【2026年版】ARAT(Action Research Arm Test)の評価方法・予後 / 脳卒中後の上肢機能評価 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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【2026年版】ARAT(Action Research Arm Test)の評価方法・予後 / 脳卒中後の上肢機能評価

Action Research Arm Test — Complete Guide for Clinicians

ARATの採点で迷わないための完全ガイド。

ARATは脳卒中後の上肢機能評価における国際標準ツールです。しかし「2点と3点の区別が曖昧」「下位尺度の採点ルールがわからない」という声は新人臨床家に多く聞かれます。本記事では採点手順・信頼性・予後予測・臨床への活かし方を体系的に解説します。

UPDATED2026
READ約12分
FORPT / OT / ST
BYSTROKE LAB

RELIABILITY
0.998ICC
検査者間信頼性。世界的に最高水準の心理測定特性を誇る上肢機能評価ツール
MCID
5.7
臨床的最小変化量(MCID)。この差分を超えると「臨床的に意味のある改善」と判断できる
PROGNOSIS
<10
回復不良の予後カットオフ。発症後早期のARATスコアが予後予測の重要指標となる

Quick Reference
忙しい臨床家のための
要点5項目。
01
ARATは19項目・4下位尺度(把持・握力・つまみ・粗大運動)。総得点0〜57点で高得点ほど良好。
02
採点は最難課題から開始し、3点なら残り全項目も3点、最易課題で0点なら残りも0点とする階層的採点ルール。
03
検査者間信頼性ICC=0.996〜0.998、MCID=5.7点。5.7点以上の変化を「臨床的に意味のある改善」の指標とする。
04
予後予測: 10点未満=回復不良、10〜56点=中等度、57点=良好。発症早期のスコアが最も予測力が高い
05
軽度障害・認知障害・ウェルニッケ失語では感度・適用に限界あり。JTTやFIM運動項目との組み合わせを検討する。

01
Clinical Encounter

臨床現場でこう出会う。

Case Vignette
65歳男性・脳卒中発症6ヵ月・右上肢麻痺:ARATで初回評価を行う場面

石川さん(65歳・男性)。6ヵ月前に左中大脳動脈領域の脳梗塞(ICD-10: I63)を発症。右上肢に弛緩性〜痙性麻痺が残存。BRS右上肢ステージIII、NIHSS 12点(初回)。主訴は「右手が思うように動かない、ご飯が一人で食べられない」。

初回評価所見:肘掛のない椅子座位にて実施。把持(6項目)スコア1点・握力(4項目)0点・つまみ(6項目)0点・粗大運動(3項目)0点。ARAT総計1点(最重度に近い障害水準)。この結果を起点にリハビリプランを立案する。

ARATは「まず最も難しい課題から始める」という特殊なルールがあります。石川さんのように1点という低スコアでも、採点の手順を正しく踏むことが予後予測の精度に直結します。新人の頃は「全項目やらなくていいのか?」と不安になりますが、階層的採点ルールを理解すればむしろ効率的に評価できます。

02
Definition & Epidemiology

定義と疫学。

ARAT(アクション・リサーチ・アーム・テスト:Action Research Arm Test)は、1981年にRaoul Lyle によって開発された上肢機能の観察的評価ツールです。脳卒中・脳損傷・多発性硬化症・パーキンソン病などを対象に、13歳以上で使用可能です。

Definition
ARATとは何か:19項目・4下位尺度の観察的上肢評価。

ARATは把持(Grasp)・握力(Grip)・つまみ(Pinch)・粗大運動(Gross Movement)の4下位尺度で構成されます。各下位尺度内では難易度の高い課題から始め、最難課題で「3点(正常)」なら残り全項目も3点とみなす階層的採点構造を持ちます。これにより最短4課題〜最大19課題の実施で評価が完了します。

開発の背景と国際的普及

01
1981年:原版の開発Lyle RC

大脳皮質損傷後の上肢機能回復を定量的に測定するため、上肢機能検査(UEFT)を修正・体系化して開発されました。

02
2008年:標準化された実施手順の確立Yozbatiran et al.

