Fluff Testとは?半側身体無視の評価方法・カットオフ・改訂採点を解説
Fluff Test
半側身体無視の評価
探し残した場所に、支援の手がかり。
身体に付けた標的を、見ずに手で探して取り除きます。左右の回収数に加え、触れなかった部位と本人の終了判断を読むことで、袖の確認や洗い残しへの支援につながります。

所要時間と、臨床での進め方
初めて担当するときの流れ
遮眼後に配置→同側の手で探索・除去→本人が終了したら残存位置を記録。C15個・I9個の回収数と部位、触れなかった/触れたが除去できなかった、終了発言を分ける。座位や到達範囲も確認。
身体外の探索とは別に調べる意味
Fluff Testは半側身体無視を評価する方法です。紙面の標的は探せても、麻痺側の袖や足の位置を確かめない人がいます。そのとき、身体そのものへ探索を向けられるかを評価します。2001年の原法と、2022年刊行の改訂採点法があります。[1][2]
「探さない」のか、「届かない」のかは重要な区別です。肩や体幹の可動域、痛み、感覚、座位の安定を先に確認し、探索しなかった部位と、触れたのに取り除けなかった部位を分けて記録します。
配置|病巣反対側15個、同側9個

| 部位 | 病巣反対側 C | 病巣同側 I |
|---|---|---|
| 上肢 | 上腕3+前腕3=6個 | 探索する腕には置かない |
| 体幹前面 | 3個 | 3個 |
| 下肢 | 大腿3+下腿3=6個 | 大腿3+下腿3=6個 |
| 合計 | 15個 | 9個 |
原法は直径2cmの円形標的を面ファスナーで衣服に付ける方法です。病巣と同じ側の手で探索します。「C=左」と固定せず、病巣との関係と使用手を記録します。材料や配置を変える場合は、その条件を明記します。[1][2][3]
実施|遮眼してから付け、本人の終了まで観察
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安定した座位を確保して遮眼
装着前から位置が見えないようにします。下腿へ手を伸ばす際に前傾が大きくなるため、転落しない支持を確保します。安全な探索が成立しなければ中断し、その理由を記録します。
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衣服に標的を配置する
全24個を指定の部位へ付けます。装着中に個数を数えにくくするため会話などを行い、全体の個数は伝えません。
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同側の手で探して取り除いてもらう
視覚を遮ったまま、衣服上の標的を全て取り除くよう求めます。原法に固定の制限時間はありません。本人が全て取った、または取り終えたと判断するまで観察します。
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残った位置と、探索の経路を記録
CとIの回収数、上肢・体幹・下肢の取り残し、触れた範囲、反復探索、終了の発言を残します。「まだ左にあります」という誘導後の回収は、補助なしの数へ加えません。

採点|原法の個数と、改訂法の左右差を分ける
| C/Iの回収数 | 計算 | 臨床での読み方 |
|---|---|---|
| 9/9 | 60−100=−40.0 | 反対側が低い。残った部位を優先して確認。 |
| 9/6 | 60−66.7=−6.7 | 両側とも低く、偏りは小さい。NSU(非空間的低成績)として扱われる組み合わせ。 |
| 15/6 | 100−66.7=+33.3 | 同側の取り残し。反対側満点だけで終了しない。 |
| 13/9 | 86.7−100=−13.3 | 両側の回収数は改訂法の正常範囲内。 |
改訂法の差の境界は丸めに注意が必要です。「−13.3以下なら全て異常」のように単純化せず、回収数の組み合わせを著者の表で照合します。配置図・採点表のある著者公開稿を開く。
何を予測し、何を生活で確かめるか
反対側の探索が少なければ、袖のねじれ、身体の洗い残し、移乗前の腕や足の置き忘れを確認します。身体無視は脳卒中後のADLなどの不良な転帰と関連しますが、Fluff Testの回収数だけで介助量や回復日数を算出することはできません。[4]
| 取り残し方 | 次に見る生活場面 | 区別したいこと |
|---|---|---|
| 上肢に集中 | 袖の通り方・袖口・腕の置き場所 | 腕へ注意が向かない/手が届かない/触覚で分からない。 |
| 下肢に集中 | ズボンの裾・靴・足の置き直し | 前傾の制約や恐怖、疼痛の影響。 |
| 両側に多数 | 清拭の完了判断、長い動作の持続 | 理解、疲労、探索の計画、身体への到達範囲。 |
| 同じ場所を反復 | 洗った場所・未確認部位の管理 | 探索済みの場所を保持できているか。 |
介入例|袖と清拭の確認を本人へ戻す
左上肢の探索が少なく、袖のねじれが残る
- 観察
- 着衣後に本人が袖口・肘・肩まわりを確かめるかを見ます。引っ張って肩に負担をかけないようにします。
- 試す支援
- 「袖口→肘→肩」の順に反対の手で触れて確認する手順を作ります。最初は一工程ずつ促し、本人が次の部位へ移れるかを見る。
- 再評価
- 自分で確認できた部位数、衣服の整え残し、声かけ回数。別の服でも再現するか確かめます。
全身を洗ったつもりだが、両側に抜けがある
- 観察
- 注意の持続、疲労、届く範囲を確認。まず浴室ではなく座位での清拭場面で見ます。
- 試す支援
- 上肢→体幹→下肢など、本人が理解できる少数の区分に分けます。終えた部位をカードで示し、次の部位だけを提示。
- 再評価
- 抜けた部位、同じ場所の反復、所要時間。疲労が増える前に休息を入れた条件とも比較します。

検査の組み合わせ・再評価
| 評価 | 役割 |
|---|---|
| BIT | 紙面・身体外の探索。 |
| Comb & Razor | 頭部・顔面の整容。 |
| CBS | 生活に現れる無視の支障。 |
| 感覚・運動評価 | 探索したが気づかない/届かない背景。 |
改訂採点が追加した視点
CocchiniとBeschinは243人の脳損傷患者のデータを用い、病巣同側の取り残しと、偏りの小さい全体低下も扱う採点を提案しました。片側の合否だけで止めず、両側の回収数を保存する理由になります。[2]
検査結果を、生活の支援へ残す
実施条件・観察・試した支援を整理する、STROKE LAB独自の臨床メモです。
既存の記録補助PDFです。正式な検査用紙や採点表の代わりではありません。
参考文献・実施資料
- Cocchini G, Beschin N, Jehkonen M. The Fluff Test: A simple task to assess body representation neglect. Neuropsychol Rehabil. 2001;11:17–31.
- Cocchini G, Beschin N. The Fluff test: Improved scoring system to account for different degrees of contralesional and ipsilesional personal neglect in brain damaged patients. Neuropsychol Rehabil. 2022;32:69–83(オンライン公開2020年).
- 太田久晶.半側空間無視のみかた.神経心理学.2025;41:80–87.
- Embrechts E, et al. The Association of Personal Neglect with Motor, Activities of Daily Living, and Participation Outcomes after Stroke: A Systematic Review. Arch Clin Neuropsychol. 2024;39:249–264.

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)