低栄養が筋力低下に与える影響とは?リハビリで重要な栄養管理と評価指標を徹底解説
低栄養は、なぜリハビリの効果を奪うのか。
脳卒中後の低栄養は、筋肉量や筋力の低下、体力の落ち込みにつながり、リハビリの効果を下げてしまいます。本記事では、低栄養の見つけ方と、栄養管理と運動療法を組み合わせる考え方を、新人セラピスト向けにエビデンスとともに整理しました。
要点5項目。
この記事のまとめ(結論)。
まず「食べられているか」を確認する。
脳卒中の後は、嚥下障害や食欲低下などで低栄養になりやすくなります。低栄養のまま負荷の高い運動を続けても、筋肉は増えにくく、疲れやすさも改善しにくいのです。
押さえたいのは3点です。早めのスクリーニング、栄養と運動の組み合わせ、多職種での共有。セラピストも、摂取量と体重の推移を日々の評価に含めましょう。
臨床でよくある4つの場面と対応
| よくある場面 | 背景にあるもの | まず行うこと | 詳しくは |
|---|---|---|---|
| すぐ疲れて練習が続かない | エネルギー不足や筋肉量の低下が隠れている | 食事摂取量・体重の推移を確認し、管理栄養士と共有 | 第5・8章 |
| 食事が進まない(摂取量が5割以下) | 嚥下障害、食欲低下、食事動作の障害 | STの嚥下評価、食形態・介助・環境の調整 | 第2・7章 |
| 体重が減り続けている | 摂取量が消費量に追いついていない | GLIM基準で評価し、栄養補助食品や経管栄養を検討 | 第5・6章 |
| 筋力トレーニングで改善しない | 栄養が足りないまま負荷をかけている | 栄養の改善を優先し、負荷は段階的に上げる | 第6章 |
ここから先は、この結論の根拠と具体的な進め方を順に解説します。定義と疫学(第2章)、筋骨格系への影響(第3章)、評価(第5章)、栄養管理と運動療法(第6章)の順です。
脳卒中後の低栄養の定義と疫学。
低栄養とは、エネルギーやたんぱく質などが不足し、体の組成や機能が損なわれた状態です。現在は、国際的な診断基準であるGLIM基準が広く使われています(Cederholm et al., 2019)。GLIM基準では、体重減少・低BMI・筋肉量低下のいずれかと、摂取量の低下・炎症のいずれかがそろうと低栄養と診断します。
入院後の脳卒中患者を対象とした18研究の系統的レビューでは、低栄養の割合は6.1〜62%と大きくばらつきました(Foley et al., 2009)。17種類もの評価法が使われ、妥当性が確認された方法は4研究だけでした。
一方で、回復期リハビリの現場では低栄養やサルコペニアがよくみられ、身体機能の回復の妨げになることが繰り返し報告されています(Yoshimura, 2022)。数値の幅にとらわれず、検証された方法で一人ひとりを評価することが大切です。

脳卒中後に低栄養が生じやすい3つの理由
嚥下障害(食べ物を安全に飲み込めない状態)は、脳卒中後に高い頻度で起こります。系統的レビューでは、簡易スクリーニングで37〜45%、詳しい検査では64〜78%と報告されています(Martino et al., 2005)。嚥下障害があると肺炎のリスクは約3倍になります。食べる量が減るうえ、食形態を合わせないと誤嚥も起こりやすくなります。
発症直後や感染症を合併したときは、体の炎症反応が強まります。すると、筋肉のたんぱく質などを分解する「異化」が進みやすくなります。同じ量を食べていても、筋肉が落ちやすい時期です。
注意障害・半側空間無視・失行があると、食べる動作そのものが難しくなります。たとえば、半側空間無視では片側の料理に気づかず残してしまうことがあります。また、脳卒中後うつ(約3人に1人に生じる)による食欲低下も、栄養不足の原因になります。
