パーキンソン病で体操が三日坊主になる|原因と対策・自宅でできる工夫 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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パーキンソン病

パーキンソン病で体操が三日坊主になる|原因と対策・自宅でできる工夫

EXERCISE ADHERENCE

続かないのは、意志が弱いからではありません。

体操を始めても、気づけば三日坊主。それは「怠けている」のではなく、パーキンソン病そのものが、やる気や段取りのしくみに影響していることがあるためです。原因を知り、今日から自宅でできる続け方の工夫を整理します。

UPDATED2026
READ約10分
FORご本人・ご家族へ
BYSTROKE LAB
本記事は、医学書院『パーキンソン病の機能促進(動作分析から自主トレーニングまで)』(2025年・448頁)の著者が執筆しています。やる気が出ない状態が長く続く、気分の落ち込みが強いといった場合は自己判断せず、神経内科・主治医にご相談ください。

Quick Reference
まず知ってほしい5つのこと。
01
体操が続かないのは、意志の弱さのせいだけではありません
02
パーキンソン病では、意欲そのものが下がるアパシーが起こることがあります
03
症状の波(オン・オフ)や疲労も、続けにくさの大きな壁になります
04
「気合」より「しくみ」。生活の中に組み込むほうがずっと続きます
05
気分の落ち込みが強いときは、自己判断せず神経内科・主治医へ
01
Day Four, Nothing Happened

「今日はいいや」と、思ってしまう。

A Family’s Voice
「病院でもらった体操表、最初の3日で止まってしまって」

入院中や外来のリハビリで教わった体操。退院した日は「毎日やろう」と思っていたはずなのに、気づけば1週間、1か月とやらない日が続いている。声をかけても「今日はいいや」「あとでやる」と返ってくる。本人を責めたくないけれど、このままでいいのか不安になる——。そんな声を、ご家族からよく伺います。

先にお伝えしたいのは、これは本人の性格や努力不足だけの問題ではなく、パーキンソン病そのものが継続を難しくしている場合があるということです。

体操を続けるには、「やろう」と思う意欲、段取りを組む力、体を動かし続ける体力が必要です。パーキンソン病は、まさにこの3つすべてに影響しうる病気です。だからこそ、続かないことを気合や根性の問題として片付けず、原因を分けて考えることが、立て直しの第一歩になります。運動そのものの種目選びは体操・自主トレ大全に、リハビリの全体像はリハビリ完全ガイドにまとめていますので、あわせてご覧ください。

02
Why It Doesn’t Stick

三日坊主になる、本当の原因。

「続かない」の裏側には、いくつもの異なる原因が重なっていることが多いのです。まずは、代表的な原因を整理してみましょう。ご自身やご家族が、どれに近いかを考えながら読んでみてください。

原因 どういうことか
アパシー(意欲低下) 脳内のやる気に関わる回路の変化で、行動を起こす気力そのものが湧きにくくなる
実行機能の低下 「いつ・何を・どの順で」という段取りを組む力が弱まり、始めるまでに時間がかかる
症状の日内変動(オン・オフ) 薬の効果で動きやすい時間と、動きにくい時間があり、時間帯によって体操のハードルが変わる
疲労感・倦怠感 見た目の動作量以上に、体力を消耗しやすく、疲れが休んでも取れにくいことがある
気分の落ち込み(うつ) 気分の落ち込みや自分を責める気持ちが強く、何をしても楽しめないと感じる
単調さ・達成感のなさ 同じ動作の繰り返しで、変化や手応えを感じにくく、飽きにつながりやすい
転倒への不安 動くこと自体への恐怖心が先に立ち、体操そのものを避けてしまう

なかでも見落とされがちなのがアパシーです。うつのように気分が落ち込むわけではなく、ただ「関心が湧かない」「動き出すきっかけがつかめない」状態で、パーキンソン病でよくみられる症状のひとつとされています。本人にも自覚しづらく、周囲からは「怠けている」「やる気がない」と誤解されやすい点が、この症状のつらいところです。

