2017.04.06神経系
vol.90:脳卒中患者の歩行訓練におけるFES刺激位置 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
歩行・神経系
タイトル
脳卒中患者の歩行訓練におけるFES刺激位置Comparison of Gait Aspects According to FES Stimulation Position Applied to Stroke Patients?PMCへByeong-mu mun et al.(2014) The Society of Physical Therapy Science.
はじめに
•はじめに脳卒中患者の正常歩行パターンを確立するために、機能的電気刺激(FES)が最近使用されている。
•FESの治療的介入は、筋力の集中的強化のために協調運動中の麻痺側の制御能力を高めることができる。
•損傷後の残存している神経伝導路上の機能的電気刺激は、患者の失われた運動能力を改善することができ、能動的および反復的運動中の患者に対する再学習を最大限にするのに役立ち得る。
FES治療における本研究以前のエビデンス紹介
•FESによる歩行訓練に関する先進的な研究では、背屈筋に適用されたFESは、swing相において背屈筋を促通させることによりdrop footを防止する。さらに底屈筋の痙性低下により歩行速度を上げることに有効である。
•Leeらによって中殿筋に対するFES刺激が、脳卒中患者の歩行能力を高め、患者の日々の行動範囲および独立歩行に寄与すると述べた。
•Bogatajらは、FES刺激が、他の治療法よりも脳卒中患者において歩行速度または協調的な動作能力に速い効果を示すことを報告した。
•Ngらは、FESと組み合わせた歩行訓練が一般的な理学療法より効果的であると報告した。
• Kimらは、股関節外転筋の回復は股関節の位置を安定化させ、独歩とバランス回復の重要な要素であると述べ、背屈筋と股関節外転筋が歩行速度に影響を与えることを報告した。
•Robertsonらは、背屈筋にFES刺激を加え、ABC(活動特有のバランス尺度)を評価することにより、15人の脳卒中患者との4週間のバランストレーニングを行い、FES刺激を受けた試験群が有意な改善を示したことを報告した。
研究目的
•歩行訓練中の脳卒中患者のFESの刺激位置に応じた歩容の特徴を明らかにすることを目的とした。
研究参加者と方法
10例の脳卒中患者を
•FES刺激なしの歩行(非FES)
•前脛骨筋のFES刺激下での歩行(TA)
•前脛骨筋および大腿四頭筋のFES刺激下での歩行(TAQ)
•前脛骨筋および中殿筋のFES刺激下での歩行(TAGM)
をトレッドミル上で行い、歩行を解析した。
研究結果
•FES刺激位置に応じて、歩行速度、歩行周期、歩幅からなる歩容の測定値の分散を繰り返し測定した結果に基づき、FES刺激が有意に歩行に影響を与えることが分かった。
•歩行訓練中のFES刺激は、筋出力の増加および関節の良好な動きを引き出し、姿勢の安定性および非麻痺側のstance相・step長を増加させる。
•それはまた、swing相における足関節の背屈を刺激し、麻痺側のswing相を短縮し、歩行速度を増加させる。
•この研究の唯一の制限は、歩行解析が床面の代わりにトレッドミルで行われたことである。
•結論として、FESを用いた脳卒中患者の歩行訓練中に前脛骨筋のみを刺激するよりも前脛骨筋および大腿四頭筋または前脛骨筋および中殿筋を刺激した方がはるかに効果的であることが分かった。
私見・明日への臨床アイデア
•人の動きは一つずつの筋全てが別個に働き動作を形成しているわけではなく、「シナジー」「モジュール機能単位」といった複数の筋がそれぞれ強弱はあるとしても、より協同的に動作を生成しているため、それらを考慮した刺激入力が機能的と考える。
•トレーニングやハンドリングにおいても同様である。常に動作・全体を見ながら各筋へのアプローチをすべきである。
氏名 Syuichi Kakusyo
職種 理学療法士
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