ロートンIADLの評価方法|8項目の採点基準・評価表PDF
ロートンIADLの評価方法暮らしの行動を聞き、
必要な支援を見つける。
Lawton Instrumental Activities of Daily Living Scale(ロートン手段的日常生活動作スケール)の8領域と採点方法を解説します。電話・買い物・服薬・金銭管理などの生活場面を、イラスト、採点ガイド、評価記録PDFで確認できます。

ロートンIADLとは|身の回りの動作から、地域での暮らしへ
食事や更衣などの基本的ADLに加え、暮らしには買い物や交通機関の利用、薬やお金の管理が必要です。ロートンIADLはこうした8領域を扱い、現在の生活機能と経時的な変化を整理します。基本的ADLの評価(Katz IndexやBarthel Indexなど)とは、確認する活動が異なります。[1]
| 観点 | 基本的ADL | IADL |
|---|---|---|
| 活動の例 | 食事、更衣、トイレ、移乗 | 買い物、調理、交通手段、服薬・金銭管理 |
| 支援を考える例 | 着替えのどこを介助するか | 買い物の計画から支払いまで誰が担うか |
| 併用する理由 | 身の回りの動作を把握 | 家庭・地域で必要な支援を補足 |
従来は女性8領域、男性は食事準備・家事・洗濯を除く5領域という方式が使われました。HIGNの解説では、現在は性別によらず全領域を評価することが推奨されています(Lawton et al., 2003)。記事とPDFは0〜8点に統一し、旧来の0〜5点方式とは区別します。[1]
評価方法|具体的な生活場面から選択肢を選ぶ

本人や家族・支援者から、最近の具体的な行動を聞き取ります。「できますか」だけでなく、「最後に買い物をしたのはいつか」「どこを誰が手伝ったか」を確かめると、回答の意味が明確になります。必要に応じて安全な範囲の直接確認で補います。
| 手順 | 確認する内容 |
|---|---|
| 1.対象時期を決める | 入院前の生活と現在の生活を混ぜない。日付、対象期間、住環境を記録。 |
| 2.情報を集める | 本人・家族・支援者の情報源を区別。生活歴、役割、用具、実施機会を確認。 |
| 3.各領域で選ぶ | 確認した最も高い機能水準に合う選択肢を1つ選び、対応する0/1点を記録。 |
| 4.合計と内訳を残す | 全8領域を確認して合計。選択肢の番号や複数の選択肢の点を足さない。 |
| 5.支援へつなぐ | 点数と別に、危険な工程・必要な援助・本人の希望を整理。 |
家事を家族が担当している、病棟では買い物の機会がない、公共交通がない地域に住んでいるなど、行動には能力以外の条件が影響します。推測で1点にせず、未確認を機械的に0点にもせず、追加情報を集めます。本資料では未確認が残る場合、合計を保留します。
HIGNの実施時間の目安は10〜15分です。聞き取りの回答だけでは能力を過大・過小に捉えることがあり、小さな変化が点数に現れにくい点にも注意します。また、HIGNでは施設入所中の高齢者には有用でないとされています。活動の機会が制限される環境では、得点を自宅生活での能力と読み替えないでください。[1]
8領域の採点|1点の条件は、領域ごとに違う
HIGN公開票の配点を基にした要約です(Merck Manualの表で照合)。各領域で1つの選択肢を選びます。電話・家事・洗濯・交通・金銭には、部分的な遂行や援助を含む1点の選択肢があります。[2][3]

1.電話の使用
| 点数 | 選択肢の要点 |
|---|---|
| 1 | 番号を調べ、自分から電話する。 |
| 1 | よく知る番号に電話する。 |
| 1 | 電話を受けるが、自分からかけない。 |
| 0 | 電話をまったく使わない。 |
受けるだけでも1点の選択肢があります。端末の種類と、実際にできる操作を併記します。
2.買い物
| 点数 | 選択肢の要点 |
|---|---|
| 1 | 必要な買い物をすべて自分で行う。 |
| 0 | 少量・小さな買い物だけを自分で行う。 |
| 0 | 買い物には毎回付き添いが必要。 |
| 0 | 買い物ができない。 |
小さな買い物だけでは0点です。店への移動だけでなく、品物の選択や必要な買い物全体を確認します。

