目で追わない・追視が少ない赤ちゃん|視線と運動発達のつながり – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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目で追わない・追視が少ない赤ちゃん|視線と運動発達のつながり

INFANT DEVELOPMENT

見る力は目だけの機能ではなく、頭を保ち、体の向きを変える力とも結びついています

「顔は見るのに、おもちゃは追わない」「右には追うけれど、左は見失う」「目は動くけれど、頭がついてこない」――こうした様子があると、見えているのか、発達に影響はないのかと不安になります。追視は、目だけの働きではなく、頭を保つ力、体の安定、手の動きと一緒に育つものです。この記事では、追視の月齢の目安、家庭で見たいポイント、相談の目安を、運動発達とのつながりに絞って整理します。

UPDATED2026
READ約11分
FOR0〜6か月ごろのお子さんの保護者へ
BYSTROKE LAB
本記事は、医学書院『脳の機能解剖とリハビリテーション』(2024年・408頁)の著者が監修する方針に基づき作成しています。追視の評価だけで診断はできません。医療・健診が先、私たちは姿勢や運動とのつながりを整理する立場で併走します。 けいれん、哺乳不良、意識の変化、急な反応低下などがあるときは、様子を見ずに医療機関へご相談ください。

療法士評価

Quick Reference
不安なときに、まず知ってほしい5つのこと。
01
追視は生後2か月頃から少しずつ見られますが、個人差があります
02
眠気、空腹、姿勢、刺激の速さでも「追わない」ように見えることがあります
03
追視は目だけでなく、頭・体・手の動きと一緒に見ていくことが大切です
04
左右差、正中を越えるときの見失い、目の揺れやずれは重要な観察点です
05
3〜4か月頃でも反応が乏しい場合や気になるサインがある場合は、小児科や眼科へ相談します
01
What Is Visual Tracking

追視とは何か

追視とは、見つめたものが動いたときに、目でその動きを追いかけることです。ただし、家庭で見ているときに大切なのは、「目が動いたか」だけで終わらせないことです。赤ちゃんの追視には、顔やおもちゃを見つめる力、目を左右に動かす力、頭を向ける力、体を安定させる力が関わります。

また、「目が合う」「顔を見る」「おもちゃを数秒見る」「ゆっくり動くものを追う」は似て見えても少しずつ違う反応です。追視だけが少ないのか、全体として見る反応が乏しいのかで、考えるポイントは変わります。

STROKE LAB’s View
追視は「目の問題」だけではなく、「見る準備が整っているか」のサインでもあります

赤ちゃんが眠い、泣いている、頭を支えるのに精一杯という条件では、追視が少なく見えることがあります。反対に、落ち着いて起きていて、頭と体が支えられ、刺激がゆっくり見えている条件では、追視が見えやすくなります。

02
Timing

追視はいつから見られるか

追視は、生後2か月頃から少しずつ見られることが多いとされています。3〜4か月児健診では、視線の反応や追視がひとつの確認ポイントになります。ただし、月齢は目安であり、修正月齢で見る必要があるお子さんもいます。反応がその日によって変わることも珍しくありません。

追視と関連する発達の目安

月齢の目安 見えやすい反応 一緒に見たい運動面
0〜1か月ごろ 顔に気づく、近くのものを短く見る、ゆっくりした刺激に反応する 顔を正中へ向けやすいか、手足が落ち着いて動くか
2〜3か月ごろ 顔やおもちゃを数秒見る、左右へゆっくり追う、正中付近で見続ける 頭を少し保てるか、両手が真ん中に集まり始めるか
4〜6か月ごろ 広い範囲を追いやすくなる、見たものへ手を伸ばす、腹ばいでも視線が動きやすい 首の安定、腹ばいでの前腕支持、手を口へ運ぶ動き

月齢は目安です。早産のお子さんは修正月齢で確認します。できる・できないの二択ではなく、どの条件なら反応が出るかを見ることが大切です。

03
Why It Looks Limited

追視が少なく見える5つの理由

1. 眠い・空腹・疲れている

追視は、赤ちゃんが起きていて落ち着いているときに見えやすくなります。眠気や泣きが強いと、視線の反応は落ちやすくなります。

2. 刺激が速い・遠い・多すぎる

おもちゃを速く動かしすぎる、距離が遠い、複数の刺激を同時に見せると、追視しにくく見えることがあります。まずは顔や単純な玩具をゆっくり見せます。

3. 頭や体が安定しにくい

目では追えていても、頭を向けるのが難しいと、途中で見失いやすくなります。腹ばいでの追視が難しいときは、前腕支持や首の負荷が関係していることもあります。

4. 向き癖や左右差がある

右には追うのに左は追いにくい、といった様子は、向き癖や首の回しにくさ、体の使い方の左右差と関係する場合があります。

5. 見え方や目の動きの確認が必要

どの条件でも顔や物を見る反応が乏しい、目が揺れる、目のずれが続く場合には、小児科や眼科での評価が大切です。

追視しやすい条件と反応が出にくい条件

04
Vision And Movement

視線と運動発達のつながり

赤ちゃんは、見たものに合わせて体を動かしていきます。顔やおもちゃを見つめることは、頭を向けることにつながり、頭を向けやすくなると、両手を真ん中に集めやすくなります。さらに、見たものへ手を伸ばすことや、手を口へ運ぶことにもつながっていきます。