— ご本人・ご家族の状況を丁寧にお伺いします
そのお悩み、一度ご相談ください。
STROKE LABでは、栄養状態と運動機能を同時に評価しながら、一人ひとりの回復目標に合わせたリハビリプランをご提案します。退院後も「もっとよくなりたい」というご要望に、専門スタッフが丁寧にお応えします。
低栄養が筋骨格系に及ぼす影響。
栄養が足りないと、単に痩せるだけではありません。筋肉の量が減り、筋肉の構造や質も落ち、骨も弱くなります。さらに炎症が加わると、低栄養と筋肉の減少が互いに悪化させ合います。

①筋の萎縮とサルコペニア
サルコペニアは、加齢や病気によって筋肉量と筋力が低下した状態です。低栄養と活動量の低下が重なると、急速に進みます。加齢に伴うサルコペニアでは、速い力を出す速筋線維(タイプⅡ線維)の萎縮が目立つとされます。その結果、立ち上がりや歩き始めが難しくなり、練習を続ける体力も落ちていきます。
②羽状角の低下(筋の質的劣化)
羽状角は、筋線維が腱に対してつく角度です。羽状角が大きい筋は、同じ体積でも多くの筋線維を詰め込めるため、大きな力を出しやすくなります。内科病棟に入院した高齢者68名の研究では、栄養状態の悪い人ほど太ももの筋肉(外側広筋)が薄く、羽状角も小さいことが示されました(Lo Buglio et al., 2020)。
対象:内科病棟に入院した高齢者68名。MNAで「栄養良好」「低栄養のおそれ」「低栄養」の3群に分け、入院時と7日後に評価しました。
主な結果:低栄養群は、ほかの2群より筋厚と羽状角が小さい結果でした。MNAの点数が高いほど握力も強い関係がありました。多変量解析では、入院時の栄養状態が羽状角に影響する唯一の有意な因子でした。
注目点:入院後7日間で、栄養状態にかかわらずすべての群で羽状角が低下しました。入院生活そのものが、短期間で筋肉の構造を変える可能性があります。
読み方の注意:脳卒中に限らない内科入院患者の観察研究で、対象者も少数です。脳卒中でも同じ傾向が考えられますが、そのまま当てはめず参考として読みます。
③骨密度の低下と骨粗鬆症
ビタミンDやカルシウムの不足が続くと、骨が弱くなります。脳卒中後は麻痺側を使わないことでも骨量が減るため、二重に骨が弱りやすい状態です。脳卒中後は転倒も増えるため、骨折、特に大腿骨近位部骨折には注意が必要です。
④炎症と筋内脂肪の増加
感染症などで炎症が続くと、食欲が落ちるうえに筋肉の分解も進みます。GLIM基準が炎症を低栄養の原因の一つに位置づけているのはこのためです。また、活動量が落ちると、筋肉の中に脂肪が入り込む「筋内脂肪」が増えることがあります。体重が変わらなくても筋肉の質が落ちていることがあるため、体重だけで判断しないことが大切です。
鑑別:サルコペニアとフレイル。
低栄養・サルコペニア・フレイルは重なり合う概念ですが、それぞれ定義と評価方法が異なります。適切な介入を選択するために、正確な鑑別が重要です。

| 概念 | 主な定義・基準 | 代表的評価ツール | 主な介入 |
|---|---|---|---|
| 低栄養 | GLIM基準:体重減少・低BMI・筋肉量低下のいずれか+摂取量低下・炎症のいずれか | MNA-SF、NRS-2002(スクリーニング)→ GLIM(診断) | 栄養補給(経口栄養補助食品・経管・静脈栄養)、食形態の調整 |
| サルコペニア | 筋肉量の低下+筋力または身体機能の低下。日本ではAWGS2019基準を用いる | 下腿周囲長・SARC-F・SARC-CalF(拾い上げ)→ 握力・歩行速度・筋肉量 | レジスタンストレーニング+たんぱく質補給 |
| フレイル | 体重減少・疲労感・筋力低下・歩行速度低下・身体活動量低下の5項目のうち3項目以上(Friedの表現型モデル) | Fried基準、日本版のJ-CHS基準 | 筋力トレーニングを含む運動+栄養+社会参加の組み合わせ |
