Vol.499.踵接地が重要!!歩行における前庭神経活動のタイミング – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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Vol.499.踵接地が重要!!歩行における前庭神経活動のタイミング

 

 

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カテゴリー

 

脳科学

 

タイトル

●踵接地が重要!!歩行における前庭神経活動のタイミング

 

●原著はWhen Is Vestibular Information Important During Walking?こちら

 

なぜこの論文を読もうと思ったのか?

 

●前庭神経の役割を学んでも、その振る舞いのイメージが十分つかみきれない所があった。前庭神経をよりリアルにイメージできるための学習の一助として本論文に至った。

 

内 容

 

背景・目的

 

●生まれてから老いるまで、歩くことは最も重要な移動手段です。歩行は一見単純そうに見えますが、視覚、体性感覚入力(皮膚や筋肉など)、前庭系の寄与などの情報を含む、全身の複雑な調整が必要です。歩行は、視覚、体性感覚入力および前庭情報に依存しています。視覚信号と体性感覚信号の両方が、歩行中に位相依存的に変調されることが示されていますが、前庭情報については人において調査されていません。

 

●健康な被験者からの研究は、前庭情報が動的課題中の頭部の安定化に寄与し、視線を制御し、姿勢応答を生成するための安定した参照フレームを提供することを示唆しています。

 

●両側の前庭障害のある患者は、健康な被験者よりもゆっくり歩き、道を外れていく傾向があるが、視覚なしでも短い距離をうまく歩くことはできます。片側の前庭欠損患者はゆっくり歩くと、病変側に向かって大幅な側方偏位をもたらします。

 

●踵接地、立脚中期または踵離地のいずれかで被験者に電気的前庭刺激(GVS)を提供することで、歩行サイクル中にどの相に前庭情報が重要であるか調査しました。

 

 

研究結果

 

●上半身と下半身の前庭調節には違いが見られ、上半身と下半身の独立した制御が示唆されました。異なる時間に適用されたGVSに対する上半身の反応(回転運動など)は、歩行周期全体にわたって上半身のアライメントの前庭情報への同様の依存性を示し、頭部・体幹または骨盤において大きさに違いなかった。対照的に、下肢は刺激が提供された時間に依存していた。

 

 

位相依存性の変調は下肢制御にのみ関連していた。足の配置の変化は、踵接地時(両脚支持中)に立脚途中での刺激よりも大幅に大きくなった。

 

補足

 

●Hollands and Marple-Horvat(1996)は、歩行中に目標地点への正確な足の配置の計画が、立脚期の最後の100ミリ秒間に達成されることを実証した(両脚支持期にも関連しています)。研究者達は、足が地面を離れる時までに下肢の配置のプログラミングは完了すると結論付けた。したがって両脚支持期は、前庭情報が足の軌跡の変化に寄与する機会を提示している可能性があります。

 

●踵接地での前庭のアップレギュレーションは感覚運動の変化または誘発された姿勢反応を監視するのにも役立つ可能性があります。移動中にスリップまたはトリップが発生した場合、動的安定性を維持するための特定の姿勢戦略が開始されます。

 

空間での身体の適切な内部表現を生成するには、前庭系からの情報を体性感覚入力と統合する必要があります。両脚支持中、体性感覚情報は片足が空中にある遊脚相よりも、支持面が広く身体支持の信頼性の高い情報を中継できます。

 

 

 

 

私見・明日への臨床アイデア

 

●前庭情報は踵接地(両脚支持期)の重要性が示された。正しい方向に足を配置するという面で、踵接地(両脚支持期)は重要と思われる。踵接地無く、立脚時間の短縮している方は、十分な前庭系と感覚情報の情報が得づらく、適切な統合がなされず、歩行の舵取りに難を有する可能性がある。臨床でも前庭系の位相依存性を意識して患者を評価治療していきたい。

 

執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表

・国家資格(作業療法士)取得

・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務

・海外で3年に渡り徒手研修修了

・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆

 

 

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