Yozbatiranらが標準化実施手順を整備。検査者間のばらつきを最小化する採点マニュアルが確立され、国際的普及が加速しました。

03
現在:脳卒中RCTの主要アウトカム指標国際標準

上肢機能を扱う多くのRCTやコクランレビューでARATが主要・副次アウトカムとして採用されており、脳卒中リハビリテーション研究の共通言語となっています。

STROKE LABでの無料相談の様子

— ご本人・ご家族の状況を丁寧にお伺いします

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「もっと回復できるはず」という思いに、専門家が向き合います。

STROKE LABは脳卒中専門の自費リハビリ施設です。ARATスコアを含む詳細な評価をもとに、個別化されたプログラムを提供します。退院後のリハビリにお悩みの方は、まず無料相談からご相談ください。

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03
Neural Mechanism

神経メカニズムと責任病巣。

Neural Background
ARATが評価する上肢機能はどの神経回路に依存するか。

ARATが測定する巧緻性・把持・粗大運動は、主に一次運動野(M1)・補足運動野(SMA)・皮質脊髄路に依存します。特に精細な把持・つまみ動作は対側のM1手指領域の損傷に鋭敏に反応します。

ARATスコアに影響する主要病巣

大脳皮質損傷後の上肢機能低下はARATの把持・つまみスコアに直接反映されます。皮質下(放線冠・内包後脚)病変は粗大運動よりも巧緻性に影響しやすく、ARATのサブスコアパターンが病巣の手がかりになります。

EVIDENCE
ARATと皮質脊髄路損傷の関係 [観察研究]

Stinear et al. (2017) Brain: 発症後72時間以内の拡散テンソル画像(DTI)による皮質脊髄路損傷指標とARATスコアの相関を検討(n=83)。皮質脊髄路の損傷が重篤なほど発症3ヵ月後のARATスコアが有意に低値であり(r=0.72, p<0.001)、早期画像評価がARATによる機能評価の補完となることが示されました。

臨床応用:ARATスコアが低い患者では皮質脊髄路の温存度を意識し、残存する副運動野経路を活用した課題練習を計画することが重要です。

04
Differential Diagnosis

鑑別診断:他の上肢評価ツールとの使い分け。

ARATは万能ではありません。患者の障害像・評価目的に応じて他のツールとの使い分けが必要です。下表を参考に選択してください。

評価ツール ARATとの共通点 鑑別ポイント(使い分け) 参考検査・補完場面
FMA-UE
Fugl-Meyer上肢
脳卒中後上肢機能評価・高い信頼性 FMA-UEは関節運動パターン・筋緊張・反射も含む神経学的評価。ARATは実用的動作能力の評価。重症〜軽症まで感度が高い。 神経学的回復を詳細に追う場合はFMA-UE。日常動作への応用を測る場合はARAT。
BBT
Box & Block Test
把持・巧緻性を評価・脳卒中対象 BBTは60秒で何個ブロックを移せるかを測定(速度・巧緻性)。ARATより軽度障害に感度が高い。 ARATで天井効果が出た軽度障害患者にBBTを追加。
MAL
Motor Activity Log
脳卒中後上肢機能・予後予測に有用 MALは日常生活での麻痺手の使用頻度・質を自己報告式で評価。ARATは観察式。主観と客観の乖離確認に有用。 ARATとMALの乖離が大きい場合は「learned non-use(習得性不使用)」を疑う。
WMFT
Wolf運動機能検査
上肢機能・脳卒中・質と速度を評価 WMFTは17課題の時間計測+質評価。ARATとの中〜良好な相関あり。研究文脈でよく用いられる。 研究参加時やCI療法の効果測定時にARATと組み合わせて使用。
ARATとFMA-UEは相補的な関係にある。「何ができるか」を測るのがARAT、「どう動いているか」を測るのがFMA-UEと覚えておこう。

05
Scoring Criteria

評価尺度と採点基準:完全網羅。

ARATの採点はシンプルに見えて、細かいルールがあります。各下位尺度の課題・採点基準・カットオフ値・解釈を完全に把握しておきましょう。

EQUIPMENT
必要物品リスト
— 事前に必ず揃えてから開始
肘掛のない背もたれ付き椅子・テーブル
様々なサイズの木製ブロック(小・中・大)
クリケットボール・研ぎ石・合金チューブ
ワッシャー・ボルト・コップ2個
ビー玉・金属ボール・蓋
POSITIONING
標準ポジショニング
— テスト中ずっと維持すること
直立座位・頭部ニュートラル・足底接地
体幹が背もたれに接した状態を維持
両前腕を前傾させテーブル上に置いてスタート
粗大運動課題のみ両手を膝上から開始

