【2026年版】橈骨遠位端骨折のリハビリとは?コーレス骨折・スミス骨折・バートン骨折の原因・症状・治療に関して解説!
コーレス骨折の回復は、どこまで可能か。
転倒時に手をついて受傷する橈骨遠位端骨折(コーレス骨折)は、成人上肢骨折の中で最も頻度が高く、救急部骨折の約6分の1を占めます。骨折の種類・合併症・保存療法と手術の選択・リハビリの進め方について、患者さんとご家族が本当に知りたいことを徹底解説します。

続きをお読みください。
こんなお悩みはありませんか。
転倒して手をついた瞬間、手首に激痛が走った。
病院でギプスを巻いてもらったけれど、
「本当に元通りに使えるの?」と不安を抱えていませんか。
「しびれが出てきた」「手首がなかなか曲がらない」
「プレートを入れた後、親指が痛む」——
そうした個別の悩みにも、適切な対応があります。
この記事では、患者さんとご家族が知っておくべき情報を
わかりやすくまとめました。
橈骨遠位端骨折とは。
— 橈骨遠位端骨折の典型的なX線画像所見(引用:msdmanuals.com)
橈骨(とうこつ:前腕の母指側にある大きな骨)の、
手首に近い端の部分が折れる骨折です。
転倒時に反射的に手を伸ばして地面をつく「保護伸展反応」が主な受傷機序(けがの仕組み)です。
1814年にアイルランドの外科医 Abraham Colles が正確に記載し、
以降「コーレス骨折」と呼ばれるようになりました。
特に閉経後の女性(40歳以降)では骨粗鬆症(こつそしょうしょう:骨がもろくなる病気)の影響で、低いところからの転倒でも骨折しやすくなります。
橈骨遠位端骨折を起こした方の多くに骨粗鬆症が潜んでいます。今後の股関節骨折を予防するためにも、骨密度の検査を主治医に相談しましょう。
3つの骨折タイプ:コーレス・スミス・バートン
手を伸ばした状態(背屈位)で転倒した際、遠位骨片が手の甲側(背側)に転位します。X線の側面では「フォーク変形」と呼ばれる特徴的な変形が確認されます。橈骨遠位端骨折の90%以上を占める最多型です。
(図引用:Wikipedia)
手首が手のひら側に曲がった状態(掌屈位)で転倒した際に受傷します。遠位骨片が手のひら側(掌側)に転位するため、コーレス骨折とは逆方向の変形が生じます。整復位の保持が難しく手術になりやすい骨折です。
(図引用:Wikipedia)
手関節の関節内骨折(関節面が割れる骨折)と手根骨の亜脱臼(部分的なずれ)を同時に伴う骨折です。徒手整復後の安定性が低く、ほとんどの場合に手術(外科的固定)が必要です。
(図引用:Radiopaedia)
— 骨折分類図(引用:Mindsガイドラインライブラリ 橈骨遠位端骨折診療ガイドライン2012)
掌屈角(Palmar tilt):正常値10〜15°掌側傾斜。整復許容限界は0°以上(中立〜掌屈位)。背屈位が残ると把持力・前腕回旋に影響します。
橈骨傾斜角(Radial inclination):正常値21〜25°。整復許容限界は15°以上。傾斜が小さいと橈骨短縮・関節面の非対称性が増します。
橈骨高(Radial height):正常値10〜13mm。短縮≦5mmが整復許容基準。短縮が大きいとDRUJ障害のリスクが上昇します。
関節内骨片ずれ:整復許容は2mm以下。2mm超の段差が残ると将来の変形性関節症リスクが上昇します。(参考:Mackenney PJ et al. J Bone Joint Surg Am. 2006)
— ご本人・ご家族の状況を丁寧にお伺いします
そのお悩み、一緒に解決しましょう。
STROKE LABでは、手・上肢の専門スタッフが骨折後の回復を徹底サポートします。局所だけでなく姿勢・体幹から包括的にアプローチする「姿勢連鎖セラピー」で、早期の日常復帰を目指します。まずは無料相談からお気軽にご連絡ください。
なぜ起こるのか。
