パーキンソン病で人に会いたくなくなる|原因と対策・自宅でできる工夫 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
  1. HOME
  2. ブログ
  3. パーキンソン病
  4. パーキンソン病で人に会いたくなくなる|原因と対策・自宅でできる工夫
パーキンソン病

パーキンソン病で人に会いたくなくなる|原因と対策・自宅でできる工夫

SOCIAL WITHDRAWAL

無表情は、無関心ではありません。

誘われても、行く気になれない。会う前から疲れてしまう。パーキンソン病になってから、そんな変化を感じていませんか。それは性格が変わったのではなく、表情・声・動き・意欲といった症状が、気づかないうちに重なっているサインかもしれません。原因を整理し、今日からできる工夫を紹介します。

UPDATED2026
READ約10分
FORご本人・ご家族へ
BYSTROKE LAB
本記事は、医学書院『パーキンソン病の機能促進(動作分析から自主トレーニングまで)』(2025年・448頁)の著者が執筆しています。気持ちの落ち込みや強い意欲低下が続く場合は、自己判断せず、主治医・神経内科にご相談ください。

Quick Reference
まず知ってほしい5つのこと。
01
「会いたくない」の裏には、表情・声・動き・意欲など複数の症状が隠れていることがあります
02
表情が乏しくなる仮面様顔貌は、動作緩慢の一種で、気持ちがないわけではありません
03
声の変化や動きの遅さが、誤解や気後れにつながることがあります
04
意欲の低下(アパシー)は、うつとは別の症状として現れることがあります
05
一人で抱え込まず、原因を整理し、小さな工夫と受診で対処できます
01
I Don’t Feel Like Going

「行く気に、なれない。」

A Family’s Voice
「最近、誘っても『いいや』と言うことが増えて。人が嫌いになったのかと思っていました」

友人からの誘いを断る。家族の集まりにも気が進まない。会話をしていても、表情が動かず、声も小さくて聞き取りづらい。そんな様子を見て、家族が戸惑うことは少なくありません。

でも、知ってほしいのです。それは性格や気持ちの問題だけではなく、パーキンソン病の症状が重なって起きていることがあるということを。

パーキンソン病では、運動症状と非運動症状の両方が、人と会う場面に影響することがあります。表情が動きにくい、声が届きにくい、動きに時間がかかる、そしてやる気そのものが湧きにくい——。これらが一度に重なると、「会うのが億劫」という気持ちが生まれやすくなります。まずは原因を一つずつ整理し、そのうえで具体的な工夫を見ていきましょう。リハビリの全体像はリハビリ完全ガイドにまとめています。

02
Not Just One Cause

原因は、一つではない。

「人に会いたくない」という気持ちは、単一の症状ではなく、複数の症状が積み重なって生まれることが多いです。どれか一つを見つけるのではなく、自分やご家族に当てはまるものを、いくつでも拾ってみてください。

原因 どういうことか
表情の変化(仮面様顔貌) 顔の筋肉が動きにくくなり、笑顔やうなずきが伝わりにくくなる。相手に無関心・不機嫌と誤解されることへの不安につながる
声の変化(小声症) 声が小さく単調になり、聞き返されることが増える。会話そのものが負担に感じられやすい
動きの変化(動作緩慢・すくみ足) 身支度や移動に時間がかかり、待たせることへの気後れが生まれる。転倒への不安から外出自体を避けたくなることもある
意欲の変化(アパシー) 気分の落ち込みとは別に、何に対しても関心が湧きにくくなる症状。パーキンソン病そのものの非運動症状として現れることがある

こうして並べてみると、「会いたくない」は気持ちの弱さではなく、体の症状が作る結果だとわかります。次の章から、この理解をもとにした具体的な向き合い方を整理していきます。

03
Separate The Symptom From The Self

STROKE LABの視点:気持ちと症状を分けて考える。

「会いたくない」という気持ちに向き合うとき、いちばん大切なのは『これは自分の性格ではなく、症状が作っている感覚だ』と名前をつけることです。ここから、具体的な3つのステップに落とし込みます。

