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方向転換の運動学と運動力学:脳卒中(脳梗塞)リハビリに関わる論文サマリー vol.149

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カテゴリー

バイオメカニクス、歩行

 

タイトル

方向転換の運動学と運動力学:円形の動線を歩く際の下肢の非対称性

The kinematics and kinetics of turning: limb asymmetries associated with walking a circular path.

👈pubmed Orendurff MS Gait Posture. 2006 Jan;23(1):106-11. 

 

なぜこの論文を読もうと思ったのか?

・直進歩行を評価、治療のアウトカムとすることが私は多いが、その際患者は方向転換時にふらつくことが多い。実際の生活場面では臨床でやってもらうような直進歩行はもちろんだが、目的に応じた、細かな方向転換を含めた動線を患者は歩いているはずである。今回方向転換(曲線に歩く)に着目した論文を見つけ、臨床推論のヒントにしたいと思い読むことにした。

 

内 容

背景・目的

・日常生活の20%は方向転換と言われているが、方向転換がどう成されているのか解明した論文は少ない。

・方向転換で転倒した場合、直進歩行で転倒した場合の8倍股関節の骨折を呈するともある。高齢者の転倒予防のため、方向転換の運動、運動力学的な解明は意義深い。

・本研究の目的は、1mの円上の動線を歩いた際の下肢各関節やCOMの軌跡などを検討する。

 

仮説

・円上の動線では左右の下肢は異なる動きをすると予想される。直進歩行と比べ、円の中心に対し外側の下肢は外側方向への床反力が増え、逆に内側の下肢は外側方向への床反力が減少すると予想される。

・水平面での回旋方向の関節モーメントの増加が予想され、下肢各関節の外旋モーメントが直進歩行に比し増加し、その傾向は円の中心に対し外側の下肢に強いのではないか。逆に円の中心に対し内側の下肢は内旋モーメントを強く呈すると考える。

・方向転換でストライドが短くなり、機能的に内側下肢の長さが短くなるのではないか?

・外側の下肢での蹴りだしが強くなることが予想され、立脚後期での足関節パワーが強くなるのではないか。

 

方法

10名の健常成人(26.9±5.7

3次元動作解析装置、床反力計、カメラ10台を使用

・被験者は快適速度で直進(10m)、円上の動線(図1)を時計周りに歩行した

キャプチャ

1:実験方法 Orendurff (2006)より引用

 

・円の中心から内側の下肢を床反力計に乗せる場合、外側の下肢を床反力計に乗せる場合のそれぞれを15回ずつ実施。内側、外側下肢のそれぞれの成功したデータを5個ずつ記録した。

・歩行スピードは0.61.3m/sとした。

timing lightは歩行速度を一定にするために設置。

・アウトカム

・内外側方向の床反力(GRF

・股・膝・足関節の内旋・外旋モーメントの最大値(PHRMPKRMPARM

・ストライド長

・足関節背屈最大角度(DF

・膝関節伸展最大角度

・足底屈モーメント最大値(PF

・荷重応答期、立脚後期の膝屈曲モーメント最大値(PKFM

・立脚中後期での膝伸展モーメント最大値(PKEM

・立脚期の足関節パワー(産生、吸収)

COMの平均速度

・直進歩行(ST)、内側下肢(IN)、外側下肢(OUT)で比較。

 

結果

・股関節内旋モーメントの最大値、足関節底屈モーメント最大値、足関節パワー産生を除く全アウトカムでSTINOUT間の有意差が見られた。

 キャプチャ2

表:実験結果 Orendurff (2006)より引用

 

OUTINSTに比べ最大の内外側方向の床反力を呈していた(-70.8±3.0

・ストライドはINで短く(1.14±0.03)、OUTで長かった(1.36±0.03

INの足背屈最大値はOUTに比べ大きかった(IN15.6±1.4OUT10.6±1.7)。

OUTでは足関節パワー産生が最も大きかった(35.4±3.4

キャプチャ3

2:内外側方向の床反力(左)と歩行速度と内外側床反力の相関図(右)

Orendurff (2006)より引用

 

OUTSTに比べより大きい外側方向への床反力を呈していた。二峰性はSTと同様だった。

しかし、INは二峰性ではなく細かく内側、外側の床反力を往復していた。

・右図より側方の床反力が強ければ歩行速度が上昇することを示している。

 キャプチャ4

3:左右下肢の接地位置、踵部中央の軌跡、COMの軌跡 

Orendurff (2006)より引用

COMは黒実線、黒丸点線は内側下肢、白丸点線は外側下肢

 

・方向転換の際、COMは常にINの側を通っていた。

 

私見・明日への臨床アイデア

・方向転換の際、内側の下肢に常にCOMがあったことから、曲がる側の下肢の支持性があるかどうかが評価のポイントになると考える。脳卒中者では、直進歩行で見られた麻痺側支持期のパターンがそのまま方向転換にも現れるのだろう。

・逆に、方向転換時の外側の下肢は外側方向の床反力が強く、足関節のパワー産生も強いことから、方向転換時の動力になっていると考える。外側の下肢が麻痺側の場合、さらに内反尖足を呈している場合、方向転換がうまくできない要因になるかもしれない。

・方向転換時の股・膝・足関節の内外旋のモーメント最大値がありとても興味深かったが、歩行周期のどの相での最大値か記載がなかったためうまく解釈ができなかった。1歩行周期すべてのモーメントをまとめたグラフがあればより有益なため、今後の研究に期待したい。

 

氏名 鵜澤 寛伸

職種 理学療法士

 

 

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