・平均UPDRSモーターサブスケール3スコアは27.5±9.2であり、疾患を有する期間は8.2±5.0年であった。
・PDの患者の50%が転倒の既往歴があり、45%がすくみ足が出現する患者であった。
・前後の歩行は、5mのコンピュータ管理された歩道を用いて測定された。
・各方向の試行の結果を平均した。
・対象となる主要な変数は、歩行速度、ストライド長、歩行率(ケイデンス)、BOS:ヒールからヒールの支持基盤(m)、両脚支持期(率)、遊脚および立脚(率)、および機能的歩行プロファイル(Functional Ambulation Profile)であった。
・FAP値は、歩容の変動性を定量化し、速度が脚の長さに正規化されたときのステップの長さ/脚の長さの比とステップ時間の線形関係を構成する。

 

結 果

1
Hackney ME et al:2009)👈PubMedへ

・Velocity-FW(前歩き)では、グループは同様の速度で歩き、両群ともBW(後ろ歩き)中にFWより有意に遅く歩いた。BWでは、PD患者は対照群よりも歩行速度が遅かった。
・Stride Length (m)-PD群では、FWおよびBWの対照群に比べ、有意に短いストライド長で、両群ともFWよりもBW時に有意に短いストライド長で歩いた。
・Swing % -PD群では、FWとBWの両方で対照群よりも遊脚期(率)が短く、両群ともFWと比較した場合、BWでのより短い遊脚期が認められた。
・Stance %-PD群では、FWおよびBWの対照群よりも立脚期の時間が長く、 両群ともFWと比較した場合、より長い立脚(率)がBWに認められた。
・Double Support %-BWでは、PDを有する患者は対照よりも大きい両脚支持率で歩行した。 PDおよび対照群の両方で、BW中の両脚支持率がFWよりも多かった。
・Base of Support (m)-両群とも、FWよりもBW中に有意に広いBOSで歩行した。
・Cadence (steps/min) -PDを有する者は、対照よりも多い歩数で歩いた。
・FAP-PDを有する患者は、FWおよびBWの両方において、対照より有意に低いFAP値を有した。両群とも、FWよりBW中に有意に低いFAP値を示した。
・Variability of Gait Measures-対照およびPDを有する患者は、FWにおける類似の立脚の変動性を有していた。PDを有する患者は、対照よりもBWの立脚の変動性が大きかった。
・PDの患者では、立脚の変動性はBWがFWよりも大きかった。BWは、立脚、歩隔、遊脚において、FWよりも変動性があった。
・UPDRSはFW速度と無相関であった。 FW速度が増加するにつれて、BW速度は増加した。
・BBSスコアが上昇すると、BWとFWの両方の速度が増加した。PDとFWまたはBWの間に有意な関係は見られなかった。

 

2
Hackney ME et al:2009)👈PubMedへ

・上表は、すくみ足の有り/無しの結果をまとめたものである。
・すくみ足有りの群は、無しの群より有意に短い遊脚(%)および長い両脚支持(%)および立脚(%)を有していた。ストライド長に関してはFW変動性において類似していた。すくみ足群は、立脚および遊脚においてより無しの群より変動的であった。
・BWでは、すくみ足有りの群は、無しの群より有意に低いFAPスコア、ストライド長、遊脚期(%)、およびかなり高い立脚(%)を有していた。歩隔はBW変動性において類似していた。すくみ足の群は、より立脚/遊脚共に変動性があった

 

 

まとめ

・後ろ歩きでは視覚的手がかり得られづらく、前歩きよりも固有感受性に大きく依存するため、後歩き中のストライドの長さを伸ばすことができなかったと思われる。
・PDにおける姿勢不安定性は、基底核における固有受容シグナルの異常処理に起因する固有感覚障害に関連している可能性がある。
・PDを患っている人は、特に横方向および後ろ方向に、摂動されると拮抗筋を過度に活性化する。
・PD薬物療法はそれを改善することはほとんどなく、PDにおける後方の不安定性はレボドパ耐性であり、視床下部の刺激によって助けられない。
・変動性は、対照群と比較してPD群の立脚(%)で最も明白であった。
・すくみ足群は、より長い病気期間を有し、よりバランスが損なわれ、すくみ足の無い群と比べやや劣る性能及びより大きな変動性が見られた。
・今回の研究でのPDグループは対照と同様の速度で歩いたが、ストライド長、遊脚および立脚(%)およびFAP値は、対照と比較してFWにおいて低下した。これは、歩行速度が事実上損なわれていないことを示す研究と一致しているが、FWの他の時空間的特徴は発症間もないPDでも影響を受ける。
・本研究は、PDを有する個体は、FWの低下を上回るBWの低下を有することを実証している。
・同様に、正常または軽度に障害のあるFWを有するPD患者は、ターン動作時により大きな障害を示す。Crennaらは、FW機構から分離され、PDの影響を受け易い神経系がターン動作を仲介する可能性が高いことを提案している。
・最近の研究がFWおよびBWのための別個の制御システムの存在を示唆している。 FWとBWが別々の神経システムによって制御される場合、これらのシステムはPDによって差異的に影響を受ける可能性がある。現在の研究は、病気の過程の早い段階で後方システムが影響を受ける可能性があることを示唆している。
・BW障害は後方転倒の傾向に関連している可能性があるため、BWの評価は重要な臨床的ツールとなりうる。
・BW観察は、FWよりも基底核が損なわれる程度をより具体的に示すことができる。
・BWはリハビリにて有用である可能性がある。実際には、多方向歩行と歩行訓練がPD患者の転倒の発生率と歩行の改善を減少させた。
・今後の研究では、BW対FWに対する二重課題のようなタスクの複雑性の増大や踏み台訓練上でのBWなどのリハビリの可能性を探る研究が必要である。

 

私見・明日への臨床アイデア

・PD患者における後ろ歩きの練習は日頃良く見かける光景である。BWは筋の使う場所だけでなく、固有感覚が優位になったり、FWとまた違った神経系を活性化することが窺える。しかし、視覚が使えない、普段行わないなどFWより難しい課題ともなり得、代償の反応も評価して用いるのであれば練習する必要があると思われる。

 

氏名 Syuichi Kakusyo

所属 ケアーズ南林間

職種 理学療法士

経験年数 8年目

 

 

 

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