Three Steps

ステップ1:症状であることを、先に伝えておく。会う相手に「表情や声に症状があること」をひとこと伝えておくと、誤解が減り、身構えずに済みます。伝える言葉を、家族と一緒に用意しておくと安心です。

ステップ2:得意な手段を選ぶ。対面での会話が負担なら、電話・メッセージ・手紙など、自分が続けやすい手段から始めます。対面にこだわらないことが、人とのつながりを保つコツです。

ステップ3:会う時間を、あらかじめ区切る。「今日は15分だけ」のように時間を決めておくと、疲れる前に切り上げられ、次も会おうという気持ちが残りやすくなります。

薬の効き方には波があり、体調の良い時間帯に予定を合わせるだけでも、負担はかなり軽くなります。合う手段や時間の長さは人それぞれなので、作業療法士と一緒に、自分に合うペースを見つけていくのがおすすめです。

04
Practice At Home

自宅でできる、工夫。

原因を整理したら、それぞれに合わせた練習が助けになります。表情・声・動き・意欲、それぞれに小さな工夫があることを知っておきましょう。

表情の練習:鏡の前で、眉を上げる・口角を上げる・大きく笑うといった表情を、意識的に大きく動かす練習をします。1日数分でも、続けることが表情の動きやすさにつながります。

声の練習:腹式呼吸を意識し、「あー」と長く大きな声を出す、パ・タ・カを繰り返す、新聞を音読するといった練習が、声の通りやすさを保つ助けになります。

動きの練習:歩き始めに「いち、に」と声に出す、床の目印をまたぐように歩くといった工夫が、すくみ足の対策になります。体を大きく動かす体操も、日々の動きやすさを支えます。体操・自主トレ大全もあわせてご覧ください。

意欲の工夫:大きな目標より、「今日は玄関先まで出る」のような小さな行動目標を立て、できたことを記録していきます。小さな成功体験の積み重ねが、次の一歩につながります。

Evidence
表情の乏しさが、周囲の印象に影響するという報告

パーキンソン病の方の表情の乏しさ(仮面様顔貌)が、初対面の相手に与える印象を調べた研究では、表情の動きが少ないほど、相手からの好意的な評価や親しみやすさの評価が下がりやすいことが報告されています。これは本人の内面とは無関係に、表情という『見た目の手がかり』だけで印象が左右されてしまうことを示しています。

限界:初対面の第三者による短時間の評価を扱った研究であり、家族など親しい関係での印象とは異なる可能性があります。個人差も大きく、症状であることを先に伝える工夫の重要性を裏づける参考情報としてご覧ください。

出典:Tickle-Degnen L, Lyons KD. Practitioners’ impressions of patients with Parkinson’s disease: the social ecology of the expressionless face. Soc Sci Med. 2004;58(3):603-614
性格ではなく、症状です。分ければ、向き合い方が見えてきます。

ここまでは、自宅でできる工夫でした。専門施設では、その先の回復的アプローチまで踏み込めます。
+

Second Track — At STROKE LAB
専門施設で、さらに期待できること
意識して動かす段階から、自然に表れる段階へ。

自宅での工夫が、鏡を見ながら意識的に表情や声を大きくする練習だとすれば、専門施設で目指すのは、意識しなくても表情や声が自然に出やすい状態に近づける回復的アプローチです。働きかけは、大きく3つの方向から組み立てます。

1. 表情・発声の運動学習。顔の筋肉と呼吸・発声を連動させ、大きな動きを繰り返し学習することで、日常会話でも表情や声が保たれやすい状態を目指します。

2. 歩行・姿勢の安定。すくみ足や転倒への不安が外出を妨げている場合、歩行そのものを評価し、安心して外に出られる土台を整えます。

3. 生活場面に合わせた段階づけ。短時間の対面から始め、少しずつ場面や時間を広げていく段階的なプログラムを、その方の生活に合わせて組み立てます。

STROKE LABが軸足を置くのは、大きな動きを繰り返し学習しながら、生活場面での成功体験を段階的に積み重ねていくという流れです。効果には個人差があり、進行に伴って変動します。意欲低下や気分の落ち込みが強い場合の治療は主治医の領域であり、私たちは体の動きと生活の側から支えます。

