バーセルインデックス(BI)の評価方法|10項目の採点基準と評価表PDF
バーセルインデックスの評価方法 生活の動作を見て、
必要な介助を伝える。
Barthel Index(BI)の10項目・100点版を、実施場面と採点表で解説。 見守り、歩行器、排泄管理など迷いやすい点を整理し、 評価PDFと記録例を用意しました。

BIとは|基本的なADLの自立度を捉える
食事・移乗・整容・トイレ動作・入浴・移動・階段・更衣・排便・排尿の10項目を扱います。 高得点ほど、この範囲の日常生活動作に必要な介助が少ないことを示します。 神経症状の重症度をみるJSSとは目的が異なります。 [2]
参考資料1にある日本語の100点表を採用しています。 歩行は45m以上、歩行器使用は10点に含む表です。 英語公開票は50 yards(約45.7m)と記載し、 補助具を用いた自立歩行の扱いも異なります。 異なる版の条件を混ぜず、施設で採用する原票を優先してください。 [1] [2]
| 比較 | 本記事の100点版 | 注意点 |
|---|---|---|
| 20点版 | 満点100点と明記して記録 | 点数だけを並べない。研究値も尺度を確認。 |
| Modified Barthel Index | 今回の対象外 | 段階や配点の異なる改変版を混ぜない。 |
| FIM | 別のADL評価 | 項目と介助段階が違うため単純換算しない。 |
評価の準備|普段の様子を、複数の情報から
本人・家族・病棟スタッフの情報と、必要な直接観察を合わせます。 英語版のガイドでは通常、直近24〜48時間の遂行を重視しますが、 排泄などはより長い期間も必要です。 評価日だけでなく観察期間を記録してください。 [2]
| 確認すること | 記録する内容 |
|---|---|
| 環境 | 病棟/自宅、床面、ベッド高、手すり、トイレの種類 |
| 補助具 | 杖、歩行器、装具、車椅子、自助具 |
| 人的援助 | 声かけ・見守り・身体介助の内容と頻度 |
| 変動 | 昼夜、疲労、疼痛、服薬、実施機会の有無 |
転倒しそうな移乗や階段、医学的に許可されていない入浴を無理に試しません。 未確認は理由付きで残し、「できない=0点」と自動的に置き換えません。 訓練で一度できたことを、そのまま病棟自立とはしません。
10項目の採点|何を手伝っているかを見る
以下は判定の要点を独自の表現で整理した学習用表です。 点数は採用した日本語表に合わせています。 詳細は原票で確認してください。 [1]

1.食事
| 点数 | 判定の要点 |
|---|---|
| 10 | 食べる一連の動作が自立。自助具の使用は可。 |
| 5 | 切り分けなど、一部の手助けが必要。 |
| 0 | 全面的な介助が必要。 |
食器から口へ運ぶ場面だけでなく、必要な準備や食事にかかる時間も確認。 嚥下の安全性は別に評価します。

2.移乗
| 点数 | 判定の要点 |
|---|---|
| 15 | ベッドと椅子間の移乗が自立。車椅子の操作も含む。 |
| 10 | 見守り、声かけ、または軽い身体介助が必要。 |
| 5 | 座位は保てるが、移るには大きな介助が必要。 |
| 0 | 全面介助、または移乗できない。 |
立ち上がりだけでなく、準備・方向転換・着座まで確認。 ブレーキやフットレスト操作も記録します。
3.整容
| 点数 | 判定の要点 |
|---|---|
| 5 | 洗顔・整髪・歯磨き・必要なひげ剃りが自立。 |
| 0 | いずれかに介助が必要、または実施できない。 |
整容には中間の点数がありません。 何を手伝っているのかを点数と一緒に残します。

4.トイレ動作
| 点数 | 判定の要点 |
|---|---|
| 10 | 便座への移動、衣服の上げ下げ、後始末が自立。 |
| 5 | 一連の動作の一部に手助けが必要。 |
| 0 | 全面介助、または実施できない。 |
ポータブルトイレなどを使う場合の後処理も確認。 排便・排尿のコントロールとは別項目です。

