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評価シリーズ

LSA(生活空間評価)とは?評価方法・採点・計算例と記録PDF

STROKE LAB / LIFE-SPACE ASSESSMENT

LSA(生活空間評価)の評価方法暮らしは、どこまで
広がっていますか。

家の中から町の外まで。過去4週間の移動を「範囲・頻度・自立度」で捉えるLSA。採点表、補正の手順、計算例、外出支援へのつなげ方をイラストとともに解説します。

UPDATED 2026.11FOR PT / OT / ST・看護・介護職BY STROKE LAB
自宅を中心に、近所から町の外へと生活空間が広がっていく様子を描いたイラスト
生活空間には、身体機能に加えて交通手段、支援、外出の機会も関わります。
過去4週間できそうなことではなく、実際の移動。
3つを確認生活範囲 × 頻度 × 自立度。
0–120点最も遠い場所だけでなく、各レベルを合計。
採点のために、補助具や介助を外しません。

支援を使って行きたい場所へ出かけることにも意味があります。LSAは実際の生活を記録する評価です。高得点を目指して無理な外出を促すものではありません。

SECTION 01

LSAとは|実際の生活空間を評価する

LSA(Life-Space Assessment)は、一定期間に生活の中でどこまで移動したか、その頻度と自立度を組み合わせる尺度です。本記事はUAB Study of AgingのLSAと、日本語版の原田ら(2010)の報告を基盤に解説します。[1, 2, 3]

例えば、診察室では歩ける方でも、冬の凍結路や交通手段の不足で外出していないことがあります。逆に、歩行が難しくても、車いすや人的支援で生活範囲を保つ方もいます。「歩ける能力」と「実際に移動している生活」を分けて捉えることが大切です。

評価 中心となる視点 LSAとの組み合わせ
歩行速度・TUG 決められた条件での移動能力 能力が生活の外出につながっているか
Barthel Index・FIM 日常生活動作や介助量 家の中の自立と生活範囲を分けて確認
LSA 実際の移動範囲・頻度・支援 行き先と移動手段を含めた生活像
QOL尺度 本人の健康・生活への実感 広い範囲に移動できても満足しているとは限らない
SECTION 02

生活空間レベル|家の中から町外へ

起点は寝ている場所(レベル0)。採点するのは、それを越えたレベル1〜5です。下の図は説明用の場面です。本人の自宅や地域を基準に分類し、施設の種類だけでレベルを決めません。[2]

1|家の中

寝室から居間など、住居内の別の部屋へ移動している場面のイラスト(レベル1:家の中)
寝ている場所以外の住居内への移動を確認します。

寝室で起きて過ごすだけではレベル1への到達とは区別します。住居内の別室に移動したかを聞きます。

2|自宅のすぐ外・敷地内

玄関の外や庭、ベランダなど、自宅のすぐ外に出ている場面のイラスト(レベル2:自宅のすぐ外・敷地内)
玄関外、庭、ベランダ、集合住宅の共用廊下などのイメージです。

建物の外へ出たかという一言だけでは、共用廊下や敷地内を取りこぼすことがあります。具体的な場所を確認します。

3|自宅近隣

自宅の敷地を出て、近所の道や公園へ出かけている場面のイラスト(レベル3:自宅近隣)
敷地・建物を越えて、近隣の場所へ出かける場面です。

近所の公園や店でも、自宅との位置関係を確認して区分します。名称ではなく、その人の生活空間として整理します。

4|近隣を越えた町内

近所より離れた、町内のスーパーなどへ出かけている場面のイラスト(レベル4:近隣を越えた町内)
近隣より離れているが、町内にある場所への移動です。

同じスーパーでも、自宅の隣にあれば別のレベルになり得ます。町内・近隣の範囲を評価者間でそろえます。

5|町外

電車などを使って、住んでいる町の外まで出かけている場面のイラスト(レベル5:町外)
住んでいる町の外まで出かけた場面のイメージです。

旅行だけでなく、通院や親族訪問なども対象になり得ます。4週間に1回でも到達は「あり」ですが、頻度は毎日と異なります。

「近隣」「町」の境界は、採用する版で確認します。

地域や研究によって距離の目安を用いることがありますが、本記事では800m・16kmを全員共通の必須境界とはしていません。原田らの日本語版は近隣・町内・町外という区分です。使用票の定義と具体的な行き先を記録し、再評価時も同じ基準を使います。[2]