転倒した際、人間は無意識に手を伸ばして体を守ろうとします。この反応を「保護伸展反応(FOOSH:Fall On Outstretched Hand)」と言います。手のひらが地面についた瞬間、橈骨遠位端に体重が集中し、耐えられない力がかかって骨折します。
橈骨は前腕の荷重の約80%を担う骨です。そのため骨粗鬆症などで骨の強度が落ちていると、低い場所からの転倒でも容易に骨折します。
年齢・性別による受傷パターンの違い
若い男性は交通事故や高所からの墜落など高エネルギーの外傷が多く、複雑な骨折になりやすい傾向があります。一方、40歳以降の女性は骨粗鬆症の影響で、立ったままの転倒という低エネルギーの外傷でも骨折します。骨折した場所や転位の程度によって、その後の治療方針が大きく変わります。
— 手関節の解剖(引用:VISIBLE BODY)
橈骨・尺骨の荷重分担:軸方向荷重の80%は橈骨遠位端で、残りの20%は尺骨で支えられています。
TFCC(三角線維軟骨複合体):尺骨上面にある線維軟骨性の円板で、遠位橈尺関節(DRUJ)の安定性を担います。橈骨遠位端骨折ではTFCCの損傷が合併することも多く、術後のリハビリ計画に影響します。
掌側靱帯の優位性:掌側靱帯が背側靱帯より強固であることが、掌側プレート固定(ORIF)が安定した治療効果を発揮する解剖学的根拠の一つです。(参考: Orbay JL, Fernandez DL. J Hand Surg Am. 2002)
他の骨折・損傷との違い。
手首の痛みは橈骨遠位端骨折以外の原因でも起こります。X線撮影が診断確定の基本ですが、以下の疾患との鑑別も重要です。
| 鑑別疾患 | 特徴・見分けるポイント | 確認方法 |
|---|---|---|
| TFCC断裂・穿孔 | 小指側の疼痛・DRUJの不安定性 | MRI・関節鏡 |
| 舟状骨骨折 | 解剖学的嗅ぎタバコ窩(親指側のくぼみ)の圧痛。初診X線で見逃されやすい | MRI・CT・2週後再X線 |
| Galeazzi骨折 | 橈骨遠位2/3の骨折+DRUJ脱臼を合併 | X線で必ずDRUJも確認 |
| 橈骨手根靭帯損傷 | 手根不安定症の原因。不安定感・痛みが主訴 | ストレスX線・MRI |
評価方法。
骨折後のリハビリを進めるために、専門スタッフが複数の方法で現状を評価します。評価は治療開始時だけでなく、経過をみながら繰り返し行われます。
STROKE LABでは、より正確な評価と適切なセラピーのために、X線・MRI・CTのレポートの持参をお勧めしています。画像情報があることで、骨折のタイプ・転位量・靱帯損傷の有無を確認した上でリハビリ計画を立案できます。
回復への道のり。
橈骨遠位端骨折のリハビリは3つのフェーズで進みます。骨折のタイプ・治療法・患者さんの活動性によって個別の対応が必要です。
「ギプスをしているから何もできない」は誤りです。固定中から肩・肘・指の可動域(ROM)維持を徹底することが、ギプス除去後の早期回復の鍵です。浮腫(ふしゅ:組織内の水分が過剰になること)管理・疼痛コントロール・患者教育が主な目標です。患肢の挙上(心臓より高く保つこと)・逆行性マッサージ(指先から中枢へのなで上げ)を毎日続けましょう。
ギプス除去後から本格的な手首のリハビリが始まります。手首の屈曲・伸展・前腕の回旋(回内・回外)の可動域回復が特に重要です。専門家による関節モビライゼーション(関節面に副運動を加えて柔軟性を回復させる手技)・温熱療法・筋力強化を段階的に進めます。
日常生活動作・仕事・スポーツへの復帰を目指すフェーズです。機能的に必要な目安として、手首屈曲40〜50°以上、手首伸展35〜40°以上、前腕回旋50°以上、握力(患側/健側比)70〜80%以上が一般的な目標値とされています。職業・スポーツ歴・生活スタイルに合わせて個別に設計します。