Evidence
アパシーは、パーキンソン病で珍しくない症状

地域のパーキンソン病患者を対象にした調査では、少なくない割合の方にアパシーがみられ、うつを伴わない場合でも生じうることが報告されています。意欲の低下は、本人の性格の問題ではなく、症状として理解する視点が大切です。

限界:アパシーの現れ方や程度には個人差が大きく、進行度や併存する症状によっても変わります。気になる場合は、自己判断せず神経内科・主治医に相談してください。

出典:Pedersen KF, et al. Prevalence and clinical correlates of apathy in Parkinson’s disease: a community-based study. Parkinsonism Relat Disord. 2009;15(4):295-299(本記事の引用は要旨に基づく紹介です。数値の詳細は公開前に一次資料でご確認ください)
03
Systems, Not Willpower

STROKE LABの視点:続く仕掛けを作る。

意欲や段取りの力そのものが下がりやすいのなら、「やる気を出す」ことに頼らず、やらざるを得ない・自然とやってしまう仕組みを外側から作るのが近道です。合言葉は「気合は続かない、しくみは続く」。3つの視点で整理します。

Three Angles

1. 生活動作にひもづける。「体操をする」という新しい行動を単独で覚えるのではなく、歯みがきの後、朝のニュースを見ながら、といったすでにある習慣にくっつけることで、思い出す負担を減らします。

2. 見える化する。カレンダーに丸をつける、アプリに記録するなど、やったことが目に見える形にします。積み重ねが見えると、それ自体が次の一歩を後押しする手がかりになります。

3. オンの時間に固定する。薬が効いて動きやすい時間帯を把握し、同じ時間・同じ場所で行うようにします。時間と場所が決まっているほど、段取りを考える負担が減り、始めやすくなります。

大切なのは、最初から完璧を目指さないことです。合う時間帯や方法は人それぞれなので、作業療法士・理学療法士と一緒に、その方の生活リズムに合わせて調整していくと、無理なく定着しやすくなります。

04
Today’s Small Steps

今日から、できる工夫。

3つの視点を、具体的な行動に落とし込んでみましょう。すべてを一度に取り入れる必要はありません。まずは1つだけ、今日から試すつもりで選んでみてください。

小さく始める。「1日1分だけ」「1つの動きだけ」から始めます。ハードルが低いほど、始めるまでの心理的な負担が減ります。物足りなさを感じたら、少しずつ増やせば十分です。

音楽やリズムを使う。好きな音楽に合わせて体を動かすと、単調さが和らぎ、リズムが動作のきっかけ(キュー)にもなります。テンポの良い曲を選ぶと、動きも大きくなりやすいという声もよく聞かれます。

誰かと一緒に行う。家族と時間を合わせる、オンライン教室やデイサービスの体操に参加するなど、一人でやらない仕組みは、アパシーによる「動き出せなさ」を外から補う効果的な方法です。

メニューに変化をつける。曜日ごとに内容を変える、季節の話題を取り入れるなど、小さな変化があるだけで飽きにくくなります。運動の種目そのものは体操・自主トレ大全を参考に、いくつかを組み合わせてみてください。

Evidence
見守りと仕組みがあると、自宅での運動が続きやすい

自宅で行う有酸素運動プログラムを検証した研究では、遠隔での見守りや定期的なやり取りを組み合わせた仕組みのもとで、長期間にわたり運動が継続されやすかったことが報告されています。個人の意志だけに頼らず、外側からの関わりや仕組みを添えることの重要性を示す結果といえます。

限界:見守りの方法や頻度は研究ごとに異なり、効果は対象者の症状や環境によって変わります。運動プログラムの内容は、専門家と相談のうえ、無理のない範囲で設定してください。