採点基準の完全網羅:19項目・4下位尺度

下位尺度・項目 採点基準(0〜3点) カットオフ・解釈
【把持 Grasp】
木製ブロック(大・中・小)
クリケットボール・研ぎ石・蓋
(計6項目)
3:正常動作で棚に移動完了
2:完了したが動作が遅い/質低下
1:課題が部分的に実行される
0:動作なし
最大18点。最難課題(小ブロック)で3点→全項目3点。最易課題(蓋)で0点→全項目0点。
【握力 Grip】
コップ×2・合金チューブ
ワッシャー/ボルト
(計4項目)
3:テーブルの反対側へ正常に移動
2:完了したが動作が遅い/質低下
1:部分的に実行される
0:動作なし
最大12点。握力は4項目のため、サブスコア0点の場合は日常動作での把持能力も乏しい。
【つまみ Pinch】
ビー玉・金属ボール×2
ワッシャー(直径3サイズ)
(計6項目)
3:微細なつまみ動作で正常に移動
2:完了したが動作が遅い/質低下
1:部分的に実行される
0:動作なし
最大18点。巧緻性・精細運動の指標。ADL(食事・書字・更衣)への直接的影響が大きい。
【粗大運動 Gross Movement】
腕を頭上に置く
腕を頭の後ろに置く
口元に手を置く
(計3項目)
3:静止位置に正常に到達
2:到達したが動作が遅い/質低下
1:部分的に実行される
0:動作なし
最大9点。肩肘の機能を反映。粗大運動のみスコアがある場合は近位優位麻痺を示唆。
【合計スコア】 0〜57点(高得点=良好) <10点=回復不良|10〜56点=中等度|57点=良好。MCID=5.7点。

SCORING CRITERIA / DEEP DIVE
測定特性:信頼性・妥当性・MCID [複数RCT]

信頼性 [複数RCT]:テスト-再テスト信頼性ICC=0.965〜0.968、検査者間信頼性ICC=0.996〜0.998(Yozbatiran et al., 2008, Neurorehabilitation and Neural Repair)。パーキンソン病集団でもテスト-再テスト0.99が確認されています。

妥当性 [複数RCT]:FMA-UE・MASとの同時妥当性が高く、WMFT・MAL・脳卒中影響尺度(SIS)との予測妥当性も良好〜中程度の相関(van der Lee et al., 2001)。

MCID(臨床的最小変化量):5.7点(Lang et al., 2013, Stroke)。5.7点以上の改善を「臨床的に意味のある変化」の基準として使用する。

制限事項:軽度障害では天井効果が生じやすい。「2点と3点の境界」の時間定義が原著に明示されていないため、施設内での採点基準統一が必要。認知障害やウェルニッケ失語症では指示理解の困難が結果に影響する。

06
Evidence-Based Intervention

介入のエビデンス。

ARATスコアを改善するエビデンスのある介入を優先度の高い順に示します。パラメータ(時間・回数・頻度・強度)を明記するので、プログラム立案の参考にしてください。

01
課題指向型練習(Task-Oriented Training)[SR/MA]

Pollock et al.(2014, Cochrane)のSRでは、課題指向型練習がARAT改善に最も強いエビデンスを示しました。推奨パラメータ:1回45〜60分・週5日以上・4〜8週間継続。日常動作(食事・更衣など)を直接練習課題とすることで転移学習が促進されます。

02
末梢電気刺激(NMES)+課題練習の組み合わせ[複数RCT]

Bertolucci et al.(2014)らの複数RCTでは、前腕伸筋へのNMES(30Hz・感覚閾値上)と課題練習の組み合わせがARAT改善に単独練習より優れた効果を示しました。推奨パラメータ:NMES 20〜30分+課題練習30分・週3〜5回・6週間

03
ロボット補助療法(ARM/HAND robot)[SR/MA]

Mehrholz et al.(2018, Cochrane)のSRでは、上肢ロボット療法が通常療法と比較してARAT改善に有意な効果(SMD=0.28)を示しました。推奨パラメータ:1回45分・週3〜5回・4〜8週間。中〜重度麻痺患者で有用性が高い。

04
短縮版ARAT(ARAT-2)を活用した急性期モニタリング[単独RCT]