Evidence
意欲の低下(アパシー)は、早期から一定の割合でみられるという報告

パーキンソン病の方を対象にした追跡研究では、診断から比較的早い時期でも一定の割合でアパシーがみられ、うつを伴わない場合も少なくないと報告されています。意欲の低下が、気分の落ち込みとは独立した症状として現れうることを示す報告です。

限界:アパシーの評価には複数の方法があり、研究によって基準や割合にばらつきがあります。うつとの見分けは専門的な評価が必要で、自己判断はできません。気になる変化は、主治医や神経内科に率直に伝えてください。

出典:Pedersen KF, et al. Prevalence and clinical course of apathy in Parkinson’s disease: a community-based study. Parkinsonism Relat Disord. 2009;15(4):295-299
Watch & Practice
表情・発声・歩行の体操を、動画で。

脳リハ.comのYouTubeでは、表情や発声、歩行を大きく動かす体操を配信しています。人と会う機会の土台づくりとして、無理のない範囲で習慣にしてみてください。

大きく動く体操を見る

05
Rehab & When To See A Doctor

専門リハと、受診の目安。

専門のリハビリでは、その人がどの場面でいちばん困っているか(表情なのか、声なのか、移動なのか)を一緒に確認し、練習の優先順位を決めていきます。「実際に会いたい相手・場面」を練習の題材にすると、生活にそのまま活きます。薬の調整や、意欲低下・気分の落ち込みの専門的な治療は主治医の役割で、私たちは体の動きと生活の側から支えます。

受診の目安は、意欲の低下や気分の落ち込みが何週間も続いている、以前は楽しめていたことに全く関心が持てなくなった、といったときです。アパシーとうつの見分けは自己判断が難しく、専門的な評価が必要です。ためらわず、主治医や神経内科に相談してください。専門的な費用や施設の選び方は自費リハビリの費用・施設の選び方にまとめています。

06
FAQ

よくある質問。

Q. パーキンソン病になると、なぜ人に会いたくなくなるのですか?

理由は一つではありません。表情が乏しくなる、声が小さくなる、動きが遅くなるといった運動症状が、誤解や気後れにつながることがあります。また、意欲そのものが下がるアパシーという症状が背景にあることもあります。性格の問題ではなく、複数の症状が重なって『会うのが億劫』という気持ちを作っていることが多いです。

Q. 表情が乏しくなるのは、気持ちが伴わないからですか?

いいえ、そうとは限りません。パーキンソン病では、顔の筋肉の動きが小さくなる仮面様顔貌という症状がみられることがあります。これは動作緩慢の一種で、表情筋を動かす指令が弱くなるために起こります。心の中では喜んだり驚いたりしていても、表情に出にくいだけ、ということがよくあります。

Q. 声が小さくて聞き返されるのがつらいです。対策はありますか?

声が小さく単調になる症状は、パーキンソン病でよくみられます。腹式呼吸を意識して、いつもより大きく、はっきり発声する練習が助けになります。『あ』を長く伸ばして発声する、パ・タ・カを繰り返す、といった簡単な発声練習を毎日少しずつ続けるのがおすすめです。改善しない場合は言語聴覚士に相談する方法もあります。

Q. やる気が出ないのは、うつ病でしょうか?

やる気の低下は、うつとは別に、アパシーというパーキンソン病でよくみられる症状として現れることがあります。気分の落ち込みが目立たなくても、何に対しても関心が湧きにくくなるのが特徴です。自己判断で決めつけず、気になる変化は主治医や神経内科に伝えて、必要であれば専門的に確認してもらうことが大切です。

Q. 外出そのものが怖くなりました。どうすればいいですか?

すくみ足や転倒への不安から、外出自体を避けたくなることがあります。まずは近所への短い外出など、ハードルの低い場所から成功体験を積むのがおすすめです。歩き始めに『いち、に』と声に出す、目印をまたぐように歩くといった工夫がすくみ足の対策になります。不安が強いときは、理学療法士や作業療法士に歩行の評価を相談してください。

