パーキンソン病で調子の悪い日の運動|原因と対策・自宅でできる工夫 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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パーキンソン病

パーキンソン病で調子の悪い日の運動|原因と対策・自宅でできる工夫

ON DAYS, OFF DAYS

動けない日は、休む日じゃなく、変える日です。

昨日はできたのに、今日はどうしても体が重い。パーキンソン病では、そんな「調子の悪い日」が起こります。それは怠けているわけでも、努力が足りないわけでもありません。原因を知り、運動を「やめる」のではなく「変える」ことで、多くの日はまだ動ける余地があります。原因の見分け方と、自宅でできる工夫を整理します。

UPDATED2026
READ約10分
FORご本人・ご家族へ
BYSTROKE LAB
本記事は、医学書院『パーキンソン病の機能促進(動作分析から自主トレーニングまで)』(2025年・448頁)の著者が執筆しています。調子の悪さが続く、急に強くなった、発熱やめまいを伴う、といったときは自己判断せず、神経内科で確認してください。

Quick Reference
まず知ってほしい5つのこと。
01
調子の波は、薬・天候・睡眠・体調など複数の原因が重なって起こります
02
薬の効果が切れて動きにくくなる「ウェアリングオフ」はよくある原因の一つです
03
調子の悪い日は、運動をやめず「強度・姿勢・リズム」を変えるのがコツです
04
その日の状態を一行メモに残すと、パターンが見え、主治医にも伝えやすくなります
05
発熱・めまい・急な悪化を伴うときは無理をせず、神経内科へ連絡を
01
Why Today Feels Different

「今日は、どうしても動けない。」

A Family’s Voice
「昨日は普通に歩けたのに、今日は立ち上がるのもやっとで」

同じ薬を、同じ時間に飲んでいるはずなのに、日によって、いえ同じ日の中でも時間帯によって、体の動きやすさがまるで違う。ご本人は「サボっているわけじゃないのに」ともどかしく、ご家族は「昨日はできたのに、なぜ」と戸惑う——。そんな声を、私たちはよく耳にします。

まず知ってほしいのです。それは意志の弱さではなく、パーキンソン病そのものの特徴として起こる、体調の波です

パーキンソン病の症状は、一日中同じ強さで出るとは限りません。薬の効き方、天候、睡眠、体調など、さまざまな要因が重なって、動きやすい時間帯と動きにくい時間帯が生まれます。「調子の悪い日」を正しく理解できれば、闇雲に不安になるのではなく、そのときにできる工夫に目を向けられます。リハビリ全体の考え方はリハビリ完全ガイドにまとめています。

02
What’s Behind The Bad Days

なぜ、調子の波が起こるのか。

「調子の悪い日」の裏には、たいてい一つではなくいくつかの原因が重なっています。代表的なものを知っておくと、今日の自分がどれに近いか見当がつきやすくなります。

原因 どういうことか
薬の効果の波(ウェアリングオフ) 次の服薬までの間に効果が弱まり、こわばりや動きにくさが出やすい
天候・気圧の変化 低気圧が近づく日や寒暖差の大きい日に、症状が強まることがある
睡眠の質 眠りが浅い・中途覚醒が多い翌日は、動作全体が重く感じられやすい
脱水・食事のタイミング 水分不足や、たんぱく質の多い食事の直後は薬の吸収が変わることがある
心理的な緊張・不安 人前や狭い場所での緊張が、すくみ足や動きにくさを強めることがある
起立性低血圧 立ち上がったときにふらつき、動くこと自体がこわく感じられる
感染症・体調不良 尿路感染症などをきっかけに、急に症状が悪化することがある

大切なのは、「動けない」を一括りにせず、今日はどのタイプに近いかを考えることです。次の章から、その考え方を具体的な行動に落とし込んでいきます。

03
Adapt, Don’t Stop

STROKE LABの視点:運動を「変える」3ステップ。

調子の悪い日にいちばん避けたいのは、「動けないから今日はやめよう」を積み重ねてしまうことです。動かない日が続くと、体はさらに動きにくくなります。かといって、いつもと同じ強度で無理をする必要もありません。運動を「やめる」のではなく「その日に合わせて変える」——この3ステップで考えてみてください。

