【2022年度版】NIHSSとは?評価・点数・カットオフ値は?動画で学べる重症度/NIH Stroke Scale – 脳卒中/神経系 自費リハビリ施設 東京 | STROKE LAB
  1. HOME
  2. ブログ
  3. 評価シリーズ
  4. 【2022年度版】NIHSSとは?評価・点数・カットオフ値は?動画で学べる重症度/NIH Stroke Scale
評価シリーズ

【2022年度版】NIHSSとは?評価・点数・カットオフ値は?動画で学べる重症度/NIH Stroke Scale

学生さん
学生さん
医師の方にNIHSSだとこの方は何点くらい?と唐突に質問されたんですけど、評価内容すら知らなくて・・

 

ストロボ君
ストロボ君
NIHSSは世界的にも現場でも医師・看護師・療法士と広く使われる評価バッテリーだから、共通言語にもなり得るのでこれを機に一度勉強をしておこう!

 

はじめに

 

NIHSSについて動画で学びたい方はこちらを参照してください。

 

 

 

National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSSは、脳卒中に関連した神経学的欠損を定量的に測定する体系的な評価ツールです。

 

NIHSSはもともと、脳卒中の急性期臨床試験において、患者のベースラインデータを測定するための研究ツールとして考案されました。

 

現在では、脳卒中患者の急性期を評価し、適切な治療法を決定し、患者の転帰を予測するための臨床評価ツールとしても広く使用されています。

 

NIHSSは、急性期脳卒中患者の神経学的状態を評価し、記録するための臨床的な脳卒中評価ツールとして使用することができます1)

 

NIHSSは、病変の大きさを予測するのに有効であり、脳卒中の重症度を測る尺度として使用できます2)

 

NIHSSは、脳卒中患者の短期および長期の転帰の予測因子であることが示されています。

 

さらに、脳卒中スケールは、患者の治療計画を立てるためのデータ収集ツールとして、また、医療従事者間の情報交換のための共通言語としての役割を果たします。

 

この尺度は、医師、看護師、セラピストがベッドサイドで一貫して行うことができる、シンプルで有効かつ信頼性の高いツールとして設計されています。

 

使用方法

 

NIHSSは、意識レベル、言語レベル、無視レベル、視野欠損レベル、眼球外運動レベル、運動強度レベル、失調レベル、構音障害レベル、感覚喪失レベルなど、急性脳梗塞の影響を評価するために用いられる15項目の神経学的検査ストロークスケールです。

 

訓練を受けた観察者が、特許権者の質問への回答や活動の能力を評価します。

 

各項目の評価は、35点で採点され、0点を正常とし、試験不能な項目には引当金が計上されます。

 

スコアは042の範囲で、スコアが高いほど重症度が高いことを示します。1人の患者の評価に必要な時間は10分未満です。

 

脳卒中の重症度の評価は、観察者が患者を正確かつ一貫して評価できるかどうかにかかっています。

 

脳卒中の重症度は、NIHSSスコアに基づいて以下のように層別されます。

 

●最重度>25 

●重度:1524 

●軽度~中程度の重度: 514 

●軽度 1 – 5

 

評価用紙

 

評価用紙の印刷はこちらをClick☚

 

エビデンス

 

脳卒中の重症度の評価は、観察者が患者を正確かつ一貫して評価できます。NIHSSの個々の要素に対する評価者間信頼性は、概して良好であることが示されています4)

 

しかし、全体的なスコアリングには一貫性がなく、NIH Stroke Scaleを正確に使用するには適切なトレーニングが必要です5)6)7)

 

30人の医師と29人の研究コーディネーターが4人の患者を評価し、評価と評価の間に3カ月の間隔を置いた研究では、NIHSSは優れた評価者間信頼性(ICC = 0.95)および試験後信頼性(ICC = 0.93)を有することがわかりました。

 

4人の臨床医が20人の患者を評価し、それぞれの患者を2人の独立したオブザーバーが評価した研究では、NIHSS13項目のうち9項目について、十分~優れた評価者間の一致が認められました(Kappa = 0.320.79)。

 

最も一致率が低かったのは、顔面神経麻痺(Kappa = 0.22)と四肢失調(Kappa = -0.16)の項目でした。

 

4項目は信頼性が低いか、重複している(意識レベル、顔面脱力、運動失調、構音障害8)

 

妥当性

 

入院時のNIHSSスコアに関連するアウトカムでは、

 

