パーキンソン病で将来が不安で眠れない|原因と対策・自宅でできる工夫
眠れないのは、あなたの弱さではありません。
診断を受けてから、布団に入っても考え事が止まらない。夜中に目が覚めて、そのまま朝まで眠れない。それは気持ちの弱さではなく、体・環境・心が絡み合って起きている反応です。原因を整理し、今夜からできる工夫をお伝えします。

静かな部屋で、一人考えている。
日中は気を張って過ごせていても、夜になり部屋が静かになると、考えたくないことばかり頭に浮かぶ。仕事はどうなるのか、家族に迷惑をかけないか、症状はこの先どう進むのか——。眠らなければと思うほど、目が冴えてしまう。そんな夜を過ごしている方は、少なくありません。
お伝えしたいのは、それは気持ちの弱さではなく、体の変化と環境、心の状態が重なって起きている自然な反応だということです。
パーキンソン病では、不眠や不安を抱える方がとても多いことがわかっています。診断されたばかりの時期は特に、見通しが立たないことへの不安が強く出やすい時期でもあります。まずは、なぜ眠れなくなるのか、そのしくみを一緒に整理していきましょう。リハビリの全体像はリハビリ完全ガイドにまとめています。
なぜ眠れなくなるのか。3つの原因。
「眠れない」「不安」とひとことで言っても、その背景には体の要因・生活環境の要因・心の要因が重なっていることがほとんどです。どれか一つに決めつけず、自分に当てはまるものを探してみてください。
| 原因の種類 | どういうことか |
|---|---|
| 夜間の体の症状 | 寝返りが打ちにくい・足がつる・薬の効果が切れて体が動かしにくくなる、といった夜間無動 |
| 自律神経・睡眠自体の変化 | 夜間頻尿、体温調節の乱れ、眠りが浅く途中で目が覚めやすいこと、夢の内容通りに体が動いてしまうことがあるレム睡眠行動障害 |
| 心理的な要因 | この先どうなるかという見通しの立たなさ、家族に迷惑をかけるのではという不安、静かな夜に考え事が反すうしやすいこと |
| 生活リズム・環境 | 日中の活動量や日光を浴びる機会が減り、体内時計が乱れやすいこと。寝室の温度や寝具が体に合っていないこと |
大切なのは、不安と不眠はお互いを強め合う関係にあると知っておくことです。不安があると眠れず、眠れないと日中の気分や症状の感じ方が悪くなり、さらに不安が強まる。この悪循環のどこかを断ち切ることが、対策の目的になります。

STROKE LABの視点:夜を「体・環境・心」で整える。
原因が体・環境・心の3つに分かれるなら、対策もこの3層を同時に整えることが近道になります。どれか一つだけを頑張るのではなく、無理のない範囲で少しずつ、3つに手を伸ばしてみてください。

体の層:夜間の動きやすさを整える。寝返りのしにくさや足のつりを和らげる工夫で、体が原因の目覚めを減らします。
環境の層:一日のリズムと寝室を整える。朝の光、日中の活動、寝室の温度や明るさを、眠りやすい方向にそろえます。
心の層:考え事の置き場所を作る。不安を布団の中で抱え続けないよう、考える時間と眠る時間を切り分けます。
次の章では、この3層それぞれについて、今日から自宅でできる具体的な工夫をお伝えします。すべてを一度に行う必要はありません。できそうなものから、一つずつ試してみてください。
自宅でできる工夫。
体の工夫。寝る1〜2時間前に、軽いストレッチや体をほぐす体操を行うと、体のこわばりがやわらぎ、寝返りがしやすくなります。つるつるとした素材のパジャマやシーツは、体が布団の上で滑りやすくなり、寝返りの負担を減らせます。ベッドに手すりを付ける、起き上がり用のロープを使う、といった工夫も助けになります。薬の効果が切れる時間帯に夜間の症状が強く出る場合は、服用のタイミングについて主治医に相談してみてください。
環境の工夫。朝、カーテンを開けて日光を浴びることは、体内時計を整える第一歩です。日中は座りっぱなしを避け、無理のない範囲で体を動かす時間を作りましょう。運動の具体的な内容は体操・自主トレ大全を参考にしてください。就寝前は照明を少し落とし、寝室の温度を快適に保ちます。夜間頻尿が気になる場合は、就寝2〜3時間前から水分量を少し調整するのも一つの方法です。
心の工夫。布団に入ってから考え事をするのではなく、夕方など決まった時間に、心配事を紙に書き出す時間を作ってみてください。書き出すことで、頭の中だけで考え続けることを減らせます。一人で抱え込まず、家族に「実はこんなことが不安で」と話しておくのも大切な工夫です。寝る前は、ゆっくりとした呼吸を意識するだけでも、気持ちが落ち着きやすくなります。夜中にインターネットで病気の情報を検索し続けると、かえって不安が強まることがあるため、調べ物は日中の決まった時間にする、というルールを作るのもおすすめです。

