パーキンソン病で夜間の介助が大変なとき|寝返り・トイレの工夫 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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パーキンソン病

パーキンソン病で夜間の介助が大変なとき|寝返り・トイレの工夫

NIGHTTIME CARE

動けないのは、本人のせいじゃない。

夜中に何度も名前を呼ばれ、寝返りを手伝い、トイレに付き添う。そんな夜が続くと、介助するご家族の体力も気力も削られていきます。パーキンソン病では、夜になると薬の効果が薄れて体が動きにくくなる「夜間無動」が起こりやすくなります。動けないのは本人の努力不足ではなく、夜という環境が動きを止めているだけ。シーツ・合図・動線を整えることで、負担は今日から軽くできます。

UPDATED2026
READ約10分
FORご本人・ご家族へ
BYSTROKE LAB
本記事は、医学書院『パーキンソン病の機能促進(動作分析から自主トレーニングまで)』(2025年・448頁)の著者が執筆しています。転倒や失禁が続く、夜間の様子が急に変わったといった場合は、自己判断せず神経内科・主治医に相談してください。

Quick Reference
まず知ってほしい5つのこと。
01
夜間の動きにくさは「夜間無動」といい、薬の効果が薄れることと関係します
02
夜間頻尿も自律神経の乱れと関係し、パーキンソン病に多くみられます
03
寝返りは、一気にではなく段階に分けると動き出しやすくなります
04
トイレまでの動線と灯りを整えると、転倒のリスクを減らせます
05
介助するご家族が疲れきる前に、専門職や介護サービスに相談を
01
Called Every Night

夜、何度も呼ばれる。

A Family’s Voice
「一晩に3回、4回と起こされて、私が倒れそうです」

寝返りが打てず「動けない」と呼ぶ声で目が覚める。トイレに付き添おうとしても、体が固まって立ち上がるまでに時間がかかる。やっと眠れたと思ったら、また声がする——。夜間の介助が続くと、介助する側の睡眠が削られ、日中の生活にも影響が出てきます。

でも、知ってほしいのです。夜に動けなくなるのには理由があり、環境と工夫でその動けなさは和らげられるということを。

パーキンソン病では、日中は問題なく歩けていた方でも、夜になると別人のように動きにくくなることがあります。これは気持ちの問題でも、頑張りが足りないわけでもありません。まずはそのしくみを理解し、そのうえで今夜から使える具体的な工夫を見ていきましょう。リハビリの全体像はリハビリ完全ガイドにまとめています。

02
What Is Happening At Night

なぜ夜、動きにくくなるのか。

夜間の困りごとには、大きく分けて2つの背景があります。「動けなくなること」と「トイレが近くなること」です。それぞれのしくみを知ると、対処の方向が見えてきます。

状態 起こっていること
夜間無動 就寝中に薬の効果が薄れ、寝返りや起き上がりが難しくなる
体幹のこわばり 横になると体幹がひねりにくく、寝返りの動作そのものが難しくなる
夜間頻尿 自律神経の乱れで夜間の尿量が増え、トイレの回数が増える
立ちくらみ 急に起き上がると血圧が下がりやすく、ふらつきや転倒につながる

実際に、パーキンソン病の方を対象にセンサーで夜間の体の動きを測った研究では、病期が進むほど寝返りの回数や速さが減っていたことが報告されています。つまり「夜、動けない」という訴えは、思い込みではなく実際に体で起きている変化です。だからこそ、根性ではなく工夫で対処することが理にかなっています。

03
Rebuild The Turn

STROKE LABの視点:寝返りを立て直す3ステップ。

寝返りが難しいとき、多くの方が体全体を一気に動かそうとして、かえって固まってしまいます。コツは動きを分解して、順番に小さく積み重ねることです。次の3ステップを、寝具の準備から始めてみてください。

Three Steps

ステップ1:シーツを滑りやすい素材に変える。腰まわりだけでもサテンや起毛のない滑らかな素材にすると、摩擦が減り、少ない力で体を動かせます。パジャマも滑りやすい生地を選ぶと効果が重なります。

ステップ2:動きを3つの段階に分ける。「ひざを立てる」「腕を胸の前で組む」「肩と腰を順番にひねって転がる」の順に、一段階ずつ声に出しながら行います。一気に転がろうとしないことがポイントです。

ステップ3:リズムの合図を添える。「いち、にの、さん」など一定のリズムで声をかけると、動き出しのきっかけになりやすくなります。介助者が横で同じリズムを刻むと、より動き出しやすくなる方もいます。

寝返り用の手すりやベッド柵を利用し、腕でつかまりながら回るのも有効です。介助する場合は、無理に引っ張らず、本人の動きに合わせて肩と骨盤を軽く誘導する程度にとどめると、双方の負担が少なくなります。合う方法は人によって違うため、作業療法士と一緒に調整するのが近道です。