Q. 家族はどう接したらいいですか?

表情が乏しい、声が小さい、反応が遅いといった様子を、気持ちがないサインと受け取らないことが大切です。これらは症状であって、性格や感情の変化ではないことがあります。急かさず、答えるまでの時間を待つ、会う時間を短く区切るなど、無理のないペースを一緒に作っていくことが助けになります。
07
STROKE LAB

人と会うことの相談は、STROKE LABへ。

STROKE LAB(東京・大阪)は、脳卒中とパーキンソン病を中心とする神経疾患専門の自費リハビリ施設です。表情・発声・歩行など、困っている場面を一緒に確認し、練習の優先順位と生活場面への段階づけを、その人に合わせて組み立てます。実際に会いたい相手や場面を題材にするので、練習がそのまま生活に活きます。意欲低下や気分の落ち込みが強い場合は主治医の判断を尊重し、私たちは体の動きと生活の側から支えます。保険リハとの併用も歓迎です。

書籍『パーキンソン病の機能促進 動作分析から自主トレーニングまで』(医学書院)の表紙
Book
パーキンソン病の機能促進
動作分析から自主トレーニングまで
医学書院/2025年/448ページ

運動を通じて心身の状態を整える考え方を、動作分析の視点から体系化。本文と連動するYouTube動画62本で、実際の動きも確認できます。

Amazonで書籍を見る

Message from CEO
表情や声は、心の鏡ではなく、
体の動きの結果です。
STROKE LAB代表 金子唯史

「表情がなくなった」「声が小さくなった」と言われて、傷ついたご本人を、たくさん見てきました。「人が嫌いになったわけじゃないのに」と、静かに悔しさを口にされる方もいます。

お伝えしたいのは、表情も声も、心の在り方ではなく、体の動きの結果として変化しているということです。そこを分けて考えるだけで、ご本人もご家族も、少し肩の力が抜けるはずです。

人と会うことでお困りなら、どうぞ一度ご相談ください。困っている場面そのものを題材に、その方に合う向き合い方を一緒に見つけます。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史

無料相談を予約する

References

本記事は、国内外の診療ガイドライン・公的情報と、STROKE LABの臨床経験および下記書籍の枠組みをもとに構成しています。意欲低下や気分の落ち込みが続く場合は、必ず神経内科・主治医にご相談ください(最終確認日:2026年7月6日)。

  • 日本神経学会:パーキンソン病診療ガイドライン2018
  • 難病情報センター:パーキンソン病(指定難病6)
  • Tickle-Degnen L, Lyons KD. Practitioners’ impressions of patients with Parkinson’s disease: the social ecology of the expressionless face. Soc Sci Med. 2004;58(3):603-614.(表情の乏しさが第三者の印象に影響することを示した報告。第4章・エビデンスボックス1の出典)
  • Pedersen KF, et al. Prevalence and clinical course of apathy in Parkinson’s disease: a community-based study. Parkinsonism Relat Disord. 2009;15(4):295-299.(アパシーがうつと独立して現れうることを示した報告。第4章・エビデンスボックス2の出典)
  • 金子唯史:パーキンソン病の機能促進(動作分析から自主トレーニングまで).医学書院.2025.
CATEGORY

 

FOLLOW US

STROKE LABの記事は各種ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしてください。

FOLLOW US

STROKE LABの記事は各種ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしてください。

CATEGORY

関連記事

誠心誠意の機能向上に向けたリハビリ支援
脳卒中・パーキンソン病に特化した個別リハビリ支援。
病院で培った機能をつなぎ、可能性を広げる施設です。
〒113-0033 東京都文京区本郷2-8-1 寿山堂ビル3階・5階
03-6887-5263
〒158-0082 東京都世田谷区等々力7-2-31 The Room 等々力West 201号 2026.3 OPEN
03-6887-5263
〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満6-3-16 梅田ステートビル202号
06-7220-4733
ACCESS
会社案内
事業案内
その他