3.食事の準備
| 点数 | 選択肢の要点 |
|---|---|
| 1 | 適切な食事を計画し、調理して配膳するまで自分で行う。 |
| 0 | 材料が用意されれば、適切な食事を作る。 |
| 0 | 調理済みの食事を温めて出す、または食事を作るが食内容が不十分。 |
| 0 | 食事の準備・配膳を他者に頼る。 |
包丁を使えるかだけでは決まりません。献立・材料の確保・食内容を含め、どこを他者が担うかを聞きます。
4.家事
| 点数 | 選択肢の要点 |
|---|---|
| 1 | 家事を自分で行う。重い仕事への時々の援助は含む。 |
| 1 | 食器洗いなど、日常の軽い家事を行う。 |
| 1 | 軽い家事はするが、十分な清潔さは保てない。 |
| 1 | 家事全般に援助を要する。 |
| 0 | 家事にまったく参加しない。 |
援助を要する選択肢も1点です。「まったく参加しない」と区別し、実施している工程と援助を文章で残します。
5.洗濯
| 点数 | 選択肢の要点 |
|---|---|
| 1 | 自分の洗濯をすべて行う。 |
| 1 | 靴下など小さな物を洗う。 |
| 0 | すべての洗濯を他者に頼る。 |
小物を洗うだけでも1点になり得ます。1点を洗濯全工程の自立と読み替えません。

6.移動・交通手段
| 点数 | 選択肢の要点 |
|---|---|
| 1 | 公共交通を単独で利用する、または自分で運転する。 |
| 1 | 自分でタクシーを手配して利用するが、ほかの公共交通は使わない。 |
| 1 | 援助や付き添いがあれば公共交通を利用する。 |
| 0 | 他者の援助によるタクシー・自家用車での移動に限られる。 |
| 0 | 外出・移動をしない。 |
付き添いの有無だけで0点にしません。バス・電車なのか車・タクシーなのかも確認します。この項目は運転適性検査ではありません。

7.服薬管理
| 点数 | 選択肢の要点 |
|---|---|
| 1 | 正しい量・時刻での服薬を自分で管理する。 |
| 0 | あらかじめ服用分ごとに薬が準備されれば服薬できる。 |
| 0 | 薬を自分で管理できない。 |
薬を口に入れられるだけでは1点になりません。誰が準備し、飲み忘れ・重複を確認しているかを記録します。
8.金銭管理
| 点数 | 選択肢の要点 |
|---|---|
| 1 | 予算、支払い、銀行手続き、収入の把握などを自分で行う。 |
| 1 | 日々の買い物の支払いはできるが、銀行手続きや大きな購入には援助を要する。 |
| 0 | 金銭を扱えない。 |
日常の支払いだけでも1点の選択肢があります。財産管理・契約の判断能力まで保証する点数ではありません。
買い物では少量の購入ができても0点、服薬では準備された薬を飲めても0点です。点数に残らない、できている行動を併記すると支援を具体化できます。
計算と記録|同じ5点でも支援内容は異なる
| 領域 | 架空例 | 確認した行動 |
|---|---|---|
| 電話の使用 | 1 | 受信はできるが発信しない |
| 買い物 | 0 | 毎回家族が付き添う |
| 食事の準備 | 0 | 家族が調理し配膳 |
| 家事 | 1 | 食器洗いを担当 |
| 洗濯 | 1 | 小物は自分で洗う |
| 移動・交通手段 | 1 | 付き添いでバスを利用 |
| 服薬管理 | 0 | 家族が服用分を準備 |
| 金銭管理 | 1 | 日常の支払いは可能、銀行手続きは援助 |
11月4日、Lawton IADL 5/8(全8領域方式)。自宅での最近の生活について本人・家族に確認。交通1点:家族の付き添いで路線バスを利用。服薬0点:家族が服用分を準備し、本人が服用。金銭1点:日々の買い物の支払いは可能だが、銀行手続きは家族が支援。
支援方針:本人が希望する近隣への買い物を目標に、商品選択・支払い・移動経路のどこに援助が必要かを確認する。薬の管理は医師・薬剤師・家族と連携し、安全な方法を調整する。
評価PDF|採点ガイド・評価記録・経過比較