CRPS(複合性局所疼痛症候群:8〜35%に発生)・急性手根管症候群・腱断裂・デュピュイトレン病など、骨折後に生じる可能性のある合併症を早期に発見し対応することが、長期的な機能予後を左右します。「新たなしびれ」「突然の痛みの変化」は必ず担当医・療法士に報告してください。

その先を一緒に歩みます。
私たちSTROKE LABは、手・上肢の専門スタッフが「姿勢連鎖セラピー」を軸に、手首の局所治療と全身のアライメント改善を組み合わせてアプローチします。骨折後の回復でお悩みの方、まずはご相談ください。
ご家族ができるサポート。
日常生活でのサポートポイント
声かけの例
「指が動かせる範囲で、ゆっくり曲げ伸ばしてみようか。無理はしないでいいよ。」
「しびれや痛みが変わったらすぐ教えてね。一緒に確認しよう。」
「焦らなくていい。少しずつ回復していくから、今日できることをやっていこう。」
保存療法と手術療法の比較
| 項目 | 保存療法(ギプス固定) | 手術療法(掌側プレート等) |
|---|---|---|
| 主な適応 | 転位なし・整復可能・安定型 | 転位大・不安定型・関節内骨折 |
| 固定期間 | 4〜6週間 | 術式により異なる(早期運動可能な場合も) |
| メリット | 低侵襲・感染リスクなし | 解剖学的整復・安定した固定・早期運動 |
| 注意点 | 再転位・変形治癒のリスク(17%) | 腱断裂(EPL腱)・感染・神経損傷のリスク |
在宅復帰と公的支援制度。
骨折後に在宅生活に戻るためには、環境整備と利用できる公的支援の把握が重要です。特に高齢者・骨粗鬆症のある方は、再骨折予防のための準備も欠かせません。
在宅復帰チェックリスト
主な公的支援制度
| 制度名 | 内容・対象 | 相談窓口 |
|---|---|---|
| 介護保険 | 65歳以上(40〜64歳は特定疾病)。訪問リハビリ・通所リハビリ・福祉用具貸与などに利用可 | 市区町村の介護保険窓口・ケアマネージャー |
| 高額療養費制度 | 1ヶ月の医療費が自己負担限度額を超えた場合に超過分が払い戻される。手術・長期入院に有効 | 加入している健康保険・国民健康保険の窓口 |
| 住宅改修補助(介護保険) | 手すり設置・段差解消・床材変更などに最大20万円(自己負担1〜3割) | ケアマネージャー・市区町村の介護保険窓口 |
| 障害年金(重度後遺症の場合) | 骨折後の重大な機能障害が残存し就労困難な場合に申請可能。1〜3級の認定による | 年金事務所・社会保険労務士 |
まず相談することが、回復への近道です。
回復までの期間と予後。
骨がつながるまでの期間と、機能が回復するまでの期間は異なります。「骨がついた」だけでなく、「日常生活で手が使える」ことが最終的なゴールです。
骨の癒合は一般的に4〜6週間かかります。ただし複雑な骨折・手術を行った場合は、机上の事務作業への復帰に8〜10週、重労働・振動工具を使う作業には3〜6ヶ月を目安とするのが一般的です。
スポーツ復帰は接触のない種目(水泳・ウォーキング)は早期から可能ですが、ラケット競技・球技・格闘技は骨癒合の確認後に段階的に行います。
個人差が大きいからこそ、個別のプログラムが重要です。
よくあるご質問。
コーレス骨折は手を伸ばした状態(背屈位)で転倒した際に遠位骨片が手の甲側(背側)に転位するもので、橈骨遠位端骨折の90%以上を占める最多型です。
スミス骨折は手首が手のひら側に曲がった状態で転倒した際に遠位骨片が掌側に転位するもので、「逆コーレス骨折」とも呼ばれます。転位方向が正反対であり、整復の方向性も逆になります。X線の側面像で骨片の向きを確認することで鑑別できます。
ギプス除去後はできるだけ早くリハビリを開始することが推奨されます。長期固定による関節拘縮(かんせつこうしゅく:関節が固まること)・筋萎縮・浮腫が残存していることが多く、放置すると回復に余計な時間がかかります。
