パーキンソン病で立ちくらみがする|原因と対策・自宅でできる工夫 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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パーキンソン病

パーキンソン病で立ちくらみがする|原因と対策・自宅でできる工夫

ORTHOSTATIC DIZZINESS

急に立つは敵、段階を踏むは味方です。

立ち上がった瞬間にフラッとする、目の前が暗くなる。それはパーキンソン病でよくみられる立ちくらみ(起立性低血圧)かもしれません。原因は一つではなく、自律神経・薬・水分・体力低下が重なって起こることがほとんどです。しくみと、今日から自宅でできる立て直し方を整理します。

UPDATED2026
READ約10分
FORご本人・ご家族へ
BYSTROKE LAB
本記事は、医学書院『パーキンソン病の機能促進(動作分析から自主トレーニングまで)』(2025年・448頁)の著者が執筆しています。立ちくらみで意識を失った、けがをした、繰り返し起こる、といった場合は自己判断せず、早めに医療機関を受診してください。

Quick Reference
まず知ってほしい5つのこと。
01
立ちくらみは、立ったときに血圧が下がりすぎることで起こります
02
原因は自律神経の低下だけでなく、薬・脱水・食後・体力低下も重なります
03
急に立つほど強く出やすく、段階を踏むと軽くなります
04
立つ直前の脚の動きと、水分・塩分の工夫で軽くなることがあります
05
失神・転倒・繰り返す場合は自己判断せず、早めに受診を
01
A Sudden Wave

「フラッとする」が、増えてきた。

A Patient’s Voice
「朝、布団から起き上がった瞬間、目の前が真っ暗になって」

トイレに立とうとしたとき、食後にソファから立ち上がったとき、ふらっとして壁に手をついた——。「疲れているだけ」「歳のせい」と見過ごしてしまいがちですが、繰り返すうちに転倒への不安から、動くこと自体を避けてしまうご家族もいます。

でも、知ってほしいのです。立ちくらみには複数の原因が重なっていることが多く、原因ごとに手が打てるということを。

パーキンソン病では、立ち上がったときに血圧をうまく保てず、立ちくらみやふらつきが起こることがあります。これは自律神経のはたらきの低下だけでなく、薬・水分・食事・体力といった複数の要因が絡み合って起こる、非運動症状のひとつです。まずはしくみを知り、そのうえで具体的な立て直し方を見ていきましょう。リハビリの全体像はリハビリ完全ガイドにまとめています。

02
What Is Happening

立ちくらみの、しくみと原因。

立ち上がると、重力によって血液は脚や腹部にたまろうとします。通常は自律神経がすばやくはたらき、血管を締めて心拍を上げ、脳への血流を保ちます。パーキンソン病では、この自律神経の調整そのものが低下し、血圧が下がったまま戻りにくくなることがあります。ただし、それだけが原因とは限りません。実際には複数の要因が重なっていることが多く、整理すると次のようになります。

原因 どういうことか
自律神経の低下 血管を締める指令が弱まり、立位で血圧が下がったまま戻りにくい
薬の影響 一部のパーキンソン病治療薬や降圧薬が、内服後しばらく血圧を下げやすくする
食後に起こる 食後は消化のため血液が胃腸に集まり、食後30〜60分は血圧が下がりやすい
脱水・水分不足 循環する血液の量そのものが減り、血圧を保ちにくくなる
体を動かす機会の減少 脚の筋肉は血液を心臓へ送るポンプでもあり、動かないほど戻りが弱くなる

ここに、立て直しのヒントが隠れています。急に立つほど症状が強く出るなら、段階を踏んで立てばよい。脚のポンプ機能が落ちているなら、立つ前に脚を動かしておけばよい。次の章から、この考え方を具体的な手順にしていきます。