①スコアが5未満の場合、80%の脳卒中患者は自宅へ退院できる。

 

613点の場合、急性期の入院リハビリテーションが必要となる。

 

14点以上の場合、長期の介護が必要となる可能性があります。9)10)

 

応答性

 

脳卒中後1週間の患者65名を対象に、NIHSSスコアとCT(コンピュータ断層撮影)による梗塞サイズを比較しました。

 

10項目が7日間で平均25%の変化を示しました。しかし、四肢の運動失調と最善の視線の変化は誇張されている可能性があります。3)

 

 

NIHSS実施

 

 

1a.意識水準

 

 

患者を観察し判断します。覚醒していない場合は「声かけ」、「痛み」と刺激強度を上げて判断します。気管内挿管・口腔外傷があっても、患者の反応をみて評価をします。

 

【評価例】

セラピスト「こんにちは」

患者「こんにちは(開眼)」

セラピスト「調子はどうですか」

患者「左側が重たい感じがします」

セラピスト「なるほど。他になにかありますか」

患者「周りの看護師さんやリハビリのスタッフさんがやさしく丁寧に対応していただいています。」

 

【点数】

0点:完全覚醒

1点:簡単な刺激で覚醒(声かけ)

2点:繰り返し刺激や強い刺激で覚醒(痛み刺激)

3点:完全に無反応

 

 

【評価結果】簡単な刺激で覚醒して自身の事を適格に説明ができたため1点となります。

 

【注意事項】12については2回程度の評価は可能です。

 

 

1b.意識障害質問

 

 

今月の月名および年齢を訪ねます。返答は正解でなければなりません(近似した答えは点数を与えない)。

 

最初の返答を評価し、ヒントは与えてはならなりません。

 

昏迷・失語症で評価不能な場合は2点を与えます。気管内挿管・口腔外傷・強度の構音障害などで評価不能の場合は1点を与えます。

 

【評価例】

セラピスト「今日は何月ですか。」

患者「ちょっと分からないです。」

セラピスト「そうですか。ご年齢はおいくつになりますか。」

患者「26歳です。」

 

【点数】

0点:両方正解

1点:片方正解

2点:両方不正解

 

 

 

【評価結果】月名は思い出せなかったですが、年齢は正解していたため1点となります。

 

 

1c. 意識障害従命

 

はじめに開閉眼を行い、続いて手を握る・開くを命じます。手が使えない場合や外傷・切断などの場合には、他の一段階命令に置き換えても良いです。

 

筋力低下のため完遂不可能な場合には点数を与えます。

 

命令に従わない時はパントマイムを示しても良いです。昏睡などで評価不能の場合は2点を与えます。最初の企画のみを評価します。

 

【評価例】

①セラピスト「では目を閉じてください。」

患者 目を閉じる

セラピスト「ありがとうございます。では続きまして目を開けてください。」

患者 目を開ける

②セラピスト「では右手を握ってください。」

患者 右手を握る。

セラピスト「ありがとうございます。では手を開けますか。」

患者 右手を開く

セラピスト「ありがとうございます。」

 

【点数】

0点:両方正解

1点:片方正解

2点:両方不正解

 

 

【評価結果】開閉眼、指の開閉の両方遂行できたため0点となります。

 

【注意点】離握手は自発的に行ってもらい、検査者の手を握らせるような方法は避けます。※把握反射が出現する可能性があるため。

 

 

2. 最良の注視

 

 

水平眼球のみ評価します。追試で判断しても構いません。

 

共同偏視があっても随意的・反射的(oculocephalic)で動く場合は点数を与えます。

 

意識障害で評価不能であっても、人形の目手技で評価を行います。単一の末梢性Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ神経麻痺がある場合は1点となります。

 

【評価例】

セラピスト「では私の指を追っかけてみてください。」

患者 水平眼球運動が認められた。

 

【点数】

0点:正常(正中を超えて左右に動く)

1点:部分的注視麻痺(固定した偏視や完全視麻痺ではない)

2点:頭位変換眼球反応でも克服できない固定した完全注視麻痺

 

 

【評価結果】眼振は認められず、左右への水平眼球運動が認められたため0点となります。

 

 

3.視野

 

 

上下1/4(右上・右下・左上・左下の4)を対座法で評価していきます。

 

検査者の指を動かす、指の本数などを答えてもらいます。患者の片目を隠して行います。

 

意識障害の場合、開眼していれば4方向から眼球をつつくような動作を行い反応をみます。

 

