【2023年版】COPM(カナダ作業遂行測定)評価用紙・メリット・デメリットは? 手順は?作業療法士向け – 脳卒中/神経系 自費リハビリ施設 東京 | STROKE LAB
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【2023年版】COPM(カナダ作業遂行測定)評価用紙・メリット・デメリットは? 手順は?作業療法士向け

 

カナダ作業遂行測定法(COPM)は、1980年代後半にカナダの作業療法士によって開発されました。開発チームは、Dr. Mary Lawによって率いられ、彼女とその同僚たちは、セラピストがクライアントの作業遂行に対する認識を時間をかけて理解するための測定法が必要であると認識しました。このツールは、クライアントの視点と治療への参加を優先し、専門職がよりクライアント中心のアプローチに移行することと一致していました。

COPMは1991年に正式に発表され、それ以降何度も改訂されてきています。最新版は5版です。現在、この測定法は40カ国以上で使用され、多くの言語に翻訳されています。

COPMは、作業療法士や他の医療専門家が、クライアントの日常生活における遂行能力の自己認識を時間経過で測定するために使用されるよう設計されています。このツールは、セルフケア、生産活動、レジャーの3つの領域を評価します。

半構造化インタビューのプロセスを通じて、セラピストとクライアントはクライアントの作業遂行の問題を特定します。次に、クライアントはこれらの特定された領域での遂行能力と満足度を1から10の尺度で評価します。治療介入後、クライアントは遂行度と満足度を再評価し、時間経過での変化を測定します。

COPMは、身体と精神の健康、小児科、老年科、コミュニティベースのプログラムなど、多くの設定で一般的に使用されています。このツールは多様で適応性があり、幅広いクライアントの集団に適しています。

 

COPM評価用紙

以下にカナダ職業能力評価尺度(COPM)のフォームの簡略版を日本語で示します。このツールは、セルフケア、生産性、レジャーの領域でのクライアントの作業パフォーマンスの自己認識を測定するために作業療法士によって使用されます。このフォームは説明用であり、公式のCOPMフォームを置き換えるものではないことをご了承ください。

セクション 必要な情報
クライアント詳細
クライアント名
日付
療法士の名前
作業パフォーマンス問題の特定
1. セルフケア 重要度を1(全く重要でない)から10(非常に重要)まで評価
2. 生産性 重要度を1(全く重要でない)から10(非常に重要)まで評価
3. レジャー 重要度を1(全く重要でない)から10(非常に重要)まで評価
優先度評価
上位5つの問題 それぞれを1(全く重要でない)から10(非常に重要)まで評価
遂行度スコア
上位5つの問題を現在の遂行度で評価、1(全くできない)から10(非常にうまくできる)まで
満足度スコア
上位5つの問題についての満足度を評価、1(全く満足していない)から10(非常に満足している)まで
サマリー
初回評価日
再評価日
遂行度の変化 変化を記録
満足度の変化 変化を記録

実際の設定では、作業療法士はインタビューを行い、クライアントが作業遂行の問題を特定し、優先順位をつけるのを支援します。これらは各セクションに記入されます。

 

COPMのメリット・デメリットは?

 

 
長所:
 
クライアント中心: COPMの最も重要な長所は、それが本質的にクライアント中心であることです。これは、クライアントが自分の問題を識別し、目標を設定し、結果を評価する過程に直接関与します。このような参加は、クライアントをエンパワーメントし、治療に対する意欲と参加を高める結果、より成功した結果につながる可能性があります。
 
包括的: COPMはまた、全体的な測定法です。セルフケア、生産活動、レジャーのすべての領域をカバーしているため、クライアントのニーズと能力を包括的に理解することができます。これは、職業の複数の領域が影響を受ける複雑な状況を扱う際に特に有益です。
 
汎用性: 任意の年齢層や障害に使用できるため、様々な状況で利用可能な汎用ツールとなっています。これは、特定の病状や年齢層向けに特別に設計された他の治療法と比較して大きな利点となります。
 
アウトカム測定: COPMは、クライアントに直接関連する結果を測定する手段を提供します。遂行度と満足度を定量化することで、介入の効果について独自の視点を提供します。
 
国際的認知度: COPMは世界的に認識され、受け入れられており、作業療法の分野で信頼されるツールとなっています。また、大量の研究が支えていることで、その信頼性はさらに高まっています。
 
短所:
 
主観性: COPMの主な短所は、その主観性です。自己申告データに大きく依存しているため、クライアントの気分、質問の理解度、またはセラピストを喜ばせたいという願望など、さまざまな要素に影響を受ける可能性があります。一方、他の治療法では、身体的なテストや認知評価のようなより客観的な測定法を使用することがあります。
 
時間がかかる: COPMは、作業遂行上の問題を特定するのに困難を感じるクライアントに対しては、時間がかかる可能性があります。時間が重大な制約となる設定では、その使用が制限される可能性があります。
 
特定性の欠如: COPMの作業遂行問題の広範なカバーは、ある一つの領域において深度を欠く可能性があります。作業の特定の領域に対してより詳細な評価を好むセラピストもいるかもしれません。
 
診断ツールとしての使用制限: COPMは作業遂行の評価と目標設定に優れたツールである一方、診断ツールとしては機能しません。セラピストは、他の診断ツールと併用して使用する必要があります。
 
トレーニングの必要性: COPMの適切な管理には一定のトレーニングと経験が必要です。クライアントの反応の誤解釈は、スコアリングと後続の治療計画の不正確さにつながる可能性があります。

 

COPMの実施手順は?

 

カナダの作業遂行測定法(COPM)の実施は、以下の5つのステップで行われます:
 
問題の特定:セラピストはクライアントと半構造化インタビューを行います。彼らはクライアントの役割について話し、クライアントが行いたい、行う必要がある、または行うことが期待されているが困難を抱えている作業(タスクや活動)を特定します。これには、セルフケア、生産性活動、レジャーの作業が含まれます。特定された問題は記録されます。
 
問題の優先順位付け:クライアントはリストから最も重要な作業遂行の問題5つを選びます。5という数はガイドラインであり、クライアントの状況に応じて調整することができます。
 
重要性のスコアリング:クライアントは、選んだ問題それぞれの重要度を1(全く重要でない)から10(非常に重要)の尺度で評価します。
 
遂行度と満足度のスコアリング:クライアントは、選んだ問題それぞれについて、遂行と遂行に対する満足度を1から10の尺度で評価します。遂行については、1は遂行できないことを、10は非常によく遂行できることを示します。満足度については、1は全く満足していないことを、10は非常に満足していることを示します。
 
再評価:介入期間後、セラピストは同じ5つの問題に対するクライアントの遂行および満足度の認識を再評価します。これにより、時間経過での変化を測定することが可能になります。
 
プロセス全体を通じて、セラピストの役割は会話を導き、クライアントが作業遂行の問題を特定し優先順位をつけるのを助け、クライアントがスコアリングシステムを理解することを確認することです。COPMは、セラピストとクライアントの間の協力的なプロセスであり、クライアントの作業遂行の自己認識に焦点を当てます。

 

まとめ

 

 
結論として、COPMは作業療法の分野における強力なツールであり、クライアントの視点をケアの最前線に持ってくるものです。それは一定の制限を持ってはいますが、その汎用性、クライアント中心の考え方、そして結果に焦点を当てることは、世界中の作業療法士にとって貴重なリソースとなっています。

 

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