標準高次視知覚検査(VPTA)とは?7領域・採点の読み方と臨床での活用 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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高次脳機能障害

標準高次視知覚検査(VPTA)とは?7領域・採点の読み方と臨床での活用

STROKE LAB / ASSESSMENT GUIDE実施 → 解釈 → 介入

VPTA

標準高次視知覚検査

「見えている」の、その先を調べる。

道具の名前が出ないことと、道具そのものが分からないことは違います。視覚・触覚・言葉での反応を比較し、本人が使える手がかりを生活に組み込みます。

輪郭の重なりと色の照合を示す独自の説明図
輪郭の重なりと色の照合を示す独自の説明図。輪郭を色分けして識別の手がかりにしないようにしています。正式な図版ではありません。
7領域物体・顔・色・空間など
誤反応プロフィール高い得点=良好ではない
条件を比較視覚/触覚/言語の違い

医療・リハビリ専門職向け | 資料確認・更新:2026年10月24日

実施前の確認

所要時間と、臨床での進め方

準備 → 実施 → 記録 → 生活で確認

初めて担当するときの流れ

見るだけでは何か分からない物を、触覚など別条件で確認する場合は追加の鑑別観察として記録。顔は分からないが声で分かるなら、日常の名乗りや声の手がかりを検討。条件間の差を具体的に記述する。

01 / VPTA

VPTAで、何を明らかにするか

VPTA(Visual Perception Test for Agnosia)は、高次視知覚機能を包括的に調べる検査です。視力だけでは説明できない物・顔・色・文字・場所の認識の難しさを、領域ごとに整理します。[1]

例えば、洗面台で歯ブラシを選べないとき。「形が取りにくい」「何に使うか分からない」「名前だけ出ない」「物が多いと探せない」では、支援が変わります。VPTAでは、この区別につながる反応を拾います。

02 / VPTA

7領域と、生活から立てる問い

領域 検査で見ること 生活の問い
視知覚の基本機能 形・長さなどの基礎的な視知覚。 単純な形でも捉えにくいか。
物体・画像認知 見た形を物の意味へ結びつける。 道具を見て選べるか、用途が分かるか。
相貌認知 顔の知覚・人物の認識。 知人の顔が分からないのか、名前だけ出ないのか。
色彩認知 色の弁別・呼称・知識。 色は見分けられるが、名前にできないのか。
シンボル認知 文字・数字などの認識。 文字ラベルを手がかりにできるか。
視空間の認知と操作 位置・方向・構成。 物の配置や身体との位置関係を扱えるか。
地誌的見当識 場所や経路に関わる認知。 目印が分からないのか、曲がる方向を忘れるのか。

正式構成は学会案内によります。各領域がそのまま一つの診断名を意味するわけではありません。[1]

03 / VPTA

実施|標準課題の後に、別の手がかりで比較する

  1. 入力・理解・反応を確認

    眼鏡、視力・視野、複視、眼球運動、照明を確認。教示理解、呼称、指さし、描画が可能か、どの手を使うかを記録します。知らない人物・道具への不正答を、既知のものと同じに扱いません。

  2. 正規図版で提示・計時・採点

    規定の提示方法と反応時間の扱いをそろえ、答えをそのまま記録します。色や顔の課題は、画面や自作プリントへの置換で条件が変わります。

  3. 標準得点を確定して、追加比較

    生活の物を単独で見せる、触って判断してもらう、用途を言葉で説明するなどを比較。直前に正答を教えると記憶で答えられるため、提示順と伝えた情報を残します。

見る条件と触る条件で物の認識を比較するイメージ
追加比較は、標準条件の採点を終えてから別に記録します。
04 / VPTA

採点|0・1・2の方向と、プロフィールの読み方

VPTAは誤反応・遅延反応に点が付くため、得点が増えることを改善と読みません。基本的な区分として正答0点、遅延反応1点、誤答・無反応2点が用いられますが、時間条件や項目ごとの扱いはマニュアルで確認します。[1][3]

読み方 具体例
項目ごとの基準と照合 同じ合計の誤り点でも、物体に集中するのか、顔・色・空間へ広がるのかを見る。
実施範囲を明示 未実施は0点と区別。全領域を行っていない場合は、その範囲を記す。
正誤だけでなく条件差 名称は出ないが用途は説明できる、単独なら分かるが重なりで難しい、などを残す。
変化の方向を読む 誤答から遅延正答への変化は、時間をかければ認識できるようになった可能性。生活でも確認する。
05 / VPTA