Three Steps

ステップ1:今日の「動けなさ」のタイプを1つ選ぶ。薬の谷間の時間帯か、天気が悪いのか、前の晩よく眠れなかったのか。原因の見当をつけるだけで、対応が決めやすくなります。

ステップ2:種目は変えず、強度・姿勢・リズムを変える。立って行う運動がつらければ椅子に座って行う。大きく動くのがつらければ、範囲を小さくして安全に行う。音楽やかけ声でリズムをつけると、動き出しやすくなります。

ステップ3:その日の状態を一行メモに残す。服薬時間・天気・睡眠時間・症状の強さを簡単に記録しておくと、パターンが見えてきます。これは次の受診で、主治医に体調の波を伝える貴重な資料にもなります。

「今日はゼロか百か」ではなく、今日できる分だけ、形を変えてでも続ける。この積み重ねが、長い目で見た体の動きやすさを支えます。合う調整のしかたは人それぞれなので、作業療法士や理学療法士と一緒に見つけていくと近道です。

04
Home Adjustments By Cause

原因別・自宅でできる工夫。

原因の見当がついたら、それぞれに合わせた工夫を試してみましょう。薬の効いている時間帯(オン)にはしっかり動き、効果が薄い時間帯(オフ)には安全第一の運動に切り替える、というメリハリが基本です。

薬の効いている時間帯(オン)には、散歩やスクワット、体幹をひねる運動など、少し大きめの運動をしっかり行っておきます。この時間の積み重ねが、体力や柔軟性の土台になります。種目の詳細は体操・自主トレ大全を参考にしてください。

薬の効果が薄い時間帯(オフ)には、椅子に座ったままできる深呼吸、肩や足首をゆっくり動かす運動、手を握って開く運動など、転倒リスクの低いメニューに切り替えます。無理に立ち上がろうとせず、座位や仰向けでできる範囲にとどめるのが安全です。

すくみ足が出やすい日には、足元に目印になる線をイメージする、「1・2、1・2」と声に出す、一定のリズムの音楽に合わせて歩く、といった視覚・聴覚の目印(キュー)が助けになります。狭い場所や方向転換で強く出やすいので、家具の配置を見直すのも有効です。

天候が悪い日には、無理に外出せず、室内でできるメニューに切り替えます。睡眠不足を感じる日には、いつもより短い時間・軽い強度から始め、体の反応を見ながら調整します。立ちくらみがある日には、座った状態から始め、立ち上がるときは手すりや壁を使ってゆっくり行いましょう。

Evidence
リズムの目印(キュー)が、歩行の動きにくさを改善した研究

自宅で行う視覚・聴覚のキューを用いた歩行トレーニングを検証した研究では、歩行速度や歩幅など、生活に関わる歩行の指標が改善したと報告されています。すくみ足や動き出しにくさに、目印を使う工夫が実際に役立つことを示す結果です。

限界:効果には個人差があり、すべての方に同じように当てはまるとは限りません。転倒のリスクがある方は、自己流で始める前に理学療法士の評価を受けることをおすすめします。運動は薬の代わりではなく、組み合わせて使うものです。

出典:Nieuwboer A, et al. Cueing training in the home improves gait-related mobility in Parkinson’s disease: the RESCUE trial. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2007;78(2):134-140
動ける時間に、しっかり動く。動けない時間は、形を変えて続ける。

ここまでは、自宅でできる工夫でした。専門施設では、その先の波そのものを小さくする働きかけまで踏み込めます。
+

Second Track — At STROKE LAB
専門施設で、さらに期待できること
その場をしのぐ工夫から、波そのものを穏やかにする運動学習へ。

自宅での工夫が「その日をやり過ごす」ための調整だとすれば、専門施設で目指すのは動ける時間帯の質と量を高め、調子の悪い時間帯の影響を小さくしていく運動学習です。大きく3つの方向から組み立てます。