SECTION 03

実施手順|行き先から、頻度と支援を聞く

カレンダーや予定表を見ながら、過去4週間の外出について聞き取りをしている場面のイラスト
記憶を助ける予定表や通院日を使い、評価対象の4週間をそろえます。
順序 確認すること
1.期間を決める 評価日からさかのぼる4週間。具体的な開始日・終了日を記録
2.場所を整理する 家の中、すぐ外、近隣、町内、町外への到達の有無
3.頻度を選ぶ 各範囲にどのくらい移動したか。最も活動した週だけで判断しない
4.支援を確認する 補助具と人的介助を別々に聞く。屋内と屋外で異なる場合も記録
5.整合と補正を確認 元の回答を保存し、使用版の採点アルゴリズムに沿って整理
6.合計と背景を残す 総点、最大範囲、主な行き先、交通手段、天候や入院等

LSAは距離をその場で歩かせる検査ではありません。本人の回答を基本とし、必要に応じて家族・記録で補います。本人の記憶が不確かで家族から確認した場合は、情報源を明記します。未確認を「行かなかった」と置き換えません。

SECTION 04

採点表|範囲・頻度・自立度を掛け合わせる

各レベルの点数 = L × A × F × I

L:生活空間レベル(1〜5)
A:到達あり1/なし0
F:頻度(1〜4)
I:自立度(1・1.5・2)
5つのレベルの点数を足し、0〜120点で記録します。

以下は配点の整理です。計算前に、次節の補正と欠測の確認を行います。[2, 4, 6]

F:頻度 配点
週1回未満(4週間に移動はあった) 1
週1〜3回 2
週4〜6回 3
毎日 4

「4週間に一度も行っていない」は、週1回未満の1点とは異なり、到達A=0のためそのレベルは0点です。1日に何往復しても頻度の上限は4です。

補助具 人の介助 I:自立度
不要 不要 2
使用 不要 1.5
使用の有無を問わない 必要 1
杖などの補助具を使う人と、付き添いの介助を受けて歩く人を並べたイラスト
補助具と人の介助が両方ある場合は、人的介助ありの区分で整理します。

杖を使うだけで0点になることはありません。補助具のみで移動するならI=1.5です。人の介助が必要な場合はI=1となります。付き添いの存在だけで決めず、実際に必要だった支援を確認します。

車・公共交通などによる移動も、生活範囲を捉える際に確認します。移動手段の名称だけで補助具・人的介助を自動判定せず、乗降や移動に必要な支援、使用版の規則を確認し、交通手段を別欄に残します。

SECTION 05

採点前の補正|内側と外側の整合を取る

原田ら(2010)の付録2には、初期配点に続いて補正する手順が示されています。聞き取り値を消さず、「補正前」と「補正後」を区別します。[2]

対象 方向 補正の要点
到達A 外側 → 内側 上位レベルに到達していれば、下位レベルも到達ありにする
頻度F 外側 → 内側 内側の頻度が外側より低ければ、外側の頻度まで引き上げる
自立度I 内側 → 外側 内側で必要な支援を外側に反映。人的介助1を優先し、補助具のみなら外側は最大1.5

補正の小さな例

頻度:レベル4の頻度が2、レベル3が1なら、レベル3の頻度を2に補正します。さらに内側にも同じ順序で確認します。

自立度:レベル2で補助具が必要(1.5)なのに、レベル3を支援なし(2)としていた場合は、アルゴリズム上はレベル3を1.5にそろえます。レベル3で人の介助が必要(1)なら、1を維持します。

