vol.108:sway back姿勢と腰背筋の関係 脳卒中/脳梗塞リハビリ論文サマリー
目次
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タイトル
sway back姿勢と腰背筋の関係Fat infiltration in the lumbar multifidus and erector spinae muscles in subjects with sway-back posture.?PubMed Adriano Pezolato et al.(2012)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
人は様々な姿勢を取ります。その習慣は筋の弱化や短縮等を引き起こし、場合によっては疼痛など問題を引き起こす。様々な姿勢の特徴を知っていく事は、そのような身体の状態を推察し、治療に生かしていく事に繋がると思い本論文に至る。
内 容
目的
・腰部の安定させる筋の活動性の低下は、sway back postureで確認されている。筋の不使用は、これらの筋を萎縮させやすく、減少した断面積(CSA)および脂肪浸潤によって特徴付けられる。
・本論文の研究目的は、腰痛の有無にかかわらず、sway back postureにおける筋萎縮の徴候として、腰部多裂筋と腰部脊柱起立筋の萎縮と脂肪浸潤量を評価することであった。
方 法
・16歳から40歳の54名の研究に参加した。症例は、症候性のsway back posture(SSBG)、無症候性のsway back posture(ASBG)、および対照群(CON)の3つのグループに分類された。
・最初に姿勢を分類するために写真で分析を受け、次いで腰部のMRI検査を行った。
・腰部脊柱起立筋および腰部多裂筋との総断面積(TCSA)および機能的(FCSA)断面積をL1からS1まで測定した。脂肪浸潤の量は、TCSAとFCSAとの間の差として推定された。
結 果
・腰部脊柱起立筋および腰部多裂筋の両方のL5レベルが最も影響を受けた領域であった。
・腰痛のある個体で、この領域で脂肪浸潤を示した。
・sway back posture群の腰部脊柱起立筋および腰部多裂筋において、対照群よりもより大きな脂肪浸潤が観察された。筋肉内の脂肪の増加は、安定化機能を有する筋肉の収縮性に影響を及ぼし、部分的不安定性に影響する可能性がある。
・swayback postureの主な偏位の1つである骨盤の前方変位は、後退する重力線の位置を変える。
・sway back postureの方は、疼痛および習慣的姿勢の結果として、腰部脊柱起立筋および腰部多裂筋の形態学的変化を受け易いことを示している。
論文背景や興味深かったこと
・被験者の年齢も比較的若い中でCON群と比較し脂肪浸潤(筋の不使用の特徴)の差が顕著に出現している。症状の有無、加齢とも関係なしに自身の体と向き合い予防を図っていくことが大事であると思われた。
明日への臨床アイデア
・姿勢は加齢、日常生活の習慣、仕事や部活動など活動の特性、運動習慣の有無をはじめ様々な要因で3平面で崩れてきやすい。それは、患者だけでなくセラピストも同様である。私の周囲でも疼痛を抱えているセラピストを多々見受ける。専門性を活かし、自己ケアを行う事は大切である。セラピストの体は治療道具の為、自身をケアする事が患者の良姿勢や抗重力活動の促進に繋がる。
・様々な姿勢の特徴を学んでいく事は、患者が体をどう動かすか、動作の得意パターン・苦手パターンの予測や疼痛の原因分析など治療指針の一助となると思われる。
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018)