パーキンソン病の方を対象に、就寝前の考え事を減らす・生活リズムを整えるといった睡眠に関する行動面の工夫を取り入れた研究では、薬による治療と組み合わせることで、睡眠の質に関する指標が改善したと報告されています。
限界:対象人数が限られた研究であり、効果には個人差があります。行動面の工夫は薬や専門的な治療の代わりではなく、組み合わせて使うものです。
不眠や不安の背景が体・環境・心と多岐にわたる以上、リハビリも単一のテクニックの反復では不十分です。STROKE LABでは、次の3方向を組み合わせて設計します。
1. 夜間動作の専門的な評価と練習。寝返りや起き上がりの動作を実際に確認し、その方に合った回転のしかた、支えの使い方を具体的に練習します。
2. 生活リズムを整える運動処方。やみくもに運動するのではなく、体内時計への影響を考えたうえで、行う時間帯や強度を調整した運動を提案します。
3. 家族を含めた心理教育。病気の経過について正確な情報を、ご家族も交えて共有します。見通しの立たなさそのものが不安の大きな要因であるため、正しい情報を知ることが安心につながります。
薬の調整や気分の落ち込みへの専門的な対応は、主治医・専門医の役割です。私たちは、体の動きと生活リズム、そしてご家族を含めた情報共有の側から、眠れる夜に近づく土台をつくります。効果には個人差があり、進行に伴って状態も変化します。
パーキンソン病の方を対象とした運動介入の研究では、定期的な運動を続けた群で、睡眠の質に関する自己評価の指標が、運動を行わなかった群より改善したと報告されています。日中の活動量が、夜の眠りやすさに関わっていることを示す結果です。
限界:運動の種類や強度によって効果は異なり、個人差もあります。強すぎる運動や就寝直前の運動は、かえって寝つきを悪くすることもあるため、時間帯や内容は専門職と相談しながら決めることをおすすめします。
脳リハ.comのYouTubeでは、日中に取り入れやすい体操を配信しています。生活リズムを整える土台として、無理のない範囲で習慣にしてみてください。
専門リハと、受診の目安。
専門のリハビリでは、夜間の動作や日中の過ごし方を実際に確認しながら、その方の生活に合わせて工夫を組み立てます。「なぜ眠れないのか」を体の動き・生活リズム・心理面から一緒に整理すること自体が、見通しの立たなさによる不安を和らげる助けになります。薬の調整は主治医の役割で、私たちは生活と動作の側から支えます。
受診の目安は、眠れない状態が長く続き日中の生活に支障が出ている、気分の落ち込みが強く何も手につかない、夢の内容通りに激しく体が動いてけがをしそうになる、といったときです。不眠や不安の背景には、うつ症状など専門的な対応が必要なものが隠れていることもあります。自己判断せず、主治医に相談してください。専門的な費用や施設の選び方は自費リハビリの費用・施設の選び方にまとめています。

よくある質問。
Q. 眠れない・不安が続くのは、パーキンソン病と関係がありますか?
Q. 夜中に寝返りが打てず、目が覚めてしまいます。なぜですか?

Q. 将来が不安で、夜になるといろいろ考えてしまいます。どうしたらよいですか?

Q. 自宅でできる工夫はありますか?
Q. 家族は、本人の不安にどう接したらよいですか?
Q. 眠れない・不安が続くとき、何科に相談すればよいですか?
眠れない夜の相談は、STROKE LABへ。
STROKE LAB(東京・大阪)は、脳卒中とパーキンソン病を中心とする神経疾患専門の自費リハビリ施設です。夜間の動作や日中の過ごし方を実際に確認し、体・環境・心の3方向から、その方に合った工夫を一緒に組み立てます。ご家族への情報共有もあわせて行い、見通しの立たなさからくる不安を和らげます。薬の調整は主治医を尊重し、生活と動作の側から支えます。保険リハとの併用も歓迎です。

動作分析から自主トレーニングまで
運動を通じて心身の状態を整える考え方を、動作分析の視点から体系化。本文と連動するYouTube動画62本で、実際の動きも確認できます。
夜は少し静かになります。

診断されたばかりの方から、「夜、一人で考えていると怖くなる」というお話をよく伺います。それは決して珍しいことではなく、多くの方が同じ夜を過ごしています。
私たちがお伝えしたいのは、眠れない原因は一つではなく、体・環境・心のどこかから、必ず整えられるところがあるということです。見通しが立つだけで、不安は和らぎます。
眠れない夜、不安な気持ちでお困りなら、どうぞ一度ご相談ください。生活の実際の場面から、一緒に整えていきましょう。
代表取締役 金子 唯史
本記事は、国内外の診療ガイドライン・公的情報と、STROKE LABの臨床経験および下記書籍の枠組みをもとに構成しています。文中の研究引用は生成AIの記憶に基づくものであり、出典の正確性は保証されません。掲載にあたっては必ず原文を確認してください。不眠や不安の背景には他の病気が隠れていることもあります。気になるときは、必ず神経内科・主治医にご相談ください(最終確認日:2026年9月15日)。
- 日本神経学会:パーキンソン病診療ガイドライン2018
- 難病情報センター:パーキンソン病(指定難病6)
- Rios Romenets S, et al. Doxepin and cognitive behavioral therapy for insomnia in patients with Parkinson’s disease—a randomized study. Sleep Med. 2013;14(7):670-675.(要確認)
- Amara AW, et al. Randomized, controlled trial of exercise on objective and subjective sleep in Parkinson’s disease. Mov Disord. 2020.(要確認)
- 金子唯史:パーキンソン病の機能促進(動作分析から自主トレーニングまで).医学書院.2025.

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)