生活状況が入り組んでいるときは、回答を再確認し、どの規則を使ったか残します。単に値を都合よく変更するための処理ではありません。

「未到達」と「情報不足」を分ける。

到達していないことが確認できたレベルは0点です。到達したか分からない、頻度や支援が不明な場合は、未確認を0にせず採点を保留します。原田らの付録2は、欠測がないデータを前提にした方法です。

SECTION 06

計算例|最大範囲が同じでも点数は変わる

FICTIONAL CASE / 架空例

家では毎日移動し、近隣は杖で週2回、町内へ月2回。

下表は、回答確認と補正後の値です。レベル4への移動には人的介助が必要で、レベル5への到達はありません。

L:範囲 A F I 計算・点数
1 家の中 1 4 2 1×1×4×2=8
2 すぐ外 1 4 1.5 2×1×4×1.5=12
3 近隣 1 2 1.5 3×1×2×1.5=9
4 町内 1 1 1 4×1×1×1=4
5 町外 0 — — 未到達のため0
合計 8+12+9+4+0=33点/120点

最大到達レベルは4ですが、総点は4点でも32点でもありません。各レベルの頻度と支援を含めた合計です。

次の4週間で近隣への移動が週4〜6回になり、他の条件が同じなら、レベル3は3×1×3×1.5=13.5点、合計は37.5点です。最大到達範囲が変わらなくても、頻度の変化が得点に表れます。

33→37.5点は説明用の架空例です。4.5点を普遍的な改善基準として示しているわけではありません。

SECTION 07

結果の解釈|点数だけで閉じこもりを決めない

60点未満の扱い

60点未満を生活空間の制限ありとして扱った研究があります。ただし、60点を外出の安全性や個人の診断の一律基準にはしません。原田らの研究では最大到達レベル3以下という別の定義も使われています。何の指標・定義を使っているかを明示します。[2, 4]

点数と最大範囲は、別の情報

町外へ一度出かけた人と、毎日近隣へ出かける人では、最大範囲と頻度が違います。合計点から行き先を一意に推測せず、元の内訳を確認してください。

身体機能以外の変化も残す

積雪、猛暑、交通機関の変更、家族の都合、入院、感染対策、買い物の宅配化などにより、生活範囲は変わります。低下をすぐに筋力低下や意欲低下と決めず、生活の背景を確かめます。

SECTION 08

研究から分かることと、適用の限界

原著では地域在住高齢者306人を対象に検討し、初回と2週間後の各LSA採点法の相関は0.86を超えていました。6か月の変化も観察されています。測定方法の有用性を示す結果ですが、同じ点数なら誰でも同じ生活状態という意味ではありません。[1]

日本語版の検討では、介護予防支援を受ける地域高齢者2,147人を解析し、妥当性を支持する結果が得られました。対象条件があるため、そこでの平均値を全高齢者の標準値として使いません。[2]

日本の慢性期脳卒中者46人を対象にした横断研究では、LSAはADL、歩行速度、転倒への懸念と関連しました。横断研究であり、「歩行速度だけを上げれば生活空間が広がる」という因果関係までは示しません。[4]

本記事の方法は地域生活を基盤としたLSAです。入院中・施設内の生活空間評価では、設定や評価期間の異なる版との混同に注意します。4週間未満の退院直後の状況を、そのまま通常の4週間評価と同等に比較しないようにします。

SECTION 09

評価PDF|聞き取りから補正・経過記録まで

LSA採点・記録PDF(A4縦・3ページ)の1ページ目イメージ
STROKE LAB / CLINICAL SHEET

聞いた値を残して、正しく集計。

A4縦・3ページ/印刷・手書き用

01 4週間の聞き取り・配点早見表
02 補正の方向・計算欄・合計
03 前回比較・外出の背景・生活目標

LSA採点・記録PDFをダウンロード ↓日本語版の原著・付録を確認 ↗

配点と計算を整理した独自の補助シートです。原票の逐語転載・公式認証版ではありません。質問の詳細と研究利用時の条件は原資料をご確認ください。

SECTION 10

記録と支援|次に行きたい場所へつなぐ

本人と療法士が地図を見ながら、行きたい場所や外出の計画を話し合っている場面のイラスト
行き先・目的・頻度・必要な支援を具体化し、本人に意味のある活動を考えます。

カルテ記載例(架空例)

