【2024年版】尾状核と被殻の違いとは?運動制御と学習への役割を徹底解説!CT-MRIまで – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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【2024年版】尾状核と被殻の違いとは?運動制御と学習への役割を徹底解説!CT-MRIまで

はじめに

本日は尾状核について解説したいと思います。この動画は「リハビリテーションのための臨床脳科学シリーズ」となります。

これまで発売した姉妹本の「脳卒中の機能回復」「脳卒中の動作分析」などと併用して勉強していただくと、より脳神経系に強い専門家を目指せるかと思います。ぜひご覧ください。

内容は、STROKE LAB代表の金子唯史が執筆する 2024年秋ごろ医学書院より発売の「脳の機能解剖とリハビリテーション」から
以下の内容を元に具体的トレーニングを呈示します。


 
 

動画一覧は写真をクリック

 
 
それではまず解剖学的解説からいってみましょう!

 

尾状核とは?

 

解剖学的位置

尾状核は大脳基底核を構成する重要な構造の一つで、大脳半球の深部に位置しています。
長く湾曲した形状を持ち、主に3つの部分、頭部、体部、尾部に分けられます。

血液供給

  • 尾状核の体部と尾部は、中大脳動脈のレンズ核線条体動脈枝から血液供給を受けています。
  • 尾状核の頭部には、前大脳動脈からのホイブナー反回動脈が血液供給を行っています。

神経ネットワークと機能ループ

How do the basal ganglia contribute to categorization? Their roles in generalization, response selection, and learning via feedback, 2008 Seger

動機付け皮質線条体ループ

このループは、大脳辺縁系領域(眼窩前頭皮質や前帯状回など)と腹側線条体(側坐核を含む)を結びつけ、報酬に関連する情報の処理を担います。動機付けと報酬に基づく行動選択や学習のプロセスに重要な役割を果たします。

遂行皮質線条体ループ

遂行機能に関与するこのループは、背外側前頭前野と尾状核頭部を結びつけ、計画、意思決定、戦略策定などの高次の実行機能をサポートします。また、環境からのフィードバックを戦略的に利用し、新しい状況に適応する能力にも影響します。

視覚皮質線条体ループ

視覚領域(下側頭葉皮質や腹外側前頭前野など)と尾状核(本体および尾部)を結びつけ、視覚情報の処理に関与します。視覚的な分類と刺激のカテゴリー化を行う役割があります。

運動皮質線条体ループ

運動計画領域(補足運動野や運動前野)と線条体の被殻を結びつけ、行動の選択運動計画において重要な役割を果たします。


病態像

尾状核の変性は、ハンチントン病などの病態でみられ、運動障害、認知障害、精神症状を引き起こします。


画像読解のポイント

    尾状核の全体的な特徴

    • 位置と形状:尾状核は大脳基底核の一部で、脳の深部に位置し、側脳室に沿ってC字型を描きます。これは画像上での識別に重要な特徴です。

    尾状核の頭部

    • 位置:側脳室前角のレベルにあり、前角の内側壁に沿っています。
    • 画像での識別ポイント
      • MRI:T1強調画像で等信号、T2強調画像でやや高信号として描出されます。
      • 隣接構造:内側に側脳室前角、外側に放線冠、下方に内包前脚が位置します。
    • 追加のポイント
      • 形態:頭部は尾状核の中で最も太く、丸みを帯びています。
      • 臨床的意義:頭部は脳梗塞や出血が起こりやすい部位であり、注意深い観察が必要です。

    尾状核の体部

    • 位置:頭部から後方へ続き、側脳室体部の上壁に沿って走行します。
    • 画像での識別ポイント
      • 形状:頭部から細くなり、帯状に伸びます。
      • 隣接構造:上方に脳梁、下方に視床、内側に側脳室、外側に放線冠があります。
    • 追加のポイント
      • 画像断面の選択:冠状断や水平断で明瞭に観察できます。
      • 機能的意義:体部は運動制御や学習に関与しており、病変の有無が臨床症状に影響を与える可能性があります。

    尾状核の尾部

    • 位置:体部からさらに後方・下方へ伸び、側脳室下角を回り込むように側頭葉内に入ります。
    • 画像での識別ポイント
      • 識別の難しさ:尾部は非常に細く、他の灰白質構造と区別しにくいです。
      • 隣接構造:内包後脚、扁桃体、海馬と近接しています。
    • 追加のポイント
      • 冠状断の有用性:尾部の確認には冠状断が適しています。扁桃体の上方または内側に位置します。
      • 臨床的意義:尾部の萎縮はハンチントン病などの神経変性疾患で観察されることがあります。

