【2026年版】脳卒中後のアパシー(無気力)とは?原因・評価・リハビリテーション戦略を徹底解説【論文サマリー】 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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【2026年版】脳卒中後のアパシー(無気力)とは?原因・評価・リハビリテーション戦略を徹底解説【論文サマリー】

Poststroke Apathy — Motivation, Brain, & Rehabilitation

やる気がないのは、意志の問題ではない。

脳卒中後に「何もしたくない」「ぼんやりしている」と感じさせる状態は、「アパシー(脳性無気力)」という脳の症状かもしれません。サボっているのでも、怠けているのでもありません。脳の損傷が引き起こす、適切なサポートで向き合える症状です。

UPDATED2026
READ約9分
BYSTROKE LAB

Prevalence
34.6%
脳卒中後アパシーの平均有病率。約3人に1人に現れる症状です。
Persistence
41%
急性期から1年後もアパシーが持続している割合。早期介入が重要です。
Onset Median
120
脳卒中後アパシー発症までの中央値。発症後4ヶ月が要注意期間です。

Self Check
3つ以上当てはまる方は、
続きをお読みください。
01
退院後、以前は好きだったことに全く関心を示さなくなった。
02
声をかけても返事が少なく、自分から話しかけてこない。
03
リハビリや自主トレへの意欲がなく、促しても動こうとしない。
04
表情が乏しく、喜怒哀楽の感情変化が少ない。
05
「どうせ治らない」と将来への興味・関心が乏しく見える。

01
Concerns

こんなお悩みはありませんか?

「退院してから元気がない」「何もやろうとしない」。ご家族からよく聞く言葉です。

リハビリを勧めても「別にいい」とそっぽを向く。テレビもつけず、ぼんやりしている。以前は明るかった方が、まるで別人のようで不安になる。

これは「気合が足りない」のではありません。脳の損傷が引き起こす「アパシー」という症状です。

ご家族が「もっと頑張らせなければ」と焦るほど、関係が悪化し本人も追い詰められることがあります。正しく理解することが、回復への第一歩です。

02
What is Apathy

アパシー(脳性無気力)とは

アパシー(apathy)とは、感情や意欲が失われた状態のことです。医学的には「目標に向けた行動・認知・感情が全体的に低下した状態」と定義されます。

意識障害や認知症の症状とは異なります。脳が損傷した結果として、「動く気持ちのエンジン」が働きにくくなっている状態です。

Important — For Family
アパシーは脳の症状です。本人の「怠け」ではありません。

脳卒中後のアパシーは、脳の損傷によって引き起こされる医学的な症状です。本人が「怠けている」「やる気がない」わけではありません。

系統的レビュー(van Dalen et al. 2013)によると、脳卒中後アパシーの平均有病率は34.6%(約3人に1人)と報告されています。

アパシーの3つの特徴。

01
感情・興味の欠如Emotional Flatness

以前好きだったことへの関心がなくなります。感情の起伏が乏しく、表情も乏しくなります。

02
自発性の低下Loss of Initiative

自分から行動を起こすことが困難になります。促されないと動けない、話しかけない状態が続きます。

03
目標行動の減退Goal-Directed Decline

「〇〇したい」「〇〇になりたい」という目標意識や動機づけが低下します。リハビリへの参加も消極的になります。

FOR PROFESSIONALS
アパシーの定義と評価:臨床家向け解説

定義(Starkstein 1992):アパシーは「意識障害・認知障害・情動障害によらない、一次的な動機づけの低下」と定義されます。感情・情動・興味・関心の欠如を特徴とします。

評価ツール:Apathy Scale(AS)、Neuropsychiatric Inventory(NPI)、Apathy Evaluation Scale(AES)などが使用されます。評価方法によって有病率が変化することも報告されています(van Dalen et al. 2013)。

認知機能との関連:アパシー患者の平均MMSEスコアは非アパシー群より2.7ポイント低く、7件の研究で認知機能低下との有意な関連が報告されています。廃用症候群を介した血管性認知症への移行リスクも指摘されています。

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STROKE LABでは脳神経系専門のセラピストが、アパシーを含む高次脳機能の問題に個別に対応しています。ご本人の状態を丁寧にアセスメントし、回復の糸口を一緒に探します。

