vol.199:動的視力と頸部筋疲労 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
健常成人の動的視力に対する頸部筋疲労の影響
Determine the effect of neck muscle fatigue on dynamic visual acuity in healthy young adults?PubMed
Amer A. Al Saif J Phys Ther Sci. 2015 Jan; 27(1): 259–263.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・筋疲労によって動作の質が低下することは多く、特に頸部が過緊張となり疲労を訴える利用者様は多い。今回頸部筋の疲労と動的視力の関係性に着目した論文を見つけ、興味があったため読もうと思った。
内 容
背景・目的
・姿勢の安定性は末梢からの感覚統合とその情報に基づく運動器の反応によって成される。感覚情報が狂えば当然姿勢保持に影響を与える。
・先行研究では頸部筋の障害が平衡覚に影響を与えるとの報告や、頸部筋自体の筋疲労により固有受容感覚の低下が報告されている。
・本研究は頸部筋疲労が動的視力に与える影響を検討する。
方法
・15名の実験群、15名の対照群
・アウトカムは動的視力(cDVA)と頸部位置覚(JPE)
・cDVAは頭部を動かしながら対象物を視覚で捉えることができるかを数値化したもの。JPEは閉眼で一側へ頸部回旋後、正中位に戻した際の開始位との誤差を計測。
・筋疲労は被験者の主観をVASを用いて計測した。
・実験群は機器を用いて頸部運動を行い、筋疲労を誘発した。対照群は筋疲労を伴わないプラセボの運動を行わせた。
結果
表:実験結果
・実験群のDVAは対照群に比し、有意に動的視力の低下を認めた。
・JPEは実験群0.97、対照群0.44cmの誤差があり、実験群の方が誤差が大きかったが、群間の有意差は得られなかった。
・DVAと主観的疲労度(VAS)に有意な正の相関が得られた(r=0.79)。
私見・明日への臨床アイデア
・頸部筋の疲労により動的視力に低下が認められた。頸部筋が固く頸部の可動性が低下している方は、方向転換などの際に視覚情報が低下し転倒の危険が増えるかもしれない。転倒リスク評価の際は頸部筋の硬さや疲労も気にしていきたい。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)