出典:van der Kolk NM, et al. Effectiveness of home-based and remotely supervised aerobic exercise in Parkinson’s disease: a double-blind, randomised controlled trial. Lancet Neurol. 2019;18(11):998-1008(本記事の引用は要旨に基づく紹介です。数値の詳細は公開前に一次資料でご確認ください)
気合は続かない。しくみは続く。

ここまでは、自宅でできる工夫でした。専門施設では、その先の個別設計によるアプローチまで踏み込めます。
+

Second Track — At STROKE LAB
専門施設で、さらに期待できること
自己流の工夫から、その人の生活に合わせた継続設計へ。

自宅での工夫が思いつく範囲での対策だとすれば、専門施設で目指すのは、評価に基づいて、その人特有の「続かない理由」に的を絞った設計です。継続支援は、大きく3つの方向から組み立てます。

1. 症状の見極め。アパシー・うつ・疲労・実行機能低下など、続かない背景にある要因を評価から見極め、対応の優先順位をつけます。

2. 生活リズムに合わせた設計。服薬時間や1日の過ごし方を伺いながら、その方が最も動きやすい時間帯・場所・方法を一緒に見つけます。

3. 段階的な難易度調整。できたという実感を積み重ねられるよう、種目や量を少しずつ調整し、無理のない範囲で継続と向上の両立を図ります。

STROKE LABが軸足を置くのは、続かない理由を本人のせいにせず、しくみと環境の側から立て直していくという考え方です。効果には個人差があり、症状や生活状況によって変わります。気分の落ち込みが強い場合の判断や薬の調整は、主治医の役割です。

Watch & Practice
まずは1分から。動画に合わせて動いてみる。

脳リハ.comのYouTubeでは、その場で一緒に動ける体操を配信しています。段取りを考える負担なく始められるので、続けるきっかけとして活用してみてください。

一緒に動ける体操を見る

05
Rehab & When To See A Doctor

専門リハと、相談の目安。

専門のリハビリでは、続けられない背景を一緒に整理し、その方の生活に合った継続の仕組みを組み立てます。ご家族の関わり方についても、「どう声をかければよいか」「どこまで手伝ってよいか」を具体的に相談できます。薬の調整は主治医の役割で、私たちは生活と行動の側から支えます。

相談の目安は、意欲の低下が数週間以上続く、気分の落ち込みや自分を責める気持ちが強い、以前は楽しめていたことにも関心が持てない、といった変化がみられるときです。アパシーとうつは対応の考え方が異なることもあるため、自己判断せず神経内科・主治医に相談してください。専門的な費用や施設の選び方は自費リハビリの費用・施設の選び方にまとめています。

06
FAQ

よくある質問。

Q. 体操が続かないのは、意志が弱いからですか?

意志の弱さだけが原因ではありません。パーキンソン病では、脳の中でやる気に関わる部分の働きが変化し、アパシーと呼ばれる意欲の低下が起こることがあります。これは本人の性格や努力とは別の、病気に伴う症状のひとつです。続かないことを責めるより、続けやすい仕組みを作ることが近道です。

Q. アパシーとうつは、何が違うのですか?

アパシーは「やる気が出ない・関心が湧かない」状態で、悲しみや自分を責める気持ちは目立たないことが多いとされます。一方うつは、気分の落ち込みや強い罪悪感を伴うことが特徴です。両方が重なることもあり、見分けが難しい場合は、自己判断せず神経内科や精神科に相談してください。

Q. 調子の良い時間と悪い時間があるのですが、体操はいつやればよいですか?

薬が効いて動きやすい「オン」の時間帯に合わせるのが基本です。薬を飲むタイミングと体操の時間を記録して、自分の体が動きやすい時間帯を見つけておくと、無理なく続けやすくなります。時間帯の調整は、主治医と相談しながら決めるとより安心です。