03
Before You Stand

STROKE LABの視点:立つ前に血圧を整える3ステップ。

立ちくらみの対処でいちばん手早く効くのが、立ち上がる前に、脚と体幹の力で血圧を先に整えておくことです。これは体を締めつける動作(カウンターマヌーバー)と呼ばれ、自律神経の代わりに、筋肉の力で血管の圧を高める工夫です。次の3ステップで、今日から実践できます。

Three Steps

ステップ1:座ったまま、足首をパタパタ動かす。ベッドの端や椅子に座った状態で、足首を上下に10〜20回動かします。ふくらはぎの筋肉が血液を押し上げるポンプとして働きます。

ステップ2:脚を組む、または膝をぎゅっと閉じる。座った姿勢のまま、脚を組んで力を入れる、または両膝をぎゅっと閉じ合わせる動作を10〜20秒キープします。下半身の血管の圧を高めます。

ステップ3:数を数えながら、ゆっくり立つ。座位のままゆっくり10ほど数えてから、手すりや壁を支えにして立ち上がります。立った直後も、その場で10秒ほど待ってから歩き出します。

朝の起床時は特に血圧が下がりやすいので、寝た姿勢からいきなり立たず、寝た状態でしばらく手足を動かす、座った状態で数十秒待つ、という2段階をはさむとより安心です。合う手順や待つ時間は人によって違うので、作業療法士や理学療法士と一緒に調整すると近道です。

04
Daily Habits

生活の工夫と、道具のコツ。

立ち方の工夫にあわせて、生活面でも血圧が下がりにくい状態をつくっておくと、より安定します。原因が重なっている分、対策も一つに絞らず、無理のない範囲でいくつか組み合わせるのがコツです。

水分はこまめに、主治医の指導の範囲でしっかりとることが基本です。腹部やふくらはぎを軽く圧迫する弾性ストッキングや腹帯も、血液が下にたまるのを防ぐ助けになります。食事は一度にたくさん食べず、少量を回数多く分けると、食後の血圧低下がやわらぐことがあります。食後すぐに立ち上がらず、少し座って休んでから動き出すのも有効です。暑い場所や長い入浴、熱いお風呂は血管を広げて血圧を下げやすくするため、ぬるめのお湯で短めに、を心がけましょう。寝るときに上半身をやや高くしておくと、朝の急激な血圧変化がやわらぐこともあります。運動で下肢の筋力を保っておくと、脚のポンプ機能そのものが底上げされるので、体操・自主トレ大全もあわせて活用してください。薬の種類や量、飲むタイミングの調整は、必ず主治医と相談してください。

Evidence
体を締めつける動作と弾性着衣は、第一選択の対策とされている

パーキンソン病における起立性低血圧の管理をまとめた総説では、水分・塩分の調整、弾性着衣、体を締めつける動作といった薬を使わない対策が、薬物療法と並ぶ管理の柱として位置づけられていると報告されています。薬の前に、まず生活の工夫から見直す価値があるということです。

限界:質の高い大規模な比較試験はまだ多くなく、効果の大きさは個人差が大きい分野です。効果には症状の程度や体調によって変動があります。生活の工夫は薬や専門的な治療の代わりではなく、組み合わせて使うものです。

出典:Intersection of Autonomic Dysfunction and Parkinson’s Disease: Insights Into Neurogenic and Classical Orthostatic Hypotension. PMC. 2025
寝る、座る、立つ。段階を踏むだけで、体は変わります。

ここまでは、自宅でできる工夫でした。専門施設では、その先の評価にもとづくアプローチまで踏み込めます。
+

Second Track — At STROKE LAB
専門施設で、さらに期待できること
「原因を探る」段階から、「原因に応じて組み立てる」段階へ。

自宅での工夫が、その場でフラつきを起こしにくくする応急的な対処だとすれば、専門施設で目指すのは、なぜ血圧が下がりやすいのかを評価し、原因に応じて体そのものを立て直すアプローチです。立ちくらみへの働きかけは、大きく3つの方向から組み立てます。