Buch et al.(2019, Disability and Rehabilitation, n=117)では、発症3日・10日・4週にARAT-2(2課題版)が全19項目ARATと高い相関を示しました。急性期には2課題(コップ移し・頭上動作)だけで上肢活動能力のスクリーニングが可能。ただし発症10日目以降は天井効果が早期に出現するため補完評価が必要です。

EVIDENCE
短縮版ARATと全ARATの比較研究 [単独RCT]

Buch et al. (2019) Disability and Rehabilitation, n=117:脳卒中初発・上肢機能障害のある成人117名を対象に、ARAT-2とオリジナルARAT・FMA-UEを発症後3日・10日・4週間に評価。ARAT-2はすべての時点でARATおよびFMA-UEと強い相関を示し、変化に対する反応性も同等でした。

結論:急性期(時間制約のある場面)ではARAT-2で上肢活動能力をスクリーニングし、高スコア患者にはBBTやWMFTで補完することを推奨します。

STROKE LAB代表 金子唯史
Message from CEO
「ARATのスコアは、諦める理由ではありません。」

ARAT1点という結果が出ても、そこからの回復の余地は必ずあります。STROKE LABでは発症初期の評価データをもとに、個別化された課題指向型プログラムをご提供しています。「病院のリハビリが終わってしまった」という方こそ、一度ご相談ください。

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07
Interprofessional Collaboration

多職種連携と環境調整。

ARATを中心とした多職種の役割分担

ARATのスコアは多職種が共有する共通言語になります。各職種がどのデータを参照し、何に介入するかを整理しておきましょう。

職種 ARATに関連する評価項目 主な介入内容 他職種との連携ポイント
OT
(作業療法士)
ARAT全19項目の実施・解釈、FMA-UE、MAL、ADL評価(FIM) 課題指向型練習・ADL練習・NMES・自助具提案・環境調整 ARATサブスコアをカンファレンスで共有し、PT・STの練習計画と連動させる
PT
(理学療法士)
肩関節可動域・体幹機能・座位姿勢(ARATの実施環境に直結) 体幹・肩甲帯の安定化練習・座位バランス改善・痙縮管理 粗大運動スコアが低い場合は肩の可動域・体幹制御からアプローチするようOTに提案
ST
(言語聴覚士)
失語症・認知機能(ARATの指示理解能力に影響) コミュニケーション支援・代替指示方法の提案・認知機能評価 ウェルニッケ失語や重度認知障害時はARAT実施前にSTと指示方法を協議する
看護師 日常生活での麻痺手使用状況・疼痛・浮腫の観察 食事・更衣での麻痺手使用促進・ポジショニング管理・浮腫ケア 病棟での麻痺手使用状況をOTに報告し、ARATスコアとの乖離を確認する
医師 NIHSS・神経学的診察・画像所見(ARATの予後予測と連動) 痙縮に対するボツリヌス療法の適応判断・リハ処方 ARATスコアの推移を退院判断・転院先選定の参考データとして共有する
MSW
(医療ソーシャルワーカー)
生活環境・介護力・社会資源(ARATスコアの在宅復帰可能性に関与) 退院先調整・介護保険申請・住宅改修相談・自費リハ紹介 ARATスコアをもとに「どの程度のADL支援が必要か」を在宅支援計画に落とし込む
Clinical Insight

「ARATサブスコアのパターンは、多職種カンファレンスの共通言語になります。たとえば粗大運動スコアだけが低い場合はPTへ肩・体幹の評価を依頼し、つまみスコアが低い場合は自助具や環境調整をOTと協議する。数字が話し合いの出発点になります。」

「食事場面でのMALスコアとARATの乖離が大きいときは、learned non-use(習得性不使用)を疑ってください。病棟看護師と連携して麻痺手の使用状況を観察してもらうことが大切です。」

08
Clinical Pitfalls

つまずきポイントと臨床判断のコツ。

新人臨床家がARATで最もよく間違えるのは「採点ルールの誤解」「スコアの解釈ミス」「検査環境の不統一」の3点です。それぞれ確認しておきましょう。

Pitfalls — よくある失敗パターン
新人臨床家が陥りやすい3つのつまずきポイント
!
「最難課題からではなく、最易課題から始めてしまう」:ARATは各下位尺度内で最難課題から開始が原則です。最易課題から始めると効率が下がるだけでなく、採点の階層ルール(最難3点→全項目3点)が機能しません。テスト前に採点ルールを声に出して確認する習慣をつけましょう。
!
「2点と3点の境界で曖昧な採点をしてしまう」:「異常に時間がかかる」の時間的定義は原著に明示されていません。施設内で事前に基準を統一(例:各課題の制限時間を60秒とする)しておかないと、検査者間でばらつきが生じます。同一施設のセラピスト間でビデオ採点練習を行うことを推奨します。
!
「ARATの総合点だけを見て下位尺度を分析しない」:合計スコアが同じ10点でも、把持10点・他0点の患者と粗大運動10点・他0点の患者では、機能プロフィールも介入アプローチも全く異なります。必ずサブスコアを別々に記録・比較し、介入計画に反映させましょう。

