パーキンソン病で電話が苦手になった|原因と対策・自宅でできる工夫 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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パーキンソン病で電話が苦手になった|原因と対策・自宅でできる工夫

ON THE PHONE

電話が苦手なのは、意志や性格のせいではありません。

「声が小さい」「聞き返される」「ボタンが押しにくい」「話しながらだと頭が真っ白になる」——電話が苦手になった背景には、声・指先・注意配分という、いくつもの理由が重なっていることがほとんどです。原因を分けて考え、今日からできる工夫を整理します。

UPDATED2026
READ約10分
FORご本人・ご家族へ
BYSTROKE LAB
本記事は、医学書院『パーキンソン病の機能促進(動作分析から自主トレーニングまで)』(2025年・448頁)の著者が執筆しています。電話が苦手になる背景には難聴や他の病気が関わることもあります。気になる変化は自己判断せず、神経内科や耳鼻科で確認してください。

Quick Reference
まず知ってほしい5つのこと。
01
電話が苦手になる原因は一つではなく、複数が重なっていることが多いです
02
声量の低下(小声症)は、対面より電話で強く困りごとになります
03
電話は「話す・聞く・持つ・操作する」が重なる二重課題になりやすい場面です
04
声・操作・段取りを分けて、それぞれに合った工夫をすると立て直しやすくなります
05
難聴など他の原因が隠れていることもあります。気になるときは専門機関へ
01
Can’t Say Hello

「もしもし」が、出てこない。

A Patient’s Voice
「何度も聞き返されて、途中で電話を切ってしまいました」

受話器を持つ手に力が入らず、声を出そうとしても思ったほど大きくならない。相手に「え?」と聞き返されるたびに焦り、余計に声がうわずる。ボタンを押そうとしても指が思うように動かず、何度も押し間違える——。対面なら表情や身振りで補えることも、電話では声だけが頼りになるため、苦手意識が一気に強まる方が少なくありません。

でも、知ってほしいのです。電話が苦手になる背景にはいくつもの理由があり、その理由ごとに、今日からできる工夫があるということを。

パーキンソン病では、声・指先の動き・注意の配分など、複数の機能が少しずつ変化することがあります。電話は、そのいくつもの機能を同時に使う、生活の中でも負荷の高い場面です。だからこそ「電話だけ急に苦手になった」と感じる方が多いのです。まずは背景を整理し、そのうえで具体的な立て直し方を見ていきましょう。リハビリの全体像はリハビリ完全ガイドにまとめています。

02
Five Backgrounds

電話が苦手になる、5つの背景。

「電話が苦手」とひとことで言っても、つまずいている場所は人によって違います。まずはご自身やご家族が、どこに一番困っているかを確認してみてください。

背景 電話でどう困るか
声量の低下(小声症) 声が小さく・こもりやすくなり、電話では表情で補えないため特に伝わりにくい
指先の動作緩慢・振戦 ボタン操作や受話器を持つ動作が遅く、押し間違えや取り落としが増える
二重課題への弱さ 話す・聞く・持つ・操作するを同時に行うと、それぞれの精度が落ちやすい
表情・間の変化 相づちの間が空きやすく、対面なら表情で伝わる反応が電話では伝わりにくい
不安・回避 うまくいかない経験が重なり、電話そのものを避けるようになる

大切なのは、「電話が苦手」を一つの困りごとにまとめず、声・操作・段取り・気持ちに分けて考えることです。分けて考えれば、それぞれに合った工夫が見えてきます。次の章から、具体的な手順にしていきます。

03
Phone Rehearsal

STROKE LABの視点:電話を「リハーサルできる場面」に変える。

電話が苦手になるのは、声・指先・注意配分を、ぶっつけ本番で同時にこなそうとしているためでもあります。あらかじめ分けて準備しておく「電話リハーサル」の考え方で、負担を減らすことができます。次の3ステップで整えてみてください。

Three Steps

ステップ1:話す前に、要件を3行でメモする。「誰に」「何を伝えるか」「何を聞きたいか」を紙に書き出しておきます。電話中に内容を考える負担を減らし、話すことに集中できます。

ステップ2:持つ・操作するを、先に済ませる。スピーカーモードに切り替える、机に置いて話す、番号を短縮登録しておくなど、操作を電話の前に済ませておきます。話しながら操作する場面を、できるだけ減らします。

ステップ3:一文を短く、間をとって話す。長い文で一気に話そうとせず、短く区切って話します。相手の反応を待つ「間」を意識的に作ると、聞き返しが減り、落ち着いて話せます。

最初は家族との電話や、聞き慣れた相手との短い通話で練習するのがおすすめです。「うまく話せた」という経験を少しずつ積み重ねることが、苦手意識を和らげる一番の近道になります。合う工夫の組み合わせは人それぞれなので、作業療法士や言語聴覚士と一緒に調整すると、より自分に合った形が見つかります。