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03
Mechanism

なぜ起こるのか

Analogy
「やる気のエンジン」が損傷した状態。

脳の中には「報酬系(ほうしゅうけい)」と呼ばれる「やる気のエンジン」があります。この回路が損傷を受けると、行動への意欲が生まれにくくなります。

「やりたい気持ちはある。でも体が動かない」という麻痺とは違い、「やりたい気持ちそのものが起きない」のがアパシーの本質です。

関与する脳の部位。

MRI(脳の画像検査)を用いた研究では、アパシーに関与する主な脳部位が明らかにされています(Brodaty et al.)。

脳部位 アパシーとの関連 主な機能
前頭前野(ぜんとうぜんや) 右半球病変で特に多い 計画・意欲・実行機能
基底核(きていかく) 有意に出現頻度が高い 運動調節・報酬処理
側坐核(そくざかく) 報酬系の中核として関与 快感・動機づけの起点
前頭葉-皮質下回路 病変との関与が報告 情動制御・行動調節
FOR PROFESSIONALS
ドパミン作動性神経とアパシーの関係

神経生化学的背景:側坐核を中心とする報酬系回路はドパミン作動性神経が中心的役割を担います。脳卒中による損傷や虚血によってこの系が機能不全を起こすことがアパシー発現の主要メカニズムと考えられています。

薬物療法の根拠:ドパミン系への介入を目的としたブロモクリプチン、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル)、ノイロトロピン900mgによる有意なアパシースコアの改善が報告されています。今後の薬物・非薬物療法の統合的検討が課題とされています。

04
Differentiation

うつ病との違い

アパシーはうつ病と混同されやすい症状です。しかし治療アプローチが異なるため、正確な見極めが重要です。

Apathy
アパシー(脳性無気力)
— 感情が「薄まる」状態
感情・興味の「欠如」
悲しみや罪悪感は少ない
「無」の状態に近い
自発的な訴えが少ない
Depression
うつ病(抑うつ)
— 感情が「傷む」状態
悲しみ・絶望・涙
罪悪感・自責感を訴える
「死にたい」等の訴えも
感情の波がある
Key Point
両方が重なることも多い。

van Dalen et al. (2013) の報告では、アパシー患者の40.1〜46.7%にうつ病の合併が確認されています。

「アパシーか、うつか」の二択ではなく、両方が同時に存在することを前提に専門医・療法士への相談を検討してください。

また、アルツハイマー型認知症でも高率にアパシーが出現します。認知症との鑑別も重要なポイントです。

05
Assessment

評価・診断の方法

アパシーの評価は、問診・行動観察・標準化された評価ツールを組み合わせて行われます。

Clinical Assessment
臨床評価のポイント
— 専門職が確認すること
発症前との行動変化の確認
日常生活の自発性・自主性
感情の反応性(喜怒哀楽)
認知機能・うつ状態の鑑別
Family Input
ご家族の観察が重要
— ご家族だから気づけること
退院後の生活変化のメモ
「以前との違い」の具体例
どんな時に反応があるか
訴えの内容と頻度
Note
評価方法によって数字は変わります。

van Dalen et al. (2013) の研究では、使用する評価ツールの違いによってアパシーの有病率が異なることが示されています。標準化ツールと臨床観察の両輪が必要です。

06
Recovery Path

回復への道のり

アパシーの回復には、医療・リハビリ・ご家族のサポートが一体となったアプローチが必要です。

01
個別化リハビリテーション最重要

本人のニーズ・生活歴・興味に合わせたプログラムが有効です。機能改善が生活の楽しさにつながると、笑顔や自主性が戻ることがあります。

02
チーム医療によるサポート医師・療法士・家族

医師による薬物療法の検討、PT・OTによる機能・活動へのアプローチ、ご家族の理解とサポートが連携することが重要です。

03
合併症への対処うつ・認知症

うつ病が合併している場合、その改善がアパシー症状の緩和にもつながることがあります。並行する問題の把握と対応が鍵です。

04
小さな「できた」の積み重ね成功体験

上肢が少し動かせるようになるなど、機能の改善が自主性・笑顔の回復につながった事例が臨床で多く見られます。小さな達成体験が報酬系を刺激します。

STROKE LAB代表 金子唯史

Message from CEO
「あきらめるのは、まだ早い」と、私たちは信じています。

アパシーを含む高次脳機能の問題は、適切なリハビリとサポートで変化できる可能性があります。STROKE LABでは脳神経系専門のセラピストが、ご本人の「残存能力」と「可能性」を最大限に引き出すプログラムを提供しています。

