Vol.576.高齢者の前庭機能の低下と骨折の関係性
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カテゴリー
タイトル
●前庭機能と転倒・股関節骨折の関係性とは?
●原著は[Vestibular function, falls and hip fracture in elderly–a relationship study]こちら
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●患者と共に前庭機能に対する練習を実施していた際に、私自身機能低下を感じた。高齢者では、前庭系の病変がなくとも機能低下を来している方が多いのではないかと思い、前庭系と高齢者に関わる論文を読もうと思い本論文に至る。
内 容
背景
●70歳以上の人が救急治療室に到着する主な理由は転倒です。股関節骨折の90%以上の要因は転倒です。
●本論文は転倒した高齢者の前庭系の機能と股関節骨折との関係を調べること。
方法
●研究群(n = 84)は転倒の結果として股関節手術を受け入院した。対照群(n = 85)は股関節骨折の病歴がなく老人ホームに住んでいます。
●前庭系の障害を見つけるため、前庭動眼反射検査(VOR検査)、良性発作性頭位めまい症(BPPV)検査を実施しました。 4つの臨床検査のうち3つはVORの検査に集中し、4番目の検査は特にBPPV(良性発作性頭位めまい症)の評価をしました。社会人口統計学的状態と病歴が取られました。
結果
●VORの機能、年齢、内分泌疾患、糖尿病治療薬に関して2群間(股関節骨折のある群とない群)の間に有意差が見つかりました。ただし、BPPVの検査では有意差は見られませんでした。
●結論として高齢者の前庭機能障害の正しい診断と早期治療は、次の転倒を防ぐことができます。
私見・明日への臨床アイデア
●前庭感覚は頭頚部運動時の加速度を感知します。そのため、課題難易度において加速度はポイントの一つです。
●「恐怖心」という心理面も前庭脊髄反射や前庭動眼反射の活動に影響を与えると報告されています。安定した環境下での練習は前庭系に対する課題難易度としては易しいと言える。
●脳卒中等での前庭機能障害を呈する患者以外でも、多くの高齢者が前庭系の機能低下を来している可能性があり、半規管はじめ刺激を入れるような練習は重要と思われる。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
併せて読みたい【前庭系】関連論文
●Vol.499.踵接地が重要!!歩行における前庭神経活動のタイミング
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●vol.64:前庭系システムの概要とリハビリテーションへの応用 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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塾講師陣が個別に合わせたリハビリでサポートします
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)