vol.141:アキレス腱の解剖学的検討 脳卒中/脳梗塞リハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
アキレス腱の解剖学的検討Fascicles of the adult human Achilles tendon – an anatomical study.?Pubmedへ Szaro P.et al.(2009)
本論文を読むに至った思考・経緯
•脳卒中患者様をはじめ高齢者の多くの方が足部に問題を抱えている。よりイメージを鮮明に持って治療できるよう本論文に至る。
論文内容
論文の目的・背景
•アキレス腱または踵の骨腱は、足関節の生体力学的の構造的基礎である。アキレス腱は人体の中で最もテンションのある腱の一つです。
•アキレス腱の3つの各セグメントは、別々に断裂することがあり、足関節の底屈の部分的な機能不全を引き起こし得る。
•研究目的は、アキレス腱の内部構造を記述することである。
研究方法
•20個のアキレス腱を解剖し、ヒラメ筋(SOL)と腓腹筋の内外側頭(MG・LG)の関係を調査した。
研究結果
•腓腹筋内側頭(MG)はアキレス腱の後~後外側に付着した。
•腓腹筋外側頭(LG)はアキレス腱の前面~前外側に付着した。
•ヒラメ筋(SOL):アキレス腱の内側部に付着した。
他論文による追記
•脳卒中患者では、腓腹筋内側頭の筋繊維束のサルコメアの数の減少およびサルコメア長の減少、短く・硬く、動きが狭くなっていることが示されている。健常対照群(47.4±2.7mm)と比較し、有意に短い筋繊維束長(33.2±3.2mm)の力-長さ関係(※筋・筋線維・サルコメア長と筋張力の関係)の曲線のシフトを示している。Altered contractile properties of the gastrocnemius muscle poststroke.(Fan Gao et al.2008)
私見・明日への臨床アイデア
•MGは基本的に走行は平行で、LGとSOLはねじれを有すると示されている。詳細は関連論文をご参照頂きたい。
•多くの献体からの共通事項は「SOL」は踵骨の内側、「MG」は踵骨の後外方、「LG」は踵骨の前外方に付着し、その上で付着の仕方は全員が同じ訳では無くいくつかパターンがあるようである。
•上記MG以外にもSoleusは臨床上硬い方が多い。Soleusが痙性等で過活動であったり、短縮している場合は①踵が遠心的に床方向へ伸びない②踵の内側部に制限が(踵骨外反方向の制限)生じる可能性がある。解剖学的なイメージ(付着部・走行・ねじれ等)をした上で介入を行っていきたい。
•足からの情報(感覚)を拾いやすくなると、「歩くのが疲れなくなった」「杖が軽くなった」他多くの動作上の良好な影響を経験する。床と唯一の接点の足への介入は大切である事を実感する。
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)