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07
Family Support

ご家族ができるサポート

アパシーのご本人を支えるご家族が、最初に理解していただきたいことがあります。それは「焦らない・責めない・あきらめない」です。

関わり方のヒント。

Do’s & Don’ts
日常生活で意識したいこと。
「やる気がない」と叱責せず、症状として理解する。
本人が以前好きだったことを、ゆっくり取り入れてみる。
小さな目標を一緒に決め、達成を一緒に喜ぶ。
将来への希望について、本人が持つ思いを否定しない。
ご家族自身も専門家への相談・介護者支援を活用する。

声かけの例

Model Talk

「今日、少し手が動いてたね。先週よりずっとよくなったよ。」

「無理しなくていいよ。一緒にゆっくりやっていこう。」

「あなたが好きだったあの音楽、また一緒に聴きたいな。」

臨床的知見として、「将来に対して多少の希望を抱いている」「過去の楽しい記憶と少しつながっている」ご本人の方がアパシーやうつのスコアが低い傾向があります。本人の「思い」に寄り添う関わりが大切です。

08
Home Return & Public Support

在宅復帰と公的支援制度

アパシーを抱えながらの在宅生活では、ご家族だけで全てを担う必要はありません。公的支援を上手に活用することが、ご本人とご家族の双方を守ります。

在宅復帰チェックリスト。

Checklist
退院前に確認したい7つのこと。
01
住宅改修(段差解消・手すり設置)の計画は立っているか。
02
必要な福祉用具(車椅子・歩行器等)の手配は完了しているか。
03
介護保険の認定申請・ケアプランの作成は進んでいるか。
04
通院手段(交通手段・介護タクシー等)は確保されているか。
05
緊急時の連絡体制(かかりつけ医・救急)は整っているか。
06
アパシーに対する家族全員の理解と役割分担は決まっているか。
07
介護者自身の相談窓口(地域包括支援センター等)を知っているか。

主な公的支援制度。

制度名 主な内容 問い合わせ先
介護保険 訪問・通所リハビリ、福祉用具、住宅改修費補助 市区町村の介護保険窓口
身体障害者手帳 医療費の助成、交通費割引、福祉サービス利用 市区町村の障害福祉窓口
障害福祉サービス 居宅介護、生活訓練、就労支援など 市区町村・相談支援事業所
高額療養費制度 医療費の自己負担上限額を超えた分を還付 加入する健康保険組合・協会けんぽ
障害年金 脳卒中後の障害に対する年金支給(1〜2級) 年金事務所・社労士
自立支援医療 精神科通院(うつ・アパシーの精神科治療)の医療費軽減 市区町村の障害福祉窓口
「一人で抱え込まない」こと。地域包括支援センターへの相談が、最初の一歩です。

09
Prognosis

回復の期間と予後

van Dalen et al. (2013) の系統的レビューでは、アパシー発症の中央値は脳卒中後120日(約4ヶ月)でした。範囲は2〜850日と幅広く、個人差が大きいことがわかります。