ここで大切なのは、「追視が少ないから運動発達が遅れる」と単純に結びつけないことです。視線と運動発達には関連がありますが、眠気や姿勢によっても反応は大きく変わります。だからこそ、視線の反応を、頭・体・手の動きと一緒に見ていきます。

STROKE LAB’s Observation
追視を見るときに、私たちが一緒に見る5つの観察点
1. 見る準備:起きていて落ち着いているか、泣きや眠気が強くないか。
2. 固視:顔やおもちゃを数秒見つめられるか。
3. 眼球運動:左右へゆっくり追えるか、正中で見失わないか。
4. 頭と姿勢:目だけでなく頭がついてくるか、肩をすくめずに向けるか。
5. 運動へのつながり:見た側へ手が動くか、両手が真ん中に寄るか、腹ばいで顔を向けられるか。

視線と運動発達のつながり

05
Evidence

研究でわかっていること

Evidence Box
視覚と運動発達には関連があります

視覚機能と運動発達の関係をまとめた系統的レビューでは、見る機能と動きの発達の間に関連があることが示されています。つまり、視線の反応は、頭を向ける、手を伸ばす、姿勢を保つといった運動面と無関係ではありません。

一方で、研究ごとに対象年齢や背景、評価方法が異なるため、「追視が少ないことが、そのまま運動発達の遅れを引き起こす」とまでは言えません。 家庭では、追視だけを切り出さず、全体の発達の中で見ていくことが大切です。

出典:Sánchez-González MC, et al. Acta Ophthalmologica. 2022;100(7):e1356-e1369.

研究には対象年齢、背景、評価方法の違いがあります。個人差が大きく、この記事は診断や治療の代替ではありません。気になるときは健診や医療機関でご相談ください。

06
Watch Or Consult

様子見と相談の目安

様子を見ながら関わりを工夫しやすい状態 健診・小児科・眼科へ相談したい状態
起きていない時間が多く、条件によって反応が変わる 3〜4か月頃でも顔や物を見る反応が乏しい
顔は見るが、おもちゃの見せ方で差が出る どの姿勢・時間帯でも追視がほとんど見られない
仰向けでは見やすいが、腹ばいでは少し難しい 右左どちらか一方だけ毎回見失う
刺激をゆっくり見せると反応が出る 目の揺れ、目のずれ、顔の傾きが続く
ほかの発達面は大きく気にならない 一度できていた反応が減った、哺乳不良やけいれんなどを伴う
Red Flags
次のサインは医療優先です

瞳が白く見える、黒目が濁る、目のずれが強い、目が細かく揺れる、けいれんのような動き、哺乳不良、急な反応低下、意識の変化がある場合は、家庭だけで様子を見ずに、小児科や眼科などの医療機関へご相談ください。

07
What You Can Do At Home

家庭でできる関わり

家庭で大切なのは、「追わせること」ではなく、赤ちゃんが見やすい条件をつくることです。起きていて落ち着いている時間に、まずは保護者の顔を見せ、見つめたらゆっくり少しだけ動かします。見失ったら止めて待ち、また見つめたら再開します。

仰向けだけでなく、抱っこや見守り下の腹ばいでも反応を見てみると、姿勢による違いがわかりやすくなります。なお、睡眠時は必ず仰向けを守り、腹ばいは起きていて大人が見守れる時間だけにします。

やってみたい関わり 避けたい関わり
起きていて機嫌のよい時間に行う 泣いているのに続ける
顔や単純な玩具をゆっくり見せる 速く何度もおもちゃを振る
見失ったら止めて待つ 無理に追わせ続ける
姿勢を変えて反応の違いを見る 頭や首を押さえて向かせる
気になる様子を短く動画に残す スマートフォン動画だけで長時間刺激する
08
Professional Assessment

専門家の評価でわかること

専門家は、「追視できるかどうか」だけではなく、どの条件なら反応が出るのかを分けて見ていきます。たとえば、顔では見られるけれどおもちゃでは難しいのか、仰向けでは追えるけれど腹ばいでは難しいのか、目だけ追うのか、頭もついてくるのか、といった違いです。

ここで重要なのは、追視を「練習不足」と決めつけないことです。姿勢を少し支えると反応が広がるなら、視線だけでなく頭や体の安定が関係しているかもしれません。一方で、どの条件でも反応が乏しい、目の揺れやずれがある場合には、医療機関での評価が優先です。

