2017.08.30バイオメカニクス
vol.174:猫背に対する小胸筋ストレッチの効果 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
猫背に対する小胸筋ストレッチの効果The effects of manual treatment on rounded-shoulder posture, and associated muscle strength?pubmedへ Wong CK et al.(2009)
本論文を読むに至った思考・経緯
•高齢者のみならず、スマホやPCの普及などから最近では若年者も猫背の方を多く見受ける。小胸筋は臨床上でも診る事が多く、本論文に興味を持った。
論文内容
背景
•デスクワークなど日常の習慣によって、肩を丸めた姿勢:猫背(Rounded Shoulder Posture:RSP)を取りやすくなる。
•小胸筋のtightnessとRSPとの関係が示唆されているが、小胸筋の治療が姿勢や筋機能に影響することを示す証拠は不足している。
•RSPを改善するための治療として、小胸筋の長さを再び作り出すストレッチングや軟部組織モビライゼーション(STM)を提案する。
•僧帽筋下部および前鋸筋の強化もまた、RSPに関連する筋弱化に抗する為に積極的に使用されている。
研究目的
•研究目的は、「小胸筋の軟部組織モビライゼーション・セルフストレッチ」と「プラセボタッチと大胸筋ストレッチ」の効果をRSP姿勢と僧帽筋下部の出力で比較した。
研究方法
•20~40歳の6人が参加した。
1)小胸筋に軟部組織モビライゼーションを受け、その後にセルフストレッチを行った。
2)対照群は、プラセボ的な軽いタッチ(圧を掛けない程度3分間)を大胸筋外側部に受け、大胸筋のストレッチを行った。
•評価者と治療者は異なり、治療者は評価せずに施術した。
•RSPの評価(仰臥位で上肢をニュートラルの位置にし、肩峰端からテーブルまでの垂直線を測定)および僧帽筋下部の出力(LTS)の測定を繰り返した。
研究結果
•治療前の対照群と実験群の間に有意差は認められなかった。
•「小胸筋の軟部組織モビライゼーション・セルフストレッチ」群において、治療直後のRSPの有意な減少を示し、治療後2週間有意に減少したままであった。
•両方の群についてLTSは、治療前から治療後の最初のセッションまで有意に増加した。
•この研究は、STMおよび小胸筋の伸長がRSPを有意に減少させることを実証した。
私見・明日への臨床アイデア
•小胸筋のtightnessは肩甲骨の後傾を制限し、肩甲骨の正常運動からの逸脱に関与します。肩峰下スペースを狭小化することも知られています。肩自体のケアや姿勢の改善とケアが求められる部分と思われます。小胸筋自体の伸張性の改善の有効性が本論文では示唆されています。それと併せて、LTS僧帽筋下部をはじめweaknessは改善が必須と思われます。双方への視点を持ち治療を行っていきたいと思います。
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
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