LSA 33/120点。評価対象は直前4週間、本人から聞き取り。原田ら(2010)方式で回答の整合と補正を確認。最大到達レベル4。住居内は毎日支援なし、すぐ外は毎日補助具のみ、近隣は週1〜3回で補助具のみ、町内は週1回未満で人的介助あり。町外への移動なし。

本人は「図書館へ行く機会を増やしたい」と希望。移動経路、休憩場所、補助具、同行支援を確認する。次回も4週間の同じ範囲定義で再評価する。

背景 支援の検討例
歩行は可能だが外出が少ない 目的、転倒不安、疲労、交通手段を確認
補助具があれば移動できる 適合と使い方、環境を確認。得点のために外さない
家族の予定で頻度が変わる 同行・送迎・サービス等を含めて現実的に調整
冬季に生活範囲が縮小 屋内活動や安全な経路、移動手段を検討。季節差も記録

目標は「120点」だけではなく、「休憩を入れて図書館へ週1回」など生活の内容で設定します。練習の安全性と医学的な制限は、別途確認してください。

SECTION 11

よくある質問

車や車いすで出かけた場合も含めますか?

実際の生活範囲として確認します。徒歩だけに限定せず、移動手段と補助具・人的介助の内容を記録します。

4週間に1回だけ町外へ行った場合は?

町外への到達はあり、頻度は週1回未満の1です。他のレベルの情報も確認し、必要な補正後に合計します。

杖を使うと0点になりますか?

なりません。補助具のみなら自立度は1.5です。人的介助も必要なら1となります。

一度も行かなかった場合も頻度1ですか?

違います。到達なしはA=0で、そのレベルは0点です。移動ありで週1回未満のF=1と区別します。

60点以上なら一人で外出して安全ですか?

そのようには判断できません。歩行・認知・症状・交通環境などの安全性評価は別に必要です。

施設や病院でも同じ用紙で採点できますか?

地域生活を基盤とするLSAと、入院・施設向けの別版を区別します。自宅を病室に置き換えるなど独自変更をした値を、そのまま同じ尺度として比較しません。

SECTION 12

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REFERENCES

参考資料・原著論文

  1. Baker PS, Bodner EV, Allman RM. Measuring life-space mobility in community-dwelling older adults. J Am Geriatr Soc. 2003;51:1610–1614. 原資料を確認 ↗
  2. 原田和宏ほか.介護予防事業に参加した地域高齢者における生活空間(life-space)と点数化評価の妥当性の検討.日本公衆衛生雑誌.2010;57:526–537.付録1・2(p.536)を含む。 原資料を確認 ↗
  3. University of Alabama at Birmingham. UAB Study of Aging. 原資料を確認 ↗
  4. Tashiro H, et al. Life-Space Mobility and Relevant Factors in Community-dwelling Individuals with Stroke in Japan: A Cross-sectional Study. Prog Rehabil Med. 2019;4:20190014. 原資料を確認 ↗
  5. 日本理学療法士協会.障害者における支援機器の活用による効果検証およびシームレスな支援体制の在り方に関する調査研究事業報告書.2017.厚生労働省公開資料。 原資料を確認 ↗
  6. The Life-Space Assessment Measure of Functional Mobility Has Utility in Community-Based Physical Therapist Practice in the United Kingdom. Phys Ther. 2019;99(12). 原資料を確認 ↗

資料確認:2026年11月。原尺度:UAB Study of Aging Life-Space Assessment。日本語版と採点アルゴリズムは原田ら(2010)を参照。説明と記録欄を独自に編集しており、公式票・公式認証を示すものではありません。イラストは概念説明用、計算例・臨床例は架空です。

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