必ず両眼を評価します(単眼などの場合は一側で評価します)。

 

昏睡などで評価不能は3点を与えます。

 

1/4盲を含む明らかな左右差がある場合1点とします。全盲であればどのような理由でも3点とします。

 

 

【評価例】

①右目

セラピスト「私の鼻を見ていてください。指が動きましたら、はいと言ってください。」

患者 大きく問題なし

 

②左目

セラピスト「先ほどと同様に行います。私の鼻を見ながら行います。指が動きましたら、はいと言ってください。」

患者 大きく問題なし

 

【点数】

0点:視野欠損なし

1点:部分的半盲(四分盲)or消失現象

2点:完全半盲

3点:両側性半盲(全盲)

 

【評価結果】視野欠損が認められなかったため0点となります。

 

 

視覚に関する伝導路(視蓋脊髄路)に関する記事はこちら👇

 

消去現象の確認

 

 

この検査と同時に両側同時刺激も行い、消去現象がある場合には項目11「消去現象と注意障害(無視)」における無視の存在の一つとして扱います。

 

セラピスト「私の鼻を見ながら行います。右側の指が動いたら右と言ってください。

 

左の指が動いたら左と言ってください。両方動いたら両方と言ってください。」

患者「右、左、右」

 

セラピスト 指を同時に動かす

患者「右」

 

【点数】

0点:視野欠損なし

1点:部分的半盲(四分盲)or消失現象

2点:完全半盲

3点:両側性半盲(全盲)

 

【評価結果】両側同時に指を動かした際に麻痺側を無視する消去現象が考えられるため、11項目の検査を考慮する必要があります。

 

 

4.顔面麻痺

 

 

歯を見せる、笑う動作を行います。続いて額に皺をよせる動作を行います。

 

目を大きく開眼する動作や上方も注視する動作を行います(これらの表情の変化をみて点数を記載します)。

 

口頭ないしパントマイムで命令を行います。

 

意識障害時などは、痛み刺激を与え評価します(反応がない場合は3点となります)。

 

顔面外傷、気管内挿管、包帯などは、なるべくこれらを取り去って評価をします。

 

2点の部分麻痺までは行わないが、正常ではないときは1点を与える。末梢性顔面神経麻痺は、2点をつけます。

 

【評価例】

①セラピスト「い、と笑ってください」

患者 左口角の動きが不良

セラピスト「ありがとうございます」

 

②セラピスト「では次におでこに皺をよせてみてください」

患者 額に皺をよせることは可能

セラピスト「いいですね。では目をぱっと開くことは可能ですか」

患者 目を開くことは可能

セラピスト「そのまま上方向をみてください」

患者 上を向くことは可能

セラピスト「はい大丈夫です。ありがとうございました」

 

【点数】

0点:正常

1点:軽度の麻痺

2点:部分的麻痺

3点:完全麻痺

 

 

 

【評価結果】額に皺を寄せることは可能でしたが、左口角の動きに部分的麻痺が認められていたため、2点となります。

 

 

5. 上肢の運動

 

 

座位の場合は90度、背臥位の場合は45度で評価を行います。

 

掌を下側にして行います(バレー徴候ではありません)。

 

検査者がカウントを取りながら行います。

 

非麻痺側から実施し、一側ずつ検査を行います。両側上肢の評価を行い、それぞれに点数をつけていきます。意識障害・失語症でも必ず行います。

 

 

10秒以内に完全にベッド上に落ちる場合は2点を与えます。

即座にベッド上に落ちる場合は3点を与えます。

完全麻痺、除脳硬直などの場合は4点を与えます。

切断や関節癒合の場合は9点を与えますが、点数には加算しません。

 

【評価例】

①セラピスト「では右手を45度ぐらい持ち上げてそれを10秒間止めてみてください」

患者 10秒間45度挙上可能

 

②セラピスト「次に麻痺側の手で10秒間止めてみてください」評価実施時にはカウントをとります。

患者 10秒間45度保持不可能

セラピスト「止めとくのは難しかったですか」

患者 「そうですね、難しかったです。」

セラピスト「ありがとうございました」

 

 

【点数】

0点:下垂なし(10秒保てる)

1点:10秒以内に下垂するか、ベッドまでは落ちない(動揺する場合も含む)

2点:10秒以内に下垂しベッドまで落ちる(重力に抗して動きはある)

3点:ベッドにすぐ落ちるが、動きは認められる(重力に抗して動かない)