1. 体力・柔軟性の底上げ。動ける時間帯にしっかり負荷をかけた運動を行い、体力の土台を広げることで、動きにくい時間帯の落ち込み幅を相対的に小さくします。

2. キューイングの個別最適化。視覚・聴覚・体性感覚のどの目印がいちばん効くかは人によって異なります。生活場面に合わせて、その人専用のキューを見つけます。

3. 転倒予防の姿勢・バランス練習。起立性低血圧やすくみ足による転倒リスクを、立ち上がり方や歩き出し方の練習を通じて減らしていきます。

STROKE LABでは、服薬時間・体調・環境の記録をもとに、その方の「波」のパターンを一緒に把握し、動ける時間帯を最大限に活かす運動プログラムを設計します。薬の調整は主治医の役割であり、私たちは体の動かし方と生活動作の側から支えます。効果には個人差があり、進行に伴って変動します。

Evidence
意志で行うより、外から強制されたペースの運動が動作を改善した研究

パーキンソン病の方を対象に、自分のペースで行う運動と、機器で強制的にペースを上げて行う運動を比較した研究では、強制的にペースを上げた運動のほうが、動作緩慢などの運動症状の改善が大きかったと報告されています。自分の「今日の調子」だけに頼らず、外部からのリズムやペースを取り入れる工夫が、動きの底上げにつながる可能性を示しています。

限界:対象人数は多くなく、機器を用いた特定の運動条件下での結果です。効果には個人差があり、体調や心血管系のリスクによっては適さない場合もあります。自己判断で強度を上げず、専門家の評価のもとで行ってください。

出典:Ridgel AL, et al. Forced, not voluntary, exercise improves motor function in Parkinson’s disease patients. Neurorehabil Neural Repair. 2009;23(6):600-608
Watch & Practice
座ってできる運動を、動画で。

脳リハ.comのYouTubeでは、調子の悪い日でも座ったまま取り組める運動を配信しています。無理のない範囲で、今日のコンディションに合わせて選んでみてください。

座ってできる運動を見る

05
Rehab & When To See A Doctor

専門リハと、受診の目安。

専門のリハビリでは、服薬時間・症状の記録をもとに、その人の「波」のパターンを一緒に確認します。そのうえで、動ける時間帯の運動メニュー、動きにくい時間帯の安全な過ごし方、すくみ足への目印の使い方などを、生活に合わせて具体的に組み立てます。「今日の記録」を持って相談に来ていただけると、調整がスムーズです

受診の目安は、動けない時間帯が以前より明らかに長くなった、発熱や排尿の異常を伴う、急に転倒が増えた、といったときです。これらは薬の調整や、感染症など別の原因が隠れているサインのことがあります。自己判断で様子を見続けず、神経内科に相談してください。専門的な費用や施設の選び方は自費リハビリの費用・施設の選び方にまとめています。

06
FAQ

よくある質問。

Q. 調子の悪い日は、運動を休んだほうがよいですか?

完全に休む必要はないことが多いです。調子の悪い日は「運動をやめる日」ではなく「運動の形を変える日」と考えると無理がありません。立って行う運動がつらければ座って行う、大きく動くのがつらければ小さく安全に動く、というように強度や姿勢を調整します。ただし発熱やめまいなど体調不良を伴うときは、無理をせず休んでください。

Q. 薬の効果が切れて動けなくなるのは、なぜですか?

パーキンソン病の治療薬は、時間の経過とともに効果が弱まることがあり、これをウェアリングオフと呼びます。次の服薬までの間に急に体が動きにくくなる、こわばりが強くなるといった変化が起こります。服薬時間と症状の変化を記録しておくと、主治医が薬の調整をする際の手がかりになります。

Q. 天気や気圧で調子が悪くなるのは気のせいですか?

気のせいではありません。低気圧が近づく日や気温差が大きい日に、こわばりや動きにくさを強く感じるという方は少なくありません。自律神経の働きが影響していると考えられています。天気が悪い日は無理に外出せず、室内でできる運動に切り替えるといった工夫が助けになります。