サルコペニアの評価方法は、サルコペニアとは?原因・評価法SARC-Fの解説で詳しく紹介しています。
低栄養の評価指標と基準値。
低栄養の評価は、「スクリーニング → 診断(GLIM) → 身体機能の評価」の3ステップで進めます。セラピストが診断をするわけではありませんが、基準値を知っておくと多職種で話が通じやすくなります。

Mini Nutritional Assessment
MNA®公式サイトから取得した評価用紙です。評価項目・採点方法はPDF内の説明をご確認のうえ、ご使用ください。
出典:MNA®(Mini Nutritional Assessment)公式サイト。評価用紙は当サイト独自の作成・翻訳ではありません。PDFが開いた場合は、表示画面の保存ボタンからダウンロードできます。
| カテゴリ | 指標 | カットオフ・基準値 | 臨床的意義 |
|---|---|---|---|
| 体組成 | 体重減少率 | 6か月以内に5%超、または6か月を超えて10%超(GLIM) | 最も分かりやすいサイン。入院時の体重と比べて毎週確認する |
| 体組成 | BMI | アジア人のGLIM基準:70歳未満 <18.5、70歳以上 <20 kg/m² | 日本人の食事摂取基準では、65歳以上の目標BMIは21.5〜24.9 |
| 血液検査 | アルブミン(Alb) | <3.5 g/dL が目安として使われることが多い | 半減期は約20日。炎症や脱水の影響を強く受けるため、栄養状態だけの指標にはならない |
| 血液検査 | プレアルブミン(PA) | <17 mg/dL が目安として使われることが多い | 半減期は約2日と短いが、アルブミンと同じく炎症で低下する。CRPと合わせて解釈する |
| 血液検査 | トランスフェリン | <200 mg/dL が目安として使われることがある | 半減期は約8〜10日。鉄欠乏や炎症の影響を受けるため補助的に使う |
| 血液検査 | 総リンパ球数(TLC) | <1,500 /μL | 栄養状態の補助的な指標。感染やステロイドなどでも変動する |
| 身体機能 | 握力(Handgrip strength) | 男性 <28 kg、女性 <18 kg(AWGS2019) | 筋力の簡便な評価。測定は非麻痺側で行うのが一般的。サルコペニアの診断に使う |
| 身体機能 | 歩行速度 | <1.0 m/s(AWGS2019、6m歩行) | 身体機能の指標。脳卒中では麻痺の影響を受けるため、経過の比較に使う |
| 食事摂取 | エネルギー摂取量 | 必要量の50%以下が1週間以上続くと、GLIMの「摂取量低下」に該当 | 高齢者の目安は約30 kcal/kg/日(ESPEN)。食事記録で毎日確認する |
| 食事摂取 | たんぱく質摂取量 | 高齢者は1.0 g/kg/日以上が目安(ESPEN) | 病気や低栄養がある場合は1.2〜1.5 g/kg/日に増やすことが提案されている(PROT-AGE) |
| 筋量評価 | BIA(生体インピーダンス分析)・SMI | SMI(四肢骨格筋量指数):BIAで男性 <7.0、女性 <5.7 kg/m²(DXAでは女性 <5.4)(AWGS2019) | 筋肉量の評価に使う。麻痺側と非麻痺側で差が出ることに注意 |
| サルコペニア | SARC-Fスコア | 4点以上で疑い。ほかに下腿周囲長(男性 <34 cm、女性 <33 cm)、SARC-CalF 11点以上(AWGS2019) | 筋力・歩行・立ち上がり・階段・転倒の5項目の質問票。短時間で実施できる |