5.入浴
| 点数 | 判定の要点 |
|---|---|
| 5 | 身体を洗う動作を含め入浴が自立。 |
| 0 | 一部でも介助が必要、または実施できない。 |
浴室への移動や出入り、洗身などを安全に行えるか確認。 清拭だけの情報で入浴自立と推測しません。

6.歩行・車椅子移動
| 点数 | 判定の要点 |
|---|---|
| 15 | 45m以上を自立歩行。 採用表では歩行器・車椅子を除く補装具は可。 |
| 10 | 45m以上の介助歩行、または歩行器を使用。 |
| 5 | 歩行できないが、車椅子を45m以上自分で操作できる。 |
| 0 | 上のいずれにも該当しない。 |
歩行と車椅子を二重に足しません。 距離・用具・方向転換・介助を記録。 短距離の歩行だけで15点にしません。
7.階段昇降
| 点数 | 判定の要点 |
|---|---|
| 10 | 上り下りが自立。手すりは使用可。 |
| 5 | 見守りや身体介助が必要。 |
| 0 | 昇降できない。 |
上りと下りの両方を確認。 段差一段の成功だけで階段全体の自立としません。
8.更衣
| 点数 | 判定の要点 |
|---|---|
| 10 | 衣服・靴・留め具・必要な装具の着脱が自立。 |
| 5 | 介助は必要だが、半分以上を自分で行う。 |
| 0 | 自分で行える部分が半分未満など、上記以外。 |
上衣だけで終えず、下衣・靴まで確認。 用いた衣服や姿勢、要した時間も残します。
9.排便コントロール
| 点数 | 判定の要点 |
|---|---|
| 10 | 失禁がなく、必要な坐薬・浣腸の扱いも自分で行える。 |
| 5 | ときに失禁、または坐薬・浣腸の扱いに介助が必要。 |
| 0 | 上記以外。 |
便秘の有無だけでは決めません。 観察期間と失禁の頻度、処置の介助を記載します。
10.排尿コントロール
| 点数 | 判定の要点 |
|---|---|
| 10 | 失禁がなく、必要な収尿器等の管理も自分で行える。 |
| 5 | ときに失禁、または収尿器等の管理に介助が必要。 |
| 0 | 上記以外。 |
カテーテルの有無だけで決めず、管理の自立度を確認。 昼夜差や用具の扱いを記録します。
人の声かけや監視が必要かどうかは評価の一部です。 自立した行動を検者が記録のために見ているだけの場合と、 安全のために見守りが必要な場合を区別します。 [2]
計算と記録|65点の中身を共有する
| 項目 | 架空例の点数 | 観察内容 |
|---|---|---|
| 食事 | 10 | 食事は自立 |
| 移乗 | 10 | 移乗時にブレーキの声かけ |
| 整容 | 5 | 整容は自立 |
| トイレ動作 | 5 | 下衣操作を介助 |
| 入浴 | 0 | 洗身と出入りを介助 |
| 歩行・車椅子移動 | 10 | 杖で45m以上、側方見守り |
| 階段昇降 | 5 | 昇降に見守り |
| 更衣 | 5 | 半分以上は自分で着脱 |
| 排便コントロール | 10 | 失禁なく必要な管理も自立 |
| 排尿コントロール | 5 | ときに失禁あり |
11月4日、BI 65/100(参考資料1の日本語表)。 病棟での直近2日間の遂行を本人・看護師の情報と動作観察で確認。 排泄は別途観察期間を併記。 移乗10点:車椅子ブレーキ操作に声かけが必要。 トイレ5点:立位での下衣操作に介助。 歩行10点:杖で45m以上、側方見守りあり。
次回目標:日中のトイレ場面で、 ブレーキ確認と下衣操作の介助内容を再評価する。 総点だけでなく、どの工程の援助が減ったかを比較する。
評価PDF|採点の確認・個別記録・経過比較

