vol.214:頸椎性頭痛と顎関節症に対する治療選択 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
頚椎性頭痛と顎関節症に対する治療選択
Orofacial manual therapy improves cervical movement impairment associated with headache and features of temporomandibular dysfunction: a randomized controlled trial.?PubMed von Piekartz H et al.(2013)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・以前の論文サマリで顎関節に対する頸椎を提示したが、頸椎の障害に対する顎関節の関わりに興味があり本論文に至る。
内 容
背景
・頚椎性頭痛(CGH)は、頸椎の障害から生じる頭痛のサブグループとして認識される。(頚椎の関連痛は、上位頚椎の場合、頭部・顔面・首回りに出現します。下位頚椎の関連痛は首回り・肩甲骨周り・上腕~前腕にも出現することがあります。)
・頸椎と顎関節は相互的に関わっており、顎関節症(TMD)の原因の一つに頸椎原性の頭痛(CGH)があるという報告がある。
目的
・研究目的は、CGHの特徴とTMDの徴候を有する患者において、頸椎の徒手療法に加えて口腔顔面治療を行った場合と頸椎の徒手療法のみを行った場合で、どちらが効果的か評価・治療を行いその結果を知る事であった。
方法
・この研究では、3ヶ月以上頭痛があり、CGHおよびTMDの特徴を有する43人の患者(そのうち27人の女性)が、頚椎の徒手療法のみ(通常のケア)または通常のケアに加え口腔顔面の徒手療法を受けるように無作為に割り当てられた。38名の被験者(そのうち女性25名)が、すべての分析を6ヶ月のフォローアップで完了した。
・被験者は、ベースライン、6回の治療セッション後(3ヶ月)、および6ヶ月間のフォローアップ後で評価された。
・口腔顔面ケアグループでは、治療は患者に個別化された咀嚼トリガポイント・筋緊張の是正および顎関節の制限を扱った。通常ケアグループは、患者に個別化された頸椎の徒手療法のみ(場合によってセルフトレーニング)を受けた。
・結果の基準は、疼痛の程度、頚椎C1-2屈曲回旋テスト(ゼブリスを併用:ドイツで開発された超音波方式のモーションアナリシスシステム)とC3の手動検査(前後方向の関節副運動のテスト)であった。
結果
・通常のケアに加えて口腔顔面治療を受けた群は、治療期間後、頚椎の障害の全ての局面において通常のケアのみと比べ改善を示した。
・6ヶ月間の追跡調査を行ったが、通常のケア群ではいずれの時点でも改善が観察されなかった。
・被験者は、ベースライン測定において、頸椎ROM(FRTを含む)の制限を明確に有していたが、口腔顔面治療を行った群はほぼ全ての頸椎ROMがベースライン評価時から3ヶ月評価時点で改善を示した。これは通常ケアを受けている場合には当てはまりませんでした。しかし、3か月と6か月の比較では改善は大きな差はありませんでした。
・これらの結果は、頭痛を有する患者を評価・治療する際に、頸椎においてのみ治療を行い失敗したときに顎関節症の兆候を評価し治療すべきであることを示している。
私見・明日への臨床アイデア
・頸椎と顎関節は相互的に関わっており、双方の評価を行った上で、個別性に合わせて双方の治療を行った方が効果的である場合があることが示された。トータルで診ないと、関連部位で記憶された誤情報が是正されず、局所の持ち越し効果も低減してしまうかもしれない。局所を治療した際に、次に見えてくる問題点も考え臨床に挑みたい。
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
脳卒中自主トレ100本以上 一覧はこちら
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)