    大脳-線条体ループの解説

    モチベーション-皮質線条体ループ

    このループは、登山者が休憩するか、さらにハイキングを続けるかを判断するときに特に活発になります。
    たとえば、目の前に美しい滝が見えたり、頂上に到達して素晴らしい景色が広がることを想像すると、登山者は疲労にもかかわらず、続行する動機を得ます。このループは報酬(期待される景色)を処理し、登山者の動機や行動選択に大きな影響を与えます。

    遂行-皮質線条体ループ

    このループは、登山中にさまざまな意思決定プロセスに関与します。
    登山者が現在の道を進むか、迂回するかを決定する際、暗くなる前に戻る時間を評価するとき、あるいは困難な地形を移動する戦略を考えるときに働きます。
    太陽の位置や地形の状況など、環境からのフィードバックを基に計画を適応させ、効率的な意思決定をサポートします。

    視覚-皮質線条体ループ

    このループは、登山者が自然環境を移動するときに働きます。
    たとえば、茂みで木の実を見つけた際に、その木の実が食べられるか有毒かを形や色、サイズなどの視覚的特徴に基づいて分類する際に活躍します。また、このループは過去の経験に基づいて、新しい状況で類似の視覚情報を利用して分類を行います。たとえば、完全に同じでなくても、以前に食べて安全だと知っている木の実に似ている場合、それを食用と認識する助けとなります。

    運動-皮質線条体ループ

    このループは、登山者が食用だと判断した木の実を慎重に摘み、容器に入れるといった具体的な動作を計画し実行する際に機能します。
    この動作は、木の実が食用として認識されたことに基づいて選択され、運動の計画と実行をスムーズにサポートします。


    論文トピック: 虚血性脳卒中と複合性局所疼痛症候群(CRPS)

    Lee らは、虚血性脳卒中を経験した患者における**複合性局所疼痛症候群(CRPS)**の神経関連性を調査しています。この研究には 145 人の虚血性脳卒中患者が参加しており、そのうち 35 人が CRPS と診断されました。これらの患者は脳卒中後 CRPS グループを構成し、残りの 110 人の患者が対照グループに分類されました。
    研究者らは、ボクセルベース病変症状マッピング (VLSM) を使用して、脳卒中後 CRPS の発症に関連する脳領域を特定しました。

    VLSM 分析の結果、放線冠の尾状核頭部、被殻、白質複合体が脳卒中後の CRPS 発症に有意に関連していることが示されました。これらの結果は、尾状核や被殻を含む特定の脳領域の病変が、脳卒中後 CRPS の発症に重要な役割を果たすことを示唆しています。

    Neuroanatomical correlates of poststroke complex regional pain syndrome: a voxel-based lesion symptom-mapping study (2021 Lee)


    尾状核と被殻の違い

    尾状核は主に学習や記憶、遂行機能などの認知プロセスに関与します。
    一方、被殻は運動プロセスや動きの調節に関与しており、特に運動行動に重要な役割を果たしています。


     

    観察のポイントと臨床へのヒント

    1. 運動制御

    尾状核は随意運動の調節と制御において重要な役割を果たし、運動パターンの計画を補助し、円滑で協調的な運動を実行します。

    観察のポイント
    歩行障害は?:歩行中の足を上げるタイミングや地面との抵抗を考慮し、バランスを保ちながら前進する能力が観察対象です。脳卒中などで尾状核が損傷されると、歩行リズムやバランスが乱れ、歩行障害が生じることがあります。

    細かい運動は可能?: 細かい動作の制御には正確な運動計画と実行が必要です。文字を書く、調理器具を使う、シャツのボタンを留めるなどの細かな動作が難しくなる場合があります。

    表情と発話の障害は?:笑顔や驚きの表情、短い言葉を発する際にも尾状核が関与します。損傷により表情が硬直し、言葉の発声が不明瞭になることが観察されます。

    臨床へのヒント
    トレッドミルトレーニング:ハーネスを使用して安全に歩行動作を再学習することができます。トレッドミル歩行は、尾状核が管理するリズミカルで協調的な動作の再教育に役立ちます。

    参考論文:

    ガイド付き歩行:直線や曲がり角、凹凸のある路面、階段昇降、障害物を避ける練習を通じて、複雑な随意運動の再学習を支援します。
    参考論文:


    2. 認知処理

    尾状核は注意、記憶処理、問題解決、感情や痛みの認知プロセスに関与しています。

    観察のポイント
    記憶処理の機能は?:指示や医療チームの名前、日常作業を思い出す能力を観察します。記憶処理に障害がある場合、日常の手順を思い出すのが難しくなることがあります。

    問題解決は?:車椅子の操作や障害物の回避など、新しい課題への対処能力を観察します。問題解決力の低下が見られることがあります。

    変化への対応は?:新しい要素に対する適応力が低下し、環境の変化や新しい投薬スケジュールに苦労することがあります。

    臨床へのヒント
    徐々に変化を与える:新しい習慣(例えば歩行訓練)を徐々に導入し、短い距離から始めて距離を延ばすことで、患者が新しい状況に慣れるのを支援します。変化の背景やメリットを明確に説明することも重要です。
    参考論文:

    自立を促す:自立した活動を奨励し、患者が自分で服薬スケジュールを管理するなど、自己管理能力を育てることが目標です。

    参考論文:


    3. 学習と記憶

    尾状核は新しい記憶の形成と古い記憶の取得に関与し、新しいスキルや習慣の学習をサポートします。

    観察のポイント
    新しい指示への適応性:新しい運動や器具の操作を学ぶ際の速さや持続性を観察します。情報の定着が難しい場合、学習・記憶機能に問題がある可能性があります。

    以前の習得スキルの維持:過去に学んだスキル(例:歩行器の使用)が維持できているかを確認します。繰り返しの再教育が必要な場合、手続き記憶に問題があることが示唆されます。

    臨床へのヒント
    文書や絵の活用:口頭指示だけでなく、文書や絵を使い視覚的な補助を行い、患者が理解しやすく、後で確認できるようにします。

    参考論文:

    日常の習慣としての取り組み:リハビリを毎日同じ時間に行うなど、習慣を形成することで、患者の記憶と学習をサポートします。


    4. 報酬に基づく意思決定

    報酬期待に基づく意思決定は、尾状核を介して行動を正の結果に導きます。

    観察のポイント
    ポジティブな結果への動機付けは?:ポジティブな結果や改善に対する意欲が低下しているかどうかを観察します。

    報酬に対する反応は?:社会的報酬や物理的報酬への反応が減少しているか、逆に過剰に反応している場合があります。

    臨床へのヒント
    ポジティブ・レインフォースメントの活用:課題の完了や努力に対して正のフィードバックや報酬を与えることで、患者をモチベートします。

    参考論文:

    進捗の可視化:患者の治療進行を記録し、成果を確認することで治療意欲を高めます。


     
     
    尾状核とその臨床関連性について提供される詳細な情報の理解を確認するために、ここに 10 の質問があります。


    ①尾状核の解剖学: 尾状核の 3 つの部分は何ですか? それは脳のどこにありますか?

    ②血液供給: どの動脈が尾状核に血液を供給しますか?これはさまざまな部分でどのように異なりますか?

    ③ニューラル ネットワークとループ: 脳の機能における 4 つの皮質線条体ループ (視覚、運動、遂行、モチベーション) の役割を説明できますか?

    ④ハンチントン病: 尾状核の変性はハンチントン病患者にどのような影響を及ぼしますか?

    ⑤運動制御における尾状核の機能: 運動制御における尾状核の役割は何ですか?また、その損傷は歩行や微細運動にどのように影響しますか?

    ⑥認知処理: 尾状核は認知処理にどのように寄与し、その損傷が記憶処理や問題解決に与える影響は何ですか?

    ⑦学習と記憶:学習と記憶における尾状核の役割について、特に新しい指示への適応性と以前に獲得したスキルの維持という観点で説明してください。。

    ⑧報酬に基づく意思決定: 報酬の期待に基づく意思決定において尾状核はどのような役割を果たしますか?また、この領域への損傷は、患者のモチベーションやマイナスの結果を回避する能力にどのような影響を与える可能性がありますか?

    ⑨リハビリテーション戦略: 尾状核損傷患者のリハビリテーションで使用されるトレッドミル トレーニングと認知処理戦略について説明します。 これらの戦略を実行する際の重要な考慮事項は何ですか?

    ⑩リハビリテーションにおける正の強化: 尾状核損傷患者のリハビリテーションで正の強化をどのように使用できますか?また、賞賛やご褒美の不適切な使用による潜在的な落とし穴は何ですか?

     
     回答は?