アルブミンやプレアルブミンは、炎症があると栄養状態に関係なく低下します。米国静脈経腸栄養学会(ASPEN)も、これらを栄養状態の指標として単独で使わないよう勧めています(Evans et al., 2021)。採血データの読み方は検査値・血液データの見方、握力の測り方は握力測定の方法と臨床的意義で解説しています。
栄養管理と運動療法の進め方。
介入は「栄養補給の確保 → 運動療法との組み合わせ → モニタリング」の順で組み立てます。栄養と運動は車の両輪です。まずは、よくある症例で考えてみましょう。
歩行練習を始めても、すぐに疲れて座り込んでしまいます。嚥下障害があり、食事もなかなか進みません。こうした患者さんを「運動量が足りない」とだけ捉えていないでしょうか。
BMI 18.0、摂取量4割という状態は、アジア人のGLIM基準(70歳以上でBMI 20未満)と摂取量の低下の両方に当てはまります。この状態で負荷だけを上げても、筋肉は増えにくく、疲労が強まるおそれがあります。まず栄養を整えることから始めます。

高齢者の目安はエネルギー約30 kcal/kg/日、たんぱく質1.0 g/kg/日以上です(ESPEN, 2019)。体重を増やしたいときは、消費量に上乗せして目標を決めます。食事で足りなければ経口栄養補助食品(ONS)を使い、1日400 kcal・たんぱく質30 g以上を目安に、少なくとも1か月続けます。なお、栄養状態の良い脳卒中患者全員にONSを配っても、転帰は改善しませんでした(FOOD試験)。対象を絞ることが大切です。
口から十分に食べられない場合は、経管栄養を検討します。嚥下障害のある脳卒中患者の大規模試験では、早期に経管栄養を始めると死亡が減る可能性が示されました。発症早期の数週間は、胃ろう(PEG)より経鼻胃管のほうが機能的な転帰が良好でした(FOOD試験)。経鼻胃管は嚥下訓練を妨げないため、訓練は早くから並行できます(ESPENガイドライン)。腸が使えない場合に限り、静脈栄養を選びます。
摂取エネルギーが明らかに足りない時期は、関節可動域練習や低負荷の運動、離床・ADL練習を中心にします。摂取量と体重が改善してきたら、筋力トレーニングの負荷を段階的に上げます。運動の前後にたんぱく質をとるよう、管理栄養士と時間を合わせるとよいでしょう。運動強度の決め方はリハビリにおける最適な運動強度も参考になります。
毎日の摂取量を記録し、体重は週1回以上測ります。握力や歩行速度も定期的に測り、変化をチームで共有します。採血データはCRPと合わせて解釈します。評価の軸は、体重・摂取量・筋力・ADLの推移です。
FOOD試験(Dennis et al., 2005, Lancet):脳卒中患者5,033名の大規模RCTです。飲み込める患者全員へのONSは推奨されませんでした(参加者の多くは入院時に栄養状態が良好でした)。嚥下障害の患者では、早期の経管栄養で死亡が減る可能性が示されました。
ESPENガイドライン:高齢者ではエネルギー約30 kcal/kg/日、たんぱく質1.0 g/kg/日以上が目安です。低栄養またはそのおそれのある入院高齢者には、ONSが推奨されています(推奨度A)。
嚥下訓練(コクランレビュー):嚥下訓練で、終了時に嚥下障害が残る人や肺炎が減る可能性が示されています。ただし、エビデンスの確実性は低いと評価されています(Bath et al., 2018)。

退院後も回復は続きます。栄養とリハビリを統合した専門的アプローチで、一人ひとりの目標に向き合います。STROKE LABでは初回無料相談を実施しており、現在の状態・ご要望・生活目標を丁寧にお伺いしたうえで、最適なプログラムをご提案します。
多職種連携と環境調整。