Q. 日によって調子が違うのは、病気が進んでいるサインですか?

必ずしもそうとは限りません。パーキンソン病では、薬の効果の波や睡眠、天候、体調など、さまざまな要因によって日ごと・時間帯ごとに症状が変動することがあります。一時的な変動と、進行による変化を自己判断で見分けるのは難しいため、気になる変化が続くときは神経内科で相談してください。

Q. すくみ足がひどい日は、どう対応すればよいですか?

すくみ足は、狭い場所や人混み、緊張する場面で強く出やすい症状です。足元に線をまたぐイメージを持つ、1・2と声に出す、メトロノームのリズムに合わせて歩くといった視覚・聴覚の目印(キュー)が助けになることがあります。転倒のリスクもあるため、頻繁に起こる場合は理学療法士に相談することをおすすめします。

Q. 家族は、調子の悪い日にどう手伝えばよいですか?

「今日は動けない日なんだ」と理解し、無理に急がせないことがまず大切です。そのうえで、座ってできる運動を一緒に行う、服薬時間を確認する、転倒しやすい場所の片付けを手伝うといったサポートが助けになります。焦らせず、本人のペースに合わせることが、結果的に動きやすさにつながります。
07
STROKE LAB

調子の波の相談は、STROKE LABへ。

STROKE LAB(東京・大阪)は、脳卒中とパーキンソン病を中心とする神経疾患専門の自費リハビリ施設です。服薬時間や体調の記録をもとに、その方の「調子の波」のパターンを一緒に把握し、動ける時間帯を活かす運動プログラムを組み立てます。薬の調整は主治医を尊重し、体の動かし方と生活動作の側から支えます。保険リハとの併用も歓迎です。

書籍『パーキンソン病の機能促進 動作分析から自主トレーニングまで』(医学書院)の表紙
Book
パーキンソン病の機能促進
動作分析から自主トレーニングまで
医学書院/2025年/448ページ

運動を通じて心身の状態を整える考え方を、動作分析の視点から体系化。本文と連動するYouTube動画62本で、実際の動きも確認できます。

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Message from CEO
昨日できたことが、
今日できなくても大丈夫です。
STROKE LAB代表 金子唯史

「昨日はできたのに、今日はできない」——このギャップに、いちばん傷つくのはご本人です。それでも私は、この波を「失敗」ではなく「パーキンソン病という病気の特徴」として、一緒に付き合っていくものだとお伝えしています。

お伝えしたいのは、調子の悪い日にも、その日なりにできることは必ずあるということです。原因を見極め、運動の形を少し変えるだけで、体は思っているより動いてくれます。

調子の波でお困りなら、どうぞ一度ご相談ください。服薬時間や体調の記録を一緒に見ながら、あなたに合ったリズムの作り方を探します。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史

無料相談を予約する

References

本記事は、国内外の診療ガイドライン・公的情報と、STROKE LABの臨床経験および下記書籍の枠組みをもとに構成しています。調子の悪さが続く、急に強くなった、発熱やめまいを伴うといったときは、必ず神経内科・主治医にご相談ください(最終確認日:2026年9月13日)。

  • 日本神経学会:パーキンソン病診療ガイドライン2018
  • 難病情報センター:パーキンソン病(指定難病6)
  • Nieuwboer A, et al. Cueing training in the home improves gait-related mobility in Parkinson’s disease: the RESCUE trial. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2007;78(2):134-140.(自宅での視覚・聴覚キューが歩行の指標を改善したと報告。第1動線・エビデンスボックスの出典)
  • Ridgel AL, et al. Forced, not voluntary, exercise improves motor function in Parkinson’s disease patients. Neurorehabil Neural Repair. 2009;23(6):600-608.(強制的にペースを上げた運動が運動症状を改善したと報告。第2動線・エビデンスボックスの出典)
  • 金子唯史:パーキンソン病の機能促進(動作分析から自主トレーニングまで).医学書院.2025.
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