1. 評価。横になった状態と立った状態での血圧・脈拍の変化、症状が出やすい時間帯(起床時・食後・入浴後など)を確認し、原因の重みづけを行います。

2. 下肢筋力とポンプ機能の運動療法。脚の筋力トレーニングを段階的に行い、血液を心臓へ戻すポンプとしての機能そのものを底上げします。

3. 動作と環境の再設計。起床動作・入浴動作・食後の過ごし方など、症状が出やすい生活場面を具体的に洗い出し、一つひとつ手順を組み直します。

STROKE LABが軸足を置くのは、その方に立ちくらみが起こる「場面」と「原因の重なり」を丁寧に見きわめ、運動と生活動作の両面から立て直すという流れです。薬の調整は主治医の役割であり、専門リハはそれと連携しながら、動作と体力の側から支えます。効果には個人差があり、体調によって変動します。

Evidence
下肢の筋力トレーニングで、起立時の血圧低下がやわらいだ研究

起立性低血圧を伴うパーキンソン病の方を対象に、通常のケアに加えて8週間の脚の筋力トレーニングを行った予備的な研究では、傾斜台を使った検査で、立位時の血圧低下が改善する傾向がみられたと報告されています。脚の筋力そのものが、血圧を保つ土台になりうることを示す結果です。

限界:これは少人数を対象にした予備的な研究で、効果の大きさを断定するものではありません。トレーニングの強度や頻度は個別の体調に合わせて決める必要があり、自己流での強い負荷は避けてください。効果には個人差があり、進行度によって変動します。

出典:Effect of strength training on orthostatic hypotension in Parkinson’s disease—a pilot study. PMC. 2022
Watch & Practice
下肢の筋力を保つ体操を、動画で。

脳リハ.comのYouTubeでは、座ったままできる脚の運動や体力づくりの体操を配信しています。無理のない範囲で習慣にしてみてください。

脚の体操を見る

05
Rehab & When To See A Doctor

専門リハと、受診の目安。

専門のリハビリでは、いつ・どんな場面で症状が出るかを一緒に確認し、起立の手順、脚の運動、生活動作を、その人の原因の重なりに合わせて調整します。「実際に困っている場面」を練習の題材にすると、生活にそのまま活きます。薬の調整は主治医の役割で、私たちは動作と体力の側から支えます。

受診の目安は、意識を失った、転倒してけがをした、症状が繰り返し起こる、悪化してきたといったときです。立ちくらみの原因は起立性低血圧だけとは限らず、脱水や不整脈など別の要因が隠れていることもあります。自己判断せず、早めに神経内科や主治医に相談してください。専門的な費用や施設の選び方は自費リハビリの費用・施設の選び方にまとめています。

06
FAQ

よくある質問。

Q. パーキンソン病で立ちくらみが起こるのはなぜですか?

パーキンソン病では、血圧を保つ自律神経のはたらきが低下し、立ち上がったときに血圧がうまく上がらない起立性低血圧が起こりやすくなります。ただし原因は自律神経の問題だけでなく、薬の影響や脱水、食後の血圧低下、動く機会が減ったことなど、複数が重なっていることが多いです。原因によって対策も変わるため、気になるときは主治医に相談してください。

Q. 薬のせいで立ちくらみが起きることはありますか?

あります。パーキンソン病の治療薬の一部には血管を広げる作用があり、内服後しばらく血圧が下がりやすくなることがあります。降圧薬など他の薬との組み合わせで強まることもあります。薬の量や飲み方の調整は自己判断せず、必ず主治医に相談してください。

Q. 立ち上がるとき、どうすればフラつきを防げますか?

急に立たず、寝た状態から座った状態、座った状態から立った状態へと、段階を踏んでゆっくり移ることが基本です。立つ直前に足首を動かす、ふくらはぎに力を入れる、脚を組むといった動作を数十秒行うと、血圧が下がりにくくなることが知られています。