04
Voice, Hands & Tools

声・操作・道具の、コツ。

段取りを整えたら、声の出し方と道具でさらに話しやすくなります。声については、話す前に大きく息を吸ってから声を出し始めると、声が乗りやすくなります。「もしもし」の一言目だけでも、意識して大きく出す練習をしてみてください。

操作面では、文字やボタンが大きい電話機、音声で発信できる機能、短縮ダイヤルやよく使う相手をお気に入り登録しておく機能が助けになります。受話器を持ち続けるのが負担なら、スピーカーモードやハンズフリーのイヤホンを使い、手の負担を減らすのも良い方法です。声を出す練習は、口や喉だけでなく、体幹や呼吸とも関わるため、体操・自主トレ大全で紹介している呼吸や姿勢の体操もあわせて取り入れると、土台づくりになります。

Evidence
集中的な発声訓練で声量が改善し、効果が長期間続いた研究

パーキンソン病の声量低下に対する集中的な発声訓練プログラム(LSVT LOUD)を検証した研究では、訓練後に声の大きさが改善し、その効果が数か月〜1年以上先の追跡調査でも一定程度維持されていたと報告されています。「大きく声を出す」という一点に絞り、高い頻度で繰り返す訓練が、持続的な変化につながる可能性を示しています。

限界:効果には個人差があり、進行に伴って変動します。この訓練は決められた頻度・期間・専門的な指導が前提で、自己流での実施は推奨されません。発声訓練は薬や専門的な治療の代わりではなく、組み合わせて使うものです。書誌情報は一次情報で必ずご確認ください。

出典:Ramig LO, et al. Intensive voice treatment (LSVT) for patients with Parkinson’s disease. J Neurol Neurosurg Psychiatry. (書誌情報は一次情報でご確認ください)
声・操作・段取りを、分けて整える。ぶっつけ本番をやめるだけで、電話は変わります。

ここまでは、自宅でできる工夫でした。専門施設では、その先の回復的アプローチまで踏み込めます。
+

Second Track — At STROKE LAB
専門施設で、さらに期待できること
工夫で「乗り切る」段階から、二重課題そのものに強くなる段階へ。

自宅での工夫が、メモやスピーカーモードでその場の負担を減らす代償的な工夫だとすれば、専門施設で目指すのは、声そのもの・注意を配分する力そのものを鍛える回復的アプローチです。電話が苦手という困りごとへの働きかけは、大きく3つの方向から組み立てます。

1. 発声・呼吸へのアプローチ。声量低下の背景には呼吸の浅さや喉周りの筋緊張の変化が関わることがあり、体幹・呼吸から声づくりを立て直します。

2. 二重課題トレーニング。話しながら操作する、聞きながら考えるといった同時処理を、難易度を調整しながら段階的に練習し、注意を配分する力そのものを底上げします。

3. 手指の巧緻性と姿勢の土台。ボタン操作に必要な指先の動きや、受話器を安定して持つための姿勢・体幹を整え、操作が崩れにくい身体の下地をつくります。

STROKE LABが軸足を置くのは、「困っている場面」そのものを練習の題材にし、成功体験を積みながら、少しずつ本番に近い負荷に慣れていくという流れです。声・操作・注意配分のどこに一番の壁があるかを見極め、その人に合わせた設計を組み立てます。効果には個人差があり、進行に伴って変動します。薬の調整は主治医の役割です。

Watch & Practice
呼吸と体を動かす体操を、動画で。

脳リハ.comのYouTubeでは、呼吸や体幹を大きく動かす体操を配信しています。声の土台づくりとして、無理のない範囲で習慣にしてみてください。

呼吸・体幹の体操を見る

05
Rehab & When To See A Doctor

専門リハと、受診の目安。

専門のリハビリでは、実際に困っている電話の場面(家族への連絡、病院や役所への電話、聞き取りにくい相手など)を一緒に確認し、声・操作・段取りのどこに壁があるかを見極めます。「実際に困っている場面」を練習の題材にすることで、練習の成果がそのまま生活に活きます。薬の調整は主治医の役割で、私たちは声・動作・生活の側から支えます。

受診の目安は、電話以外の場面でも声が出しにくくなってきた、動きにくさやこわばりが目立つようになってきた、といったときです。電話が聞き取りにくい原因は、難聴など他にもあります。自己判断せず、神経内科や耳鼻科で原因を確かめてください。専門的な費用や施設の選び方は自費リハビリの費用・施設の選び方にまとめています。