Q. 毎日同じ体操だと飽きてしまいます。どうすればよいですか?

同じ内容を繰り返すと、達成感が薄れて飽きにつながりやすくなります。曜日ごとにメニューを変える、音楽に合わせて体を動かす、家族や仲間と一緒に行うなど、変化と楽しさを取り入れる工夫が有効です。記録をつけて変化が見えるようにすることも、続ける力になります。

Q. 続けるための具体的なコツはありますか?

歯みがきや食事の後など、すでにある生活の習慣に体操をくっつける方法が効果的です。カレンダーやアプリに記録して見える化する、短時間を複数回に分けて行う、といった工夫も続けやすさにつながります。まずは1日1分からでも、小さく始めることが継続の第一歩です。

Q. 本人がやる気を出さないとき、家族はどう声をかければよいですか?

「なぜやらないの」と問い詰めるより、「一緒に少しだけやってみようか」と誘い、行動のきっかけを外から作ってあげることが助けになります。アパシーがある場合、本人の中から意欲が湧きにくいため、周囲の声かけや環境づくりが特に重要です。無理強いは逆効果になることもあるため、専門家に相談しながら関わり方を探るのがおすすめです。
07
STROKE LAB

続けるための相談は、STROKE LABへ。

STROKE LAB(東京・大阪)は、脳卒中とパーキンソン病を中心とする神経疾患専門の自費リハビリ施設です。続かない背景にある要因を一緒に整理し、生活リズム・時間帯・関わり方を、その方に合わせて組み立てます。ご家族の関わり方の相談も歓迎です。薬の調整や気分の評価は主治医を尊重し、私たちは生活と行動の側から継続を支えます。保険リハとの併用も可能です。

書籍『パーキンソン病の機能促進 動作分析から自主トレーニングまで』(医学書院)の表紙
Book
パーキンソン病の機能促進
動作分析から自主トレーニングまで
医学書院/2025年/448ページ

運動を通じて心身の状態を整える考え方を、動作分析の視点から体系化。本文と連動するYouTube動画62本で、実際の動きも確認できます。

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Message from CEO
続かない自分を、
責めないでください。
STROKE LAB代表 金子唯史

「体操表をもらったのに、続けられない自分がだめなんです」——そう話される方に、何度も出会ってきました。でも臨床の現場で感じるのは、続かないことのほとんどは、意志の弱さではなく、病気そのものが作り出す壁だということです。

お伝えしたいのは、気合を入れ直す必要はなく、続く仕組みに変えればよいということです。生活にひもづけ、見える化し、動きやすい時間に固定する。小さな仕掛けの積み重ねが、いちばん確かな継続の力になります。

続けられずに悩んでいるなら、どうぞ一度ご相談ください。続かない理由を一緒に整理し、その方に合う仕組みを見つけます。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史

無料相談を予約する

References

本記事は、国内外の診療ガイドライン・公的情報と、STROKE LABの臨床経験および下記書籍の枠組みをもとに構成しています。意欲の低下や気分の落ち込みが強い場合は、自己判断せず、神経内科・主治医にご相談ください(最終確認日:2026年9月13日)。なお、下記の論文引用は要旨レベルの紹介であり、著者・数値・年次については公開前に一次資料で必ず再確認してください。

  • 日本神経学会:パーキンソン病診療ガイドライン2018
  • 難病情報センター:パーキンソン病(指定難病6)
  • Pedersen KF, et al. Prevalence and clinical correlates of apathy in Parkinson’s disease: a community-based study. Parkinsonism Relat Disord. 2009;15(4):295-299.(アパシーの頻度に関する紹介。第1エビデンスボックスの出典・要検証)
  • van der Kolk NM, et al. Effectiveness of home-based and remotely supervised aerobic exercise in Parkinson’s disease. Lancet Neurol. 2019;18(11):998-1008.(見守り付き在宅運動の継続に関する紹介。第2エビデンスボックスの出典・要検証)
  • 金子唯史:パーキンソン病の機能促進(動作分析から自主トレーニングまで).医学書院.2025.
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