vol.211:顎関節症と頸椎の可動性の関係 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
顎関節症と頸椎の可動性の関係
Upper cervical range of motion is impaired in patients with temporomandibular disorders.?PubMed Grondin F et al.(2015)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・顎、口腔機能と頸部~肩関節のリンクに興味があり、本論文に至る。
内 容
背景
・顎関節症(TMD)は、最近の研究では、男性よりも女性の方が多く、男性では2.8%であったのに対し、女性では6.3%であることが判明しました。
・TMDに苦しんでいる人は、頸部の筋機能、運動時痛、触察による圧痛ならびにメカニカルストレスの閾値の障害など頸部で著しく悪化していることが示されています。疑いもなく、直接的に関係しており、双方に影響を及ぼしあいます。
・通常、口を開ける時に頸部 – 頭蓋の接合部に伸展が起こります。上位頸椎の制限が口の開きを制限させる可能性があります。
・頸椎の障害が顎関節症の重症度と相関しているとの報告がある。
・顎関節症(TMD)患者の頸椎の評価と治療は臨床において行われるべき所であるが、TMD患者の上位頸椎の可動性を調べた研究はほとんどない。
目的
・研究目的は、TMDによる疼痛を有する患者が、無症状の被験者と比較し、上位頸椎に障害を有するか調べることであった。
方法
・頸椎のROMテストを行った。①軸回旋を伴ったthe flexion-rotation test (FRT)②矢状面のROMを測定した。
・20名の無症状の被験者を、TMDによる疼痛を有する37名の被験者と比較した。
・37人のうち頭痛なし(TMDNHA)が26人、頭痛あり(TMDHA)が11人であった。
結果
・結果は、FRTおよび矢状面ROM共に群間に有意差があることが明らかになった。
・TMD群の中でも頭痛あり(TMDHA)群が頭痛なし(TMDNHA)群より軸回旋が小さかった。
・頭痛を伴うTMD患者において最も頸椎の可動域制限を有した。
・この研究は、TMDに苦しむ患者に対しての上位頸椎ROMの検査・治療の重要性についての証拠を提供した。
私見・明日への臨床アイデア
・顎関節評価時に頸椎を評価する重要性の分かる内容であった。顎が3Dで自由に動けるには、頸椎もそれに対応しstabilityを作ったり、または3Dで動ける必要があると考えられる。頸椎の可動性・筋の状態・姿勢など総合的に診ていく必要を感じた。
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)