2016.12.20脳科学系
vol.62:新たなバランス評価テスト(BESTest-ベステスト-) 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
脳神経系論文に関する臨床アイデアを定期的に配信中。 Facebookで更新のメールご希望の方はこちらのオフィシャルページに「いいね!」を押してください。」 臨床に即した実技動画も配信中!こちらをClick!!(YouTube)
STROKE LABでは療法士向けの脳科学講座/ハンドリングセミナーを行っています!
youtube動画Mini-Bestestミニベステスト解説しています
カテゴリー
バランス評価
タイトル
バランス障害の識別化を図るためのバランス評価システムテスト(BESTest) The Balance Evaluation Systems Test (BESTest) to differentiate balance deficits?PubMedへ Horak FB et al:Phys Ther. 2009 May;89(5):484-98
内 容
概 要
●筆者は,セラピストが個々のバランスシステムを理解し,識別化を図りながら介入していくには,近年のバランスアセスメントツールでは不十分としている ●そのため,今回の研究において6つの異なるバランスシステム 「1.構造的な制限(Biomechanical Constrains)」 「2.安定性の制限/垂直軸(Stability limits/verticality)」 「3.予測性姿勢制御(Anticipatory Postural Adjustment)」 「4.姿勢反応(Postural Response)」 「5.感覚の方向づけ(Sensory Orientation)」 「6.歩行の安定性(Stability in Gait)」 で構成されたテストを用い実験を行っている
Fig.1:6つの異なるバランスシステム(Horak FB et al:2009)
内 容
●このテストは36項目(Functional reachや筋力など)から成り立ち,0~3点で点数づけされて満点は99点となっている ●実験方法は,正常人と患者(パーキンソン・前庭系障害・末梢神経障害)に対してBalance Evaluation Systems Test (以下BESTest)を施行し,Activities-specific Balance Confidence (以下ABC Scale)と比較して相関性を見ている
日本語版BESTest?大高ら:日本語版Balance Evaluation Systems Test(BESTest)の妥当性の検討.Jpn J Rehabil Med 2014 ; 51 : 565.573
結 果
●級内相関係数(intraclass Correlation Coefficient、ICC)では0.79~0.96の幅があり,全体としては0.91の信頼性であった
●ケンダル共同一致は36項目において0.46~1.00であった
●BestestとABCSclaleの相関性においてはr=0.636,P<0.01と同時妥当性が認められた
●今後テストの発展のために,1:各セクションで内容が類似しない独立したバランス障害の検出方法の作製,2:バランスシステムにおいてそのほかの重要な項目の追加(認知など), 3:余分な項目を排除した手軽なテストの作製をあげている
Functional reach testのお役立ち動画↓↓↓
バーグバランススケール↓↓↓
TUGお役立ち動画↓↓
私見・明日への臨床アイデア
●バランスに影響を及ぼす要因としての上記6つの項目は,バランス障害を伴う患者の分析するにあたってのカテゴリー分類に役立つ
●点数化できるので治療前後のアウトカム測定にも使用できるため,有用であると考えられる
●この状況でどの程度バランスをとれるか?などの曖昧な現象からの評価でなく,筋骨格系やバイオメカニクス的観点,また神経系からの多面的側面から評価できることからも,総合的視点からアプローチしていく上では有効な手段となり得ると思われる
職種 作業療法士 金子唯史
経験年数 7年目
塾講師陣が個別に合わせたリハビリでサポートします