認知障害・失語症患者へのARATの工夫

Mentor’s Voice

「失語症の患者さんにARATを行うとき、口頭指示だけでなくジェスチャーやデモンストレーションを組み合わせてみてください。それでも指示が通らない場合は、採点の前提条件が崩れているため、信頼性の高い評価ができていないと記録に明示することが重要です。」

「ARATスコアが低いとき、それが本当に運動機能の問題なのか、理解・注意・遂行機能の問題なのかを区別することが大切です。FIM認知項目やMMSEのスコアと照合して解釈しましょう。」

ARATのスコアは「ある時点での能力の断面」。経過追跡でMCID(5.7点)を超えるかどうかが、介入効果の最重要判断基準となる。

09
Prognosis & Goal Setting

予後とゴール設定。

ARATスコアはゴール設定の出発点になります。発症早期のスコアが低いほど予後不良の傾向がありますが、介入の質と量によって予後は変化します。

Prognosis Guide
ARATスコア別の予後予測と臨床的含意。

【10点未満】回復が不良である傾向が高い。ADLの代償動作・環境調整・介護者指導を優先。上肢機能訓練は粗大運動から段階的に行う。【10〜56点】中等度の回復が期待できる。課題指向型練習・NMES・ロボット療法などを積極的に実施。定期的なARATによる経過評価でMCID(5.7点)の達成を確認する。【57点達成後】天井効果が出るため、BBTや9ホールペグテストなど高感度ツールに切り替える。

発症後3〜6ヵ月が機能回復のクリティカルウィンドウです。この期間に集中的な課題指向型練習を提供できるかどうかが、長期予後を左右します(Lang et al., 2013, Stroke)。

「ARATの予後カットオフはあくまで参考値。介入の質・量・タイミングが予後を動かすことを忘れないでください。」— van der Lee et al., 2001

10
FAQ

よくある質問。

Q. ARATの総得点の範囲とカットオフ値はどう解釈すればよいですか?
A.

ARATの総得点は0〜57点です。10点未満は上肢機能回復が不良、10〜56点は中等度回復、57点は良好な回復と相関します。カットオフスコアは固定ではなく、経過観察での変化量(MCID:5.7点)を重視してください。

Q. ARATの4つの下位尺度と実施順序を教えてください。
A.

4つの下位尺度は把持(6項目)・握力(4項目)・つまみ(6項目)・粗大運動(3項目)です。各下位尺度内で最も難しい課題から始め、満点(3点)なら残り全項目も3点とみなします。最も易しい課題で0点なら残りも0点とします。

Q. ARATの検査者間信頼性はどの程度ですか?
A.

ARATの検査者間信頼性(ICC)は0.996〜0.998と非常に高い値が報告されています。テスト-再テスト信頼性も0.965〜0.968と高く、臨床で繰り返し使用しても安定した値が得られます。

Q. 短縮版ARAT(ARAT-2)はいつ使うべきですか?
A.

急性期(発症3〜10日)など時間的制約がある場面でARATの2項目版(コップからコップへ水移し、頭上に手を置く)が有用です。オリジナルARATとの高い相関が確認されていますが、天井効果が早期に出るため、高機能患者には全19項目での評価を補完してください。

Q. ARATで2点と3点をどう区別すればよいですか?
A.

2点は「動作は完了したが、異常に時間がかかるか質が低下している」、3点は「正常な動作で完了」です。ただし「異常に長い」の時間的定義は原著に明示されていないため、同一検査者が基準を統一することが重要です。施設内での採点基準の擦り合わせを行ってください。

Q. ARATが不向きな患者はどんなケースですか?
A.

軽度上肢障害(天井効果)、重度認知障害、ウェルニッケ失語症(指示理解が困難)では結果の質が低下します。軽度障害にはJTT(九孔ペグテスト等)、重度認知障害にはFIM運動項目との組み合わせが推奨されます。