ただし開始のタイミング・実施内容は骨折のタイプ・治療法・骨癒合の状況によって異なります。必ず担当医・療法士の指示に従ってください。一般的には除去直後は「ROMエクササイズ・浮腫管理」から始め、骨癒合が確認されれば筋力強化・応用動作訓練へ進みます。
骨折後の手・指のしびれは急性手根管症候群(きゅうせいしゅこんかんしょうこうぐん:手首の管が狭くなり神経が圧迫される状態)や正中神経・橈骨神経の圧迫の可能性があります。
特に親指〜薬指(1〜4指)のしびれは正中神経の関与を示す場合があり、早急な評価が必要です。治療が遅れると神経の回復が不完全になる可能性があります。しびれが骨折後に新たに出現・悪化した場合は早めに担当医または療法士に相談してください。
骨の癒合(骨がつながること)は一般的に4〜6週間かかります。ただし「骨がついた」状態と「手首が完全に使えるようになった」状態は別です。
機能的な回復(痛みなく日常動作ができる状態)には3〜6ヶ月、複雑な骨折や合併症がある場合は1年以上かかることもあります。個人差が大きいため、担当医と療法士と連携して経過を確認することが重要です。
橈骨遠位端骨折は骨粗鬆症の「最初のサイン」であることが多く、今後の股関節骨折・脊椎骨折の前哨戦とも言えます。
骨折を契機に、①骨密度検査(DXA法)②骨粗鬆症の診断と治療開始(ビスホスホネート製剤など)③カルシウム・ビタミンD摂取の最適化④転倒予防(バランス訓練・環境整備)を実施することが将来の重大骨折予防につながります。主治医に骨粗鬆症の評価を相談してください。
要注意のサインです。早めに担当医に相談してください。掌側ロッキングプレート固定後に最も注意すべき合併症のひとつが長母指伸筋腱(EPL腱)断裂です。
プレートのスクリューが背側に突出することで、術後数週〜数ヶ月後に突然「親指が反らせない」状態が起きることがあります。「親指の甲側の痛みが増えてきた」「手首を動かすと鋭い痛みが走る」「突然親指を上に反らせなくなった」などの症状があれば、すぐに担当整形外科医に報告してください。
STROKE LABのプログラム。
STROKE LABは、脳神経系・徒手技術に特化した自費リハビリ施設です。手・上肢の専門スタッフが「姿勢連鎖セラピー」で、手首の局所治療だけでなく、全身のアライメント・肩・体幹から包括的にアプローチします。骨折後の回復をより早く、より確実に進めるために、経験豊富なセラピストが個別プログラムを提供します。

— STROKE LABでの手・上肢リハビリの実際の様子です。
「転倒して手首を骨折してギプスが外れた後、なかなか動かなくて困っていました。STROKE LABでは手首だけでなく、肩の動きや姿勢まで一緒に整えてもらって、気づいたら日常生活がほとんど不自由なくできるようになりました。」— 60代女性・橈骨遠位端骨折(コーレス骨折)術後リハビリ
「手のしびれ(手根管症候群の症状)が骨折後しばらくして出てきて心配でしたが、STROKE LABのスタッフさんに早めに気づいてもらって適切に対応してもらえたので助かりました。専門知識の高さを感じました。」— 70代男性・橈骨遠位端骨折保存療法後
諦めないでください。

「ギプスが外れたのに手首が思うように動かない」「しびれが取れない」——骨折後のリハビリが順調にいかないとき、どれほど焦りと不安を感じるか、私たちはよく理解しています。
STROKE LABでは、手・上肢の専門スタッフが「姿勢連鎖セラピー」で手首の局所治療と全身からのアプローチを組み合わせてサポートします。骨折のタイプ・手術の有無・年齢・生活スタイルに合わせた個別プログラムで、日常生活への復帰を全力で支援します。
まずは無料相談で、現在の状況と目標をお聞かせください。一緒に最善の道を考えます。
代表取締役 金子 唯史
参考文献。

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)