【最新版】トランクインペアメントスケール(TIS)と退院時のFIM・歩行能力の関係性 脳卒中後の体幹評価!
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トランクインペアメントスケール(TIS)評価用紙
カテゴリー
タイトル
●トランクインペアメントスケールTrunk Impairment Scale(TIS)と退院時のFIM・歩行能力の関係性
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●予後予測を自身でも研究してみたいと思い、世界的にどのような研究が試されているのか興味を持ち、学習の一助として本論文に至る。
内 容
背景
●体幹のパフォーマンスは、座る、立つなどの動作に重要です。評価としてはBBSやTISがよく使用されます。脳卒中後の体幹のパフォーマンスを理解することの重要性は、日常生活動作を実行する能力を予測することが示されている先行研究によって強調されています。
●脳卒中後の33人の患者を対象としたランダム化比較試験では6時間の追加の体幹運動を受けた患者は対照患者と比較し、体幹機能、立位バランス、可動性が有意に優れていました。脳卒中患者32人を対象とした小規模な研究では、TISで測定した体幹のパフォーマンスの回復の時間経過は上肢と下肢の回復過程と類似しており、ほとんどの回復は脳卒中後の最初の3か月以内に発生しました。
●今回は、脳卒中後の体幹パフォーマンスの変化を評価し、体幹パフォーマンスに関連する要因を確立し、退院時の歩行および機能状態に対する体幹パフォーマンスの影響を評価しようとしました。
方法
●シンガポールのタントックセン病院リハビリテーションセンターに2年間入院した脳卒中患者のデータの遡及的レビューでした。分析されたデータには、NIHSS、MOCA、FMA、およびFIM運動項目のスコアが含まれていました。体幹のパフォーマンスは、トランクインペアメントスケール(TIS)で評価されました。
結果
●脳卒中患者577人(平均年齢63.2±11.8歳)が分析されました。体幹障害は患者の96.4%に見られました。
●平均入院時TISスコアは14.3±6.1でしたが、これは退院時に17.2±5.2に改善しました。入院TISスコアは、入院MOCA、FMA-上肢およびFMA-下肢スコアと正の相関があり、NIHSSスコアおよび無視と負の相関がありました。入院TISスコアは、退院FIM運動スコアおよび歩行状態を有意に予測しました。入院時TISスコアが14以上の患者は良好な退院歩行状態を達成する確率がほぼ70%であり、満点の患者は90.4%であるという発見にも反映されていました。
●体幹障害と上肢および下肢の脱力との関連は以前に報告されています。 Verheydenらは、脳卒中発症後1週間から6か月の脳卒中患者32人を対象とした小規模な研究で、TISスコアが脳卒中後1週間、1か月、3か月、6か月の上下肢FMAスコアと密接に関連していることを示しました。体幹と四肢の回復が同様の回復軌道を有することを示唆しています。
●体幹の機能障害は一般的であり、リハビリ後に体幹のパフォーマンスの改善が見られました。体幹のパフォーマンスは、脳卒中の重症度、上肢と下肢の運動能力、認知および無視と有意に相関していた。入院時の体幹のパフォーマンスは退院の機能的および歩行状態を予測したので、脳卒中のすべての患者について体幹のパフォーマンスを評価することをお勧めします。
私見・明日への臨床アイデア
●臨床的にも体幹機能が低下している患者ではセルフケアが自立出来ていない患者が多い印象である。日常生活に介助を要しているような患者では、確実に体幹機能を細く評価する必要があると思われる。そうでなくとも96.4%の患者に障害があったと本論文で報告されており、基本的には体幹機能障害を有すると思ってよいと思われる。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
併せて読みたい【脳卒中・体幹・予後予測】関連論文
Vol.535.不安定面での体幹安定化運動が脳卒中患者のコアに及ぼす影響
Vol.593.脳卒中後の回復過程は部位によって異なるの??
体幹の可動性と下肢のバランス影響 治療効果とは!?vol.13 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー:
vol.402:脳卒中者の上肢機能の早期からの予後予測の観察ポイント 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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塾講師陣が個別に合わせたリハビリでサポートします
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)