4点:全く動きがみられない

N:切断・関節癒合

 

 

 

【評価結果】右手の動きは大きく問題なかったため0点となります。左手(麻痺側)の動きは重力に対して持ち上げることはできましたが、10秒間保持は不可能であり、ベッド上に落ちたため2点となります。

 

 

6.下肢の運動

 

下肢は背臥位で実施し、30度挙上で評価します(Mingazziniではありません)

検査がカウントを取りながら行います。非麻痺側より検査を行い、一側ずつ検査を行います。

 

両側行い、それぞれに点数をつけて評価します。意識障害、失語症でも必ず評価をします。

 

 

5秒以内に完全にベッド上に落ちる場合は2点を与えます。

側座位にベッド上に落ちる場合は3点を与えます。

完全麻痺、除脳硬直などの場合は4点を与えます。

切断、関節癒合の場合は9点を与えますが、点数には加算しません。

 

【評価例】

①セラピスト「では右足から評価を行います。30度足をあげ、5秒間キープしてください。」

評価実施時にはカウントをとります。

患者 5秒間30度保持可能

 

②セラピスト「では次に左足で行います。なんとか5秒間持ち上げてみてください。」評価実施時にはカウントをとります。

患者 5秒間保持不可能であり、ベッド上に足が落ちてしまった。

セラピスト「ありがとうございました。少し難しかったですかね。」

患者「そうですね。」

 

【点数】

0点:下垂なし(5秒保てる)

1点:5秒以内に下垂するか、ベッドまでは落ちない(動揺する場合も含む)

2点:5秒以内に下垂しベッドまで落ちる(重力に抗して動きはある)

3点:ベッドにすぐ落ちるが、動きは認められる(重力に抗して動かない)

4点:全く動きがみられない

N:切断・関節癒合

 

 

【評価結果】右足は5秒間肢位を保つことができ、下垂なしだったため0点となります。左足は重力に対しての動きはありましたが、5秒間保持が難しくベッド上に落ちたため2点となります。

 

7.運動失調

 

 

鼻指検査、膝踵検査(対側の踵を膝から足首、続けて足首から膝まで脛に添わせて行います)を行います。

両側行い、運動麻痺がある場合、麻痺の程度を差し引いて評価を行います。

理解力のない患者、片麻痺患者では0点をつけます。

切断や関節癒合の場合は9点とし、合計に用いません。

 

【評価例】

①右手にて鼻指検査

セラピスト「ご自分の人差し指を鼻で当ててもらい、右手で私の指に人差し指が当てるようにしてみてください。」

患者 右手での鼻指試験は問題なく実施可能

セラピスト「ありがとうございました。」

 

②右足にて膝踵検査

セラピスト「では次に右の踵を左膝にあてていただき、下に滑らせるようにしてください。」

患者 失調症状なく動作可能

セラピスト「ありがとうございました。」

 

③左手にて鼻指検査

セラピスト「では左手でご自分の人差し指を鼻から持ってくることはできますか。」

患者 麻痺の影響で実施困難

セラピスト「ありがとうございました。」

 

④左足にて膝踵検査

セラピスト「では左足にて右膝にあてていただき、下に滑らせるようにしてください。」

患者 麻痺の影響で実施困難。

セラピスト「ありがとうございました。」

 

 

【点数表記】

0点:なし

1点:4肢のうち1肢に失調症状が存在

2点: 4肢のうち2肢以上に失調症状が存在

N:切断・関節癒合

 

 

【評価結果】重力活動が難しい状況だったため0点となります。

 

運動失調の評価に関する関連記事はこちらをご覧ください。

 

8.感覚検査

 

知覚または検査時の痛みに対する渋面などで評価を行います。意識障害や失語症の場合は、痛み刺激からの逃避反応により検査します。左右差、逃避反応も評価します。

 

針刺激は、つまようじ(日本神経学会より)で行います。脳血管障害による感覚障害のみ評価します(頚髄症などの他疾患によるものは評価しません)

 

【評価例】

セラピスト「では今まで感じたことのあるような刺激、痛みである場合ははいと答えてください。それが突き刺す痛みの場合は痛いと言ってください。さすられているような感覚であった場合は弱いと言ってください。」検査者は両側上肢、下肢、顔面に対しつまようじを用い感覚の評価を行います。

患者 ①右側は大きく問題なし ②左側上下肢、左顔面は弱いと発言。

 

【点数】

0点:障害なし(軽い刺激で左右差なく分かる)

1点:軽度中等度(強い刺激なら両側とも分かる)

2点: 重度完全(片側/両側で触れられることすら分からない)

 

 

【評価結果】右側の感覚は大きく問題なかったため0点となります。左側は全体的に弱いと発言があったため1点となります。

 

感覚障害(視床出血)の関連記事はこちら👇

 

9.最良の言語(失語症)

 

12.