低栄養の管理は、一つの職種だけでは完結しません。NST(栄養サポートチーム)の枠組みで、各職種の役割をはっきりさせ、情報を共有しましょう。

多職種連携の役割分担
| 職種 | 主な役割 | 情報共有ポイント |
|---|---|---|
| 医師 | 診断・治療方針立案。薬剤・点滴栄養の処方。経管栄養の適応判断 | 血液データの変動、摂取量の変化を報告 |
| 管理栄養士 | 必要栄養量算出・食事プラン作成。ONSの種類と摂取タイミングの調整 | 運動量の変化に応じた摂取カロリーの見直しを依頼 |
| PT(理学療法士) | 運動量と活動量の情報提供。筋力・歩行機能の定期評価 | 握力・歩行速度の測定値を毎週記録・共有 |
| OT(作業療法士) | 食事動作・ADLの評価と介入。自助具の選定と食事環境の整備 | 摂取量に影響する食事動作の課題を看護師・管理栄養士と共有 |
| ST(言語聴覚士) | 嚥下機能評価(VF・FEES)と食形態の決定。直接・間接嚥下訓練の実施 | 食形態の変更・経口移行の可否を栄養士・医師へ報告 |
| 看護師 | 毎日の摂取量モニタリング。食事介助・経管栄養の管理。口腔ケアの実施 | 摂取量の変化・嚥下中のむせを当日中にチームへ共有 |
| 臨床心理士 | 食欲低下の精神的背景(うつ・不安)の評価と支援 | うつ症状・意欲低下の評価結果をチームで共有 |
食事環境の整備と患者教育
「食事とリハビリの時間の関係を確認しましょう。空腹のままの練習は避けたいところです。一方、高齢者では食後に血圧が下がりやすいため、食直後の起立練習には注意が必要です。」
「水分補給も大切です。脱水は集中力や筋機能を落とします。嚥下障害がある方は、水分にとろみが必要かどうかをSTに確認してから提供しましょう。」
「患者さんに『なぜ食べることがリハビリに直結するか』を伝えることも大切です。ヨーグルトやチーズなど身近な高たんぱく食品を紹介するだけで、自己管理意識が変わります。」
Pitfalls と臨床判断のコツ。
低栄養の患者さんのリハビリで、新人セラピストが陥りやすい罠を3つ整理しました。
臨床判断の分岐点
「運動負荷を上げるかどうかは、摂取量が目標に近づいているか、体重が下げ止まっているかを見て判断しましょう。体重が減り続けているときは、負荷を上げる前に栄養計画をチームで見直します。」
「褥瘡がある患者さんは、傷の治癒にもたんぱく質とエネルギーが使われます。栄養目標の見直しを、医師や管理栄養士に相談しましょう。」
予後とゴール設定。
回復期の脳卒中患者では、入院早期に体重を保てた人ほど身体機能の回復が良好でした。発症1週間のエネルギー摂取量が多い人ほど、自宅に退院しやすいことも報告されています(Yoshimura, 2022)。いずれも観察研究ですが、栄養状態はリハビリの成果を左右する要因の一つと考えられます。
短期(1〜2週):体重の減少を止め、摂取量を目標量に近づけます。体重を1 kg増やすには、およそ7,000〜9,600 kcalの上乗せが必要とされます。急な増加は期待せず、週単位で推移を見ます。
中長期(1か月以上):体重と筋力の回復を目指し、筋力トレーニングの負荷を段階的に上げます。退院後も栄養状態を保てるよう、家族への食事指導や在宅サービスにつなげます。回復の時期ごとの見通しは、脳卒中後の回復曲線の解説も参考になります。
よくある質問(新人臨床家の疑問)。
脳卒中患者はなぜ低栄養になりやすいのですか?
嚥下障害、食欲低下、意識障害、高次脳機能障害などが重なり、食べる量が減りやすいためです。発症早期や感染症の合併時は炎症で筋肉の分解も進みます。さらに、入院生活そのものが短期間で筋肉の構造を変える可能性も報告されています(Lo Buglio et al., 2020)。
低栄養の評価にはどのツールを使えばよいですか?
