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EQ-5D-5L日本語版とは?評価方法・効用値・EQ VASの違いを解説

STROKE LAB / HEALTH-RELATED QUALITY OF LIFE

EQ-5D-5L日本語版の評価方法今日の健康を、
生活の困りごとと本人の実感から。

5つの領域とEQ VASで健康関連QOLを捉えるEQ-5D-5L。回答方法、5桁の健康状態、効用値の読み方を、生活場面のイラストと記録例で解説します。

UPDATED 2026.11FOR PT / OT / ST・看護・医療職BY STROKE LAB
患者本人が、療法士と一緒に自分の健康状態について振り返っている場面のイラスト
患者本人が感じている健康状態を、身体機能や生活動作の評価と合わせて理解します。
正式な日本語版は、EuroQolから入手してください。

利用には登録と条件の確認が必要です。非商用利用はライセンス料が不要と案内されていますが、登録不要という意味ではありません。営利事業での利用などは用途に応じて確認します。本記事のPDFは結果転記用であり、正式な質問票ではありません。[3]

5領域 × 5段階どの側面に、どの程度の問題を感じるか。
今日の状態過去1か月の平均や、最も良かった日ではなく回答日の健康。
3つを区別5桁の健康状態・効用値・EQ VASを分けて扱う。
SECTION 01

EQ-5D-5Lとは|健康関連QOLを短い質問で捉える

EQ-5D-5Lは、特定の疾患だけに限定しない健康関連QOLの尺度です。5領域の記述式システムと、健康全体を本人が評価するEQ VASで構成されます。5Lは各領域に5つの回答水準があることを示します。[1]

例えば、歩行が自立した方でも、痛みや不安のために普段の活動が難しいことがあります。一方で、動作に制限があっても、生活の工夫によって本人の実感が変わることもあります。EQ-5D-5Lはこうした健康の影響を捉える材料になりますが、筋力検査や診断の代わりにはなりません。

尺度 構成・着目点 比較する際の注意
EQ-5D-5L 5領域・各5水準+EQ VAS 5L用の換算方法を使う
EQ-5D-3L 5領域・各3水準+EQ VAS 同じ数字でも5Lの水準と同じ意味とは限らない
SF-36/SF-8 健康を複数の領域で捉える別の尺度 得点を直接置き換えない
ADL・IADL評価 生活動作の遂行や介助の必要性 本人の健康評価と併せて読む

3Lから5Lへの変更は、回答の細かさを増やし、良好な状態に回答が集中する天井効果を軽減する目的で行われました。ただし、5Lならすべての小さな変化を必ず捉えられるわけではありません。[1, 6]

SECTION 02

5領域|生活場面から意味を理解する

正式な日本語版には、次の5領域が定められています。下記の説明と絵は概念を理解するためのもので、回答選択肢や採点基準の代わりではありません。[5]

1.移動の程度

屋内や屋外を歩いて移動している場面のイラスト(移動の程度)
歩行の困難を本人がどう感じるかに着目します。

歩く速さや杖の使用だけを見て、支援者が水準を決めないようにします。必要な歩行検査は別に実施し、自己回答と区別して記録します。

2.身の回りの管理

自分で着替えをしている場面のイラスト(身の回りの管理)
着替えなど、自分の身の回りを整える場面です。

「家族が手伝っている」という情報だけで困難の程度を決めず、本人が正式な選択肢から回答します。自立度を詳しく知りたいときにはADL評価も用います。

3.ふだんの活動

家事など、日常の役割に取り組んでいる場面のイラスト(ふだんの活動)
家事だけでなく、その人にとっての普段の役割を考えます。

仕事、学習、家庭での役割、余暇など、人によって大切な活動は異なります。絵の家事ができるかだけで、この領域全体を判定しません。

4.痛み/不快感

体の痛みや不快感について、本人が支援者に伝えている場面のイラスト(痛み/不快感)
笑顔や動作の見た目だけでは、症状の程度は分かりません。

本人の回答を尊重し、必要に応じて痛む部位や日常生活への影響を別途確認します。痛みのNRSとEQ VASも別の評価です。

5.不安/ふさぎ込み

気持ちの状態について、本人が落ち着いて話している場面のイラスト(不安/ふさぎ込み)
心理面も、健康関連QOLを構成する一つの側面です。

静かだから問題がない、よく話すから元気、と決めつけません。この領域の回答だけでうつ病などを診断せず、必要な面談や医療的評価につなげます。

SECTION 03

5段階と5桁の健康状態|足し算しない

水準番号は1から5で、1は問題がない状態、番号が大きいほど問題が大きい方向です。領域によって最も重い水準の表現が異なるため、正式な選択肢で確認します。番号を等間隔の点数として扱わず、回答された水準をそのまま記録します。[1, 2]