11
Our Program

STROKE LABのプログラム。

STROKE LABは、東京都を拠点とする脳卒中専門の自費リハビリテーション施設です。ARATをはじめとした標準化された評価を用いて、お一人おひとりの上肢機能を正確に把握し、エビデンスに基づいたプログラムを提供しています。退院後も「もっと回復できるはず」という思いをお持ちの方のご相談をお待ちしています。

STRENGTH
STROKE LABの強み
— 専門特化だからできること
ARATを含む標準化評価による個別プログラム立案
脳卒中専門セラピストによる密度の高いリハビリ
退院後・生活期からでも介入可能
APPROACH
取り組める内容
— 上肢に特化した課題指向型アプローチ
食事・更衣など日常動作を直接練習課題とした課題指向型訓練
NMES(末梢電気刺激)併用訓練
定期的なARAT評価による効果測定と目標修正

— STROKE LABでの上肢リハビリテーションの実際

Voice from Mentors

「発症後3ヵ月のARATが4点という患者さんを担当したことがあります。初回は把持も握力もほぼゼロで、自分も家族も落胆していました。私はARATのサブスコアを分析して粗大運動だけに1点残っていることに注目し、肩・肘を動かす課題から段階的に練習を始めました。3ヵ月後の再評価でARATが11点になり、自分でスプーンを持てるようになりました。MCIDの5.7点を超えた瞬間に、患者さんが涙を流していたのを今でも覚えています。」— 作業療法士・経験7年・脳卒中上肢リハビリ専門

「急性期病棟でARATを実施しようとしたとき、患者さんが失語症でほとんど指示が通りませんでした。その場では採点をあきらめて、翌日STと相談してジェスチャーとデモンストレーションを組み合わせた実施方法を考えました。正式な採点ではないと記録に明示しつつ、粗大運動3課題だけ評価することができました。その経験から、ARATの限界を知ることが逆に正確な評価につながると学びました。」— 作業療法士・経験4年・急性期・回復期経験

Message from CEO
上肢のリハビリを、
諦めないでください。

STROKE LAB代表 金子唯史 ポートレート

ARATのスコアが低くても、それはあなたの可能性の限界ではありません。数字は現在地を教えてくれるものであり、これからの歩みを止めるものではないと私は信じています。

STROKE LABでは、退院後も続けて上肢のリハビリに取り組みたい方、病院での訓練に物足りなさを感じている方、もう一度自分の手で食事をしたい方のご相談を何度でも丁寧にお聞きします。

まずは無料相談から始めましょう。あなたの現状とご希望をお聞かせください。最善のリハビリプログラムをご提案します。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史

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References

参考文献。

01 Lyle RC. A performance test for assessment of upper limb function in physical rehabilitation treatment and research. International Journal of Rehabilitation Research. 1981;4(4):483-492.
02 Yozbatiran N, Der-Yeghiaian L, Cramer SC. A standardized approach to performing the action research arm test. Neurorehabilitation and Neural Repair. 2008;22(1):78-90.
03 van der Lee JH, Beckerman H, Lankhorst GJ, Bouter LM. The responsiveness of the Action Research Arm test and the Fugl-Meyer Assessment scale in chronic stroke patients. Journal of Rehabilitation Medicine. 2001;33(3):110-113.
04 Lang CE, Edwards DF, Birkenmeier RL, Dromerick AW. Estimating minimal clinically important differences of upper-extremity measures early after stroke. Archives of Physical Medicine and Rehabilitation. 2008;89(9):1693-1700.
05 Buch ER, et al. Evaluation of a short assessment for upper extremity activity capacity early after stroke. Disability and Rehabilitation. 2019;41(22):2614-2621.
06 Stinear CM, et al. PREP2: A biomarker-based algorithm for predicting upper limb function after stroke. Annals of Clinical and Translational Neurology. 2017;4(11):811-820.
07 Pollock A, et al. Interventions for improving upper limb function after stroke. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2014;(11):CD010820.
08 Mehrholz J, et al. Electromechanical and robot-assisted arm training for improving activities of daily living, arm function, and arm muscle strength after stroke. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2018;(9):CD006876.
09 金子唯史. 脳卒中の動作分析. 医学書院. 2018.

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