Vol.440.脳卒中後の浮腫に効果的な治療法とは?脳卒中後の浮腫に対する介入のレビュー
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タイトル
●脳卒中後の浮腫に効果的な治療法とは?脳卒中後の浮腫に対する介入のレビュー
●原著はRehabilitation Interventions for Poststroke Hand Oedema: A Systematic Reviewこちら
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●受け持ちの患者や他患でも手の浮腫が見られる患者はおり、そういった時にどのような対処が好ましいのか学ぶべく本論文に至る。
内 容
背景・方法
●脳卒中後の手の浮腫は、慢性期脳卒中患者の37%、および急性期脳卒中患者の最大18.5%に発生する。
●脳卒中後の手の浮腫の管理のためのリハビリテーション介入のエビデンスを検討する。
●1999年から2015年の間に英語で発行された電子データベースの研究記事のシステマティックレビューを実施した。
圧迫療法Compression therapy
●Roperらは、片麻痺患者の実験グループにおいて30秒の膨張と20秒の収縮サイクルで50 mmHgの圧力をかける間欠空気圧迫法で治療した。結果、治療前後で対照群と手の体積に有意な変化はなかったことを示した。
●BellとMuller(2013)は、脳卒中後の手の浮腫に対するキネシオテープの使用を評価した。実験群では、キネシオテープが片麻痺患者の上肢に6日間適用された。結果は、実験群と対照群間で手の浮腫の統計的に有意な減少は示さなかった。実験群では、MCP関節と手関節に中~大程度の浮腫の減少が見られた。
装具療法
●3つの研究が、脳卒中後の手の浮腫に対する装具の影響を調査した。ビュルゲらによるRCT研究の実験グループでは13週間のリハビリテーションプログラムに加え、毎日6時間以上の手関節中間位に保つ装具を着用した。手首をサポートしながら、手と指を使用して物を操作できるように設計されていた。手浮腫のアウトカム測定は、テープを使用した周径測定でした。結果は、装具が亜急性期の脳卒中後の手の浮腫に影響を及ぼさなかったことを示した。
モビライゼーション
●キムらによるRCT研究では脳卒中後の手の浮腫に対するモビライゼーションの影響を調査した。各介入セッションは15分間続き、運動は肩・肘・手首・および手指の各運動が10回行われた。対照群は2週間後に同じプロトコルを受けた。結果は、対照群と比較して実験群で両側上肢の浮腫が有意に減少したことを示した。この研究は、ROMエクササイズが急性期脳卒中患者の浮腫の軽減に効果的であることを示した。
その他
●脳卒中後の手の浮腫に対するレーザー治療の効果を調査した。実験グループでは、肩の痛みを伴う関節と手の背部の腫れの領域にレーザー療法を加え、運動療法と6週間にわたるアイスマッサージを行った。治療の頻度は徐々に減少した。結果は、これらの併用療法により脳卒中後の手の浮腫が大幅に減少することを示した。
私見・明日への臨床アイデア
●脳卒中患者においては、過緊張や不動などにより循環障害を引き起こしやすい。また、血管は神経支配を受けており、神経が障害を受けると浮腫を生じる。何由来の浮腫か見極める事は重要である。
●ROM・モビライゼーション+運動の通常行われる介入は浮腫には効果的であることが示されている。セルフケアとして、患者が行いやすいのはお湯をためてもみほぐすなども循環障害からの問題であれば有用なケースは多い。他、キネシオテーピングは皮下に血液やリンパ液の流れるわずかな隙間を作ることで体液の循環改善が期待されると言われる。そのような手法も臨床応用し反応をみていきたい。