移動 → 身の回り → 活動 → 痛み → 不安この順序で水準番号を並べ、5桁の健康状態を表す

「21231」という記録を読む

移動2・身の回り1・活動2・痛み3・不安1という、説明用の架空例です。「21,231点」ではありません。また、2+1+2+3+1=9を効用値として使いません。

数字の並びを見れば、問題を報告した領域を追えます。異なる領域が変化したときに、5桁の数として大小を比較して良し悪しを決めないことが大切です。

理論上の健康状態は5の5乗=3,125通りです。11111は5領域すべてで問題なしと回答した状態を示しますが、その人にあらゆる症状や生活上の困りごとがないと保証するものではありません。[1, 6]

SECTION 04

実施手順|「今日」と本人の回答を大切にする

支援者が見守る中で、本人が質問票に自分で回答している場面のイラスト
支援者が答えを決めたり、良い回答へ誘導したりしないようにします。
順序 実施内容 記録すること
1.正式票の準備 Japan/Japanese/EQ-5D-5Lと実施形式を確認 版番号、紙・電子、自己記入・面接・代理回答等
2.説明 目的を伝え、今日の健康状態について回答することを確認 評価日・時刻
3.回答 5領域とEQ VASを本人が回答 回答方法と必要な支援
4.内容の確認 回答漏れや複数回答を中立的に確認 欠測、回答困難の理由
5.記録・処理 5桁の健康状態、EQ VAS、必要なら効用値を別々に保存 換算方法・出典

日本語版には自己記入、面接、代理回答などの形式が用意されています。視力・理解・言語の問題がある場合は、利用可能な正式版と実施方法を確認します。本人回答を家族の推測に置き換えて同じ扱いにせず、誰の視点による回答かを残してください。[4]

質問の意味を変えて説明しない

「昨日は歩けましたよね」などの誘導や、「このくらいなら2ですね」という代行判定は避けます。面談で聞きたい生活の背景は、正式な回答と分けて記録します。未回答を問題なしの「1」で埋めることもしません。

SECTION 05

効用値とEQ VAS|同じ「QOLの数字」ではない

指標 得られ方 読み方
5桁の健康状態 5領域の水準を順番に並べる どこに問題があるかを示すプロフィール
効用値(index) 健康状態に価値セットを適用 一般集団の価値づけを反映した健康状態の値
EQ VAS 本人が健康全体を評価する 本人自身がどう感じているかを示す0〜100の値

EQ VASの0は、効用値の0と意味が違う

EQ VASは本人が想像できる最悪の健康状態を0、最良の健康状態を100として、今日の健康を表します。効用値の0は死亡に対応する基準であり、両者の0は同じ意味ではありません。EQ VASを100で割って効用値に変換することはできません。[1, 2, 6]

効用値は1が完全な健康、0が死亡の基準

価値セットによっては、死亡より低く価値づけられた健康状態に負の効用値が付きます。これは集団による仮想的な健康状態の価値づけであり、本人の人生の価値や治療を受ける権利を表す数字ではありません。[2, 6]

日本の5L用換算方法を確認する

日本語の質問票であることと、どの国・どの方法で効用値を算出するかは別の情報です。日本には5L用の価値セットがあります。用いた換算方法・文献を明記し、3L用の式や別の国の式を気付かず混ぜないようにします。[5, 7, 8]

計算式は出典とセットで扱う

C2Hでは、池田ら(2015)の表4に基づく計算を案内しています。11111以外では該当係数に加え定数項を一度だけ減算し、11111は1とします。計算する場合は原表と照合し、本記事の概念図から係数を推測しないでください。[5, 6]

SECTION 06

結果の解釈|変化した領域を先に見る

まず5領域のどこが変わったかを確認し、次に効用値とEQ VASを見ます。身体面が軽くなっても不安が増えた、効用値は同じでも本人の健康感が変わった、といった違いを残せます。数字が一致しないことだけで回答ミスとは決めません。

何点変われば改善なのか

疾患・重症度・換算方法・研究の条件を問わず使える一律の改善基準は、本記事では設定しません。対象に合う研究、測定誤差、本人の実感、生活上の変化を合わせて判断します。前後差だけで介入の効果を断定しないことも重要です。

QALYとの関係

効用値は医療経済評価の質調整生存年(QALY)の算出に用いられます。例えば、効用値0.8の状態が1年間続くと仮定すると0.8 QALYです。これは考え方を説明する単純例であり、1回の質問票だけで将来のQALYや治療の費用対効果が決まるわけではありません。[6]