反応の違いから、使える支援を選ぶ

観察した反応 解釈の方向 最初に試す支援
名前は出ないが、用途は分かる 呼称の問題を含めて言語機能を確認。 名称を言わせ続けず、選択や実際の用途で確認。
見て分からず、触ると分かる 視覚から認識への過程を詳しく調べる。 安全な物で触覚を使う確認方法。
単独なら分かるが、並ぶと探せない 混み合い・探索・注意の負荷を確認。 背景を簡素にし、必要物だけを提示。
色は照合できるが、色名が出ない 知覚と呼称を分ける。 色名の指示より、現物同士の照合。
顔が分からず、声で分かる 相貌認知と人物知識を確認。 会うときに名乗る、声で人物を確認。
相貌と色を分け、資料を本人から見える向きに提示したイメージ
相貌と色を分け、資料を本人から見える向きに提示したイメージ。顔の知覚的照合と、熟知人物を同定する課題は区別して扱います。

こうした比較は臨床的な仮説です。視覚以外でも認識が難しい場合には、意味記憶や言語理解などへ評価を広げます。[2]

06 / VPTA

介入例|洗面台と、病室までの道順

CLINICAL EXAMPLE · 架空例

歯ブラシを単独なら選べるが、洗面台で止まる

最初に測る
普段の配置で選択までの時間と取り違えを記録。
試す支援
必要な歯ブラシとコップだけを、模様の少ない背景に置く。まず提示数だけを変えて反応を見る。
手がかりを確認
文字が読めるなら文字ラベル、触ると分かるなら安全な触覚確認を使います。色だけで識別させるのは色認知を確認してから。
再評価
自分で選べた回数/機会数、促し、別の洗面台での再現性。
CLINICAL EXAMPLE · 架空例

病室へ戻る途中で迷う

観察
どの分岐で止まるか、目印を認識しているか、方向が分からないのかを同行して確認。
試す支援
本人が実際に認識できた目印を一つ選び、「この目印で右へ」のように行動と結びつけます。地図理解が難しい人へ地図だけを渡しません。
再評価
同じ経路で必要な促しと誤った曲がりを記録。安定してから別の時間帯・経路へ広げます。
病院内の目印を使って経路を確認する場面
一人で外出できるかは、実際の経路、視野、注意、交通環境を合わせて評価します。
07 / VPTA

予後・他尺度・研究の読み方

VPTAから見通せるのは、どの情報が生活で使いにくく、どの手がかりが利用できそうかです。合計点から回復期間や外出自立の確率は出せません。検査プロフィールと、実物・実環境での成功率を並べて追います。

補う評価 役割
SLTAなど 理解・呼称・読みの問題を分ける。
BIT・CAT-R 片側の見落としや注意の影響を確認。
視力・視野・眼球運動 視覚入力の基礎条件を確認。
VPTA-FFT ver.2 熟知相貌検査部分の改訂版。VPTA全体の第2版ではない。

2026年の国内一症例報告

顔の特徴を手がかりにする訓練後、顔認知課題やVPTA相貌認知項目の改善が報告されています。本人に使える特徴を探す参考になりますが、全例に同じ方法を選ぶ根拠ではありません。[3]

失認のリハビリテーション研究

Gobboらの系統的レビューは、物体失認・相貌失認の介入を整理しています。認知のどの過程が弱いかに合わせた支援が検討されており、生活では未練習の物や人物へ広がるかを確かめます。[4]

DOWNLOAD / 記録と共有に

検査結果を、生活の支援へ残す

実施条件・観察・試した支援を整理する、STROKE LAB独自の臨床メモです。

臨床メモを開く(PDF)

既存の記録補助PDFです。正式な検査用紙や採点表の代わりではありません。

REFERENCES

参考文献・実施資料

  1. 日本高次脳機能学会.標準高次視知覚検査(VPTA).構成・正規資料・プロフィール作成.
  2. 鈴木匡子.失認.神経心理学.2025;41:54–61.
  3. 畑添涼ほか.相貌失認1症例に対する知覚的訓練の効果―顔の特徴を手がかりにした訓練の有効性―.高次脳機能研究.2026;46:1–23.
  4. Gobbo S, et al. The rehabilitation of object agnosia and prosopagnosia: A systematic review. Restor Neurol Neurosci. 2022;40:217–240.

正式な実施・採点には使用版の正規資料を用います。掲載図は課題理解のための説明図、生活の事例は架空例です。介入例の回数・時間・目標は個別に設定する実践案で、検査の判定基準ではありません。

STROKE LAB / VPTA 臨床で使える評価ガイド

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