A4縦・4ページ
1〜2ページ:8領域の採点ガイド
3ページ:評価記録と生活背景
4ページ:経過比較・記録例・参考資料
全8領域・0〜8点で整理する学習/記録補助資料。公認日本語版・公式評価票ではありません。説明は独自の日本語要約です。原票の選択肢と運用を確認して使用してください。
解釈|8点を「生活すべての自立」としない
満点でも、電話は受信だけ、公共交通は付き添い付き、銀行手続きは援助ありという内訳があり得ます。ロートンIADLの総点だけで、独居の安全、運転適性、契約能力や認知症の有無は判断できません。必要な評価を組み合わせます。
また、点数が同じでも、薬の飲み忘れが減った、買い物の工程を一つ自分で行えるようになったなど、生活上の変化はあり得ます。再評価では同じ方式と対象時期を明記し、支援内容・用具・環境の変化も比較してください。
評価から支援へ|本人が続けたい行動を支える
| 困る場面 | 検討する支援の例 | 確認する成果 |
|---|---|---|
| 買い物で混乱する | 買い物リスト、同行、店舗や時間帯の調整 | どの工程が自分でできるか |
| 調理を一人で担えない | 配食と本人ができる準備の組み合わせ | 食事が確保され、役割を続けられるか |
| 薬を管理しにくい | 薬剤師と準備方法や確認体制を調整 | 飲み忘れ・重複の防止につながるか |
| 金銭管理に不安がある | 本人の意向を確認して支払いの支援を検討 | 必要な支払いと本人の意思決定を支えられるか |
これらは支援の例であり、尺度の採点項目を追加・変更するものではありません。急にできなくなった場合は、環境だけでなく身体・認知・全身状態の変化も医療職と確認します。
よくある質問
男性は5点満点ではありませんか?
歴史的にはそうした方式があります。本記事は、HIGNの解説で示されている現在の推奨に沿い、男女とも8領域を評価します。研究・施設で指定された方式がある場合はそれを明記し、5点満点と8点満点をそのまま比較しません。
家事で援助が必要なら0点ですか?
必ずしもそうではありません。家事には援助が必要でも1点の選択肢があります。家事にまったく参加しない0点の選択肢と区別します。
付き添いでバスを使う場合は何点ですか?
公開票では1点です。他者の援助による車・タクシーに限られる0点の選択肢とは区別します。
薬を一包化していれば0点ですか?
一包化という名称だけで決めません。誰が服用分を準備し、本人がどこまで量・時刻を管理するかを確認します。原票では事前に服用分が準備されれば服薬できる状態は0点です。
料理をした経験がない場合はどうしますか?
経験や役割分担を記録し、実際の機能水準を確認します。未経験だけで能力低下と決めず、情報が足りなければ未確認として追加評価します。
スマートフォンやネット通販に置き換えてよいですか?
実生活の情報として重要です。ただし独自に選択肢や配点を変更した場合、原版と同じ評価とは言えません。使った端末・サービス・援助を併記し、必要なら別に評価します。
何点以下なら認知症や独居困難ですか?
この尺度単独で共通の診断・居住判定を行うものではありません。得点の低下だけから原因を決めず、身体機能、認知、環境、利用可能な支援を併せて確認します。
STROKE LAB|生活の目標に合わせた相談
「近所で買い物をしたい」「家事の一部を再開したい」など、本人が大切にしたい活動を共有してください。現在の状態と生活環境を踏まえ、必要な評価や練習方法を検討します。
参考資料・利用上の位置付け
原著:Lawton MP, Brody EM. Assessment of older people: Self-maintaining and instrumental activities of daily living. Gerontologist. 1969;9(3):179–186。
説明・イラストは学習用、症例は架空です。原票の著作権は原権利者に帰属します。本記事・PDFは公認翻訳ではなく、原票の転載許諾を示すものではありません。原票・翻訳・商用利用の条件は権利者の規定を確認してください。文献確認:2026年11月4日。

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)