Key Data
41%は1年後も持続。だからこそ早期介入が重要。

急性期から1年後もアパシーが持続するケースは約41%。自然回復を待つだけでなく、適切な評価と個別化された介入が回復を後押しします。

臨床経験として、上肢機能の改善や社会参加の幅が広がることで、笑顔・自主トレへの意欲が戻ってくるケースが多く見られます。

アパシーは廃用症候群(使わないことによる機能低下)を介して、血管性認知症を引き起こすリスク因子になると指摘されています。早めの対処が大切です。

10
FAQ

よくあるご質問

Q. 脳卒中後アパシーとうつ病の違いは何ですか?
A.

アパシーは「感情そのものが薄まった状態」であり、悲しみや罪悪感を伴うことが少ない点でうつ病と異なります。

ただし約40〜47%のケースで両方が同時に存在することも報告されています。専門医による鑑別評価が重要です。

Q. アパシーはどのくらいの割合で起こりますか?
A.

系統的レビューによると、脳卒中後アパシーの平均有病率は約34.6%とされています。

脳卒中経験者の約3人に1人に現れる可能性がある症状です。

Q. アパシーは時間が経てば自然に治りますか?
A.

発症後の中央値は約120日とされており、急性期から1年後もアパシーが続いているケースが約41%あると報告されています。

自然回復を待つだけでなく、早期から個別化されたリハビリや医療サポートが重要です。

Q. アパシーはリハビリに影響しますか?
A.

はい、アパシーは機能回復・日常生活活動・生活の質に悪影響を与えることが明らかになっています。また介護者への負担も大きくなることが報告されています。

適切なアプローチでリハビリへの参加を促すことが回復の鍵です。

Q. 脳のどの部位が損傷するとアパシーが起こりやすいですか?
A.

MRI評価では右半球病変、特に前頭葉と皮質下回路の損傷でアパシーが多く報告されています。

また基底核(側坐核)の損傷も関与しており、ドパミン作動性神経の機能低下が重要な役割を果たすと考えられています。

Q. ご家族はアパシーの方にどう接すればよいですか?
A.

「怠けている」「やる気がない」と批判せず、本人の状態を理解することが最も重要です。

小さな目標設定・達成体験の積み重ね、本人が以前好きだったことを取り入れた活動、温かく見守る声かけが効果的です。ご家族自身も専門家への相談を活用してください。

11
Our Program

STROKE LABのプログラム

STROKE LABは、脳科学と徒手技術に特化した脳神経系専門の自費リハビリ施設です。脳卒中後アパシーを含む高次脳機能の問題に対して、個別化された専門的プログラムを提供しています。

Strengths
STROKE LABの強み
— 脳神経系専門だからできること
脳科学・徒手技術に基づく専門的評価
一人ひとりに合わせた個別プログラム
ご家族への丁寧な説明・相談対応
医学書院「脳卒中の動作分析」著者が監修
What We Do
取り組める内容
— アパシーへのアプローチ例
上肢・下肢の機能改善訓練
日常生活動作(ADL)の向上支援
意欲・社会参加を促すニーズ型訓練
ご家族へのホームエクササイズ指導

— STROKE LABでの脳卒中リハビリテーションの実際の様子です。

Voice

「退院後1年、ずっとぼんやりしていた夫が、手が少し動くようになってから笑顔が戻ってきた。専門家に相談してよかった。」— 60代男性・脳梗塞後2年・配偶者

「母が何もしたくないと言い続けていたが、以前好きだった手芸をリハビリに取り入れてもらってから、自分から動くようになった。」— 70代女性・脳出血後1年半・ご家族

Message from CEO
その「無気力」は、変えられる。
諦めないでください。

STROKE LAB代表 金子唯史 ポートレート

「なぜあんなに元気だった人が、何もしなくなってしまったのか」——ご家族のその問いに、私たちは全力で向き合いたいと思っています。

脳卒中後アパシーは、意志や気持ちの問題ではありません。脳の損傷という医学的な背景があります。適切なアプローチと環境さえあれば、変化できる可能性を私は信じています。

上肢が少し使えるようになった。好きだったことが少しできた。その小さな一歩が、笑顔と意欲を呼び戻すことを、私たちは何度も経験してきました。どうか一人で抱えないでください。まず、話を聞かせてください。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史

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References

参考文献。

01 van Dalen JW, Moll van Charante EP, Nederkoorn PJ, et al. Poststroke apathy. Stroke. 2013;44(3):851-860. doi:10.1161/STROKEAHA.112.674614
02 Brodaty H, Sachdev PS, Withall A, et al. Frequency and clinical, neuropsychological and neuroimaging correlates of apathy following stroke. Psychol Med. 2005;35(12):1707-1716.
03 Starkstein SE, Fedoroff JP, Price TR, et al. Apathy following cerebrovascular lesions. Stroke. 1993;24(11):1625-1630.
04 Levy ML, Cummings JL, Fairbanks LA, et al. Apathy is not depression. J Neuropsychiatry Clin Neurosci. 1998;10(3):314-319.
05 Caeiro L, Ferro JM, Costa J. Apathy secondary to stroke: a systematic review and meta-analysis. Cerebrovasc Dis. 2013;35(1):23-39.
06 Marin RS. Apathy: a neuropsychiatric syndrome. J Neuropsychiatry Clin Neurosci. 1991;3(3):243-254.
07 Tang WK, Chan SS, Chiu HF, et al. Frequency and clinical determinants of poststroke apathy in nondemented stroke patients. J Geriatr Psychiatry Neurol. 2005;18(2):66-71.
08 Withall A, Brodaty H, Altendorf A, et al. A longitudinal study examining the independence of apathy and depression after stroke: the Sydney Stroke Study. Int Psychogeriatr. 2011;23(2):264-273.
09 金子唯史. 脳卒中の動作分析. 医学書院. 2018.

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