06
FAQ

よくある質問。

Q. なぜパーキンソン病になると電話が苦手になるのですか?

理由は一つではなく、いくつかの要因が重なっていることが多いです。声が小さく・こもりやすくなる、指先の操作が遅くなる、話しながら操作する二重課題が負担になる、表情や間の変化で相手に伝わりにくいと感じる、といった要因が組み合わさります。人によって強く出る要因は違うため、どこが苦手かを分けて考えることが対策の第一歩です。

Q. 声が小さくて、電話口で聞き返されてしまいます。改善方法はありますか?

パーキンソン病では声量が下がる小声症がみられることがあります。対面より電話は声の情報だけが頼りになるため、より聞き取りにくく感じられます。呼吸を整えてから話し始める、一文を短く区切る、声の大きさを意識して練習する、といった工夫が助けになります。専門的には発声を集中的に鍛えるプログラムもあるため、言語聴覚士や作業療法士に相談することをおすすめします。

Q. スマートフォンや固定電話の操作がうまくできません。どうすればよいですか?

動作が小さく・遅くなる動作緩慢や、指先の震えが、ボタン操作を難しくすることがあります。番号を短縮登録する、ボタンの大きい電話機に変える、スピーカーモードで手に持たずに話す、といった工夫で操作の負担を減らせます。焦って何度も押し直すとかえって誤操作が増えるため、一回ずつゆっくり押すことも大切です。

Q. 電話中に話す内容を忘れてしまいます。何が原因でしょうか?

電話は、話す・聞く・持つ・操作するを同時に行う場面が多く、注意を分ける二重課題になりやすい状況です。パーキンソン病では、複数のことを同時に行う場面で、一つひとつの動作や思考が崩れやすくなることがあります。事前に要件をメモしておく、話す順番を決めておく、といった準備で負担を減らすことができます。ただし物忘れが強く気になる場合は、他の原因も考えられるため、主治医に相談してください。

Q. 電話が怖くなってしまい、出るのをためらいます。これも症状の一つですか?

声や操作でうまくいかない経験が重なると、電話そのものに苦手意識や不安を感じるようになることがあります。これは症状そのものというより、症状への反応として起こりやすい状態です。うまくいく工夫を一つずつ増やし、成功する経験を積み重ねることで、苦手意識が和らぐことがあります。強い不安が続く場合は、一人で抱えずに家族や専門職に相談してください。

Q. LSVT LOUDとは何ですか?

LSVT LOUDは、パーキンソン病の方の声量低下に対して行われる、集中的な発声トレーニングプログラムの一つです。決められた期間に高い頻度で声を大きく出す練習を繰り返す方法で、専門的な訓練を受けた言語聴覚士のもとで行われます。効果には個人差があり、進行に伴って変動することもあります。気になる方は専門職に相談してみてください。
07
STROKE LAB

電話の相談も、STROKE LABへ。

STROKE LAB(東京・大阪)は、脳卒中とパーキンソン病を中心とする神経疾患専門の自費リハビリ施設です。困っている電話の場面を一緒に確認し、声・操作・段取りのどこに壁があるかを見極めて、その人に合った練習を組み立てます。家族への連絡や病院への電話など、実際の場面を題材にするので、練習がそのまま生活に活きます。薬の調整は主治医を尊重し、声・動作・生活の側から支えます。保険リハとの併用も歓迎です。

書籍『パーキンソン病の機能促進 動作分析から自主トレーニングまで』(医学書院)の表紙
Book
パーキンソン病の機能促進
動作分析から自主トレーニングまで
医学書院/2025年/448ページ

運動を通じて心身の状態を整える考え方を、動作分析の視点から体系化。本文と連動するYouTube動画62本で、実際の動きも確認できます。

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Message from CEO
電話は、性格や気力の問題ではなく、
分けて整えれば、変わります。
STROKE LAB代表 金子唯史

電話が苦手になると、「自分がしっかりしていないからだ」と、ご自身を責めてしまう方によく出会います。ですが、電話は声・指先・注意配分を同時に使う、生活の中でも特に負荷の高い場面です。うまくいかなくて当然、なのです。

お伝えしたいのは、声・操作・段取りを分けて、一つずつ整えるだけで、電話は驚くほど変わることがあるということです。ぶっつけ本番をやめて、リハーサルできる場面に変える。ちょっとした工夫で、話せる場面はまだまだ広がります。

電話でお困りなら、どうぞ一度ご相談ください。困っている場面そのものを題材に、その方に合う方法を一緒に見つけます。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史

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References

本記事は、国内外の診療ガイドライン・公的情報と、STROKE LABの臨床経験および下記書籍の枠組みをもとに構成しています。電話が聞き取りにくい原因には難聴など他のものもあります。気になるときは、必ず神経内科・耳鼻科・主治医にご相談ください(最終確認日:2026年7月13日)。

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