Q. 自宅でできる対策はありますか?

あります。段階的な起き上がり方に加えて、水分と塩分を主治医の指導の範囲でしっかりとる、弾性ストッキングを使う、一度に食べる量を減らして食後すぐに立ち上がらない、暑い場所や長い入浴を避けるといった工夫が助けになります。下肢の筋力を保つ運動も土台として大切です。

Q. 立ちくらみは運動やリハビリで良くなりますか?

下肢の筋力トレーニングを行った研究では、起立時の血圧低下が和らいだという報告があります。ただし効果には個人差があり、症状の程度や体調によって変動します。運動は薬の代わりではなく、組み合わせて使うものです。自分に合った強度は専門家と相談しながら決めるのが安全です。

Q. 立ちくらみで倒れたことがあります。すぐ受診すべきですか?

意識を失った、転倒してけがをした、といった場合は自己判断せず、早めに医療機関を受診してください。立ちくらみの原因は起立性低血圧以外にも、脱水や不整脈など別の病気が隠れていることもあります。繰り返す、悪化している、といった変化も受診の目安になります。
07
STROKE LAB

立ちくらみの相談は、STROKE LABへ。

STROKE LAB(東京・大阪)は、脳卒中とパーキンソン病を中心とする神経疾患専門の自費リハビリ施設です。困っている場面と原因の重なりを一緒に確認し、起立の手順・脚の運動・生活動作を、その人に合わせて組み立てます。起床時や食後など、実際の場面を題材にするので、練習がそのまま生活に活きます。薬の調整は主治医を尊重し、動作と体力の側から支えます。保険リハとの併用も歓迎です。

書籍『パーキンソン病の機能促進 動作分析から自主トレーニングまで』(医学書院)の表紙
Book
パーキンソン病の機能促進
動作分析から自主トレーニングまで
医学書院/2025年/448ページ

運動を通じて心身の状態を整える考え方を、動作分析の視点から体系化。本文と連動するYouTube動画62本で、実際の動きも確認できます。

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Message from CEO
段階を一つ踏むだけで、
体は変わります。
STROKE LAB代表 金子唯史

立ちくらみが増えると、転ぶのが怖くて動くこと自体を避けてしまい、それがさらに体力を落とすという悪循環に陥りがちです。「立つのが怖い」とおっしゃる方に、たくさん出会ってきました。

お伝えしたいのは、立つ前に一段階はさむだけで、体は驚くほど落ち着くことがあるということです。原因は一つではないからこそ、対策も一つに絞らず、自分に合う組み合わせを見つけていく。それだけで、動ける場面はまだまだ広がります。

立ちくらみでお困りなら、どうぞ一度ご相談ください。困っている場面そのものを題材に、その方に合う立ち方を一緒に見つけます。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史

無料相談を予約する

References

本記事は、国内外の診療ガイドライン・公的情報と、STROKE LABの臨床経験および下記書籍の枠組みをもとに構成しています。立ちくらみで意識を失った、けがをした場合は自己判断せず、必ず神経内科・主治医にご相談ください(最終確認日:2026年8月28日)。

  • 日本神経学会:パーキンソン病診療ガイドライン2018
  • 難病情報センター:パーキンソン病(指定難病6)
  • Intersection of Autonomic Dysfunction and Parkinson’s Disease: Insights Into Neurogenic and Classical Orthostatic Hypotension. Cureus / PMC. 2025.(水分・塩分調整、弾性着衣、体を締めつける動作が薬物療法と並ぶ管理の柱と位置づけられていると報告。第1動線・エビデンスボックスの出典)
  • Effect of strength training on orthostatic hypotension in Parkinson’s disease—a pilot study. PMC9236997. 2022.(8週間の下肢筋力トレーニングにより、傾斜台検査での起立時血圧低下が改善する傾向がみられたと報告。第2動線・エビデンスボックスの出典)
  • 金子唯史:パーキンソン病の機能促進(動作分析から自主トレーニングまで).医学書院.2025.
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