まずMNA-SF(高齢者)やNRS-2002(入院患者)でスクリーニングし、低栄養のおそれがあればGLIM基準で診断します。GLIM基準では、体重減少・低BMI・筋肉量低下のいずれかと、摂取量の低下・炎症のいずれかを確認します。アルブミンは炎症で下がるため、単独では判断しません。サルコペニアの拾い上げには、下腿周囲長やSARC-F(4点以上)を使います。
低栄養状態の患者にレジスタンストレーニングをしてよいですか?
摂取エネルギーが明らかに足りない時期は、高負荷の筋力トレーニングは控えるのが一般的です。関節可動域練習や低負荷の運動、離床・ADL練習から始めます。摂取量と体重が改善してきたら、段階的に負荷を上げます。栄養目標の目安は、エネルギー約30 kcal/kg/日、たんぱく質1.0 g/kg/日以上です(ESPEN)。
栄養状態が筋構造(羽状角)に与える影響を教えてください。
内科病棟に入院した高齢者68名の研究(Lo Buglio et al., 2020)では、低栄養群ほど筋肉が薄く、羽状角も小さい結果でした。入院時の栄養状態は、羽状角に影響する唯一の有意な因子でした。また、栄養状態にかかわらず、入院後7日間で羽状角が低下していました。脳卒中に限らない小規模な観察研究のため、参考として読みます。
嚥下障害がある患者の栄養管理はどう進めますか?
まずSTが嚥下機能を評価し、必要に応じて嚥下造影検査(VF)や嚥下内視鏡検査(FEES)を行って食形態を決めます。口から十分に食べられない場合は、経管栄養を検討します。発症早期は胃ろうより経鼻胃管のほうが機能的な転帰が良好でした(FOOD試験)。経鼻胃管は嚥下訓練を妨げないため、訓練は並行して進められます。
多職種連携で誰が何を担当するのですか?
医師が治療方針と栄養ルートを決め、管理栄養士が必要栄養量と食事プランを作ります。STは嚥下機能を評価して食形態を決めます。PT・OTは身体機能や食事動作を評価し、運動量の情報をチームに伝えます。看護師は摂取量の記録と食事介助を担い、薬剤師は薬の影響を確認します。
STROKE LABのプログラム。
STROKE LABは脳神経系疾患に特化した自費リハビリ施設です。脳卒中後の後遺症(麻痺・歩行障害・嚥下障害など)に対して、エビデンスに基づく熟練セラピストが一人ひとりにオーダーメイドのプランを提供します。保険外のため、時間・内容・頻度を柔軟に設計でき、「まだ良くなりたい」という思いに応えることができます。

— STROKE LABでの脳卒中リハビリの実際の様子です。実際の身体の変化をご確認ください。
「入院中は栄養とリハビリが分断されがちです。チームの枠を超えて『今日この患者さんは何kcal食べられたか』を毎日確認するだけで、介入の質がまったく変わります。」— 理学療法士・経験15年・脳卒中回復期専門
「低栄養で退院される患者さんが多い現実があります。退院前から管理栄養士と連携して自宅での栄養補給方法を家族に伝えておくことが、その後の回復を大きく左右します。」— 作業療法士・経験12年・生活期リハビリ専門
あわせて読みたい:【2026年版】サルコペニアとは?原因・評価法SARC-Fからパーキンソン病等の疾患併発リスクまで解説
あわせて読みたい:脳卒中後疲労(PSF)とは?原因・評価(FSS)・リハビリ方法を徹底解説
諦めないでください。

「退院後にリハビリが終わってしまった」「もっと良くなれると感じているのに、通院の回数が制限されている」――そんなお声をたくさんいただきます。
脳卒中後の回復に、「遅すぎる」ということはありません。栄養状態を整え、リハビリを続けることで、発症から時間が経っても機能が改善する方は少なくありません。
STROKE LABでは、一人ひとりの状態・生活背景・ご希望をじっくりお伺いし、あなたのためだけのプログラムをご提案します。まずは20分の無料相談から始めましょう。
代表取締役 金子 唯史
参考文献。

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)