 

絵カード・呼称カード・文章カードを用いて行います(上記添付資料)。

 

絵カードの中で起こっていることを尋ね、呼称カードの中の物の名前を言わせ、文章カードを読ませます。

 

視覚障害がある方には、手の中に置かれた物品の同定、復唱、発語を命じます。

 

気管内挿管の場合は書字で評価します。昏睡患者には3点を与えます。

患者が完全に無言か、一段階命令に全く応じない場合は3点を与えます。

軽度から中等度失語は1点、重度失語は2点、全失語は3点とします。

 

【評価例】

①絵カード

セラピスト(絵カードを提示し)「ではこの絵はどういう状況か説明してみてください。」

患者「三人家族がいて、お母さんが台所でお皿を拭いています。男の子と女の子がクッキーを取ろうとして、男の子が転びそうになっています。」

セラピスト「ありがとうございます。」

 

②呼称カード

セラピスト(呼称カードを提示し)「では次に私が指で指したものの名前を言ってみてください。」上から順番に指を指していきます。

患者「手袋、鍵、たけのこ、椅子、飛行機、提灯」

セラピスト「ありがとうございます。」

 

③文章カード

セラピスト(文章カードを提示し)「ではこの紙に書いてある文章を読んでください。」

患者「わかっています。地面に落ちる、仕事から家に帰った、食道のテーブルのそば、昨日ラジオで話しているのを聴きました。」

セラピスト「ありがとうございます。」

 

【点数】

0点:失語症なし

1点:軽度中等度(検査者は答えを同定できる)

2点: 重度(検査者は答えを同定できない)

3点:無言・全失語

 

 

【評価結果】状況把握、物品呼称を大きく問題なかったため0点となります(動画参照)。

 

【注意点】これまでの検査で、失語症について上方が得られていると思いますので、そこを考慮し評価を実施していきます。

 

 

10.構音障害

 

失語症ではない場合、前出のカードの音読や単語カード(上記記載)の復唱で評価を行います。

 

失語症の場合、自発語の構音の明瞭さを評価します。

 

気管内挿管などで評価不良の場合は9点となり、点数に加算しません。全失語、昏睡などで評価不能の場合は2点を与えます。

 

【評価例】

セラピスト(単語カードを提示し)「では上から順番に喋ってみてください。」

患者「ママ、はとぽっぽ、バイバイ、とうきょう、かたつむり、バスケットボール(全体的に聞き取りづらさあり)」

セラピスト「ありがとうございます。」

 

【点数】

0点:正常

1点:軽度中等度(構音異常はあるが、言っていることが理解できる)

2点: 重度(言っていることが理解できない)

N:挿管または身体的障壁

 

 

 

【評価結果】全体的に少し聞き取りづらさが認められていました。しかし言っている内容は伝わっていますので、1点となります。

 

【注意点】これまでの検査で、構音障害について情報が得られており、考慮して評価を行います。

言語の評価を行うことを伝えてはいけません。

 

 

11.消去現象と注意障害(無視)

 

 

視覚・触覚・聴覚・視空間・自己身体不注意などで評価を行います。

 

視空間無視がある場合は、体性感覚による2点同時刺激で正常な場合は正常となります。

 

失語があっても両側に注意を向ける仕草がある場合は正常とします。

 

視空間無視や病態失認は無視の存在とします。昏睡は2点とします。評価不能の場合は正常とします。

 

【評価例】

〇触覚の消去現象 上肢

セラピスト「目をつぶっていただき、右に触れたら右、左に触れたら左、両方触れたら両方と答えてください。」

①右側上肢を触れる

患者「右」

②左側上肢を触れる

患者「(少し間があり)左」

③両側上肢を触れる

患者「右」

セラピスト「ありがとうございます。」

 

〇触覚の消去現象 下肢

セラピスト「続いて足も同様に行います。」

右側下肢を触れる

患者「右」

左側下肢を触れる

患者「(少し間があり)左」

両側上肢を触れる

患者「右」

セラピスト「ありがとうございます。」

 