    ①尾状核の解剖学: 大脳基底核の一部である尾状核は、頭部、体部、尾部に分かれています。 これは、側脳室に隣接して大脳半球の深部に位置する C 字型の構造です。

    ②血液供給: 尾状核の本体と尾部は主に中大脳動脈の水晶体線条体枝によって供給されますが、頭部は反回ホイブナー動脈を介して前大脳動脈から血液を受け取ることがあります。

    ③ニューラルネットワークとループ:視覚皮質線条体ループは視覚情報を処理し、運動ループは行動の選択と運動計画に関与し、遂行ループは計画と意思決定に役割を果たし、モチベーションループは報酬フィードバックに基づいて行動に影響を与えます。

    ④ハンチントン病:ハンチントン病では、尾状核の運動制御と認知機能における役割により、尾状核の変性が運動障害、認知障害、精神症状を引き起こします。

    ⑤運動制御における尾状核の機能: 尾状核は、運動パターンの計画と調節を支援します。 損傷は、歩行のリズムやバランスの乱れ、細かい運動の困難、手と目の協調の障害につながる可能性があります。

    ⑥認知処理: 尾状核は、注意、記憶処理、問題解決に関与しています。 損傷により、記憶の想起、問題解決能力、変化に適応する能力が損なわれる可能性があります。

    ⑦学習と記憶: 手続き記憶と新しいスキルの学習において重要な役割を果たします。 新しい指示に適応したりスキルを維持したりすることが困難な場合は、尾状核の損傷によるこれらの機能の障害を示します。

    ⑧報酬に基づく意思決定: 脳のこの領域は、期待されるポジティブな結果に向けて行動を指示します。 ダメージはモチベーションを低下させ、報酬に対する反応に影響を与え、ネガティブな経験から学ぶ能力を損なう可能性があります。

    ⑨リハビリテーション戦略: トレッドミル トレーニングは歩行動作を再学習するのに役立ちますが、認知トレーニングには記憶力、注意力、問題解決力を向上させるタスクが含まれます。 これらの戦略では、安全性と適応性が非常に重要です。

    ⑩リハビリテーションにおける積極的な強化: 積極的な強化は、患者のリハビリテーション活動への参加を促進します。 不適切な行動を強化することなく患者を効果的に動機付けるには、報酬を調整し、過剰な賞賛を避けることが重要です。

     

    尾状核を意識したリハビリテーション展開例

    登場人物

    • 療法士:金子先生
    • 患者:丸山さん

    ストーリー

    初回セッション:評価と課題設定

    場面: リハビリテーション室で金子先生と丸山さんが向かい合って座っています。丸山さんは脳卒中後のリハビリを始めたばかりで、リハビリに対して少し不安そうな様子です。金子先生は優しい口調で、まずは丸山さんの現状を確認するために評価を始めます。

    金子先生:「丸山さん、今日は初めてのセッションですね。最初に少し歩いてみて、どのようなところが難しいのか一緒に確認しましょう。それから、簡単な質問をして、日常生活での困難さも評価していきますね。」

    丸山さん:「はい、わかりました。でも、最近歩くときにバランスが崩れることが多くて、足が不安定なんです。記憶も少し不安で、忘れやすくなっている気がします…。」

    金子先生は丸山さんの不安を受け止めつつ、歩行評価を開始します。丸山さんは少しゆっくりしたペースで歩き始めますが、足の動きに不規則さが見られ、バランスを崩しやすいことがわかります。また、歩行器での歩行ではすぐに使い方を覚えるのが難しい様子でした。

    金子先生は、丸山さんが歩行時に感じているリズムの乱れやバランスの不安定さを評価し、さらに丸山さんが認知処理や学習、記憶に課題を抱えていることを確認します。

    総合評価とリハビリ目標の設定

    金子先生:「丸山さん、今日は歩行の評価に加えて、記憶や認知の処理にもいくつか課題が見つかりました。これからのリハビリでは、これらの問題に対処していきましょう。まず、歩行のリズムとバランスを改善すること、次に歩行器の使用を習得していただきます。そして、認知処理や記憶に関連する訓練も併せて進めていきます。」

    金子先生は総合評価に基づき、以下のリハビリ目標を設定します。

    1. 歩行リズムとバランスの改善:歩行中のリズムを整え、バランスを取り戻すための訓練を実施します。
    2. 歩行器の安全な使用方法の習得:歩行器を正しく操作し、日常的に安心して使用できるようにします。
    3. 自主的なリハビリ活動の継続を促進するためのモチベーション強化:丸山さんが自信を持ち、リハビリを継続できるよう、モチベーションを高める手法を取り入れます。