A4縦・4ページ
1〜2ページ:全10項目の採点ガイド
3ページ:評価記録と介助内容
4ページ:経過比較・記録例・参考資料
本資料は100点版の学習・記録補助資料です。 公認翻訳・公式評価票ではありません。 採点表は参考資料1の日本語表に統一。 歩行器の扱いは版により異なります。 正式な評価・制度提出は指定の原票と手順で確認してください。
解釈|100点でも、生活の困りごとは残り得る
BIは基本動作を中心に捉えます。 買い物、調理、服薬管理、公共交通、仕事などを直接採点する尺度ではありません。 100点を「すべての生活が安全に自立」 「認知機能の問題がない」と読み替えないでください。
また、同じ総点でも必要な支援は違います。 入浴が介助の方と、排尿管理に支援が必要な方では、 環境調整も家族の負担も異なります。 高得点域で変化を拾いにくい場合は、 IADL、歩行速度、耐久性、本人の目標などを追加します。 [3]
同じ5点差でも変化した項目が違えば生活上の意味は変わります。 研究のMCIDや重症度区分は対象・版・時期を確認して用い、 退院や介助解除の共通基準にしません。
評価から支援へ|介助が必要な工程を絞る
| 困る場面 | 支援の例 | 再評価すること |
|---|---|---|
| 移乗で声かけ | ブレーキ確認の手順・配置をそろえる | 声かけが本当に不要になったか |
| 下衣操作で介助 | 支持物・衣服・立位の取り方を検討 | 実際のトイレ場面での介助量 |
| 入浴で介助 | 椅子・手すり・出入りと洗身を検討 | 家庭の浴室でも同じように可能か |
| 移動距離が不足 | 歩行と車椅子を生活経路に合わせる | 距離だけでなく疲労・安全・方向転換 |
よくある質問
見守りだけでも減点ですか?
必要な見守りは人的援助です。 移乗や階段では中間の点数に該当します。 検者が記録のために見ているだけか、 見守りが必要なのかを区別します。
歩行器で自立なら15点ですか?
版によります。 本記事が採用する日本語表は歩行器を10点に含めます。 別の版では用具の扱いが異なるため、原票を統一してください。
入浴や整容を少し手伝うと何点ですか?
本記事の100点版では、入浴・整容はそれぞれ5点か0点です。 中間点を独自に追加せず、できている部分を文章で残します。
トイレまで歩ければトイレ動作は自立ですか?
移動に加えて、便座への移動、衣服操作、後始末を確認します。 排便・排尿の管理も別項目で確認します。
未実施を0点にしてよいですか?
未確認と実施不能は違います。 情報を補うか未評価の理由を記録し、 欠測を0点で埋めた総点を完成値として扱わないでください。
LIFEや加算にもこのPDFを使えますか?
このPDFは補助資料です。 制度提出には厚生労働省の現行資料、指定様式と運用を確認してください。 [4]
STROKE LAB|点数を、生活の目標につなぐ
退院後の「トイレを一人で使いたい」「家で安全に入浴したい」など、 実際の生活場面を共有してください。 現在の介助・住環境・本人の希望を踏まえて、 動作や練習方法を具体化します。
参考資料・利用上の位置付け
- 日本語採点表の基準: 厚生労働省公開資料「シャルコー・マリー・トゥース病」 4ページのBarthel Index表。 疾患固有の85点基準は本記事に適用しない。 原資料を確認
- 英語版と評価原則: Shirley Ryan AbilityLab公開 Barthel Index/Guidelines。 原資料を確認
- 尺度の特徴・利用条件: Shirley Ryan AbilityLab. RehabMeasures Database: Barthel Index. 原資料を確認
- 制度利用時の確認: 厚生労働省「科学的介護」:BI評価方法・LIFE関連資料。 原資料を確認
原著:Mahoney FI, Barthel DW. Functional evaluation: the Barthel Index. Md State Med J. 1965;14:61–65。 記事・図は説明用、症例は架空です。 商用利用や翻訳・改変の利用条件は権利管理窓口で確認してください。 文献確認:2026年11月4日。

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)