Evidence
夜間の寝返りの減少は、病状や自律神経の状態と関連していた研究

ウェアラブルセンサーでパーキンソン病の方の夜間の体動を継続的に測定した研究では、病期が進んだ群ほど寝返りの回数と速さが少なく、これは運動症状の重さや自律神経症状の程度と関連していたと報告されています。研究者は、夜間の動きを把握し、寝返りの工夫や夜間の服薬タイミングを調整することの重要性を指摘しています。

限界:この研究は夜間の体動を客観的に測定したもので、特定の介助方法の効果を直接検証したものではありません。効果や動きにくさの程度には個人差があり、進行に伴って変動します。服薬タイミングの調整は主治医の判断が必要です。

出典:Mirelman A, et al. Tossing and turning in bed: nocturnal movements in Parkinson’s disease. Mov Disord. 2020;35(6):959-968

04
Safer Nights To The Toilet

夜間トイレの、安全な工夫。

夜間トイレでの転倒は、特に気をつけたい場面です。「動線を短くする」「灯りを整える」「服を変える」「急がない」の4つを軸に、無理のない範囲で環境を整えましょう。

動線については、ベッドとトイレの間に足元を照らすセンサーライトを設置し、床の物を片付けておくだけでも安全性が上がります。距離が長い、夜間に何度も起きる場合は、ポータブルトイレをベッドサイドに置くことも現実的な選択です。服は、ゴムウエストで着脱しやすいもの、前開きのパジャマなど、指先の細かい操作が少ない服を選ぶと、トイレでの動作がスムーズになります。

起き上がるときは、急に立ち上がらず、ベッドサイドに座って一呼吸おいてから立つと、立ちくらみによるふらつきを減らせます。水分は我慢しすぎる必要はありませんが、就寝の2〜3時間前からは控えめにし、日中にしっかり摂るという配分も一つの工夫です。手すりの設置や便座の高さの調整など、住環境の見直しは体操・自主トレ大全で紹介している日中の運動と組み合わせると、体力の底上げにもつながります。

Evidence
夜間頻尿は高い頻度でみられ、自律神経の乱れと関連する症状

パーキンソン病の非運動症状に関する調査では、夜間頻尿は参加者の60パーセントを超える方に認められ、非運動症状の中でも最も頻度の高い訴えの一つだったと報告されています。夜間の血圧が下がりにくいことなどの自律神経の乱れが、夜間の尿量増加に関わっていると考えられています。

限界:この報告は症状の頻度や関連要因を整理したもので、特定の生活上の工夫の効果を検証したものではありません。夜間頻尿の背景には前立腺や膀胱そのものの疾患など、他の原因が重なることもあります。回数が急に増えた、痛みを伴うといった場合は、泌尿器科・主治医への相談が必要です。

出典:Batla A, et al. Nocturia in Parkinson’s disease: why does it occur and how to manage? Mov Disord Clin Pract. 2016;3(5):443-451

動線を短く、灯りを足す。急がないことが、いちばんの安全策。

ここまでは、自宅でできる工夫でした。専門施設では、その先の動作そのものを立て直すアプローチまで踏み込めます。
+

Second Track — At STROKE LAB
専門施設で、さらに期待できること
環境の工夫で「凌ぐ」段階から、動作そのものを育てる段階へ。

自宅での工夫が、シーツや動線を変えてその場で動きやすくする代償だとすれば、専門施設で目指すのは、体幹の回旋や起き上がりの筋力そのものを底上げする回復的アプローチです。夜間の介助負担への働きかけは、大きく3つの方向から組み立てます。

1. 体幹回旋の練習。日中に肩と骨盤を分けてひねる練習を重ね、夜間の寝返りに必要な可動性と筋力の土台をつくります。

2. 起き上がり・立ち上がりの動作分析。その方がどの段階でつまずいているかを分析し、つまずきやすい局面に絞って練習を組み立てます。

3. 生活動線とご家族の介助方法の見直し。実際の寝室・トイレの動線を確認し、福祉用具の選定やご家族の介助方法そのものを、負担が少ない形に組み替えます。

STROKE LABが軸足を置くのは、日中の運動学習で夜間の動作を底上げしながら、環境の工夫と組み合わせて、ご本人とご家族双方の負担を減らしていくという流れです。効果には個人差があり、進行に伴って変動します。薬の調整は主治医の役割です。

Watch & Practice
体幹をひねる体操を、動画で。

脳リハ.comのYouTubeでは、寝返りの土台になる体幹の体操を配信しています。日中の習慣として、無理のない範囲で取り入れてみてください。

体幹の体操を見る

05
Rehab & When To See A Doctor

専門リハと、受診の目安。

専門のリハビリでは、実際の寝室環境や夜間の困りごとを詳しく伺い、寝返り・起き上がり・トイレへの移動という「実際に困っている場面」を練習の題材にすることを大切にしています。ご家族の介助方法も一緒に確認し、双方の負担が少ない形を探ります。薬の調整は主治医の役割で、私たちは動作と生活の側から支えます。