SECTION 07

PDF|結果と経過を整理する2ページ

EQ-5D-5L結果記録PDF(A4縦・2ページ)の1ページ目イメージ
STROKE LAB / CLINICAL NOTE

3つの結果を、混同せず残す。

A4縦・2ページ/印刷・手書き用

01 評価条件・5領域・効用値・EQ VAS
02 前回比較・本人の実感・生活目標

結果記録PDFをダウンロード ↓正式な日本語版の使用登録へ ↗

このPDFは正式票の結果を転記する補助資料です。正式な質問文・回答選択肢・EQ VASの目盛りを収載した質問票ではありません。

SECTION 08

臨床例|5桁・EQ VAS・生活の変化を伝える

FICTIONAL CASE / 架空の記載例

外出を再開したいAさん

初回:EQ-5D-5L日本語版、自己記入、今日の状態。健康状態21231、EQ VAS 55。本人は「歩けるが痛みが気になり、外出後の家事が負担」と話す。

再評価:同じ版・実施形式で21221、EQ VAS 65。痛み/不快感の水準が3→2となり、他の4領域は同じ。「休憩を入れると近所へ出かけやすい」と話す。

共有:本人は外出の継続を希望。休憩と活動量を調整し、生活場面を再確認する。効用値は採用した日本5L用換算方法で別途算出・記録する。今回の点差だけで介入効果とは断定しない。

数値は説明用の架空例です。EQ VASの10点上昇を、誰にでも当てはまる改善基準として示しているわけではありません。

SECTION 09

リハビリでの活用|本人の目標とつなげる

評価結果を見ながら、本人と療法士が再開したい活動や生活の目標を話し合っている場面のイラスト
得点の変化と、本人が再開したい活動・続けたい役割を並べて考えます。
確認すること 支援につなげる視点
移動と普段の活動に違いがある 移動距離だけでなく、活動量・休憩・役割分担を整理
痛みや不安が残る 症状の背景を確認し、必要な医療連携や支援を検討
得点と本人の感想が異なる 尺度に含まれない困りごとや環境の変化も聞く
再評価条件が変わった 自己記入から代理回答への変更などを明記し、単純比較を避ける

評価のために無理な歩行や着替えを試す必要はありません。生活場面の情報を共有し、身体機能・ADL・疾患ごとの評価も使い分けます。新しい症状が出た場合には、QOLの採点より医学的な確認を優先します。

SECTION 10

よくある質問

5項目を足して25点満点にしますか?

5桁の健康状態はプロフィールです。単純合計を効用値として使いません。効用値は適切な価値セットで算出します。

EQ VAS 70は効用値0.70ですか?

違います。EQ VASは本人の健康評価、効用値は健康状態への価値づけです。100で割って換算できません。

11111ならリハビリは不要ですか?

そうとは限りません。5領域の回答以外にも、具体的な身体機能、参加、本人の目標を確認します。

家族が代わりに回答できますか?

正式な代理回答版が用意されています。適用・実施方法を確認し、自己回答と区別して記録してください。

無料で自由に転載できますか?

非商用でライセンス料が不要でも、登録や利用条件の確認は必要です。ウェブ掲載・電子化・改変は、許可された範囲を確認します。

3Lと5Lを途中で切り替えてよいですか?

切り替え理由と比較上の制約を記録します。同じ数字を同じ水準と見なさず、対応する換算法も確認します。

SECTION 11

STROKE LAB|生活の目標からリハビリを考える

「近所への外出を続けたい」「家事の負担を減らしたい」。ご本人の健康の実感と生活動作を合わせて、取り組みたい目標を整理します。相談時には、主治医からの注意事項と現在の困りごとをお知らせください。

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REFERENCES

参考資料・原著論文

  1. EuroQol.EQ-5D-5Lの概要。 原資料を確認 ↗
  2. EuroQol Research Foundation.EQ-5D-5L User Guide, Version 4.1, September 2026. 原資料を確認 ↗
  3. EuroQol.使用登録・利用条件。 原資料を確認 ↗
  4. EuroQol.利用可能な言語・実施形式。 原資料を確認 ↗
  5. 国立保健医療科学院C2H.EQ-5D-5L。 原資料を確認 ↗
  6. 池田俊也ほか.日本語版EQ-5D-5Lにおけるスコアリング法の開発.保健医療科学.2015;64(1):47–55. 原資料を確認 ↗
  7. EuroQol.Value sets for scoring the EQ-5D. 原資料を確認 ↗
  8. Shiroiwa T, et al. Comparison of Value Set Based on DCE and/or TTO Data: Scoring for EQ-5D-5L Health States in Japan. Value Health. 2016;19(5):648–654. 原資料を確認 ↗

資料確認:2026年11月。EQ-5D™はEuroQol Research Foundationの商標です。本記事と配布シートは独自の学習・記録補助資料で、公式版の質問票・推奨・認証を示すものではありません。臨床例は架空、イラストは説明用です。

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