見られる様子 分けて考えるポイント 専門家が変えて見る条件
顔は見るがおもちゃを追わない 興味、刺激の見せ方、コントラスト 顔、単純な玩具、音の有無を分ける
仰向けでは追うが腹ばいで難しい 頭頚部の負荷、前腕支持、疲労 胸の下の支え、肘の位置、短時間化
右には追うが左は難しい 向き癖、首の回旋、左右差 頭部の正中、刺激方向、姿勢の変更
目は追うが頭がついてこない 頭部追従、姿勢の安定、頚部の使い方 速度や範囲を小さくし、姿勢を支える

追視の評価の見取り図

09
Checklist

健診や相談で伝えたいメモ

受診前に、次の7項目をメモしておくと相談しやすくなります
□ いつ頃から気になっているか
□ 顔は見るか、おもちゃは見るか
□ 右と左で差があるか、正中で見失うか
□ 仰向け、抱っこ、腹ばいで違いがあるか
□ 首すわり、両手が真ん中にくる、手を口へ運ぶなど他の発達の様子
□ 目の揺れ、目のずれ、顔の傾き、哺乳や機嫌の気になる点
□ 気になる場面を10〜20秒ほど動画で撮っておく
10
FAQ

よくある質問

Q. 赤ちゃんの追視はいつから始まりますか?
追視は生後2か月頃から少しずつ見られることが多いです。ただし、月齢には個人差があり、眠気や空腹、姿勢、刺激の見せ方によって反応は変わります。追視の有無だけでなく、顔やおもちゃを数秒見るか、左右差がないか、頭や手の動きとつながっているかも一緒に見ていくことが大切です。
Q. 生後2か月で目で追わなくても大丈夫ですか?
生後2か月では、まだ反応にばらつきがある時期です。落ち着いて起きている時間に、顔や単純なおもちゃをゆっくり見せると反応が出ることもあります。ただし、3〜4か月頃になっても顔や物を見る反応が乏しい、どの姿勢でも追視がほとんど見られない場合は、小児科や健診で相談すると安心です。
Q. 顔は見るのに、おもちゃを追わないのはなぜですか?
赤ちゃんは人の顔への反応が出やすく、おもちゃより顔の方を好むことがあります。また、おもちゃが速すぎる、遠すぎる、色や形が複雑すぎると追いにくく見えることもあります。顔では見られるのにおもちゃでは難しい場合は、刺激の種類や見せ方、赤ちゃんの姿勢を調整してみることが役立ちます。
Q. 右には追うのに左には追わない場合は相談が必要ですか?
片側だけ追いにくいときは、向き癖、首の回しにくさ、体の左右差、見え方の違いなど、いくつかの可能性があります。毎回同じ方向で見失う、正中を越えると急に視線が外れる、目の揺れや目のずれを伴う場合は、小児科や眼科への相談をおすすめします。
Q. 追視が少ないと運動発達も遅れますか?
視線と運動発達には関連がありますが、追視が少ないことだけで運動発達の遅れを判断することはできません。見ることは、頭を向ける、手を真ん中へ集める、物へ手を伸ばすといった動きとつながっています。一方で、眠気、姿勢、向き癖などでも見え方は変わるため、視線だけではなく全体の発達を一緒に見ることが大切です。
Q. どのような状態なら小児科や眼科へ相談すべきですか?
3〜4か月頃でも顔や物を見る反応が乏しい、どの姿勢でも追視がほとんど見られない、左右差がはっきりしている、目が揺れる、目のずれが続く、瞳が白く見える、黒目が濁る、一度できていた反応が減ったといった場合は、小児科や眼科へ相談してください。けいれん、哺乳不良、意識の変化などを伴う場合は、医療機関を優先します。
Next Step
家庭では見やすい条件を整え、気になる様子は健診や医療へ。私たちは、視線と姿勢・運動のつながりを整理する形で併走します。

追視の有無だけでは判断せず、どの条件で反応が出るかを一緒に見ていくことが、不安を観察へ変える第一歩です。

STROKE LABの小児リハビリ

STROKE LABでは、お子さんの「気になる」を、姿勢、動き、遊び、生活場面の観察へ翻訳しながら支援しています。診断や医学的判断は医療機関が担い、私たちは生活と発達の側から併走します。

書籍『脳の機能解剖とリハビリテーション』

発達や動作を、機能解剖と動きのつながりから捉える視点を、一般の方にもわかりやすく届けるためのベースとなっている書籍です。

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References

参考文献

  1. Centers for Disease Control and Prevention. Important Milestones: Your Baby By Two Months. Accessed 2026.
  2. American Academy of Pediatrics. Developmental Milestones: 3 Months. HealthyChildren.org. Accessed 2026.
  3. 国立成育医療研究センター. 乳幼児健康診査身体診察マニュアル. 2024.
  4. Sánchez-González MC, et al. Visual system and motor development in children: a systematic review. Acta Ophthalmologica. 2022;100(7):e1356-e1369.
  5. 医学書院. 脳の機能解剖とリハビリテーション. 2024.
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