受診の目安は、夜間の転倒があった、失禁が急に増えた、夜間の様子が数週間で明らかに変わった、といったときです。夜間の症状の背景は一つとは限りません。自己判断で様子を見続けず、気になる変化は神経内科・主治医で確認してください。専門的な費用や施設の選び方は自費リハビリの費用・施設の選び方にまとめています。

06
FAQ

よくある質問。

Q. 夜になると寝返りが打てなくなるのは、パーキンソン病のせいですか?

パーキンソン病では、夜間に薬の効果が薄れることで、日中よりも体が動きにくくなる夜間無動という状態がみられることがあります。寝返りが打てない、布団の中で固まってしまうといった訴えは、この夜間無動が関係していることがあります。ただし体調の変化には他の原因もあるため、続く場合は自己判断せず主治医に相談してください。

Q. 夜中に何度もトイレに起きるのはなぜですか?

パーキンソン病では自律神経の働きが乱れやすく、夜間に尿量が増えたり、膀胱が過敏になったりして、トイレの回数が増えることがあります。これは夜間頻尿と呼ばれ、パーキンソン病の方に高い頻度でみられる症状の一つです。水分の摂り方やトイレまでの動線を整えることで、負担を減らせる場合があります。続くようであれば主治医に相談してください。

Q. 寝返りを介助するときのコツはありますか?

無理に体全体を一度に動かそうとせず、ひざを立てる、腕を胸の前で組む、肩と腰を順番にひねるというように、動きを小さな段階に分けるのがコツです。声をかけながら一緒にリズムを取ると、動き出しやすくなることがあります。シーツの素材を滑りやすいものに変えると、介助の負担が軽くなることもあります。

Q. 夜間のトイレでの転倒が心配です。どんな工夫がありますか?

ベッドからトイレまでの動線に足元を照らすセンサーライトを置く、着脱しやすい服に変える、手すりやポータブルトイレで移動距離を短くするといった工夫が助けになります。急いで立ち上がると立ちくらみが起きやすいため、ベッドサイドで一呼吸おいてから動き出すことも大切です。

Q. 夜間の症状は薬で改善しますか?

就寝前の薬の追加や種類の調整によって、夜間の動きにくさが改善することがあります。ただし薬の調整は主治医の判断が必要な領域です。自己判断で量を変えず、夜間の様子を記録して主治医に伝えることが、適切な調整につながります。

Q. 介助する家族が疲れてしまいます。どうすればよいですか?

夜間の介助が続くと、介助するご家族の睡眠も削られ、負担が積み重なります。一人で抱え込まず、福祉用具の活用や、訪問看護・ショートステイなどの介護サービス、専門職への相談を早めに検討することをおすすめします。ご家族の健康を保つことも、介助を続けるために欠かせない要素です。
07
STROKE LAB

夜間介助の相談は、STROKE LABへ。

STROKE LAB(東京・大阪)は、脳卒中とパーキンソン病を中心とする神経疾患専門の自費リハビリ施設です。困っている夜間の場面を一緒に確認し、寝返り・起き上がりの動作練習、環境の見直し、ご家族の介助方法を、その方に合わせて組み立てます。実際の生活場面を題材にするので、練習がそのまま夜の負担軽減に活きます。薬の調整は主治医を尊重し、動作と生活の側から支えます。保険リハとの併用も歓迎です。

書籍『パーキンソン病の機能促進 動作分析から自主トレーニングまで』(医学書院)の表紙
Book
パーキンソン病の機能促進
動作分析から自主トレーニングまで
医学書院/2025年/448ページ

運動を通じて心身の状態を整える考え方を、動作分析の視点から体系化。本文と連動するYouTube動画62本で、実際の動きも確認できます。

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Message from CEO
夜を、家族だけで
抱え込まないでください。
STROKE LAB代表 金子唯史

夜間の介助が続くご家族から、「自分がもたないかもしれない」という声を何度も聞いてきました。ご本人の症状だけでなく、支えるご家族の睡眠と体力もまた、大切に守るべきものです。

お伝えしたいのは、夜の動けなさは、環境と工夫、そして専門的な介入で、確実に和らげられるということです。シーツを変え、動線を整え、体幹の動きを育てる。小さな積み重ねが、夜を少しずつ変えていきます。

夜間の介助でお困りなら、どうぞ一度ご相談ください。ご本人とご家族、双方の負担が軽くなる形を一緒に見つけます。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史

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References

本記事は、国内外の診療ガイドライン・公的情報と、STROKE LABの臨床経験および下記書籍の枠組みをもとに構成しています。夜間の転倒・失禁が続く、様子が急に変わったといった場合は、必ず神経内科・主治医にご相談ください(最終確認日:2026年8月12日)。

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