    金子先生:「丸山さん、リハビリは無理をせず、少しずつ進めていきますので安心してください。私と一緒に目標に向かって進んでいきましょう。」

    丸山さん:「はい、先生と一緒なら頑張れそうです。」

    リハビリの計画と実施

    実施項目1: トレッドミルを使用した歩行訓練

    最初のリハビリでは、歩行リズムとバランスの改善に焦点を当てます。金子先生は、トレッドミルを使った歩行訓練を提案します。最初はゆっくりしたスピードで始め、丸山さんにはハーネスを装着して体重の一部をサポートします。これにより、安全にリハビリを行いながら、徐々に歩行スピードを上げていきます。

    金子先生:「トレッドミルに乗って、ゆっくり歩いてみましょう。最初は免荷装置でサポートしますので、転倒の心配はありませんよ。速度も徐々に上げていきますね。」

    丸山さん:「ハーネスがあると安心ですね。リズムを意識しながら歩くのが難しいけど、少しずつ慣れてきた感じがします。」

    金子先生:「とても良いですね。今はゆっくりで構いませんので、徐々にスピードを上げていきますよ。少しずつ体重のサポートを減らしていきますので、頑張りましょう。」

    丸山さんはトレッドミルでの訓練を続け、リズムとバランスが少しずつ改善されていきます。免荷装置によるサポートを徐々に減らし、丸山さん自身の力でバランスを取れるように訓練が進められます。

    実施項目2: 歩行器の導入と使用方法の指導

    歩行リズムとバランスが改善され始めた段階で、金子先生は歩行器の使用を導入します。まず、歩行器の正しい使い方を説明し、持ち方や押し方など、基本的な操作方法を教えます。

    金子先生:「次は歩行器を使って歩いてみましょう。両手でしっかり握り、無理なく歩けるように前に押し出して使ってください。部屋やトイレで止めるときの位置も重要です。適切な場所に止めるために目印をつけておきましょう。」

    さらに、丸山さんが使い方を忘れないように、操作方法を紙に書いて病室に貼り、いつでも確認できるようにします。

    金子先生:「こちらに使い方をまとめた紙を貼っておきますね。これを見ながら歩行器を使うと、自然と慣れていけると思いますよ。」

    丸山さん:「ありがとうございます。これで間違えずに使えそうです。安心しました。」

    金子先生は、部屋の中やトイレに歩行器を止める位置に目印をつける工夫も行い、丸山さんがどこで歩行器を止めるべきかを一目でわかるようにします。このことで、歩行器の操作がより簡単になり、丸山さんも自信を持って使用できるようになります。

    実施項目3: ポジティブ・レインフォースメントの活用

    リハビリが進むにつれて、金子先生は丸山さんのモチベーションを高めるため、ポジティブ・レインフォースメントを積極的に活用します。丸山さんの小さな成功を一つ一つ認め、進歩を称賛し、さらなる努力を促します。

    金子先生:「今日の歩行器での歩行も素晴らしかったですよ!トレッドミルでもしっかり歩けるようになっていますし、これからも少しずつ前進していきましょう。」

    丸山さん:「ありがとうございます。少しずつですが、自信が出てきました。毎回リハビリが終わるたびに少し進歩している感じがします。」

    金子先生は、丸山さんが病棟内で自主的に歩行トレーニングを継続できるように、ポジティブなフィードバックを与え続けます。自主的な練習が続くことで、丸山さんのリハビリへの取り組みがさらに強化され、積極的に努力を続ける姿勢が見られます。

    結果と進展

    数週間が経過し、丸山さんはトレッドミルでの歩行スピードが向上し、免荷サポートが減っても安定して歩行できるようになりました。歩行器の使い方にも自信がつき、病室内やトイレでの歩行器の扱いがスムーズになりました。さらに、歩行器を使う際の目印や指導書を参考にしながら、自主的に病棟内で歩行トレーニングを継続するようになりました。

    金子先生:「丸山さん、ここまでの進歩は本当に素晴らしいですね。これからも自主トレーニングを続けて、さらに改善を目指しましょう。」

    丸山さん:「先生のおかげで、自分でも少しずつできることが増えてきました。これからも頑張ります!」

    リハビリは一瞬で結果が出るものではありませんが、努力を積み重ねることで必ず進展します。自分自身を信じて、少しずつ目標に向かって進んでいきましょう。あなたの努力が未来を変える一歩となります。

    今回のYouTube動画はこちら

    退院後のリハビリは STROKE LABへ

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    STROKE LAB代表の金子唯史が執筆する 2024年秋ごろ医学書院より発売の「脳の機能解剖とリハビリテーション」から
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