 

【検査結果】感覚障害が軽度から中等度認められており反応は少し遅かったですが、正確に答えられていました。ですが両方を同時に刺激した際に右を優先してしまう場面が認められていたため消去現象が疑われます。

 

視空間認知

 

使用道具:棒(30cm程) ベルト 紐でも構いません。

セラピスト「①この棒の真ん中を右手で指してもらってもいいですか。」

患者 ②右よりに指をさす

セラピスト「ありがとうございます。」

 

【点数】

0点:異常なし

1点:視覚、触覚、視空間、または自己身体に対する不注意が認められる。あるいは1つの感覚様式で2点同時刺激に対する消去現象

2点: 重度の半側不注意あるいは2つ以上の感覚症式に対する消去現象。自分の手を認識できない、あるいは空間の一側しか注意を向けない。

 

 

 

【検査結果】右の方向に5㎝から10cm程寄っているので、左半側空間無視が疑われます。点数としては感覚様式の2つ以上、半側不注意が認められたため2点となります。

 

【注意点】これまでの検査で、半側空間無視の情報が得られており、考慮して評価を行います。

 

 

半側空間無視関連記事・動画は下をご参照ください。

 

 

 

 

 

脳卒中評価の関連記事・動画

 

 

STROKE LABではNIHSSのように療法士が用いる評価バッテリーについてYOUTUBEやブログでアップしています。是非併せてご覧ください。

 

 

●筋緊張評価MASについて解説しています。

 

 

 

 

●姿勢評価PASS:Postural Assessment Scale for Stroke

 

 

参考文献

 

1) Spilker J1, Kongable G, Barch C, Braimah J, Brattina P, Daley S, Donnarumma R, Rapp K, Sailor S. Using the NIH Stroke Scale to assess stroke patients. The NINDS rt-PA Stroke Study Group. J Neurosci Nurs. 1997 Dec;29(6):384-92.

 

 2)H.P. Adams Jr., P.H. Davis, E.C. Leira, K.-C. Chang, B.H. Bendixen, W.R. Clarke, R.F. Woolson, Hansen, MS. Baseline NIH Stroke Scale score strongly predicts outcome after stroke: A report of the Trial of Org 10172 in Acute Stroke Treatment (TOAST). Neurology July 1, 1999 vol. 53 no. 1 126

 

 3)Brott, T., Adams, H. P., Jr., et al. (1989). “Measurements of acute cerebral infarction: a clinical examination scale.” Stroke 20(7): 864-870.

 

 4)Josephson SA1, Hills NK, Johnston SC.. NIH Stroke Scale reliability in ratings from a large sample of clinicians. Cerebrovasc Dis. 2006;22(5-6):389-95.

 

André C. The NIH Stroke Scale is unreliable in untrained hands. J Stroke Cerebrovasc Dis. 2002 Jan-Feb;11(1):43-6.

 

5)Lyden P1, Raman R, Liu L, Emr M, Warren M, Marler J. National Institutes of Health Stroke Scale certification is reliable across multiple venues. Stroke. 2009 Jul;40(7):2507-11.

 

 6)Lyden P, Raman R, Liu L, Grotta J, Broderick J, Olson S, Shaw S, Spilker J, Meyer B, Emr M, Warren M, Marler J. NIHSS training and certification using a new digital video disk is reliable. Stroke. 2005 Nov;36(11):2446-9.

 

7)Kasner, S. E. (2006). “Clinical interpretation and use of stroke scales.” Lancet Neurol 5(7): 603-612.

 

8)Schlegel, D., Kolb, S. J., et al. (2003). “Utility of the NIH Stroke Scale as a predictor of hospital disposition.” Stroke 34: 134-137.

 

9)Rundek, T., Mast, H., et al. (2000). “Predictors of resource use after acute hospitalization: the Northern Manhattan Stroke Study.” Neurology 55: 1180-1187.

 

 

CATEGORY

 

FOLLOW US

STROKE LABの記事は各種ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしてください。

FOLLOW US

STROKE LABの記事は各種ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしてください。

CATEGORY

関連記事

Social Media フォロー↓↓↓
誠心誠意の機能回復サポート
脳卒中・パーキンソン病専門の個別リハビリ施設
病院リハ継続・更なる機能回復を目指します。
〒113-0033 東京都文京区本郷2-8-1 寿山堂ビル3階
株式会社STROKE LAB
03-6887-5263
ACCESS